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ユーロ/円(EUR/JPY)の今後の見通し・予想


ユーロ(EUR)は1999年1月に導入され、ドイツやフランスなど11か国が参加しました。
その後、ユーロ採用国は増加を続け、2024年12月時点で20か国に達しています。
ユーロ圏は多数の国で構成されるため市場規模が大きく、外国為替市場でのユーロの取引金額は米ドルに次いで世界第2位です。

下のユーロ/円の長期チャートは、2004年以降の値動きを示しています。

ユーロ/円の長期チャート
出典:TradingView

2024年末時点において、ユーロ/円は2008年以来の円安水準です。
直近では円高がやや優勢であり、円高トレンドが形成されるかどうか注目が集まります。

当記事では、2025年のユーロ/円の見通しや予想について解説します。

1.ユーロ円(EUR/JPY)のリアルタイムチャート

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>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら
>ユーロ米ドルのリアルタイムチャートはこちら

前述したように、ユーロとは、EU(欧州連合)に加盟する27ヵ国のうち、20ヵ国で使用される通貨です。
ユーロを法定通貨として採用している20ヵ国は、ユーロ圏と呼ばれます。

 
ユーロを使用している国(ユーロ圏) ユーロを使用していない国
オーストリア、ベルギー、キプロス
エストニア、フィンランド、フランス
ドイツ、ギリシャ、アイルランド
イタリア、ルクセンブルク、マルタ
オランダ、ポルトガル、スロバキア
スロベニア、スペイン、リトアニア
ラトビア、クロアチア
デンマーク
ブルガリア
チェコ
ハンガリー
ポーランド
ルーマニア
スウェーデン

EU(欧州連合)に加盟しているデンマークやブルガリアなどは、国民の支持を得られないなどの理由から、ユーロを法定通貨として採用していません
ユーロ圏ではないものの、モンテネグロやコソボといった国では、ユーロを導入しています。

ユーロは、ECB(欧州中央銀行)によって管理されています。
政治や経済情勢などが異なる様々な国をまとめなければならないという、難しい舵取りをECBは担っているのです。

2.ユーロ円の今後の見通し・予想

2025年のユーロ/円の見通しを考えるために、2024年の動きを振り返ります。

【2024年】ユーロ/円の振り返り

ユーロ/円の日足チャート
出典:TradingView

上の日足チャートは、2024年のユーロ/円の動きを示しています。

年初から7月にかけて、円安の展開でした。
この要因として、日本とユーロ圏の金利格差が指摘されています。
下のグラフは、欧州中央銀行(ECB)と日銀の政策金利の推移を示したものです。

欧州中央銀行(ECB)の政策金利推移

日本の政策金利推移

ユーロ圏の政策金利は2022年7月から上昇を始めた一方、日本の利上げは2024年3月以降です。
金利が高い通貨を保有すると金利収入が増えるため、市場参加者は金利が低い通貨よりも高い通貨を選好する傾向にあります。
これを受けて、ユーロ/円は円安が進んだ模様です。

しかし、2024年7月にユーロ/円は円高に転じ、その後はレンジ相場で推移しています。
ユーロ圏は政策金利を引き下げている一方、日本は引き上げ傾向にあり、これを反映したと考えられます。

ユーロ/円は引き続き金融政策に注目

2025年も引き続き、ECBと日銀の金融政策に注目です。
ECBの要人やユーロ参加各国の中銀総裁は、2025年も政策金利が引き下げられる旨を示唆しています。
それに対して、日銀は政策金利を徐々に引き上げる意向です。

政策金利はインフレが進めば上昇し、インフレが鎮静化すれば引き下げられる傾向にあります。
そこで、ユーロ圏と日本のインフレ指標を確認します。

ユーロ圏の消費者物価指数(HICP)

ユーロ圏の消費者物価指数(HICP)

ユーロ圏の消費者物価指数(HICP)は2022年半ばに頂点をつけ、その後は徐々に低下しています。
2024年以降は下落が緩やかですが、基調としては下落トレンドが継続中です。
この傾向が続く場合、2025年もユーロ圏の政策金利は下落すると予想できます。

