用語解説

ロスカットとは|初心者向けに注意点や回避策などを詳しく解説


FXのロスカットとは、投資家の含み損がある一定の水準(割合)を超えると、FX会社が強制的に決済する仕組みです。

ロスカットが実行されると、損失が確定します。

投資家の保護を目的としており、損失額が大きくなりすぎないようにしています。

本記事では、ロスカットの仕組みや回避方法などを初心者の方向けに詳しく解説します。

FXのロスカットとは

FXのロスカットの意味や、OANDA証券のロスカットルール、計算方法について詳しく解説します。

  • ・意味
  • ・ロスカットルール【OANDA証券の場合】
  • ・ロスカットの計算方法

意味

FXのロスカットとは、含み損がFX会社の定める水準(割合)を超えたときに、強制的に決済される仕組みのことです。

FXはレバレッジにより預けた資金(証拠金)の何倍も大きな取引が行えるメリットがある一方で、損益の管理が分かりづらいデメリットもあります。

高いレバレッジ倍率での運用は、適切なリスク管理がなされていなければ、投資家が意図しないほどに損失が拡大してしまうこともあります。

そうした損失の拡大から投資家を保護することを目的として、FX会社がポジションを強制決済するロスカットという仕組みが導入されています。

ロスカットとは20240825

ロスカットルール【OANDA証券の場合】

OANDA証券のロスカットルールは、東京サーバー(TY3)とニューヨークサーバー(NY4)によって異なります。

  • TY3:証拠金維持率が100%以下となった場合に発動(個人・法人)
  • NY4:証拠金清算割合(%)が100%以上となった場合に発動(個人・法人)

東京サーバーの場合、有効証拠金必要証拠金を下回った場合に(証拠金維持率が100%未満)、損失の大きいポジション(建玉)から順番にロスカットが施行されます。

これは、証拠金維持率が100%を上回るまで続けられます。

※ロスカットは保有しているポジションと反対売買を成行注文で行うので、ロスカット判定時の価格で約定を保証するものではありません。
またお客様の損失額が限定されることを保証するものでもありません。
ロスカットルールがあっても、相場が急激に変動した場合には預けた証拠金以上の損失が発生する可能性があります。

ロスカットの計算方法

ロスカット執行の基準となる証拠金維持率は、以下の計算で求められます。

前述の通り、OANDA証券東京サーバー(TY3)の場合は、証拠金維持率が100%未満になるとロスカットが執行されます。

ロスカットの計算方法

保有ポジションが含み損になっているとき、その含み損が増えると、有効証拠金(証拠金に含み損益を加えた金額)が減っていきます。

有効証拠金の減少が進み、必要証拠金(ポジションを取引するために必要な金額)と同額にまで減ってしまうと、証拠金維持率が100%になったことを意味します。

そこからさらに有効証拠金の減少が進んだら、ロスカット執行となります。

ロスカットを動画で解説

下記の動画では、ロスカットについて詳しく解説しています。

動画をクリックすると、ロスカットの解説が始まります。

OANDA証券では、FX初心者向けにFXの基礎知識に関する様々な動画を提供しています。

ぜひ、取引の参考にしてみてください。

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ロスカットの発生事例

50,000円の資金で10,000ドル(10,000通貨)分の取引を行ったと想定し、ロスカットが発生するまでの流れを解説します。

(証拠金維持率が100%を下回った場合にロスカットが執行される例)

内容をシンプルにするために、1ドル=100円、レバレッジ25倍の例で説明します。

  • ・買いポジションを保有しており損益が0円の場合
  • ・買いポジションを保有していたが相場が1ドル=99.5円まで下落した場合
  • ・買いポジションを保有していたが相場が1ドル=99円まで下落し損失が-10,000円の場合

