市場見通し
◆経済データへの注目度は低く、関税相場が継続
◆ポンド、3月CPIの伸びが鈍化するも今後のインフレ圧力の高まりに警戒
◆加ドル、米関税の影響を見極め
予想レンジ
ポンド円 186.00-192.00円
加ドル円 101.00-105.00円
4月21日週の展望
米関税が引き続き金融相場全体のメインテーマであることに変わりはない。今週、「株安・債券安・ドル安」といった「米国トリプル売り」はいったん落ち着いたが、関税の不確実性は払しょくされておらず、トランプ米政権の政策や経済の先行きへの不安は残されたまま。関税関連のヘッドラインによる神経質な動きとなる「関税相場」は続きそうだ。
来週、英国内では4月製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値や3月小売売上高などの発表が予定されている。今週発表された、3月の雇用者数は7.8万人減となった。4月からの企業に対する大幅な税負担の引き上げを前に、企業の人員削減が進んだことが示された。一方、12-2月の3カ月平均給与(除ボーナス)は5.9%と前回から伸びが加速し、インフレ圧力の兆候を判断する上でイングランド銀行(英銀行、BOE)が注視している民間部門の賃金上昇率も5.9%と高い水準を維持した。また、3月消費者物価指数(CPI)は前年比2.6%と前月から伸びが予想以上に鈍化し3カ月ぶりの低水準となったが、4月以降は公共料金の値上げや雇用主に対する増税でインフレが加速するとの見方が出ている。トランプ関税、保険料・最低賃金の引き上げなどと続くなか市場の過去データへの注目度は低くなっている。
トランプ関税が世界の金融市場に混乱を与えるなか、英政権は米政権との貿易交渉に自信を示している。ヴァンス米副大統領は今週、「英国と貿易協定が成立する可能性は非常に高い」との見解を示した。英政府は、輸入のパスタやジュースなどの食品やプラスチック、園芸用品など計89品目の関税を2027年7月までゼロにし、トランプ米政権の関税措置で影響を受ける輸出企業に対して融資枠を200億ポンド拡大する支援策を講じると発表している。
加ドルは、全般ドルの重い動きが継続するなか対ドルで底堅い動きとなるも、関税の加経済への悪影響や米加関税合戦のエスカレートへの警戒感で買い戻しは限られている。カナダ中銀(BOC)は今週の会合で政策金利を2.75%に据え置いた。据え置きは昨年4月以来と1年ぶり。BOCは、「関税の影響を見極めるために状況が一段と明確になるまで慎重に政策決定を進める」意向を示すも、米関税で「深刻な景気後退の可能性」に言及。「景気が大幅に悪化した場合は積極的な緩和策に踏み切る」ことを示唆した。来週は加国内で加ドルの動意につながりそうな指標発表は予定されておらず、関税関連のヘッドラインやドル、円の動きに左右されそうだ。
4月14日週の回顧
先週の「米国売り」はいったん落ち着くも、ドルの重い動きが継続。ポンドドルは強弱まちまちの英雇用・物価データへの反応は限られ、昨年10月以来の高値となる1.33ドル手前まで上昇するなど底堅い動きとなった。ドル/加ドルは、加3月CPIが予想以上に伸びが鈍化したが、1.38加ドル台を中心にやや加ドルの買い戻しに傾いた。対円ではリスク回避の円買いは一服するも、ポンド円は189円半ば、加ドル円は104円近辺で戻りが抑えられた。(了)
(執筆:4月18日、9:50)
(小針)
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◆ポンド、3月CPIの伸びが鈍化するも今後のインフレ圧力の高まりに警戒
◆加ドル、米関税の影響を見極め
予想レンジ
ポンド円 186.00-192.00円
加ドル円 101.00-105.00円
4月21日週の展望
米関税が引き続き金融相場全体のメインテーマであることに変わりはない。今週、「株安・債券安・ドル安」といった「米国トリプル売り」はいったん落ち着いたが、関税の不確実性は払しょくされておらず、トランプ米政権の政策や経済の先行きへの不安は残されたまま。関税関連のヘッドラインによる神経質な動きとなる「関税相場」は続きそうだ。
来週、英国内では4月製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値や3月小売売上高などの発表が予定されている。今週発表された、3月の雇用者数は7.8万人減となった。4月からの企業に対する大幅な税負担の引き上げを前に、企業の人員削減が進んだことが示された。一方、12-2月の3カ月平均給与(除ボーナス)は5.9%と前回から伸びが加速し、インフレ圧力の兆候を判断する上でイングランド銀行(英銀行、BOE)が注視している民間部門の賃金上昇率も5.9%と高い水準を維持した。また、3月消費者物価指数(CPI)は前年比2.6%と前月から伸びが予想以上に鈍化し3カ月ぶりの低水準となったが、4月以降は公共料金の値上げや雇用主に対する増税でインフレが加速するとの見方が出ている。トランプ関税、保険料・最低賃金の引き上げなどと続くなか市場の過去データへの注目度は低くなっている。
トランプ関税が世界の金融市場に混乱を与えるなか、英政権は米政権との貿易交渉に自信を示している。ヴァンス米副大統領は今週、「英国と貿易協定が成立する可能性は非常に高い」との見解を示した。英政府は、輸入のパスタやジュースなどの食品やプラスチック、園芸用品など計89品目の関税を2027年7月までゼロにし、トランプ米政権の関税措置で影響を受ける輸出企業に対して融資枠を200億ポンド拡大する支援策を講じると発表している。
加ドルは、全般ドルの重い動きが継続するなか対ドルで底堅い動きとなるも、関税の加経済への悪影響や米加関税合戦のエスカレートへの警戒感で買い戻しは限られている。カナダ中銀(BOC)は今週の会合で政策金利を2.75%に据え置いた。据え置きは昨年4月以来と1年ぶり。BOCは、「関税の影響を見極めるために状況が一段と明確になるまで慎重に政策決定を進める」意向を示すも、米関税で「深刻な景気後退の可能性」に言及。「景気が大幅に悪化した場合は積極的な緩和策に踏み切る」ことを示唆した。来週は加国内で加ドルの動意につながりそうな指標発表は予定されておらず、関税関連のヘッドラインやドル、円の動きに左右されそうだ。
4月14日週の回顧
先週の「米国売り」はいったん落ち着くも、ドルの重い動きが継続。ポンドドルは強弱まちまちの英雇用・物価データへの反応は限られ、昨年10月以来の高値となる1.33ドル手前まで上昇するなど底堅い動きとなった。ドル/加ドルは、加3月CPIが予想以上に伸びが鈍化したが、1.38加ドル台を中心にやや加ドルの買い戻しに傾いた。対円ではリスク回避の円買いは一服するも、ポンド円は189円半ば、加ドル円は104円近辺で戻りが抑えられた。(了)
(執筆:4月18日、9:50)
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DZH Finacial Research
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