February 13, 2025
【前日の為替概況】ドル円、3日続伸 ユーロドルは小幅ながら続伸
12日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸。
終値は154.42円と前営業日NY終値(152.49円)と比べて1円93銭程度のドル高水準だった。
米労働省が発表した1月米消費者物価指数(CPI)が総合・コア指数ともに予想を上回ったことが分かると、米長期金利の上昇とともに全般ドル買いが先行。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米下院金融サービス委員会で「今日のデータはインフレ目標は近いが、まだ到達していないことを示している」「関税を理由に政策金利を変更せざるを得なくなる可能性も」と述べたことも相場の支援材料となり、一時154.80円まで値を上げた。
ただ、買い一巡後は若干伸び悩んだ。
米長期金利の上昇が一服した影響を受けたほか、市場では「一目均衡表基準線が位置する154.90円や節目の155.00円がレジスタンスとして意識された」との声が聞かれた。
ユーロドルは小幅ながら続伸。
終値は1.0383ドルと前営業日NY終値(1.0361ドル)と比べて0.0022ドル程度のユーロ高水準だった。
1月米CPIの上振れをきっかけに全般ドル買いが先行すると一時1.0317ドルと日通し安値を付けたものの、前日の安値1.0292ドルが目先サポートとして働くと買い戻しが優勢に。
「欧州連合(EU)の貿易担当委員は米国と関税問題の解決を巡り協議する」との一部報道が伝わると、欧米貿易摩擦に対する過度な懸念が後退し、ユーロ買いが加速した。
その後、トランプ米大統領が自身のSNSに「プーチン露大統領と本日、電話会談を実施し、ウクライナでの戦争を終結させるための協議を開始することで合意」「互いの国を訪問することを含め、非常に緊密に協力することで合意」と投稿すると、ウクライナ情勢を巡る懸念が和らぎ、一時1.0430ドルまで上値を伸ばした。
ただ、5日に付けた直近高値の1.0442ドルがレジスタンスとして意識されると1.0381ドル付近まで押し戻された。
ユーロ円は大幅に3日続伸。
終値は160.33円と前営業日NY終値(158.01円)と比べて2円32銭程度のユーロ高水準。
米物価指標の上振れをきっかけにドル円が上昇するとユーロ円にも買いが波及。
そのあとは米関税を巡り、「EUが米国との交渉による解決策を模索している」と報じられたほか、「米露首脳はウクライナ停戦交渉開始で合意」と伝わり全般ユーロ買いが活発化。
3時過ぎには160.97円と1月31日以来の高値を更新した。
【本日の東京為替見通し】ドル円、年初来の下落幅の半値戻し154.90円が攻防の分岐点か
本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ関税やウクライナ停戦合意期待による買い戻しの射程を見極める展開が予想される。
昨日のドル円は154.80円まで上昇しており、年初来の高値158.87円(1/10)から安値150.93円(2/7)までの下落幅の半値戻しである日足一目均衡表・基準線154.90円に迫っている。
今後は、「半値戻しは全値戻し」という相場格言を念頭に155円台を回復するのか否かを見極めていくことになる。
8時50分に発表される1月企業物価指数(予想:前月比+0.3%/前年比+4.0%)では、輸入物価指数を確認しておきたい。
昨年9月には前年比-2.6%だったが、12月の段階では同比+1.0%まで上昇しており、かつて植田日銀総裁が懸念を表明していた円安による輸入物価指数の高止まりという状況ではないものの、円相場水準に対応した現在位置の確認をしておきたい。
昨日発表された米1月消費者物価指数(CPI)の前月比+0.5%が2023年8月以来の大幅な伸び率だったことで、米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げ時期がさらに後退している。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、追加利下げ(-0.25%=4.00-25%)の時期は10月FOMCまで先送りされており、12月末時点でのターミナルレート(利下げの最終到達点)はこの水準に留まっている。
一方で、日銀の追加利上げのターミナルレートは、先日のタカ派の田村日銀審議委員によると中立金利水準の1.0%程度となっており、年末時点の日米政策金利の格差は、3%程度となっている。
トランプ米大統領は、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、「金利は引き下げられるべきだ。それは今後の関税と歩調を合わせることになる」と利下げを要求した。
しかし、パウエルFRB議長は、一切コメントしないと回答し、「政策スタンスの調整を急ぐ必要はない」というこれまでの見解を繰り返している。
トランプ米大統領のトランプ関税がインフレ期待を押し上げており、ドル高が輸入物価を抑制する構図となっているため、第1次トランプ米政権でのドル安・金利低下の目論見からは乖離しつつある。
また、昨日は、トランプ米大統領がプーチン露大統領と電話会談し、ウクライナでの戦争を終結させるための協議を開始することで合意した、と報じられた。
欧州の地政学リスクの緩和に繋がることで、今後の関連ヘッドラインには注目しておきたい。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 1月企業物価指数(予想:前月比0.3%/前年比4.0%)
<海外>
○07:05 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○09:01 ◇ 1月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格(予想:27)
○16:00 ◎ 1月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比▲0.2%/前年比2.3%)
○16:00 ☆ 12月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%)
○16:00 ☆ 10-12月期英GDP速報値(予想:前期比▲0.1%/前年比1.1%)
○16:00 ◎ 12月英鉱工業生産(予想:前月比0.2%/前年比▲2.1%)
○16:00 ◎ 12月月英製造業生産高(予想:前月比▲0.1%)
○16:00 ◇ 12月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:184.00億ポンドの赤字/40.00億ポンドの赤字)
○16:00 ◇ 12月トルコ経常収支(予想:40.0億ドルの赤字)
○16:30 ◎ 1月スイスCPI(予想:前月比▲0.1%)
