APIの使い方

Pythonで「REST API」から為替データを取得する方法について解説


Pythonを使ってREST API(以下、API)から為替データを取得する方法について解説します。

APIを利用すると、さまざまな通貨ペアの為替データを取得でき、バックテストやシグナル検知など、さまざまな用途に利用することができます。

また、取得したデータをPythonでローソク足チャートに表示する方法についても解説します。

為替データを取得する

本記事では、APIで為替データを取得する3つの方法をご紹介します。

  • 1.最新の為替データを取得する
  • 2.リアルタイムにデータを取得する
  • 3.過去データを取得する

いずれもドル円を例に為替データを取得していきます。

事前準備

PythonでAPIを利用するためには、次の2点が必要です。

  • 1.APIトークンの発行
  • 2.oandapyV20のインストール

詳細についてはこちらの記事で解説しておりますのでご参照ください。

Pythonで「REST API」を使用するまでの4つの手順について解説

【方法1】 最新の為替データを取得する

最新の為替データを取得するためには、oandapyV20.endpoints.pricing.PricingInfoを使います。



from oandapyV20.endpoints.pricing import PricingInfo
from oandapyV20 import API

# アカウントID, APIトークンの定義
account_id = "アカウントIDを設定してください"
access_token = "APIトークンを設定してください"

# パラメータの設定
params = {
    "instruments": "USD_JPY"
} 

# API用のクラスを定義
client = API(access_token=access_token, environment="practice")

# 為替データを取得
r = PricingInfo(accountID=account_id, params=params)
client.request(r)

print(r.response)


最新の為替データを取得する

APIを利用する際には、oandapyV20.APIでクラスを作成します。

この時、access_tokenにAPIトークンを指定します。

environmentで、本番環境(live)あるいはデモ環境(practice)を指定することができます。

最新の為替データを取得するには、PricingInfoを使います。

引数にはaccount_idとparamsを指定します。

paramsには、instrumentsとしてUSD_JPYを設定します。

これで、為替データを取得することができます。

返り値はJson形式です。

時刻やAsk、Bid Priceなどの情報が取得できていることが確認できます。

【方法2】リアルタイムにデータを取得する

oandapyV20.endpoints.pricing.PricingStreamを使うと、リアルタイムの為替データを取得することができます。

価格情報に変更があると自動更新されます。



from oandapyV20.endpoints.pricing import PricingStream
from oandapyV20 import API

# APIトークンの定義
account_id = "アカウントIDを設定してください"
access_token = "APIトークンを設定してください"

# パラメータの設定
params = {
    "instruments": "USD_JPY"
} 

# API用のクラスを定義
client = API(access_token=access_token, environment="practice")

# 為替データを取得
r = PricingStream(accountID=account_id, params=params)
client.request(r)

print(r.response)


リアルタイムにデータを取得する

使い方はPricingInfoとほとんど変わりません。

ただし、PricingStreamの場合、返り値がgeneratorになります。

次のようにfor分でデータを取り出すと、データが自動更新されていることが確認できます。

値に変更があるたびに、最新データが下に追加されて表示されます。



for i in r.response:
    print(i)


最新データが下に追加

【方法3】 過去データを取得する

oandapyV20.endpoints.instruments.InstrumentsCandlesを使うと過去データを取得することができます。

次のコードでは、ドル円の日足データを過去30日分取得しています。




import oandapyV20.endpoints.instruments as instruments
from oandapyV20 import API

# APIトークンの定義
api_token = "APIトークンを設定してください"

# パラメータの設定
params = {
    "granularity": "D",  # ローソク足の間隔
    "count": 30,         # 取得する足数
    "price": "M",        # B: Bid, A:Ask, M:Mid
}

# 通貨ペアの設定
instrument = "USD_JPY"   

# API用のクラスを定義
client = API(access_token=api_token, environment="practice")

# 為替データを取得
r = instruments.InstrumentsCandles(instrument=instrument, params=params)
client.request(r)


print(r.response)


