February 28, 2025
【前日の為替概況】トランプ関税(メキシコ・加・中)でドル高 対円150.16円、対ユーロ1.0397ドル
27日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。
終値は149.81円と前営業日NY終値(149.10円)と比べて71銭程度のドル高水準だった。
トランプ米大統領はこの日、自身のSNSに「メキシコとカナダに対する関税は3月4日に発動。中国に対しても同日に10%の追加関税を課す」と投稿。
米政権による関税政策が米国内での物価上昇圧力につながるとの見方から全般ドル買いが優勢となった。
節目の150.00円を上抜けると一時150.16円まで上値を伸ばした。
ただ、買い一巡後は伸び悩んだ。
25日の高値150.30円や一目均衡表転換線150.48円がレジスタンスとして意識されると上昇は一服。
一時は450ドル超上昇したダウ平均が下げに転じたうえ、ナスダック総合が2.7%超下落するなど、米国株相場が軟調に推移したことも相場の重し。
ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比720円安の3万7580円の大幅安となった。
ユーロドルは続落。
終値は1.0398ドルと前営業日NY終値(1.0485ドル)と比べて0.0087ドル程度のユーロ安水準となった。
関税を巡るトランプ米大統領のSNS投稿をきっかけに全般ドル買いが優勢になると一時1.0397ドルと日通し安値を更新した。
トランプ氏は前日には「欧州連合(EU)からの輸入品に対する関税について近く公表する」「税率は一般的に言って25%になるだろう」などと述べており、ユーロが売られやすい面もあった。
なお、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するシュミッド米カンザスシティー連銀総裁は「インフレ指標も依然総じて目標の2%を上回って推移している」「米連邦準備理事会(FRB)はインフレ抑制において警戒を緩めるべきでない」などと語った。
ユーロ円は3日続落。
終値は155.79円と前営業日NY終値(156.33円)と比べて54銭程度のユーロ安水準。
ユーロドルの下落につれた売りが出たほか、日米株価指数の下落を背景にリスク回避の円買いが優勢になると、一時155.66円と本日安値を更新した。
【本日の東京為替見通し】ドル円、2月東京CPIを見極めた後は今夜の米PCEデフレーター待ち
本日の東京外国為替市場のドル円は、2月の全国消費者物価指数(CPI)の先行指標である東京都区部CPIを見極めた後は、今夜の米1月PCEデフレーターの発表を控えて動きづらい月末取引が予想される。
昨日のドル円は、トランプ米大統領が、メキシコとカナダへの関税発動時期に関して、前日の「4月2日へ先送り」から「3月4日へ前倒し」したことで、米10年債利回りの上昇に連れて150.16円まで上昇した。
本日もトランプ米大統領による突発的な発言には警戒しておきたい。
8時30分に発表される2月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合)は、電気・ガス代の補助再開がエネルギー価格を押し下げることで前年比+2.3%と予想されており、1月の同比+2.5%からの伸び率鈍化が見込まれている。
2月東京都CPIが予想以下だった場合は、ドル買い・円売り要因となる。
1月分は、政府の電気・ガス代補助終了でエネルギー価格が上昇し、食料品の値上げも影響したことで、3カ月連続で伸び率は拡大していた。
2月のコアCPIは、食料品の値上げや賃金上昇を背景にサービス価格も緩やかに上昇することで、1月上昇率以上に上昇していた場合に警戒しておきたい。
もし、予想外に上昇していた場合、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場が示唆する日銀の0.75%への追加利上げ時期が、現在の5月の日銀金融政策決定会合(4/30-5/1)から3月会合(3/18-19)に前倒しされる観測を高めることになる。
昨年3月の日銀会合では、マイナス金利が解除されていた。
一部の市場筋は、日銀の3月の早期利上げ観測の背景として、農林中央金庫の赤字や資本増強策、そして令和の米騒動などを挙げている。
今夜発表される米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視しているPCEデフレーターの1月分は、前年比+2.5%と予想されており、12月の同比+2.6%からの伸び率鈍化、コアPCEの予想は同比+2.6%で12月の同比+2.8%からの伸び率鈍化が見込まれている。
予想通りならば、今年の利下げ回数が2回から3回になる可能性を高めることになる。
WSJ紙のFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者は、1月のコアPCEは、前月比+0.27%、前年比+2.6%程度を見込んでいる。
理由として、「FRBが重視するPCE価格指数に反映されるPPI項目(フィナンシャル&ヘルスケア・サービス)は全体的に非常に抑制されていた」ことを挙げている。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◎ 2月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合、予想:前年比2.3%)
○08:50 ◎ 1月鉱工業生産速報(予想:前月比▲1.1%/前年比2.8%)
○08:50 ◇ 1月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比4.0%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○14:00 ◇ 1月新設住宅着工戸数(予想:前年比▲2.6%)
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
<海外>
○16:00 ◎ 1月独小売売上高(予想:前月比0.5%/前年比1.7%)
○16:00 ◇ 1月独輸入物価指数(予想:前月比0.7%/前年比2.7%)
○16:00 ◇ 2月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.2%)
○16:00 ◎ ラムスデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○16:00 ◎ 10-12月期スウェーデン国内総生産(GDP、予想:前期比0.3%)
○16:00 ◎ 10-12月期トルコGDP(予想:前年比2.6%)
○16:00 ◇ 1月トルコ失業率
○16:30 ◇ 1月スイス小売売上高
○16:45 ◎ 10-12月期仏GDP改定値(予想:前期比▲0.1%)
○16:45 ◇ 2月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.2%/前年比1.0%)
○16:45 ◇ 1月仏消費支出(予想:前月比▲0.7%)
○17:00 ◇ 2月スイスKOF景気先行指数(予想:102.0)
○17:55 ◎ 2月独雇用統計(予想:失業率6.2%/失業者数変化1.50万人)
○19:30 ☆ 10-12月期インドGDP(予想:前年同期比6.2%)
○21:00 ◎ 1月南アフリカ貿易収支(予想:94億ランドの赤字)
○22:00 ◎ 2月独CPI速報値(予想:前月比0.4%/前年比2.3%)
○22:30 ☆ 12月カナダGDP(予想:前月比0.3%/前年比2.0%)
