エンベロープとは|FXにおける意味や設定方法などを詳しく解説
エンベロープ(移動平均乖離率バンド)とは、移動平均線から一定の乖離率で上下に2本の線(バンド)を描画するテクニカル指標です。
一般的に、為替レートが上下どちらかの線に到達すると、トレンド反転のサインとみなされます。
本記事では、エンベロープの使い方や注意点、ボリンジャーバンドとの違いなどについて詳しく解説します。
目次
- 1.エンベロープとは
- 2.エンベロープの種類
- 3.エンベロープの活用方法
- 4.エンベロープを設定する方法
- 5.エンベロープに関するQ&A
- 6.【まとめ】エンベロープとは|FXにおける意味や設定方法などを詳しく解説
エンベロープとは
エンベロープの意味や、計算式について詳しく解説します。
- ・意味
- ・一般的な計算式
意味
エンベロープとは、移動平均線の上下に一定の幅で乖離させた2本の線を描写し、バンド幅として表示するテクニカル指標です。
中心の移動平均線と上下の線は同じ形状となり、乖離率は一定であることが特徴です。
出典:TradingView
多くの相場はこのバンド幅の範囲内に収まり、上限や下限に近づくと反転する傾向があります。
「上限に近づいたら売り」「下限に近づいたら買い」の逆張りで活用できます。
逆に、移動平均線や上下の線を「上に抜けたら買い」「下に抜けたら売り」の順張りでも活用できます。
手法 | 売りのシグナル | 買いのシグナル |
---|---|---|
逆張り | バンド上限に近づく | バンド下限に近づく |
順張り | 移動平均線やバンドを下に抜ける | 移動平均線やバンドを上に抜ける |
移動平均からの乖離はやがて修正されるという性質があり(グランビルの法則)、その乖離の度合いを確認するのに適しています。
一般的な計算式
エンベロープで移動平均線の上下に描写する線は、アッパーバンド(上限のバンド)とロワーバンド(下限のバンド)の2本です。
それぞれの計算式は以下の通りです。
n%は「移動平均線との乖離率」で、数値は任意に決めます。
移動平均線は、単純移動平均線(SMA)を用いるのが一般的です。
仮に移動平均線の価格が160円で、乖離率が10%の場合の計算式は、以下の通りです。
アッパーバンド | 160+160✕10%=176 |
ロワーバンド | 160-160✕10%=144 |
エンベロープの種類
エンベロープの種類は「用いる移動平均線の種類」によって変わります。
ここではMT4やMT5で採用されている移動平均線の種類を紹介します。
- ・エンベロープ(SMA=単純移動平均線)
- ・エンベロープ(EMA=指数平滑移動平均線)
- ・エンベロープ(SMMA=平滑移動平均線)
- ・エンベロープ(WMA=加重移動平均線)
エンベロープ(SMA=単純移動平均線)
出典:MT4
SMA(単純移動平均線)を用いるエンベロープは、最も基本的かつ広く用いられる種類です。
MT4で設定する場合は、プロパティの画面で下図のように「Simple」を選択することで表示されます。
出典:MT4
「単純移動平均線(SMA)」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
エンベロープ(EMA=指数平滑移動平均線)
出典:MT4
EMA(指数平滑移動平均線)とは、過去の全てのデータを対象としながら、直近のデータに比重をおく移動平均線です。
MT4で設定する場合は、プロパティの画面で下図のように「Exponential」を選びます。
出典:MT4
「指数平滑移動平均線(EMA)」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
エンベロープ(SMMA=平滑移動平均線)
出典:MT4
SMMA(平滑移動平均線=Smoothed Moving Average)を用いるエンベロープは、SMA・EMAと比較して線の動きが大きく変わり、より起伏が小さくなります。
MT4で設定する場合は、プロパティの画面で下図のように「Smoothed」を選びます。
出典:MT4
SMMA(平滑移動平均線)とは、対象の全期間の数値を用いて計算する移動平均線です。
SMA(単純移動平均線)と似ていますが、異なる点は「古い数値を除外しない」ことです。SMAは新しい数値が追加されると、最も古い数値が除外されます。
一方、SMMAは新しい数値が追加されても古い数値が残り続けるため、古い数値が常に平均に影響を与えます。
SMAよりも長期の平均となるため、SMMAの動きはSMAよりも緩やかになります。
エンベロープ(WMA=加重移動平均線)
出典:MT4
WMA(加重移動平均線=Weighted Moving Average)を用いるエンベロープは、SMA・EMAと似た形状になります。
MT4で設定する場合は、プロパティの画面で下図のように「Linear Weighted」を選びます。
出典:MT4
WMA(加重移動平均線)とは、対象の一定期間のデータの中で、直近の値動きを重視して算出される移動平均線です。
全期間一律ではなく直近の値動きに比重をかけています。
EMAとの違いは、対象のデータが一定期間に絞られていることです。
EMAでは期間を絞らず全期間のデータを参照します。
「加重移動平均線(WMA)」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
エンベロープの活用方法
ここでは、エンベロープの基本的な活用方法を解説します。
- ・上限のバンドに到達したら売りシグナル
- ・下限のバンドに到達したら買いシグナル
上限のバンドに到達したら売りシグナル
価格が上限のバンドに到達すると買われ過ぎと判断され、売りシグナルを意味します。
売りポジション保有後、移動平均線まで戻ってきたポイントが利益確定の目安です。
出典:TradingView
