相対取引(あいたいとりひき)とは|FX取引での意味や他の取引との違いなどを解説
相対取引とは、売買する当事者同士で、価格や取引量を決めて行う取引のことです。
FX取引では、「FX業者と投資家が直接取引する方法」を意味し、現在、FX取引は相対取引が中心となっています。
本記事では、相対取引の意味、取引所取引や委託取引との違いなどについて詳しく解説していきます。
目次
- 1.相対取引とは
- 2.他の取引との違い
- 3.相対取引のメリット・デメリット
- 4.相対取引に関するQ&A
- 5.【まとめ】相対取引(あいたいとりひき)とは|FX取引での意味や他の取引との違いなどを解説
相対取引とは
ここでは、相対取引についての一般的な意味や、FX取引での意味について詳しく解説します。
- ・一般的な意味
- ・FX取引での意味
一般的な意味
相対取引とは、金融商品取引所などの市場を通さず、売り手と買い手が直接行う取引のことです。
当事者間で「価格・数量・決済方法」などを決めて、取引を行います。
相対取引は「相対売買」とも呼ばれます。
相対取引を行うのが個人同士でなく、個人と証券会社(もしくは金融機関)である場合は、「店頭取引(OTC取引)」と呼ばれます。
FX取引での意味
FX取引における相対取引とは「FX業者と顧客が直接行う取引」のことです。
FXの相対取引は「店頭FX」と呼ばれ、そのサービスを提供する業者は「店頭FX業者」と呼ばれます。
国内のFX取引では、相対取引が主流です。
それとは別に、取引所取引である「取引所FX」は、現在では東京金融取引所の商品である「くりっく365」のみが該当します。
前述の通り、相対取引では売り手と買い手の間で、価格などの売買条件を決めます。
このため、FX業者によって取引価格(為替レート)・スプレッド・スワップポイントなどに若干の差があります。
他の取引との違い
ここでは、相対取引と他の取引の違いを説明します。
- ・取引所取引との違い
- ・委託取引との違い
取引所取引との違い
取引所取引とは「取引所で売買を成立させる取引」のことです。
相対取引との違いは「売買を取引所で行うかどうか」です。
取引所取引では下図の通り、投資家と取引所の中間に、取引参加者(主に証券会社)が入ります。
取引参加者は、一定の資格を持った金融商品取引業者(証券会社など)や、登録金融機関などです。
投資家は売買をこの取引参加者に委託するため、取引所取引は後述する「委託取引」に含まれます。
株式投資の場合、上場企業の株式は取引所取引で売買されるのが一般的です。
委託取引との違い
委託取引と相対取引の違いは「当事者同士が直接取引を行うかどうか」です。
委託取引とは「証券会社等が投資家から委託を受けて、取引所等で売買を行う取引方法」のことで、委託売買とも呼ばれます。
委託を受ける(受託する)のは、証券会社・金融機関・ブローカーなどです。
委託取引で売買されるのは主に「株式・債券・商品先物・ETF」などの金融商品です。
委託取引が成立すると、仲介した証券会社等に委託手数料が入る仕組みが一般的です。
相対取引のメリット・デメリット
ここでは、相対取引のメリットとデメリットを説明します。
- ・相対取引のメリット
- ・相対取引のデメリット
相対取引のメリット
相対取引のメリットは、当事者間で「価格・数量・決済方法・取引期間」などの条件を自由に決められることです。
国内のFX取引はほとんどが相対取引であるため、FX取引の分野では、これらのメリットは特別なものではありません。
メリットが大きくなるのは、株式投資などの分野です。
例えば、取引所取引で大量の株式を売却すると、その時点で株価が下落してしまいます。
しかし、相対取引で直接売るのであれば、株価を下落させることなく売却できます。
また、取引所取引では「取引所に上場している金融商品」しか売買できません。
しかし、相対取引であれば未公開株式などの、取引所に上場していない商品も売買できます。
相対取引のデメリット
相対取引のデメリットは、以下の通りです。
- ・①:相手方が破綻した場合に損失を被る
- ・②:価格の透明性に欠ける
①については、国内のFX業者には、顧客の資産を信託銀行で保全する「信託保全」の義務が定められています。
このため、万が一FX業者が破綻しても、投資家が損失を被ることはありません。
しかし、信託保全を導入していない業者や個人との取引では、相手方の破綻によって資産を失うリスクがあります。
②について、多数の市場参加者が価格を決める取引所取引に対して、当事者のみで価格を決める相対取引は、価格の透明性に欠けます。
相対取引に関するQ&A
相対取引に関して、よく見られる疑問点は以下の通りです。
- ・相対取引の対義語は何ですか?
- ・相対取引は違法ですか?
- ・FXは相対取引ですか?
相対取引の対義語は何ですか?
FX取引での場合、相対取引の対義語は「取引所取引」です。
相対取引は、証券会社等が自ら投資家の売買の相手となる取引であるのに対して、取引所取引は証券会社等が投資家から委託を受けて金融商品取引所へ取り次ぎ、注文を成立させる方法です。
他方、一般的な用い方をする場合、相対取引の対義語は「委託取引」です。
相対取引は違法ですか?
相対取引は違法ではありません。
ただし、限られた状況によっては、違法となることもあります。
例えば、株式投資等でインサイダー取引規制の対象となる人物が、市場外での相対取引を行った場合、違法となります。
FXは相対取引ですか?
国内における多くのFX取引が相対取引です。
現在、FXにおける取引所取引は、東京金融取引所が提供している「くりっく365」のみです。
以前は、取引所取引はFX取引において取引所を経由するため信頼性が高いとされ、税制メリットがありました。
しかし2012年の税制改正以降は、相対取引も同様の扱いになったため、FX取引は相対取引が中心となりました。
【まとめ】相対取引(あいたいとりひき)とは|FX取引での意味や他の取引との違いなどを解説
相対取引とは、売買する当事者同士で、価格や取引量を決めて行う取引のことです。
FX取引では、FX業者と投資家が直接取引する方法を意味します。
国内におけるFX取引は大部分が相対取引であるため、スプレッド・スワップポイントなどの様々な数値で、業者ごとの差が生じます。
可能な限り、これらの数値が好条件に設定されている業者で取引を行うのが良いでしょう。
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