○17:40 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○19:00 ◎ 12月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲0.6%/前年比▲3.1%)
○21:00 ◎ 12月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比3.5%)
○22:30 ◎ 1月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比3.2%)
◎ 食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比3.3%)
○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.5万件/188.0万人)
○14日02:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○14日03:00 ◎ 米財務省、30年債入札
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
12日05:44 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「現在の政策スタンスはやや景気抑制的」
「2025年のインフレ率は2.5%前後、今後数年で2%へ」
12日22:00 トランプ米大統領
「金利は低下すべきだ」
13日00:18 グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「ディスインフレのプロセスは概ね順調に進んでいる」
「金融引き締め策の解除には慎重かつ段階的なアプローチを維持するのが適切」
13日00:44 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「米政府効率化省(DOGE)とは連絡を取っていない」
「トランプ大統領に求められても辞任しない」
「金融政策のルールには非常に慎重になる」
「米国債の流動性には幾分か懸念を抱いている」
「バランスシートの縮小にはまだまだ時間がかかるだろう」
「経済は非常に強いが見通しは不透明」
「今日のデータはインフレ目標は近いが、まだ到達していないことを示している」
「関税を理由に政策金利を変更せざるを得なくなる可能性も」
「インフレのさらなる進展を確認したい」
「昨年はコアインフレの進展があまり見られなかった」
13日02:43 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「労働市場は驚くほど好調」
「最新のインフレ率は、依然として慎重な監視が必要であることを示唆」
「FRBは十分な情報が得られるまで行動しない」
「関税の議論には多くの変動要素がある。影響は最終的に詳細次第」
「経済が予想通りであれば、2026年初頭にインフレ率は2%」
「インフレ率が2%に達した後、FRBは中立金利を維持すると予想」
13日02:45 ナーゲル独連銀総裁
「中立金利に近づくほど段階的なアプローチがより適切になる」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=これまでの抵抗水準が支えになるか>
大陽線引け。
これまで上値を抑えていた200日移動平均線を上抜くと、日足一目・転換線、同・雲下限も突き抜けて4日以来の水準まで上昇し、3手連続の大陽線引けとなった。
昨日の大幅上昇で買い遅れ感もあり、本日は昨日の米経済指標発表前の高値153.89円や、これまで上値の抵抗となった日足一目・雲下限や転換線を支えにロングで臨みたい。
転換線を割り込み、昨日の欧米時間安値153.35円近辺を割り込んだら手仕舞い。
レジスタンス2 155.62(日足一目均衡表・雲の上限)
レジスタンス1 154.90(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 154.42
サポート1 153.89(2/12米CPI発表前の高値)
サポート2 153.41(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=転換線近辺の1.02ドル後半が支えに>
陽線引け。
日足一目・転換線や今週支えられている1.02ドル後半は割り込めず、一時5日以来の水準まで上昇し2手連続の陽線引け。
今年に入り追いかけて売買すると逆に動くパターンが多い。
本日は買いで臨む場合は1.03ドル前半の日足一目・基準銭近辺から仕込み、1.02ドル後半を割り込むまでは耐えたい。
売りで臨む場合も5日高値を超えるか、先月27日高値で年初来高値を超えるまでは手仕舞いたくはない。
レジスタンス1 1.0442(2/5高値)
前日終値 1.0383
サポート1 1.0337(日足一目均衡表・基準線)
<ポンド円=赤三兵で上値試しやすいか>
大陽線引け。
転換線を突破すると一時基準線を上抜ける場面も見られた。
3手連続の陽線引け。
187円付近での底堅さを確認した後の赤三兵の出現で、前日高値192.68円を超えるようならば、雲下限に向けて上値を伸ばす可能性がある。
ただし、本日191.44円に低下した基準線を割れる場合は転換線に向けた一段安に注意したい。
レジスタンス1 193.95(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 192.16
サポート1 190.11(日足一目均衡表・転換線)
<NZドル円=87円台前半を抜けると雲下限が視野に>
陽線引け。
転換線を上抜くと、一時基準線も上抜いて4日以来となる87.40円まで上昇した。
3手連続の陽線引けとなったことで、目先は上値を試しやすいと見る。
4日高値87.47円や基準線87.27円など87円台前半を上抜くと、雲の下限88.47円が視野に入りそうだ。
ただし、転換線下抜けで下押し再開の恐れがある点には注意。
レジスタンス1 88.47(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 87.10
サポート1 86.36(日足一目均衡表・転換線)
Provided by
DZH Finacial Research
「投資を面白く、投資家を笑顔に」をスローガンに、株式や為替など様々な金融マーケットの情報を提供。
豊富な経験を持つエキスパートが多数在籍し、スピーディー且つオリジナルな視点からの情報をOANDA Labに配信しています。
会社名:株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
所在地:東京都中央区明石町8番1号 聖路加タワー32階
商号等:【金融商品取引業者】投資助言業/【登録番号】関東財務局長(金商)907号
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。