買いポジションを保有しており損益が0円の場合

1ドル=100円の場合、10,000通貨を取引するのに必要な証拠金は「40,000円」です(レバレッジ25倍)。

買いポジションを保有しており、損益が0円の場合の証拠金維持率は、以下の通りです。

買いポジションを保有しており損益が0円の場合

証拠金維持率は「125%」です。

ロスカットの「100%」に近い水準であることがわかります。

買いポジションを保有していたが相場が1ドル=99.5円まで下落した場合

10,000通貨で取引を行った場合、0.5円(50pips)の下落で「-5,000円」の損失が発生します。

つまり有効証拠金は、45,000円(50,000円-5,000円)です。

上記の計算式に当てはめると、証拠金維持率は以下の通りです。

買いポジションを保有していたが相場が1ドル=99.5円まで下落した場合

上記の場合の証拠金維持率は「112.5%」です。

最初の125%から12.5%減少し、さらにロスカットの「100%」に近づいています。

買いポジションを保有していたが相場が1ドル=99円まで下落し損失が-10,000円の場合

10,000通貨で取引を行った場合、1円(100pips)の下落で「-10,000円」の損失が発生します。

つまり有効証拠金は、40,000円(50,000円-10,000円)です。

上記の計算式に当てはめると、証拠金維持率は以下の通りです。

買いポジションを保有していたが相場が1ドル=99.5円まで下落した場合

上記の場合の証拠金維持率は「100%」です。

最初の125%から25%減少し、とうとう有効証拠金と必要証拠金が等しくなりました。

ここからわずかにでも損失が発生すると(証拠金維持率が100%未満になると)、ロスカットが執行されます。

なお、上記例では、スプレッドやスワップポイントは含まれていません。

あくまで分かりやすいよう単純化して説明したものであることに注意が必要です。

より詳細なロスカット水準を算出する場合は、自動で算出できる「ロスカットシミュレーション」を活用してください。

    ●OANDA証券のロスカットシミュレーション

    OANDA証券が提供する「証拠金・損益シミュレーション」では、ロスカット水準を自動で算出できます。
    口座資産や通貨ペア、取引数量など必要事項を入力するだけで誰でも簡単に利用可能です。

    OANDA証券のロスカットシミュレーション

    「証拠金・損益シミュレーション」は、以下のリンクから利用できます。

    証拠金・損益シミュレーション

ロスカットに関する注意点

ロスカットは投資家を保護するために導入されていますが、注意すべき点が2点あります。

ここでは、その注意点について詳しく解説します。

  • ・ロスカットはルール通りの執行を保証するものではない
  • ・預けた証拠金以上の損失が発生するリスクがある

ロスカットはルール通りの執行を保証するものではない

ロスカットは、ルール通りの執行を保証するものではないため注意が必要です。

急激な価格変動が起きた場合や流動性が低下した場合には、ロスカットルールによって計算(判定)される価格よりも乖離した、不利な価格で取引が成立する可能性があります。

その結果として、損失が想定よりも大きくなる可能性があることを、理解しておく必要があります。

預けた証拠金以上の損失が発生するリスクがある

何らかの理由により短期間での急激な価格変動が発生した場合には、預けた証拠金以上の損失が発生するレートでロスカット執行となる可能性があります。

証拠金以上の損失額が発生すると、口座残高はマイナスとなり、マイナスを解消する金額を別途入金(追加証拠金を入金)しなければなりません。

有効証拠金が少なければ(証拠金維持率が低ければ)、ロスカットが執行される可能性が高くなります。

ロスカットを回避する方法については、次項で紹介します。

ロスカットを回避する4つの方法

ロスカットによってポジションが強制的に決済されるということは、大きな損失が確定することを意味します。

基本的には、ロスカットにならないように運用することが推奨されます。

ここでは、ロスカットを回避する4つの方法を解説します。

  • ・【回避方法1】低レバレッジで取引を行う
  • ・【回避方法2】損切りを行う
  • ・【回避方法3】保有しているポジションを一部決済する
  • ・【回避方法4】追加で証拠金を入金する

