株式の基礎

iDeCo(イデコ)とは|メリット・デメリットやNISAとの違いなどをわかりやすく解説


iDeCo(イデコ)とは、国民年金や厚生年金などの公的年金とは別に、老後資金を自分で積み立てていく私的年金制度の1つです。

本記事では、iDeCoの意味やメリット・デメリット、NISAとの違いなどをわかりやすく解説します。

※OANDA証券はiDeCoをサービスとして提供していません。本記事はiDeCoに関する知識を提供することを目的としています。

iDeCo(イデコ)とは

ここではiDeCo(イデコ)とは何かを、以下の内容に分けて解説します。

  • ・意味
  • ・仕組み
  • ・運用商品

意味

iDeCoとは、国民年金や厚生年金などの公的年金とは別に、老後資金を自分で積み立てていく私的年金制度の1つです。

簡単に言えば、国民が自分で年金を作るための制度です。

正式名称は「個人型確定拠出年金」で、老後の暮らしを支えるための制度として、さまざまな税制優遇が受けられます。

仕組み

iDeCoは、加入者自身が拠出した掛金を自ら運用し、老後資金を形成していく仕組みです。

おおまかに分けると、次の3つのステップを踏みます。

  • ①掛金を毎月積み立てる
  • ②自分で選んだ商品で運用する
  • ③原則60歳以降に「年金」もしくは「一時金」としてお金を受け取る

イデコ仕組み_20250422

基本的に、iDeCoは20歳以上の公的年金加入者であれば誰でも加入可能で、65歳以上でも一定条件を満たせば加入できます。

加入後は月々に積み立てる金額を決め、自分が選んだ商品(定期預金、保険、投資信託)で運用します。

最初の掛金を拠出してから10年以上が経過していれば、60歳以降に「年金」または「一時金」を受け取ることができます。

受け取り額は掛金と運用損益の合計で、運用成果に応じて変動する仕組みです。

①掛金を毎月積み立てる

iDeCoに加入するときは、まず毎月いくら拠出するか(掛金)を決めます。

掛金の最低金額は月5,000円で、1,000円単位で自由に設定できます。

積み立てた掛金は原則として途中で引き出せないため、無理のない範囲で計画的に設定することが大切です。

②自分で選んだ商品で運用する

iDeCoで運用する金融商品は、自分で決めた運用方針に沿って開始時に選択します。

掛金でどの金融商品をどれだけ購入するかの配分を決める必要があります。

金融商品のラインナップは、積み立てた掛金の元本を確保する商品から、積極的にリターンを狙う商品まで幅広いです。

必ずしも1つの金融商品で運用する必要はなく、複数の商品を組み合わせることもできます。

例えば、1万円の掛金のうち商品Aを3,000円購入、商品Bを2,000円購入、商品Cを5,000円購入というように、3つの商品に配分して運用することも可能です。

③ 原則60歳以降に「年金」もしくは「一時金」としてお金を受け取れる

​iDeCoの受け取り開始時期は、加入期間や加入年齢によって異なります。

通算加入者等期間(受給資格を得るために必要な期間)が10年以上であれば、60歳以降に受け取れます。

受給開始の時期は、60歳から75歳の間で選ぶことが可能です。

ただし、通算加入者等期間が10年に満たない場合は、受給開始年齢が以下のように繰り下がります。

通算加入者等期間 受給開始年齢
10年以上 60歳
8年以上10年未満 61歳
6年以上8年未満 62歳
4年以上6年未満 63歳
2年以上4年未満 64歳
1か月以上2年未満 65歳

受給方法に関しては、分割受給の「年金」もしくは一括受給の「一時金」を選択でき、両者の併用も可能です。

なお、iDeCoの受給には自分で申請手続きを行う必要があります。

運用商品

iDeCoで選べる運用商品は、大別すると「元本確保型」と「元本変動型」の2タイプに分けられます。

タイプ 特徴 代表的な商品
元本確保型 元本割れの可能性が低いのがメリット。
リスクが小さく安定した資産形成に向いているが、リターンは控えめ。
定期預金、保険(生命保険)など
元本変動型

