February 10, 2025
【前日の為替概況】ドル円乱高下、152.42円から150.93円まで下落後151円台後半へ反発
7日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは続落。
終値は1.0328ドルと前営業日NY終値(1.0383ドル)と比べて0.0055ドル程度のユーロ安水準だった。
米労働省が発表した1月米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比14.3万人増と予想の17.0万人増を下回ったことが分かるとユーロ買い・ドル売りが先行。
一時1.0409ドルと日通し高値を付けた。
ただ、同時に発表された失業率が4.0%と予想の4.1%より強い結果となり、平均時給が前月比0.5%上昇/前年比4.1%上昇と予想の前月比0.3%上昇/前年比3.8%上昇を上回ったことから、そのあとは徐々に上値が重くなった。
「トランプ米大統領は早ければ本日7日、米国への輸入品に輸出国と同じ関税率を課す『相互関税』の導入計画を発表する」との一部報道が伝わると、米インフレ再燃への警戒感とともにドル買いが活発化。
トランプ米大統領が石破茂首相との会談冒頭で「相互関税の導入計画を来週公表する予定だ」と発言すると、一時1.0306ドルと日通し安値を更新した。
ドル円は横ばい。
終値は151.41円と前営業日NY終値(151.41円)とほぼ同水準だった。
1月米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を下回ると一時151.35円付近まで売られたものの、失業率や平均時給が予想より強い内容だったことからすぐに持ち直した。
22時30分過ぎには一時152.42円と日通し高値を付けた。
ただ、200日移動平均線が位置する152.78円がレジスタンスとして意識されると失速。
米国株相場や日経平均先物の下落を背景にリスク回避の円買いが入ると一時150.93円と昨年12月10日以来約2カ月ぶりの安値を更新した。
もっとも、米相互関税を巡る報道や発言で米インフレ再燃への警戒からドル買いが入ると、151.85円付近まで値を戻す場面があった。
ユーロ円は3日続落。
終値は156.38円と前営業日NY終値(157.27円)と比べて89銭程度のユーロ安水準。
日米株価指数の下落を背景にリスク・オフの円買い・ユーロ売りが優勢になると、2時前に一時155.87円と昨年9月16日以来約5カ月ぶりの安値を付けた。
なお、米株式市場でダウ平均は一時460ドル超下落したほか、ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比490円安の3万8350円まで下げた。
【本日の東京為替見通し】ドル円、米相互関税の内容を見極める展開か
本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ米政権による相互関税の内容を見極める展開が予想される。
先週末に発表された米1月雇用統計を受けて、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、追加利下げ(4.00-25%)の時期は6月米連邦公開市場委員会(FOMC)から7月FOMCへ先送りされた。
そして、年内の利下げはこの1回だけと見込まれている。
今後は、トランプ米大統領による利下げ圧力に対してパウエルFRB議長がどこまで抵抗できるのかを見極めていくことになる。
パウエルFRB議長は、11、12両日に行う半年に1度の議会証言で、1月FOMCでのタカ派金利据え置きスタンスの正当化を訴えると予想されている。
トランプ米大統領は、今週、米国への輸入品に輸出国と同じ関税率を課す『相互関税』の導入計画を発表する予定、と報じられている。
さらに、トランプ米大統領は、「鉄鋼・アルミへの25%関税を発表。鉄鋼・アルミ関税はすべての国が対象」と述べている。
世界貿易機関(WTO)のデータによると、米国の貿易加重平均関税率は約2.2%、中国は3.0%、メキシコは3.9%、カナダは3.4%、日本は1.9%となっている。
この相互関税と、カナダとメキシコへの1カ月先送りにされている25%の輸入関税との関係性などの不確実性を確認していくことになる。
また、7日の日米首脳会談の前日に、ベッセント米財務長官が、貿易黒字国に対し為替レートや金利抑制がその要因となっている国もある、と発言していた。
5日にはベッセント米財務長官と植田日銀総裁が電話会談していた。
すなわち、日本の貿易黒字の要因として、低金利による円安、という米財務省の「為替報告書」で何度か言及されてきたフレーズであり、今後もベッセント米財務長官の発言には警戒しておきたい。
トランプ米大統領は石破首相との会談後、対日貿易赤字を縮小させたいとし、実現しなければ関税も除外しないと警告していた。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 12月国際収支速報
◇ 経常収支(予想:季節調整前1兆3742億円の黒字/季節調整済2兆7210億円の黒字)
◎ 貿易収支(予想:2277億円の黒字)
○14:00 ◇ 1月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数49.7/先行き判断指数49.0)
<海外>
○16:00 ◎ 1月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比2.2%)
○16:00 ◇ 12月トルコ失業率
○16:00 ◇ 12月トルコ鉱工業生産
○23:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、議会証言
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
7日07:15 ローガン米ダラス連銀総裁
