農産物商品の基礎

アメリカ政府機関(USDA、CFTCなど)による提供情報について解説


USDA報告


主要産地が米国のため、日本の農林水産省に相当する米農務省(USDA)のさまざまな統計が、価格変動の重要な手がかりとなります。作付面積、生産高、需給見通し、四半期在庫などの統計に加え、週間ベースで輸出検証高、輸出成約高、生育進度報告、作況報告など、さらに米国以外の世界主要国の生産、需給見通しも発表しています。それら重要な統計は、USDAのウェブサイトに掲載されています。

また、米国大豆の月間の圧搾統計は、米商務省統計局(センサスビューロー)と全米油糧種子加工業者協会(NOPA)から、月間の輸出統計は米商務省統計局から発表されています。これらの重要な統計は、日本経済新聞、先物業界紙などにも掲載されています。

大豆統計発表日

※大豆図表_大豆統計発表日


CFTC建玉明細報告


商品価格は需給バランスに大きな影響を受けますが、短期的には需給要因以外の内部要因で動くことがあります。その際に注目されるのが、米国商品先物取引委員会(CFTC)が発表する「Commitments of Traders(COT、建玉明細報告)」です。

米国では、取引参加者が先物あるいはオプションの少なくとも1限月においてCFTCが規定する建玉報告枚数(トウモロコシ:250枚、大豆:150枚、粗糖:500枚)以上の大口建玉を保有している場合は、その全建玉枚数を日々の取引終了時にCFTCに報告することになっています。

CFTCでは、この大口建玉報告について、火曜日時点の報告内容を集計してCOTとして週1回(原則金曜日)公表しています。なお、農産物については、現在3種類のCOTが公表されています。


Current Legacy Reports


従来から公表されているCOT。「非当業者(Non-Commercial)」「当業者(Commercial)」、「報告不要者(Nonreportable Positions)」の三つのカテゴリーに分類されています。


CIT Report(COT-Supplemental Report)


2007年1月5日以降、商品インデックスファンドの実態を把握する目的で、トウモロコシや大豆などの農産物12商品について公表しているものです。伝統的なCOTの項目において、「当業者」に分類されていた「インデックストレーダー(Index Trader)」を除いて別分類にしています。


Current Disaggregated Reports


2009年9月4日以降、商品先物市場の透明性向上を目的とし、伝統的なCOTの「当業者」から「スワップディーラー(Swap Dealers)」を除いて別分類にしています。「生産者/販売業者/加工業者/ユーザー(Producer/Merchant/Processor/User)」「スワップディーラー」「マネージドマネー(Managed Money)」「その他の報告者(Other Report)」「報告不要者」の五つのカテゴリーに分類されています。

現在では、最も情報量が多い「Current Disaggregated Reports」を利用するトレーダーが多く、各分類項目における買建玉および売建玉の状況を確認しています。中でも、各分類項目のネット建玉(買い建玉―売り建玉)のうち、プロのトレーダーである「マネージドマネー」のネット建玉動向は、相場の先行きを占う材料としてよく用いられています。


本記事の監修者・佐藤りゅうじ


1968年生まれ。1993年米大卒業後、1995年2月株式会社ゼネックス入社。アナリストとしてマクロ経済分析をはじめ、原油、天然ゴム、小麦などの商品市場、また為替市場、株式市場のアナリストリポートの執筆、トレードに携わる。2010年1月エイチスクエア株式会社を設立。

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