農産物商品の基礎

小麦(小麦粉)の歴史、生産方法、商品特性などの基礎知識を解説


歴史


小麦は、人類の文化が狩猟から農耕へと変化し始めた1万5千年~1万年前から栽培されていたと考えられおり、人類最古の栽培植物ともいわれています。それはこれまでに発掘された多くの遺跡で小麦の穂などが発見されていることから裏付けられています。原産地は西アジアの高原地帯と考えられており、ここから長い時間をかけて世界各地へ広まりました。

また、小麦が小麦粉として食べられるようになったのは、約5千年前とされています。当初は雑穀などを混ぜ、それを石で砕き焼いて食べていたといわれ、土器が生まれると粗挽きにした小麦をお粥のようにして食べていました。その後、石臼で小麦を挽き、それに水を加えてこね、焼いたものを食べるようになりました。これがパンの原形とされています。

小麦を食べる人々、中東や西洋の文明が世界に広がるにつれ、インドや中国に伝えられるなど、小麦文化が拡大してきたとみられています。


商品特性


小麦は、イネ科小麦属に属する一年草の植物で、コメとトウモロコシと共に三大穀物の一つとして挙げられます。小麦は外皮・胚乳・胚芽に分けられますが、外皮は硬く、胚乳の部分は柔らかくもろいため、胚乳の部分が小麦粉として利用されます。

小麦の種類を大別すると、栽培の時期では冬小麦と春小麦、粒の色では赤小麦と白小麦、粒の硬さでは硬質小麦、中間質小麦、軟質小麦に分けられます。

秋に播種して春や夏に収穫するものが「冬小麦」、春に播種して秋に収穫するものが「春小麦」です。小麦はもともと寒さに強い植物で、基本は秋に種を撒き、冬を越し、初夏に収穫するものですが、寒冷な地域では小麦が冬を越せないため、春に種を撒き、温かい夏に育て、秋に収穫する「春小麦」を育てることになります。米国中西部やフランス、スペインなどでは、「冬小麦」が栽培され、米国北部やカナダなどでは「春小麦」が栽培されます。

また、外皮に赤または赤褐色の色素を持つのが「赤小麦」、この色素がないものが「白小麦」と呼ばれます。

粒の硬さは、含まれるたんぱく質の量によって決まります。たんぱく質が多く含まれるものが「硬質小麦」、たんぱく質が少ないものが「軟質小麦」、硬質小麦と軟質小麦の間のものが「中間質小麦」です。硬質小麦からは強力粉、中間質小麦からは中力粉、軟質小麦からは薄力粉が作られます。


本記事の監修者・佐藤りゅうじ


1968年生まれ。1993年米大卒業後、1995年2月株式会社ゼネックス入社。アナリストとしてマクロ経済分析をはじめ、原油、天然ゴム、小麦などの商品市場、また為替市場、株式市場のアナリストリポートの執筆、トレードに携わる。2010年1月エイチスクエア株式会社を設立。

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