「2%のインフレは必ずしも金利引き下げを意味するわけではない」
「労働市場が悪化するならば利下げの公算が高まるだろう」
7日09:44 赤沢経済再生相
「経済学的にインフレの状態で日銀と齟齬はない」
「足もとCPIの上昇でインフレの状態だが、デフレに戻る見込みないとは言えず、デフレ脱却には至っていない」
「金融政策の具体的な手段は日銀に委ねられている」
7日10:35 国際通貨基金(IMF)
「日銀は今年追加利上げ実施の見通し、金利は2027年末までに中立水準に」
「日本の中立金利は1-2%」
「日銀の追加利上げ、内需上向かせるため段階的・柔軟であるべき」
「今年の日本の成長率は1.1%と予想、賃金の伸び継続が内需を下支え」
「日本経済の成長リスクは下向き」
7日16:35 カラハン・トルコ中銀総裁
「指標はディスインフレプロセスと一致」
「引き締め的な政策スタンスを継続」
「第4四半期のデータは活動の緩やかな回復を示している」
7日18:04 レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼主任エコノミスト
「中立金利にあまり焦点を当てないほうが良い」
「2%のインフレ目標はかなり近い将来に達成される見込み」
「1月のサービス価格インフレは予想よりも軟調だった」
7日18:10 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「サービス価格のインフレが依然として最大の物価懸念」
「インフレ率は春から2%に向けて収束し始める見込み」
「金融政策には慎重なアプローチが必要」
7日21:52 ブイチッチ・クロアチア中銀総裁
「市場が見込む3回の利下げは理にかなっている」
「米国の追加関税も、直ちに50ベーシスポイントの利下げにはつながらない」
7日21:54 ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト
「価格圧力を抑えるために、ある程度の制限的政策を維持する必要がある」
「金融緩和は段階的に行い、慎重になる必要がある」
「英国ではデフレーションプロセスが進行中、しかし、仕事が終わったとは言い切れない」
7日23:16 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「市場は中立金利が上昇しているというシグナルを受け止めている可能性」
「雇用統計で最も重要な数字は失業率の4.0%」
「経済は好調であり、インフレを目標まで戻す間、その状態を維持したい」
8日00:56 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「金利は据え置きとなる可能性」
「インフレが低下すれば、それに応じて政策金利を引き下げることが可能」
8日02:13 石破茂首相
「トヨタは米国への投資拡大を検討中」
8日02:17 トランプ米大統領
「対日貿易赤字を解消したい」
「USスチールに関して考えを変えてない」
「来週、相互関税を発表する」
「日本への関税は選択肢」
「相互関税については10日か11日に協議」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=連日激しく振幅、200日線が抑えになるか>
寄引同事線引け。
一時152円台半ばまで回復するものの、6日高値や200日移動平均線には届かず12月10日以来となる151円を割り込んだ。
7営業日続けて1円以上の値幅を作って乱高下していることで、浅めのストップロスはなぎ倒される相場展開が続きそうだ。
本日は7日高値手前まで引き付けて売り、200日線を超えたら手仕舞い。
レジスタンス1 152.42(2/7高値)
前日終値 151.41
サポート1 150.90(2024/12/10安値)
サポート2 150.00(心理的節目)
<ユーロドル=一目・雲の下限を抑えに下値トライか>
陰線引け。
6日高値をわずかに更新するものの、1.04ドルの上値の重さを確認すると弱含み、2手連続の陰線引け。
本日は日足・基準線をめどに売りで臨み、日足・雲の下限や21日線が位置する1.03ドル後半を超えたら手仕舞い。
余裕がある場合は7日高値までは引き付けたい。
レジスタンス1 1.0385(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 1.0328
サポート1 1.0141(2/3安値)
<ユーロ円=昨年9月安値がサポートになるか>
大陰線引け。
158円前後での上値の重さを確認すると、昨年9月以来となる155.87円まで下値を広げた。
3手連続の陰線引け。
日足上に強い売りシグナルとされる三役陰転が点灯しており、引き続き下値が意識されやすいと見る。
まずは昨年9月安値155.15円付近が支持となるか注目したい。
レジスタンス1 157.64(ピボット・レジスタンス 1)
前日終値 156.38
サポート1 155.15(2024/9/16 安値)
<豪ドル円=転換線が重い、94円割れも視野に>
陰線引け。
日足・一目均衡表の転換線が抵抗となる中、昨年9月以来となる94.49円まで下落した。
日足・一目均衡表で三役陰転が点灯中かつ転換線が重いなか、3手連続の陰線引けとなった。
本日早朝に94.32円まで下落しており、同水準を割り込むと昨年9月安値に向けた一段安も想定される。
仮に戻しても下向きの転換線が上値を押さえそうだ。
レジスタンス1 95.83(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 94.95
サポート1 93.59(2024/9/11安値)
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DZH Finacial Research
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