February 6, 2025
【前日の為替概況】ドル円、3日続落 一時152.12円と昨年12月12日以来の安値更新
5日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続落。
終値は152.61円と前営業日NY終値(154.34円)と比べて1円73銭程度のドル安水準だった。
1月ADP全米雇用報告で政府部門を除く非農業部門雇用者数が18.3万人増と予想の15.0万人増を上回ったことが分かると円売り・ドル買いが先行。
23時過ぎに一時153.21円付近まで下げ渋った。
ただ、1月米ISM非製造業指数が52.8と予想の54.3を下回ると全般ドル売りが優勢に。
1時前には一時152.12円と昨年12月12日以来の安値を更新した。
東京時間発表の12月毎月勤労統計の結果を受けて、「日銀の追加利上げの時期が早まる」との観測が高まったことも引き続き相場の重しとなった。
ユーロドルは続伸。
終値は1.0403ドルと前営業日NY終値(1.0379ドル)と比べて0.0024ドル程度のユーロ高水準だった。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.4001%前後と昨年12月18日以来の低水準を付けるとユーロ買い・ドル売りが進行。
米ISM非製造業指数の下振れもユーロ買い・ドル売りを促し、一時1.0442ドルと日通し高値を更新した。
レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミストが「ディスインフレの過程は順調に進んでいる」としながらも、「インフレに新たな上振れリスク発生の可能性」「インフレの減速は予想以上に時間がかかる恐れ」と述べたこともユーロ買いを誘ったもよう。
ただ、一目均衡表雲の下限が位置する1.0444ドルや1月30日の高値1.0467ドルがレジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。
ユーロ円は反落。
終値は158.75円と前営業日NY終値(160.20円)と比べて1円45銭程度のユーロ安水準。
23時過ぎに一時159.60円付近まで上げたものの戻りは鈍かった。
ドル円の下落につれた売りが出ると一時158.50円と本日安値を付けた。
日銀の追加利上げ観測を背景に円買いが入りやすい面もあった。
【本日の東京為替見通し】円買い・ドル売りの流れの中で迎える要人発言に注目
本日の東京市場では、ドル円は田村日銀審議委員の発言機会に注意しつつも、下値が意識されやすい展開となるか。
一昨日に植田日銀総裁が「デフレではなくインフレの状態にある」と発言したほか、昨日は赤沢経済再生相が「足もとはインフレの状態という認識、植田総裁と齟齬ない」と述べた。
一連の発言を受け、政府によるデフレ脱却宣言と共に日銀の早期利上げが意識され、円が買われている。
そうした中、本日の田村日銀審議委員の発言内容には否応なく注目が集まる。
田村委員は、今年1月の日銀会合で利上げに賛成し、昨年12月には委員の中で唯一利上げを提案(反対多数で否決)するなど、市場ではタカ派的とみなされている。
市場の予想通りタカ派的な内容となれば、昨日一時1.295%と2011年4月以来の水準に上昇した新発10年物国債利回りにさらなる上昇圧力が掛かると共に、円買い圧力が一段と強まるだろう。
しかし、ドル円は今月に入り高値から4円近く下落している点を踏まえると、高まった日銀の早期利上げ期待を鎮めるような内容だと買い戻しを誘うこともあり得る。
市場が不安定になっているだけに、発言内容には神経質な展開となることも考えられる。
テクニカル面でも、ドル円は日足一目均衡表で三役陰転が点灯したほか、前週からわずかに低下傾向となっている200日移動平均線(本日は152.80円付近)を下抜いている。
このため、下押す材料に反応しやすい地合いとなっている点には注意したい。
また、今月のドル円の下落要因として、12月雇用動態調査(JOLTS)求人件数や1月ISM非製造業景況指数など弱めの結果が相次いだことによるドル売りの面も見逃せない。
米10年債利回りが昨年12月以来の水準に低下していることを踏まえると、円売り局面でも上値抑制要因となるかもしれない。
昨日はややタカ派とされる米リッチモンド連銀のバーキン総裁が「今年は依然として利下げに傾いている」「米国経済の過熱の兆候は見られない」などと発言したほか、ハト派とされる米シカゴ連銀のグールズビー総裁からは「インフレは低下し、2%の目標に近づいている」との発言が伝わっている。
アジア時間には中立派とされるジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)理事の講演が予定されており、金融政策に関する発言があれば材料視されるかもしれない。
そのほか、材料としては一服感があるが、トランプ政権の関税を始めとした政策には引き続き気を付けたいところだ。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○10:30 ◇ 田村直樹日銀審議委員、あいさつ
<海外>
○09:30 ◎ ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○09:30 ◇ 12月豪貿易収支(予想:70.00億豪ドルの黒字)
○15:45 ◇ 1月スイス失業率(季節調整前、予想:2.9%)
○16:00 ◎ 12月独製造業新規受注(予想:前月比2.0%/前年同月比▲10.5%)
○16:00 ◎ 1月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.6%/前年比0.5%)
◎ コア指数(予想:前月比▲0.2%/前年比1.6%)
○18:30 ◎ 1月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:53.5)
○19:00 ◎ 12月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲0.1%/前年比1.9%)
○21:00 ☆ 英中銀(BOE)、政策金利発表(予想:4.50%に引き下げ)
○21:00 ☆ 英中銀MPC議事要旨
○21:30 ◇ 1月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○22:30 ◇ 10-12月期米非農業部門労働生産性・速報値(予想:前期比1.4%)
