農産物商品の基礎

大豆の歴史や生産方法、商品特性などの基礎知識を詳しく解説


歴史


大豆は、マメ科ダイズ属の作物で、われわれ日本人の食生活には欠かせない農産物です。大豆は中国、朝鮮半島、日本などに分布するツルマメ(野生大豆)から発生したと考えられています。

原産地は現在の中国で、約5000年前から栽培されていたと推定されています。日本には2000年前に中国から伝えられています。20世紀に入るまで大豆は、中国、日本などのアジアの限られた地域で栽培され、豆腐、味噌、納豆などの東洋の伝統的な食品に利用されるのがほとんどでした。

その後の1900年代初頭に、欧米において大豆の搾油が工業化されたことに伴い、油脂原料、タンパク原料として大豆生産が世界中に拡がりました。中でも米国では、1930年から本格的な大豆油の工業化が興り、その生産量を飛躍的に伸ばしていきました。

米国は世界最大の大豆生産国でしたが、1970年代からは南米においても飛躍的に生産が拡大し、特にブラジルとアルゼンチンが台頭してきました。2002年以降は、この2か国の生産量合計は米国を上回り、地域としては北米と南米が世界の二大生産地となっています。また近年では、ブラジルが米国の生産量を上回る年も見られます。


商品特性


大豆の主成分はタンパク質と脂質で、タンパク質のアミノ酸組成は含硫アミノ酸がやや少ないですが良質です。脂質はコレステロールを低下させる作用があるリノール酸などの不飽和脂肪酸に富みます。微量成分としてビタミンB1・E(トコフェロール)を多く含みます。その他、食品機能性に富むレシチン、および薬理作用をもつイソフラボン、サポニン類を含んでいます。

世界的に見た場合、大豆の最大の用途は食用油の生産で、大豆をつぶして油を絞る作業を「圧搾(あっさく)」や「搾油(さくゆ)」と呼んでいます。大豆を圧搾して生産される製品が、大豆油と大豆ミール(大豆油かす)です。従って大豆は、正式には穀物ではなく、菜種(なたね)、ヒマワリ、綿実(めんじつ)、ゴマなどの油糧種子の一種として扱われています。

国産大豆は、米国産大豆に比べ、タンパク質含有量が高く、脂肪や炭水化物の含有量も適度で、食品用の適性が高いです。国産大豆はコスト高ですが、大豆食品メーカーの需要は大きいです。

米国産大豆で豆腐・油揚げ用に使われるのは、比較的低油分・高タンパク質のアムソイ、ビーソンを主力品種とするIOM大豆(インディアナ、オハイオ、ミシガン州産)が大部分を占めます。


本記事の監修者・佐藤りゅうじ


1968年生まれ。1993年米大卒業後、1995年2月株式会社ゼネックス入社。アナリストとしてマクロ経済分析をはじめ、原油、天然ゴム、小麦などの商品市場、また為替市場、株式市場のアナリストリポートの執筆、トレードに携わる。2010年1月エイチスクエア株式会社を設立。

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