リーマンショックとは|世界的な金融危機が発生した原因・影響・教訓をわかりやすく解説
リーマンショックとは米国の投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻を機に広がった世界的金融危機のことで、2008年9月に発生しました。
米国内の1企業の経営破綻にもかかわらず、その影響は世界中に及んでいます。
本記事では、リーマンショックが起こった原因や、今後の教訓として生かせるポイントなどについて詳しく解説します。
目次
- 1.リーマンショックとは?
- 2.リーマンショックが起きた原因
- 3.リーマンショックの市場への影響
- 4.リーマンショック後の金融・財政政策
- 5.個人投資家が学ぶべきポイント
- 6.リーマンショックを遠因とする各種ショック
- 7.リーマンショックに関するQ&A
- 8.【まとめ】リーマンショックとは|世界的な金融危機が発生した原因・影響・教訓をわかりやすく解説
リーマンショックとは?
リーマンショックとは米国を震源地とする金融危機で、2008年9月に発生しました。
米国ではリーマンショック発生の前年から各種の問題が顕在化しており、リーマン・ブラザーズの経営破綻が金融資本市場全体の機能不全をもたらしています。
この影響は米国内に留まらず、日欧など世界全体に広がりました。
リーマンショックが起きた原因
リーマンショックが起きた原因として、2007年のサブプライムローン問題が挙げられます。
- ・サブプライムローンとは
- ・投資銀行の経営破綻と連鎖的な影響
サブプライムローンとは
サブプライムローンとは、信用力の低い借り手に対する住宅ローンです。
信用力が低いので返済が滞る可能性があるものの、それに見合うだけの高い金利を設定していました。
銀行はサブプライムローンを証券化し、機関投資家等に広く販売しました。
銀行としては、債権の証券化で収益を見込めるメリットがあり、機関投資家としては高利率の収入を得られるのが利点でした。
住宅価格が上昇している間は、サブプライムローンの問題は顕在化しませんでした。
住宅価格が上がると、住宅の含み益増加を通して債務者(=住宅保有者)の資産が増加するためです。
投資銀行の経営破綻と連鎖的な影響
2007年に不動産価格の上昇が止まり、景気に陰りが出始めると、債務を返済できない例が多数発生しました。
不動産価格は上昇から下落に転じたので含み損であり、従来のように含み益を使って返済をやりくりできません。
サブプライムローンを発行していた銀行は、大きな損失を被りました。
本来、不動産価格の下落は米国内の問題ですが、サブプライムローンは証券化されて欧米の機関投資家等に広く販売されており、その悪影響が世界各地に広がっていきました。
リーマンショックの市場への影響
リーマンショックが市場に対してどのような影響を与えたか、日米の株式市場を例に紹介します。
- ・週足チャート
- ・月足チャート
週足チャート
・日経平均株価出典:TradingView
・S&P500出典:TradingView
リーマンショック前後の株価指数について、日経平均株価とS&P500の週足チャートを並べると、似た動きをしていることがわかります。
2007年のサブプライムローン問題を受けて、指数はいずれも下落傾向に転じています。
リーマンショックが起きた週は下落しているものの、下ヒゲが長く、週足ベースでは下落幅は大きくありません。
市場は混乱しつつも、リーマンショックの評価について迷っていた可能性があります。
その後、大きく下落しました。
2009年前半に底打ちして上昇に転じており、この点でも日米で似た動きです。
月足チャート
月足チャートで日経平均株価とS&P500を比較すると、週足チャートと様相が異なります。
・日経平均株価出典:TradingView
・S&P500出典:TradingView
底打ちした時期はほぼ同じでしたが、日経平均株価は上昇力が弱く横ばいで推移しました。
2015年にリーマンショック前の高値を超えたものの、反落しており力強さに乏しいです。
その一方、S&P500は底打ち後に右肩上がりで推移しています。
2013年のうちにリーマンショック前の高値を超え、上昇がさらに続きました。
サブプライムローン問題やリーマンショックは米国を舞台にして発生したにもかかわらず、日本株の方が長期間にわたって悪影響を受け続けたことになります。
リーマンショック後の金融・財政政策
リーマンショック発生後の日米の対応を紹介します。
- ・米国
- ・日本
米国
米国では、金融と財政の両面から景気対策が実行されました。
金融面では、2008年10月に米英欧など6つの中銀が協調して政策金利を引き下げています。
また、2008年末まで政策金利を引き下げ、その後は非伝統的な手法であるQE(量的緩和)に踏み切っています。
財政面では、当時の過去最大規模の財政支出を決定し、減税や州財政の支援などを行いました。
この結果、失業率は2009年10月に頂点に達し、その後は緩やかに低下しました。
日本
日本は2008年10月の協調利下げに参加しませんでした。
米欧に比べて日本の経済状況は安定しているとの判断に基づく行動です。
しかし、その後は政策金利を引き下げ、長期国債を買い入れて資金を市場に供給するなどの施策を講じています。
また、財政政策として「生活防衛のための緊急対策」を実施し、雇用対策や税制改正を行いました。
この結果、日本の失業率は2009年7月をピークに低下に転じています。
個人投資家が学ぶべきポイント
リーマンショックを歴史として眺めるだけでなく、今後のトレードにつながる教訓として学ぶと、将来のトレードに生かせる可能性があります。