元本が保証されておらず、運用成績によっては元本割れのリスクがある。
その分、元本確保型よりもリターンを期待できるのがメリット。

投資信託

元本確保型と元本変動型はそれぞれリスクやリターンが異なり、前者は安全性が高い反面、大きな収益は期待できず、後者はリスクが伴うものの大きな収益を得られる可能性があります。

堅実に運用したい人は元本確保型、積極的に資産を増やしたい人は元本変動型が向いています。

iDeCo(イデコ)とNISA(ニーサ)の違い

iDeCo(イデコ)とNISA(ニーサ)は、どちらも運用益が非課税となる資産形成制度ですが、目的や加入対象年齢、引き出しができるタイミングなどが異なります。

iDeCoとNISAを比較すると次の通りです。

項目 iDeCo(イデコ) NISA(ニーサ)
目的 老後資金の準備 安定的な資産形成
加入対象年齢 原則20歳以上65歳未満
(※65歳以上でも条件により加入可)
18歳以上
投資対象 定期預金、保険、投資信託 上場株式、投資信託、ETFなど
年間の限度額 24万円~81万6000円
(加入資格によって異なる)
つみたて投資枠:120万円

成長投資枠:240万円

引き出しタイミング 原則60歳以降 いつでも可能
所得控除 あり(拠出額は全額所得控除) なし
運用益 非課税 非課税

それぞれ特徴が大きく異なるため、例えば老後資金を確保したいならiDeCoを選択、いつでも引き出せて自由度の高い資産形成をしたいならNISAを選択、という具合に運用目的やライフプランなどに応じて使い分けることが推奨されます。

iDeCo(イデコ)のメリット

iDeCo(イデコ)には次のようなメリットがあります。

  • ①【積立時】掛金の全額が所得控除になる
  • ②【運用時】運用益が非課税になる
  • ③【受取時】公的年金等控除・退職所得控除が適用される

①【積立時】掛金の全額が所得控除になる

iDeCo最大のメリットは節税効果が高い点です。

掛金の全額が所得控除の対象となり、毎年の所得から支払った掛金分を差し引けるため、所得税や住民税の負担を軽減できます。

例えば、年収500万円の人が年間20万円の掛金を拠出した場合、所得税や住民税が数万円節税できる可能性があります。

②【運用時】運用益が非課税になる

運用益が非課税になるのも大きなメリットです。

通常の金融商品では、運用益に対して20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)の税金がかかりますが、iDeCoでは運用益が非課税となり、税金が引かれません。

本来引かれる税金分を再投資に回せるため、効率的に資産を増やせる可能性があります。

③【受取時】公的年金等控除・退職所得控除が適用される

iDeCoは積み立てた資金を受け取る際にも税制優遇があります。

前述の通り、受け取り方法は「年金」と「一時金」の2パターンがありますが、いずれを選んでも控除の対象となります。

年金として受け取る場合には「公的年金等控除」、一時金として受け取る場合には「退職所得控除」が適用され、一定額までは非課税になる可能性があります。

iDeCo(イデコ)のデメリット

iDeCo(イデコ)にはメリットがある反面、以下のようなデメリットもあります。

  • ①原則60歳まで資産を引き出せない
  • ②加入条件を満たす必要がある
  • ③手数料がかかる

①原則60歳まで資産を引き出せない

iDeCoは老後の資金を準備することを目的に設計された制度のため、原則60歳まで掛金や運用益を引き出すことができません

また、60歳から受け取るには通算加入者等期間が10年以上必要です。

この点は、いつでも自由に解約できる定期預金やNISAとの大きな違いであり、デメリットでもあります。

②加入条件を満たす必要がある

iDeCoは20歳以上65歳未満の方が加入できると説明しましたが、厳密には一定条件を満たしていないと加入できない場合があります。

主な加入条件は以下の通りです。

  • 条件①20歳以上であること(65歳以上も一定条件で加入可)
  • 条件②公的年金(国民年金や厚生年金)に加入していること
  • 条件③日本国内に居住していること

これらの条件を全て満たしていても、以下のようなケースではiDeCoに加入できない可能性があります。

  • ・国民年金保険料の全額免除や納付猶予を受けている方(一部免除の方も制限対象)
  • ・農業者年金に加入している方
  • ・iDeCoの老齢給付金をすでに受け取っている方、または現在受給中の方
  • ・老齢基礎年金や特別支給の老齢厚生年金を繰り上げ受給している方