日本の消費者物価指数(CPI)

日本の消費者物価指数(CPI)の推移

日本の消費者物価指数(CPI)は2023年初めに頂点をつけて以降、高い水準を維持しています。
しかし、上昇幅は2024年末にかけて緩やかに縮小しつつあります。
日本の政策金利の上昇が緩やかな理由として、CPIのこの推移が影響していると考えられます。

2025年の政策金利の推移は、CPIが上昇傾向を取り戻すかどうかによって左右される可能性があります。

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3.ユーロ円の5つの価格変動要因

ユーロ円の価格変動要因は、主に以下の5つです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

【変動要因①】
ECB(欧州中央銀行)の金融政策

ユーロ円の大きな変動要因は、ECB(欧州中央銀行)の金融政策です。
ECB理事会(ECBの最高意思決定機関)によって決定され、約6週間毎に1回開催されます。

2025年の開催日程は、以下の通りです。

  • ・1月30日
  • ・3月6日
  • ・4月17日
  • ・6月5日
  • ・7月24日
  • ・9月11日
  • ・10月30日
  • ・12月18日

>ECB理事会の会合日程はこちら

ECB理事会の終了後に行われる定例記者会見は、マーケットに大きな影響を与える発言が出ることもあり、多くの投資家から注目を集めています。

>ECB総裁の記者会見をリアルタイムで見るならこちら

また、ECB理事会が金融政策を決めるうえで、参考としている以下の経済指標の動向は必ず把握しておきましょう。

HICP(消費者物価指数)

HICP(消費者物価指数)は、ユーロ圏の物価動向を把握する経済指標です。
この数値を把握することで、ユーロ圏がインフレ(インフレーション)または、デフレ(デフレーション)なのかを把握できます。

ECBは、物価の安定化を責務としていることからも、このHICPの数値は金融政策を決めるうえで重要視している経済指標です。

また、消費者物価指数と言えば、CPIがあります。
HICPは持ち家の帰属家賃が含まれておらず、この点がCPIと異なります。
ECBが発表している消費者物価指数はHICP、日本や米国などの消費者物価指数はCPIと覚えておくと良いでしょう。

>CPIについて詳しく知りたい方はこちら

【変動要因②】
第2の基軸通貨としての役割がある

ユーロは、米ドルに次いで世界第2位の取引量を誇ることから、第2の基軸通貨としての役割もあります。
基軸通貨とは、軍事力や経済力などが強く、信用力が強い国の通貨のことです。

たとえば、米ドルへの悪材料が発生し価格が下落している局面では、ユーロが買われる傾向にあります。
以下は、ユーロ米ドルと米ドル円を比較したチャートです。

ユーロ米ドルと米ドル円を比較したチャート

綺麗な逆相関とは言えませんが、米ドルが買われているときはユーロが売られ、米ドルが売られているときはユーロが買われていることが確認できます。
ユーロの強弱を分析する際は、まずユーロ米ドルを見ると良いでしょう。

【変動要因③】
金や原油など商品市場との相関性もある

ユーロは、米ドルと逆相関の関係にあることから、原油や金など商品市場との相関性も見られます。
以下は、ユーロ米ドルとユーロ円、原油、金を比較したチャートです。

ユーロ米ドルとユーロ円、原油、金を比較したチャート

ところどころ違いはあるものの、相関性が見られます。
ユーロを取引する際は、原油や金など商品市場も把握しておくと良いでしょう。

>金(ゴールド)のリアルタイムチャートはこちら
>WTI原油(USOIL)のリアルタイムチャートはこちら
>ブレント原油(UKOIL)のリアルタイムチャートはこちら

【変動要因④】
米国10年債利回りとドイツ10年債利回りとの差

米国が発行する10年債利回りとドイツが発行する10年債利回りの差が、ユーロ米ドルに影響を与える場合があります。
以下は、ユーロ米ドルを反対にした米ドルユーロと、米国10年債利回りとドイツ10年債利回りの差を比較したチャートです。