そこで、リーマンショック発生前後の米ドル/円などについて、チャートを見ながら特徴を紹介します。
- ・リーマンショック時の外国為替相場
- ・意識すべき価格変動リスク
リーマンショック時の外国為替相場
・米ドル/円出典:TradingView
上の日足チャートは米ドル/円で、2008年3月から2009年2月までの1年間を示しています。
リーマンショックはチャートの中ほどにあり、大きな値動きでないように見えます。
しかし、この日の高値は106.92円、安値は104.27円であり、値動きの変動幅は265銭と巨大でした。
上のチャートを見ると、リーマンショック発生日と同等またはより大きな動きをしているローソク足がいくつも見つかります。
経済が世界的に変調しており、為替レートは大きく上下動していました。
危機発生時は価格変動リスクが大きいので、普段よりも小さなポジションでの取引が推奨されます。
意識すべき価格変動リスク
・米ドル/円出典:TradingView
危機発生時に想定すべき価格変動リスクを確認するために、月足チャートで米ドル/円を確認します。
赤の補助線は1995年の円高記録の水準で、これは阪神・淡路大震災後に記録しました。
リーマンショック時の為替レートは100円台半ばであり、当時の円高記録である79円台から25円程度離れていました。
しかし、2011年には円高記録を塗り替えています。
大規模な危機が発生する場合、過去の円高水準が目安となる可能性があります。
・豪ドル/円出典:TradingView
・ポンド/円出典:TradingView
上の2つの月足チャートは、豪ドル/円とポンド/円です。
いずれの場合も、リーマンショック後に当時の円高記録(赤の補助線)付近に到達している様子がわかります。
今後、同様の危機が発生する場合にどのような動きを示すか、事前に正確に予測することはできませんが、過去の円高記録を目途としてリスク管理ができると考えられます。
リーマンショックを遠因とする各種ショック
リーマンショックを直接の原因としていないながらも、遠因として考えられるショックを2つ紹介します。
- ・ギリシャ危機とPIIGS問題
- ・スイスフランショック
ギリシャ危機とPIIGS問題
リーマンショック後の混乱の中、2009年にギリシャの財政不安に注目が集まりました。
国家の財政破綻が現実味を持って語られる状況に陥り、ギリシャの国債利回りは上昇し、大幅な緊縮財政を余儀なくされました。
財政不安はポルトガル、イタリア、アイルランド、スペインにも波及し、頭文字をつなげてPIIGS問題と呼ばれています。
ユーロは金融政策を欧州中央銀行(ECB)に統一した一方、財政は各国に任せており、統合の不十分さが危機の一因と指摘されています。
この混乱は2010年代半ばに終息し、今日に至るまで再燃していません。
スイスフランショック
・ユーロ/スイスフラン
出典:TradingView
リーマンショック後にギリシャ危機が発生し、ユーロはスイスフランに対して売られる展開でした。
これに対して、2011年9月にスイス国立銀行(スイスの中央銀行)はユーロ/スイスフラン=1.20を設定し、この水準を超えるスイスフラン高を認めない方針を打ち出しました。
しかし、市場によるスイスフラン売りに耐えられず、2015年1月に方針を撤回しました。
前触れなく撤回したため市場は混乱し、1.20付近だった為替レートは0.98を割り込む水準まで一気に下落しています。
短時間で2,200pipsを超える値動きが発生し、市場は大きく混乱しました。
リーマンショックに関するQ&A
リーマンショックに関して、よくある質問に回答します。
- ・リーマンショックはいつ日本で起こりましたか?
- ・リーマンショックとは何ですか?
- ・リーマンショックは何年続きましたか?
リーマンショックはいつ日本で起こりましたか?
リーマンショックは米国で発生しており、日本では起きていません。
2008年9月に米国の投資銀行リーマン・ブラザーズが経営破綻し、その影響は日本にも及びました。
リーマンショック後の日本では、失業率の上昇、株価の下落、円高の進行などの現象が見られました。
リーマンショックとは何ですか?
リーマンショックとは米国発の金融危機で、2008年9月に発生しました。
米国では2007年から不動産などで問題が発生しており、この影響で投資銀行のリーマン・ブラザーズが経営破綻しました。
その結果、金融資本市場全体の機能不全が引き起こされています。
リーマンショックは何年続きましたか?
リーマンショックとは投資銀行のリーマン・ブラザーズの経営破綻を意味し、2008年9月に発生しています。
リーマンショックの影響がどれほどの期間続いたか、明確な期間を示すことはできませんが、負の影響は2010年代に入っても継続したと考えられます。
【まとめ】リーマンショックとは|世界的な金融危機が発生した原因・影響・教訓をわかりやすく解説
リーマンショックとは米国の投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻を機に広がった世界的金融危機のことで、2008年9月に発生しました。
リーマンショックの発生原因として2007年のサブプライムローン問題が挙げられ、証券化を通じて影響が世界中に及びました。
個人投資家としては、リーマンショックを歴史として眺めるだけでなく、教訓として学ぶことにより、将来のトレードに生かせる可能性があります。
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