イーサリアム(ETH)とは|初心者向けに特徴やビットコインとの違いなどをわかりやすく解説
イーサリアム(Ethereum)とは、イーサリアムプロトコルと呼ばれるブロックチェーン技術を用いたプラットフォーム、もしくはそのプラットフォームで用いられる暗号資産(仮想通貨)のことです。
本記事では、イーサリアムの特徴やビットコインとの違いなどを、わかりやすく解説します。
目次
- 1.イーサリアム(ETH)とは
- 2.イーサリアム(ETH)の特徴
- 3.イーサリアム(ETH)のリスク
- 4.イーサリアム(ETH)の価格推移
- 5.イーサリアム(ETH)に関するQ&A
- 6.【まとめ】イーサリアム(ETH)とは|初心者向けに特徴やビットコインとの違いなどをわかりやすく解説
イーサリアム(ETH)とは
イーサリアムとは「イーサリアムプロトコル」と呼ばれるブロックチェーン技術を用いたプラットフォームの総称です。
このプラットフォーム内で用いられる暗号資産(仮想通貨)を、イーサ(ether/ETH)と呼びます。
イーサリアムとイーサは異なるものですが、日本では一般的にどちらも「イーサリアム」と表現されます。
イーサリアムには「スマートコントラクト(自動で要件が実行される機能)」という独自の機能があり、この機能を政府機関の業務などで採用する国が増えています。
イーサリアム(ETH)は2025年3月時点で、ビットコインに次いで時価総額世界第2位の仮想通貨です。
イーサリアム(ETH)の特徴
イーサリアム(ETH)の特徴は、以下の通りです。
- ・スマートコントラクト
- ・トークン規格「ERC」を提供している
- ・DAppsのプラットフォームとして機能
- ・NFTのプラットフォームとしての機能
- ・発行上限がない
スマートコントラクト
スマートコントラクトとは「所定の条件が満たされると自動で実行される技術」のことです。
これにより、契約の履行が透明かつ信頼性の高いものになり、中間業者を除いて取引を効率化することができます。
改ざんは極めて困難であるため、不動産契約や保険契約などの、あらゆる契約の場面で用いられています。
「スマートコントラクト」については、以下の記事で詳しく解説しています。
スマートコントラクトとは?仕組みやガス代の必要性などについて解説トークン規格「ERC」を提供している
トークン規格の「ERC」を提供していることも、イーサリアムの特徴です。
トークンとは「既存のブロックチェーン技術を使って発行される暗号資産(仮想通貨)」のことです。
イーサリアムやビットコインのように、独自のブロックチェーン技術を生み出していない仮想通貨は、一般的にトークンに分類されます。
トークンが借りる既存のブロックチェーン技術は「トークン規格」と呼ばれます。
イーサリアムが提供するトークン規格はERC(Ethereum Request for Comments)と言います。
ERCの中でも代表的な規格は「ERC-20」です。
ERC-20で発行されたトークン(仮想通貨)の例は、以下の通りです。
- ・MATIC(ポリゴン)
・LINK(チェーンリンク)
・MKR(メイカー)
・BAT(ベーシックアテンショントークン)
・OMG(オーエムジー)
上記の通り、イーサリアムは様々な仮想通貨の技術の基盤となっています。
DAppsのプラットフォームとして機能
イーサリアムは、DApps(分散型アプリケーション)のプラットフォームとしても機能しています。
スマートコントラクトを活用することで、開発者はブロックチェーン上で独自のアプリケーションを構築することができます。
代表的な例として、ブロックチェーンゲームやDeFi(分散型金融)などが挙げられます。
NFTのプラットフォームとしての機能
イーサリアムは、NFTのプラットフォームとしても活用されています。
NFTとは「非代替性トークン」のことで 「改ざんや偽造ができないデジタルデータ」のことです。この「偽造不可能なデータ」は、イーサリアムのスマートコントラクトで記録されています。
NFTは「著作権・所有権」などを証明する必要があるとされていますが、スマートコントラクトによりこれを補っています。
発行上限がない
イーサリアムは、発行上限が設定されていないことも特徴の1つです。
ビットコインとは異なり、ETHは新しいコインがマイニングされ続けるので、供給量が増加します。
これにより、ネットワークの成長と参加者への報酬提供が安定的に可能となります。
一方で、上限が設定されていないため、インフレのリスクが懸念されています。
この対策として、バーン(焼却)を行うことで、通貨量の調整が行われています。
イーサリアム(ETH)のリスク
イーサリアム(ETH)には、主に以下のようなリスクがあります。
- ・スケーラビリティの問題がある
- ・ガス代(手数料)が高騰傾向にある
- ・ボラティリティが大きい
スケーラビリティの問題がある
イーサリアムは、スケーラビリティ(拡張性)の問題を抱えています。
スケーラビリティ問題とは「ブロックチェーンの情報処理能力の限界により、各種の障害や弊害が起こる問題」のことです。
具体的には、「処理の遅延」や「手数料の高騰」などが挙げられます。
スケーラビリティ問題はイーサリアムに限られたものではなく、ビットコインなどブロックチェーンを用いる大部分の暗号資産(仮想通貨)に共通する課題です。
ガス代(手数料)が高騰傾向にある
イーサリアムの送金などの様々な操作では「ガス代」と呼ばれる手数料がかかります。
イーサリアムでは、ガス代が時折高騰することが初期から課題とされていました。
ガス代が高騰する原因の1つは「イーサリアムの手数料が固定されていない」ことです。
イーサリアムの様々な操作では、ユーザーが高い手数料を支払うほど、優先的に処理される仕組みになっています。