☆ 10-12月期カナダGDP(予想:前期比1.8%)
○22:30 ◎ 1月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.1%)
◎ 1月米個人所得(予想:前月比0.3%)
☆ 1月米PCEデフレーター(予想:前年比2.5%)
☆ 1月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.3%/前年比2.6%)
○22:30 ◇ 1月米卸売在庫(予想:前月比0.1%)
○23:45 ◎ 2月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:40.6)
○ゼレンスキー・ウクライナ大統領が訪米
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
27日08:26 ラトニック米商務長官
「中国は私にとって最大の懸念材料」
「我々は金利を抑制する」
27日21:33 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(1月30日分)
「ディスインフレプロセスは順調に進んでおり、成長見通しは引き続き弱い」
「インフレは短期的に目標を上回ると予想されるが、タイムリーで持続的な収束への信頼感は高まった」
「政策金利は、経済を不必要に抑制することを避けるために、中立水準に向けてさらに引き下げられる可能性がある」
「金融政策は依然として制限的」
「インフレ見通しは、1年以上4%近くで推移しているサービスインフレの動向に大きく依存している」
「サービスインフレの勢いはここ数カ月で緩和しており、特に25年後半には賃金圧力のさらなる低下が予想」
「インフレ見通しのリスクは両面にある」
「成長が予想よりも低くなる可能性につながる下方リスクがあった」
「政策金利が中立領域に近づくにつれて、さらなる利下げの規模とペースにはより慎重な姿勢が必要」
「会合ごとのデータ依存型アプローチを維持」
「あらゆる会合で全ての選択肢を持つことが賢明であり、正当化される」
「基調インフレのほとんどの指標動向は、インフレが持続的に目標付近で落ち着くことを示唆と、意見が一致」
27日22:44 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「景気低迷なしでインフレ抑制、これまでのところ順調」
「政府側の職員解雇は現実」
「雇用を増やすには企業が自信を持つ必要」
「解雇側には多くの不確実性が見られる」
「2004-05年のような住宅ローン金利の上昇に慣れる必要」
27日22:49 トランプ米大統領
「メキシコとカナダに対する関税は3月4日に発動」
「中国に対しても3月4日に10%の追加関税を課す」
28日05:39
「英国との貿易協定はすぐに成立するだろう」
「英国と貿易についてまもなく合意する可能性」
「米英にとって素晴らしい貿易協定を結ぶ」
27日23:07 シュミッド米カンザスシティー連銀総裁
「最近のインフレ期待の上昇について懸念が高まっている」
「不確実性も成長の重荷となる可能性がある」
「FRBの信頼性を守るため、焦点はインフレーションに置かれるべき」
「バランスシートをできる限り縮小し続けることが望ましい」
「コアインフレの概念を再考する必要があるかもしれない」
28日00:18 ゲオルギエバ国際通貨基金(IMF)専務理事
「経済政策に関する不確実性は高い状況にある」
「短期的には米経済に上振れリスク」
「その他国に関しては全体的にリスクは下振れている」
28日00:26 シェインバウム・メキシコ大統領
「トランプ米大統領との対話を希望」
28日00:47 植田日銀総裁(G20財務相・中央銀行総裁会議後)
「(米国経済政策)まだ不確実なところ非常に多い」
「不確実性の高さを指摘する参加者多かった」
28日03:18 ハマック米クリーブランド連銀総裁
「FRBは当面の間、金利を据え置く可能性が高い」
「インフレのさらなる緩和は確実ではなく、上昇リスクは高い」
「インフレの緩和は不均一」
「さらなる利下げを支持する前にインフレが2%に向かっている証拠を求める」
「現在、幅広い金融環境は緩和的である」
28日05:51 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁
「政策はインフレに下押し圧力をかけるのに十分なほど引き締められている」
「FRBはデータを監視し、必要に応じて対応」
「2%のインフレ目標に向けた進展は鈍化」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。
一目均衡表・転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
2手連続陽線でも依然として転換線を下回って引けていることで反落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨みたい。
レジスタンス1 150.44(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 149.81
サポート1 148.57(2/25安値)
サポート2 148.01(2024/10/9安値)
<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
一目均衡表・転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の中で引けていることで、三役好転が消滅した。
2手連続陰線で転換線を下回って引けていることで続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨みたい。
レジスタンス1 1.0463(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0398
サポート1 1.0337(日足一目均衡表・基準線)
<ポンド円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
一目均衡表・転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
被せ線で反落して転換線を下回って引けていることで、続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨みたい。
レジスタンス1 190.16(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 188.77
サポート1 187.06(2/7安値)
<NZドル円=低下中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
一目均衡表・転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
3手連続陰線で転換線を下回って引けていることで、続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨みたい。
レジスタンス1 85.65(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 84.36
サポート1 83.64(ピポット・サポート2)
Provided by
DZH Finacial Research
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