ユーロ米ドルを反対にした米ドルユーロと、米国10年債利回りとドイツ10年債利回りの差を比較したチャート

>TradingViewで通貨ペアを逆に表示させる方法はこちら
>Trading Viewでドル円と日米10年債利回りを比較する方法はこちら

大まかな方向性はあっており、ユーロの相場動向を分析するうえで参考にできます。

また、ユーロ圏内での国債利回り差が意識されるケースもあります。
たとえば、ドイツ国債に対して国債利回りが高くなった国では、何らかのリスクが高まっている可能性があり、ユーロ売りの材料と判断できる場合もあります。
各国の国債利回りを比較することで、ユーロの相場分析に役立ちます。

【変動要因⑤】
欧州時間以降に値動きが活発化する傾向がある

ユーロ系の通貨ペアは、欧州時間(日本時間:およそ16時~2時)以降に値動きが激しくなる傾向があります。
これは、ユーロ圏での市場参加者が増えるからです。
ユーロや英ポンド絡みの通貨ペアでデイトレ―ドやスキャルピングなど短期取引を行っているなら、欧州時間を狙って取引するのも一つの方法です。

ただし、ユーロ円は米ドル円との兼ね合いから、東京時間に動く可能性もあります。

>各取引市場の特徴やFXの取引時間についてはこちら
>FXの週末(土日)の取引時間についてはこちら

4.ユーロ円の過去の価格推移(2003年~2023年)

2003年~2023年の20年間、ユーロ円はどのような要因によって変動してきたのかを見ていきましょう。

2003年~2023年のユーロ円の変動

【2007年~2008年】
サブプライムローン問題・リーマンショック

2007年に発生したサブプライムローン問題をきっかけに、翌2008年にリーマンショックが発生。
米国の大手投資銀行リーマンブラザーズが破綻したことで、世界経済に大きな影響を及ぼしました。

この金融ショックにより、約168円台(2008年7月時点)で推移していたユーロ円は、約115円台(2009年1月時点)まで急落しました

【2009年~2012年】
欧州債務危機(ソブリン危機・ユーロ危機)

2009年に発生したギリシャ危機(ギリシャショック)をきっかけに、欧州全土にわたる債務危機が発生。
ソブリン危機・ユーロ危機とも呼ばれ、欧州の根本的な財政問題が露呈しました。
欧州債務危機により、約133円台(2009年12月時点)で推移していたユーロ円は、約94円台(2012年7月時点)まで下落しました

【2012年~2015年】
アベノミクス

2012年に第2次安倍政権が発足し、3本の矢(大胆な金融政策・機動的な財政政策・民間投資を喚起する成長戦略)による経済政策を実施。
リーマンショックや欧州債務危機などで円高方向へ動いていましたが、大きく円安方向へ動きだしました。

アベノミクスにより、約94円台(2012年7月時点)で推移していたユーロ円は、約145円台(2013年12月時点)までの上昇を見せました。

【2020年~2022年】
コロナショック・ロシアウクライナ問題

2020年のコロナショック、2022年のロシアウクライナ問題の影響により、世界のサプライチェーンに大きな混乱が生じました。
この影響で、全世界で大規模なインフレが発生。

日本以外の世界各国の中央銀行は、インフレを抑制しようと、ハイペースな金融引き締めを実施しました。
日本と世界各国の金利差が拡大し、大幅な円安を発生させました。

これにより、約117円台(2020年4月時点)で推移していたユーロ円は、約164円台(2023年11月時点)までの上昇を見せました。

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6.まとめ

ユーロは1999年1月に導入され、採用国数は2024年12月時点で20か国に達しています。
2024年のユーロ/円の推移を振り返ると、前半で円安が進み、後半に円高やレンジ相場に転じたことがわかります。

2025年のユーロ/円の見通しを考えるにあたって、引き続き政策金利と消費者物価指数(CPI)の推移の把握が重要です。
その他にも為替変動要因は複数考えられ、それらにも注意を払うことが必要です。

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