過去データを取得する

返り値はJson形式になっており、’candles’に為替データが格納されていることが確認できます。

パラメータの定義

InstrumentsCandlesでは、パラメータ(params)に次の3つを指定します。

  • 1.granularity
  • 2.count
  • 3.price

granularityはローソク足の間隔です。

Dは日足(Daily)を示します。

その他に設定できる値は次の通りです。

H(時間足)、M(分足)、S(秒足)については、その後に数値を指定する必要があります。

  • ● W: 週足
  • ● D: 日足
  • ● H: 時間足
  • ○ H1: 1時間足
  • ○ H2: 2時間足
  • ○ H3: 3時間足
  • ○ H4: 4時間足
  • ○ H6: 6時間足
  • ○ H8: 8時間足
  • ○ H12: 12時間足
  • ● M: 分足
  • ○ M1: 1分足
  • ○ M2: 2分足
  • ○ M4: 4分足
  • ○ M5: 5分足
  • ○ M10: 10分足
  • ○ M15: 15分足
  • ○ M30: 30分足
  • ● S: 秒足
  • ○ S5: 5秒足
  • ○ S10: 10秒足
  • ○ S15: 15秒足
  • ○ S30: 30秒足

countはデータ数です。

日足でcountを100に設定すると過去100日分となります。

priceではB、A、Mのいずれかを指定することができます。

  • B: Bid Price
  • A: Ask Price
  • M: Mid Price (Bid PriceとAsk Priceの平均値)

となります。

ローソク足チャートに表示する

次に取得した為替データをローソク足チャートに表示してみます。

Pythonにはローソク足チャートを描けるライブラリがいくつかありますが、ここではmplfinanceを使います。

mplfinanceのインストール

まずは、mplfinanceをPython環境にインストールします。

pipコマンド(Anacondaを利用している場合はcondaコマンドでも可能)を使ってインストールしてください。



pip install mplfinance
conda install mplfinance


Json形式のデータをDataFrameに変換する

次にデータを準備します。

oandapyV20で取得したデータはJson形式であるため、これをDataFrameに変換します。

取得したデータの’candles’に為替データが入っています。

‘time’には時刻データ、’volume’には出来高データが入っています。

これらを順番に取り出してDataFrameに変換していきます。

合わせてカラム名も変更します。



import pandas as pd

# 為替データを格納するためのリストを定義
price_data = []

# データを1つずつ取り出してprice_dataに格納する
for row in r.response["candles"]:
    # 辞書を定義
    data = {}
    
    # dataに格納する
    data["datetime"] = row["time"]
    data.update(row["mid"])
    data["volume"] = row["volume"]
    
    # price_dataに追加する
    price_data.append(data)

# DataFrameに変換する
df = pd.DataFrame(price_data)

# カラム名の定義
columns = {
    "o": "open",
    "h": "high",
    "l": "low",
    "c": "close"
}

# カラム名の変更
df.rename(columns=columns, inplace=True)

df.head()


Json形式のデータをDataFrameに変換する

データのフォーマットを整える

次にデータのフォーマットを整えます。

これはmplfinanceの仕様に合わせるためです。

mplfinanceでローソク足チャートを描くためには、DataFrameのindexを日付データとし、カラムは左から始値、高値、安値、終値、出来高(出来高は任意)の順番にしておく必要があります。

カラムの順番はすでに指定通りになっているので変更不要です。

必要な作業は次の通りです。

  • 1.「datetime」を文字列からdatetime型に変換する
  • 2.「datetime」以外のカラムを文字列から数値データ(float)に変換する
  • 3.「datetime」をindexに設定する


# datetimeの型変換
datetime_format = "%Y-%m-%dT%H:%M:%S.000000000Z"
df["datetime"] = pd.to_datetime(df["datetime"], format=datetime_format)

# datatimeをindexに指定
df.set_index("datetime", inplace=True)

# 数値データをfloatに変換
df = df.astype(float)

df.head()


これでデータのフォーマットが整いました。

mplfinanceでローソク足チャートを描く

最後にmplfinanceでローソク足チャートを描きます。



import mplfinance as mpf
mpf.plot(df, type="candle", style="yahoo", volume=True)


mplfinanceでローソク足チャートを描く

ローソク足チャートを描くには、mplfinanceのplot関数を使用します。

最初の引数にDataFrameを設定して、typeをcandleと指定するとローソク足チャートとなります。

volume=Trueとすると出来高を加えることも可能です。

さらにstyle=”yahoo”とするとYahoo!ファイナンスのチャートのようなデザインにすることができます。

本記事の執筆者:TAT

               
本記事の執筆者:TAT 経歴
TAT2016年大学院卒業後、外資系IT企業に入社。
その後は金融情報→不動産テック→アドテク企業で、Pythonを用いたプロセスオートメーション、ダッシュボード開発、データ分析、AI開発などの業務に従事。
プログラミングや株式投資に関する情報を発信する「気ままなブログ」を運営中。

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