上チャートの通り、エンベロープでは上限のバンドがレジスタンスライン(抵抗線)として働く傾向があります。
下限のバンドに到達したら買いシグナル
価格が下限のバンドに到達すると売られ過ぎと判断され、買いシグナルを意味します。
買いポジション保有後、移動平均線まで戻ってきたポイントが利益確定の目安です。
出典:TradingView
上チャートの通り、エンベロープでは下限のバンドがサポートライン(支持線)として働く傾向があります。
エンベロープを設定する方法
以下の3つの取引ツールで、エンベロープを設定する方法を解説します。
- ・TradingView
- ・MT4
- ・MT5
TradingView
出典:TradingView
画面上部のメニューから「インジケーター」を選択します。
出典:TradingView
ポップアップ画面の検索窓に「エンベロープ」と入力します。
出典:TradingView
候補にEnvelope(エンベロープ)と表示されるので、この文字を押します。
出典:TradingView
エンベロープが表示されます。
出典:TradingView
パラメーター変更や、表示をカスタマイズしたい場合は、左上にある「Env〜」という文字列にカーソルを合わせます。
出典:TradingView
文字列にカーソルを合わせると、アイコンでメニューが表示されます。
歯車のアイコンを押します。
出典:TradingView
このようなカスタマイズの画面になります。
上部の「パラメーター・スタイル・可視性」のメニューを切り替えながら、カスタマイズしたい項目を操作します。
より詳しい設定方法は、「TradingViewでエンベロープを設定する方法」で解説しています。
MT4
出典:MT4
MT4(メタトレーダー4)を開き、左側の「ナビゲーター」の画面を見ます。
出典:MT4
「インディケータ」を選択します。
出典:MT4
「トレンド」を選択します。
出典:MT4
「Envelopes」をダブルクリックします。
出典:MT4
ポップアップ画面が表示されるので、「OK」を押します。
出典:MT4
エンベロープが表示されます。
パラメーター変更や、表示をカスタマイズしたい場合は、チャート上で「Ctrl+I」を押してください。
出典:MT4
「表示中のインディケータ」というポップアップ画面が出るので「Envelopes」を選んで「編集」を押します。
出典:MT4
このようなカスタマイズ画面がポップアップで表示されます。
上部にある「パラメーター・色の設定・レベル表示・表示選択」のメニューから、カスタマイズしたい項目を選んで設定を行います。
より詳しいやり方は「MT4でエンベロープを設定する方法」で解説しています。
MT5
出典:MT5
MT5(メタトレーダー5)の画面を開き、左側にある「ナビゲータ」の画面を見ます。
出典:MT5
「指標」を選択します。
出典:MT5
「トレンド系」を選択します。
出典:MT5
「Envelopes」をダブルクリックします。
出典:MT5
ポップアップ画面が出るので「OK」を押します。
出典:MT5
これでエンベロープが表示されます。
パラメーター変更や、表示をカスタマイズしたい場合は、チャート上で「Ctrl+I」を押してください。
出典:MT5
「表示中のインディケータ」という画面がポップアップで表示されます。
左側で「Envelopes」を選んで、右側で「プロパティ」を押してください。
出典:MT5
このようなポップアップ画面が出ます。
上部の「パラメータ・レベル・表示選択」から、カスタマイズしたいメニューを選び、必要な設定を行ってください。
エンベロープに関するQ&A
エンベロープに関するよくある質問は以下の3つです。
- ・ボリンジャーバンドとの違いは何ですか?
- ・エンベロープの注意点は何ですか?
- ・エンベロープの目安はありますか?
ボリンジャーバンドとの違いは何ですか?
エンベロープとボリンジャーバンドは、いずれも移動平均線の上下にバンドを表示したものですが、バンドの算出ルールが異なります。
ボリンジャーバンドは標準偏差を用いた線を引くため、価格変動に合わせてバンドの幅が狭くなったり、広がったりします。
出典:TradingView
一方で、エンベロープは移動平均線に対して一定の幅(%)で線を引くため、バンドの幅はほぼ変わりません。
出典:TradingView
見た目は似ている両者ですが、バンドの性質が大きく異なります。
エンベロープの注意点は何ですか?
エンベロープは、トレンド相場で値動きに勢いがある場合には、価格がバンドで反発せずに突き抜けてしまうことがあります。
出典:TradingView
いわゆるダマシとなる可能性があります。
対策としては、以下の案が考えられます。
エンベロープの目安はありますか?
エンベロープの乖離率の目安は、使用する移動平均線や取引する通貨ペア、表示する時間足などの諸条件で異なります。
そのため、実際に表示して確認する方法が有効です。
確認する一つの手としては、大きく異なる数値で数回試すとおおよその目安がつくため、その数値から微調整をしていくという方法が挙げられます。
【まとめ】エンベロープとは|FXにおける意味や設定方法などを詳しく解説
エンベロープはテクニカル指標の一種で、移動平均線から一定の乖離率で上下に描画した2本の線(バンド)のことです。
上下のバンドをトレンド反転の目安として用います。
ボリンジャーバンドは価格変動に伴ってバンド幅が大きく変動する一方、エンベロープはバンド幅がほぼ一定です。
エンベロープはトレンド相場で価格に勢いがある場合には、価格がバンドを突き抜けてしまうこともあるため注意が必要です。
また、他のテクニカル分析を併用して総合的に判断することで、効果的な利用を期待できます。
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