このように、加入には細かい条件が設定されているため、事前の確認が必要です。

③手数料がかかる

iDeCoは加入時や運用期間中、受け取り時に手数料がかかるというデメリットもあります。

発生する主な手数料は以下の通りです。

手数料 発生タイミング 金額 支払先
加入・移管時の手数料 新規加入時
移管時
2,829円(初回のみ) 国民年金基金連合会
掛金収納手数料 運用期間中 105円(月額) 国民年金基金連合会

事務委託手数料 66円(月額) 事務委託先金融機関
(信託銀行)
給付手数料 受け取り時 440円(1回あたり) 事務委託先金融機関
(信託銀行)

口座の新規開設時や移管時に初回のみ2,829円、運用期間中に毎月171円(掛金収納手数料105円+事務委託手数料66円)、受け取り時に1回あたり440円の手数料が発生し、全て加入者の負担となります。

また、運用期間中には取扱金融機関に対して運営管理手数料が発生しますが、その金額は金融機関によって異なり、実質無料としているところも少なくありません。

これらの手数料は、基本的に掛金や積立資産から自動で差し引かれます。

iDeCo(イデコ)に関するQ&A

iDeCo(イデコ)に関してよくある質問は、以下の通りです。

  • ・iDeCoは年末調整が必要ですか?
  • ・iDeCoの掛金に上限はありますか?
  • ・iDeCoはどういう人におすすめですか?

iDeCoは年末調整が必要ですか?

iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」として全額が所得控除の対象になりますが、控除を受けるには原則として確定申告が必要です。

特に会社員や公務員で、個人でiDeCoに加入し掛金を自分の銀行口座から支払っている場合は、年末調整では控除できないため、確定申告を行う必要があります。

ただし、勤務先が事業主払込制度に対応しており、掛金が給与から天引きされている場合は年末調整で控除されるため、確定申告は不要です。

iDeCoの掛金に上限はありますか?

iDeCoは毎月の掛金に上限が定められており、その金額は加入資格(国民年金の被保険者種別や企業年金の有無など)によって異なります。

職種 上限金額
自営業者・フリーランス・学生など
(第1号被保険者・任意加入保険者)
月額68,000円
会社員等の第2号被保険者(企業年金等の加入なし) 月額23,000円
会社員等の第2号被保険者(企業年金等の加入あり) 月額20,000円
※企業型DCに加入している場合は、その掛金に応じて上限が変動。上限額は「55,000円-(各月の企業型DCの事業主掛金額+DB等の他制度掛金相当額)」で算出されます。
公務員等の第2号被保険者 月額20,000円
専業主婦(夫)の第3号被保険者 月額23,000円

上記は2025年4月現在の設定で、2025年度の税制改正大綱には掛金上限額の引き上げや加入可能年齢の拡大などが盛り込まれており、今後さらなる制度変更の可能性があります。

iDeCoはどういう人におすすめですか?

iDeCoは60歳まで引き出せない代わりに、掛金が全額所得控除になり、運用益が非課税になるといった節税メリットがあることから、「長期的な資産運用を考えている人」向きと考えられます。

時間をかけて長期で運用することで、複利の効果も期待できます。

また、公的年金や退職金が少ないことが予想される人にとって、老後の資金を自分で準備できる手段としても有効です。

【まとめ】iDeCo(イデコ)とは|メリット・デメリットやNISAとの違いなどをわかりやすく解説

iDeCo(イデコ)とは、老後のための資金を自分で積み立てていく私的年金制度の1つです。

原則として20歳以上の公的年金加入者であれば加入可能で、65歳以上でも一定条件を満たせば加入できます。

最初の掛金を拠出してから10年以上経過すれば、60歳以降から積み立てた年金資産を受給することができます。

最大のメリットは節税効果が高い点です。

NISAでは購入金額が所得控除の対象にはなりませんが、iDeCoでは掛金が全額所得控除の対象となるため、毎年の所得税や住民税の負担を軽減できます。

さらに運用益も非課税になるため、一般的な投資と比べて資産を効率良く増やせる可能性があります。

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