このため、早く処理してほしいユーザーは高い手数料を支払うようになり、処理が殺到している時には競争原理で価格が高騰します。
ボラティリティが大きい
イーサリアムは、ボラティリティ(価格変動率)が大きい傾向があり、大きな価値の上昇や下落が生じることがあります。
これにより、大きな利益が狙える反面、価格予測の不確実性が高まり、大きな損失を被る可能性があります。
イーサリアム(ETH)の価格推移
出典:TradingView
上の長期チャートはイーサリアム/米ドルの過去5年間の推移を示しています。
- ・【2020年】DeFiやNFTが注目される
- ・【2021年】ビットコインのETFが承認され過去最高値を更新
- ・【2022年5月】FRB利上げ・TerraUSD(UST)の暴落などの影響を受け大幅に下落
- ・【2022年9月】大型アップデート「The Merge」で価格が回復
2020年には、DeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)が注目を集めました。
DeFiプラットフォームは、銀行のような仲介者を介さずに金融サービスを提供する技術として注目されました。
一方、NFTは代替不可能という特徴を活かし、デジタルアートやコレクティブルの独自性を証明する手段として、アーティストや投資家から注目を集め、その取引量が急増しました。
2021年には、米国で初めてビットコイン(BTC)の上場投資信託(ETF)が承認されました。
これにより個人投資家や機関投資家の参入が増加し、ビットコインの価格が過去最高値を更新する主な要因となり、その他の暗号資産(仮想通貨)も上昇しました。
2022年5月には、FRB(連邦準備制度理事会)の利上げや、アルゴリズム型ステーブルコインであるTerraUSD(UST)の暴落などが原因とされ、イーサリアムは大きく下落しました。
2022年9月には、イーサリアムの大型アップデート「The Merge」が行われました。
このアップデートは、環境負荷の高いPoW(プルーフ・オブ・ワーク)からPoS(プルーフ・オブ・ステーク)へ移行しました。
持続可能性やスケーラビリティが向上し、価格が回復するきっかけとなりました。
イーサリアム(ETH)に関するQ&A
イーサリアム(ETH)に関して、よくある質問は以下の通りです。
- ・イーサリアム(ETH)はどこで買えますか?
- ・イーサリアム(ETH)とビットコイン(BTC)の違いは何ですか?
- ・イーサリアム(ETH)はPoWからPoSへ移行したんですか?
- ・イーサリアムクラシックとは何ですか?
- ・イーサリアム(ETH)の欠点は何ですか?
イーサリアム(ETH)はどこで買えますか?
イーサリアムの購入は、主に暗号資産(仮想通貨)の「販売所」か「取引所」で行えます。
ただし、金融庁や財務局に登録されている業者なのかを確認することが重要です。
令和7年2月28日時点の登録業者は、以下のリンクより確認できます。
金融庁:暗号資産交換業者登録一覧
イーサリアム(ETH)とビットコイン(BTC)の違いは何ですか?
イーサリアムとビットコインの特に大きな違いは、発行の目的です。
ビットコインは、従来の法定通貨に代わる新しい通貨(仮想通貨)として発行されました。
一方、イーサリアムは仮想通貨としての機能だけでなく、スマートコントラクトなどの機能も持ちます。
また両者の違いとしては、運用の開始時期も挙げられます。
ビットコインは2009年でイーサリアムは2014年と、ビットコインの方が5年早く運用を開始しています。
「ビットコイン(BTC)」については、以下の記事で詳しく解説しています。
ビットコイン(BTC)とは|特徴やメリット・デメリットなどをわかりやすく解説イーサリアム(ETH)はPoWからPoSへ移行したんですか?
イーサリアムはビットコイン同様に、マイニング作業によってブロックチェーンの正当性を担保するPoW(Proof of Work)の仕組みを採用していましたが、2022年9月にPoS(Proof of Stake)に移行しました。
PoSとは、保有量や保有期間に応じて暗号資産(仮想通貨)が与えられる仕組みです。
このアップデートにより、マイニングに必要とされる膨大な電力消費が軽減されました。
「PoW(Proof of Work)」については、以下の記事で詳しく解説しています。
ブロックチェーンのPoW(Proof of Work)とは?仕組みや必要な理由について詳しく解説イーサリアムクラシックとは何ですか?
イーサリアムクラシック(Ethereum Classic/ETC)とは、分散型アプリケーションやスマートコントラクトを構築するためのプラットフォームです。
イーサリアム同様の機能を持ちますが、一定の発行上限があり、減少期が設定されている点が特徴です。
イーサリアム(ETH)の欠点は何ですか?
イーサリアムの主な欠点は、以下の通りです。
- ・スケーラビリティの問題
- ・ガス代(手数料)が高い
- ・ボラティリティが高い
詳しくは、上述のイーサリアム(ETH)のリスクの段落で解説しています。
【まとめ】イーサリアム(ETH)とは|初心者向けに特徴やビットコインとの違いなどをわかりやすく解説
イーサリアムとは「イーサリアムプロトコル」と呼ばれるブロックチェーン技術を用いたプラットフォーム、もしくはそのプラットフォームで用いられる暗号資産(仮想通貨)のことです。
ビットコインとの違いは開発の目的や発行上限がないことで、特徴であるスマートコントラクトは様々な分野での活用が進んでいます。
OANDA証券では、イーサリアムなどの用語も含め、仮想通貨に関する基礎知識を、以下のコンテンツでわかりやすく解説しています。
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