○22:30 ◇ 10-12月期米単位労働コスト・速報値(予想:前期比3.4%)
○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.3万件/187.4万人)
○24:00 ◇ 1月カナダIvey購買部協会景気指数
○7日01:15 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○7日04:00 ◎ メキシコ中銀、政策金利発表(予想:9.50%に引き下げ)
○7日04:30 ◎ ウォラーFRB理事、講演
○7日05:30 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○7日06:05 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○ニュージーランド(ワイタンギ・デー)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
5日09:31 トランプ米大統領
「ウクライナやロシアと建設的な協議を行っている」
「今後、イスラエルとガザ、サウジアラビアを訪問予定」
5日20:24
「イランが平和的に成長し繁栄することを可能にする、検証可能な核平和協定を強く望む」
「イランの成功を望むが、核兵器は持たせない」
5日09:37 赤沢経済再生相
「足もとはインフレの状態という認識、植田総裁と齟齬ない」
5日09:38 ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)副議長
「政策スタンスの変更を急ぐ必要はない」
「中期的に漸進的な利下げを引き続き想定している」
5日12:43 正木日銀企画局長
「基調的な物価上昇率は2%の目標に向かって徐々に高まっている」
「物価高のかなりの部分はコストプッシュ要因であり、先行きは和らぐ」
5日20:31 ルラ・ブラジル大統領
「BRICSは米ドルに代わる通貨で貿易について議論する権利」
「米国も世界を必要としており、ブラジルやメキシコを必要としている」
「もちろんブラジルは税金に関して米国に対して互恵主義を適用する」
「米国は世界から孤立しつつある。我々には調和が必要だ」
5日21:06 スターマー英首相
「EUとの貿易障壁を撤廃する決意」
5日22:09 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「関税の影響を知るのは難しい」
「トランプ政権の政策の多くは経済の不確実性を高めている」
「今年は依然として利下げに傾いている」
「米国経済の過熱の兆候は見られない」
「依然として政策金利はやや制限的だと考えている」
5日23:05 レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト
「インフレに新たな上振れリスク発生の可能性」
「インフレの減速は予想以上に時間がかかる恐れ」
6日05:00 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「インフレは低下し、2%の目標に近づいている」
「インフレが上昇したり、進展が停滞したりした場合、FRBはそれが過熱によるものか関税によるものかを見極める必要がある」
「インフレの原因を区別することは、FRBがいつ行動すべきか、あるいは行動すべきかどうかを決定する上で重要になる」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=日足一目・雲の下限が抵抗となるか>
陰線引け。
売り優勢のまま、153円前半の日足一目・雲の下限や152円後半の200日線を下抜けた。
昨年12月12日以来の安値圏152円前半で下落一服も、3手連続の陰線引け。
本日の200日線は152.80円で横ばいであり、暫く同線を念頭に置いた取引か。
反発した場合でも、153.30円台の雲の下限が抵抗水準として意識される。
下サイドは、徐々にではあるが昨年12月前半以来の150円割れが視野に入ってきた。
レジスタンス1 153.37(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 152.61
サポート1 151.81(2024/12/12安値)
サポート2 150.72(ピボット・サポート2)
<ユーロドル=低下した日足一目・雲の下限を巡る攻防に>
陽線引け。
1.04ドル台に乗せて上値を試した。
ただ昨日まで1.0444ドルにいた日足一目・雲の下限には届かず。
上値を切り下げて終えるも3手連続の陽線引け。
雲の下限は本日から1.0385ドルまで低下し、暫く同水準で横ばい。
本日は雲下限を巡る攻防が注目される。
厚い雲が重しとなるようだと、1.0337ドルで並ぶ転換線と基準線が支持となるか試す場面がありそうだ。
レジスタンス1 1.0467(1/30高値)
前日終値 1.0403
サポート1 1.0337(日足一目均衡表・転換線と基準線)
<ユーロ円=3日安値が支持となるかがポイントに>
大陰線引け。
160円前半を頭に売りが優勢のとなり、159円前半の前日安値圏を下抜けると158.50円まで下げ幅を広げた。
4手ぶりの陰線引け。
3日に作った長いヒゲを埋めに行く勢いが出ている。
158円割れの同日安値が支持となるかがポイントだろう。
下抜けるようだと、昨年12月初旬に支えられた156円前半が意識されるだろう。
レジスタンス1 159.87(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 158.75
サポート1 157.97(2/3安値)
<豪ドル円=一目・転換線が重しとなり、下値試す展開か>
陰線引け。
96.60円台の日足一目・転換線が抵抗水準として働き、下値を試した。
96円を割り込み、4日安値の手前で下げ渋るも4手ぶりの陰線引け。
転換線は本日96.60円台でやや低下だが、明日には96円付近まで水準を切り下げる見込み。
同線の重さが意識されるようだと、下値警戒感が高まる。
95円半ばの4日安値をクリアに下抜けると、3日安値94.62円を目指す展開に。
レジスタンス1 96.61(2/5高値=日足一目均衡表・基準線)
前日終値 95.92
サポート1 94.62(2/3安値)
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