【回避方法1】低レバレッジで取引を行う

回避方法として、低レバレッジで取引を行うことが挙げられます。

FXには預けた資金(証拠金)の何倍も大きな取引ができる「レバレッジ」という仕組みがあります。

レバレッジを利用した取引はより大きな利益を期待できますが、その分大きな損失が発生する可能性があります。

つまり、レバレッジ倍率が高いほどロスカットリスクも高まるということです。

そのため、取引に慣れていない初心者の方は、まずは低いレバレッジ倍率で取引を行うことが推奨されます。

レバレッジについては、以下の記事で詳しく解説しています。

FX取引のレバレッジとは|仕組み・計算方法を解説

【回避方法2】適切な損切りを行う

含み損を抱え続けずに、適度に損切りを行うことが大切です。

損失が小さい段階で損切りすることは、有効証拠金が減り続けてしまうことを防げます。

一方、含み損を損切りできなければ、損失額が拡大してしまい、より一層損切りができなくなる悪循環に陥ってしまうこともあります。

損切りの方法として「1回の取引で何%の含み損が発生したら損切りをする」といった、具体的なルールを決めておくとよいでしょう。

他の様々な損切り方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

FX取引の損切りとは|設定目安・ルールの決め方を解説

【回避方法3】保有しているポジションを一部決済する

ポジションを一部決済することも、回避方法として挙げられます。

ポジションを一部決済することで有効証拠金が増え、証拠金維持率が回復するためです。

ただし、不利な方向へのトレンドが発生している場合には、再び証拠金維持率が低下していくため注意が必要です。

【回避方法4】追加で証拠金を入金する

追加で証拠金を入金する方法も挙げられます。

証拠金を新たに追加することで有効証拠金が増え、証拠金維持率が回復し、ロスカットのリスクを遠ざけられます。

ただし、証拠金の余力が増えるため、さらに不利な方向にトレンドが発生した際には、よりロスカット時の損失額が増えてしまう可能性があります。

ロスカットに関するQ&A

ロスカットに関するよくある質問を2つ紹介します。

  • ・ロスカットが間に合わないとどうなりますか?
  • ・ロスカットと損切りの違いは何ですか?

ロスカットが間に合わないとどうなりますか?

相場が急変しているときなどには、ロスカットルールで定められた条件から乖離したレートで、ロスカットが行われる場合があります。

ロスカットのレートが乖離した場合は、証拠金を上回る損失が発生してしまう可能性もあります

そうなってしまった場合は、証拠金がマイナスの状態になるため、マイナスが解消されるように追加で資金を入金しなければなりません。

これを追加証拠金、または追証(おいしょう)と呼びます。

ロスカットと損切りの違いは何ですか?

ロスカット(FX会社による強制ロスカット)と損切りの違いは、「自分の意思で行っているかどうか」です。

  • ロスカット:FX会社によって強制的にポジションが決済される
  • 損切り:自分の意志でポジションを決済する

なお、自分の意思で損切りすることをロスカットと呼び、それとはっきり区別するために、FX会社によるものを強制ロスカットと呼ぶ場合もあります。

【まとめ】ロスカットとは|初心者向けに注意点や回避策などを詳しく解説

ロスカットとは、含み損が一定の水準(割合)を超えた場合に、FX会社が強制的に決済する仕組みです。

損失が大きくなりすぎないよう、投資家を保護する目的で導入されています。

ただし、短期間での急激な価格変動が起きた場合には、ロスカットのレートが想定より乖離し、大きな損失になってしまう可能性もあります。

自身の資金を守るためには、低レバレッジでの取引を心がけ、損切りなどリスク管理を行い、ロスカットを回避することが重要です。

FXでは、ロスカット以外にもレバレッジやスプレッドなど様々な専門用語が存在します。

OANDA証券では、専門用語やFXの相場分析方法など、これからFXを始める初心者の方向けに詳しく解説したコンテンツを豊富に提供しています。

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