January 16, 2025
【前日の為替概況】ドル円、反落 156円割れでは下落一服 ユーロ円も大幅に反落
15日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。
終値は156.47円と前営業日NY終値(157.96円)と比べて1円49銭程度のドル安水準だった。
米労働省が発表した12月米消費者物価指数(CPI)は前年比2.9%上昇と市場予想通りの結果となったものの、エネルギーと食品を除くコア指数は前年比3.2%上昇と予想の3.3%上昇を下回った。
市場では「米インフレ再加速への懸念がいったん後退した」との受け止めから、米長期金利が大幅に低下。
全般ドル売りが優勢となり、一時155.95円と昨年12月19日以来の安値を付けた。
米10年債利回りは指標発表前の4.76%台から4.63%台まで急低下した。
ただ、売りが一巡すると下げ渋った。
対欧州通貨中心にドルの買い戻しが進んだ流れに沿って、1時30分過ぎには156.74円付近まで下値を切り上げた。
なお、米連邦準備理事会(FRB)はこの日公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)で「米経済活動は全ての地区で小幅から緩やかなペースで拡大した」と総括。
「2025年の見通しについては楽観的な見方が悲観的な見方を上回ったものの、一部の地区は移民や関税政策の変更が経済に悪影響を及ぼす可能性があると懸念を示した」と指摘した。
ユーロドルは小反落。
終値は1.0289ドルと前営業日NY終値(1.0308ドル)と比べて0.0019ドル程度のユーロ安水準だった。
米CPIコア指数が予想を下回ったほか、1月米NY連銀製造業景気指数が予想を大幅に下回ると米長期金利が急低下。
全般ドル売りが活発化し、22時30分過ぎに一時1.0354ドルと日通し高値を更新した。
ただ、一目均衡表基準線が位置する1.0359ドルがレジスタンスとして働くと失速した。
対欧州通貨中心にドル買い戻しが進んだ流れに沿って一時1.0260ドルと日通し安値を更新した。
ユーロ円は反落。
終値は160.99円と前営業日NY終値(162.83円)と比べて1円84銭程度のユーロ安水準。
ドル円の下落につれたあとは、ユーロドルの失速に伴う売りが出て一時160.80円と日通し安値を更新した。
植田和男日銀総裁は本日アジア時間に「来週の金融政策決定会合で利上げを行うかどうかについて議論し、判断する」などと発言。
日銀による追加利上げ観測の高まりを背景に円買いが入りやすい面もあったようだ。
【本日の東京為替見通し】円買いトレンド継続、本邦輸入物価指数・豪雇用統計に注目
本日の東京時間でドル円は上値が重いか。
ここ最近の市場の動きをみると、米金利が上昇する局面では欧州やオセアニア通貨に対してドル買いは進むものの、円に対してのドル買いの反応は鈍かった。
むしろ、米金利上昇による株売りに反応し、ドル円は上値が重くなった。
逆に昨日は米金利の低下で、ドル円は下げ幅を広げたものの、米株の上昇にもかかわらずクロス円を含め上値が重くなった。
米金利の動向に欧州通貨等は連れるものの円の反応が鈍く、トレンドとして円買い意欲が強いということが現時点では明確だ。
円買い意欲が強いのは、来週に予定されている日銀金融政策決定会合での利上げ観測が高まっていることが主要因。
12月の日銀会合後に発表された本邦の経済指標は、会合翌日の20日に発表された11月全国CPIコアが前年比で予想を僅かに上回り2.7%(予想2.6%)となったが、27日発表の12月東京都区部CPIは前年比で予想より下回り2.4%(予想2.5%)だった。
今月9日発表の11月賃金指数は4カ月連続でマイナスになるなど、インフレの高進が確認されたわけではない。
しかしながら、大企業を中心に賃上げを示唆する声が高まっていることで、12月の政策決定会合時ではハト派と捉えられる発言をしていた植田日銀総裁は、昨日は「金融政策、経済・物価の情勢の改善が続けば政策金利を引き上げ、緩和度合いを調整」とタカ派と捉える見解を示した。
このことで、早ければ来週利上げの可能性の思惑が高まっている。
米国が利下げ停止に傾いていることで、対ドルでの円買いは限られているが、欧州通貨はディスインフレや財政不安などもあり買えず、新興国通貨もインフレ抑制や株安もあり買うことができない状況で、消去法的にも円は買われやすく、クロス円の売りも重しにドル円は軟調な動きになりそうだ。
そういった中で本日は注目されるのが、本邦12月企業物価指数。
特にこの中で明らかになる輸入物価指数を確かめることになる。
輸入物価指数に関しては円安が進行していることもあり、この数年は注目度が増している。
12月の日銀会合後の質疑応答で植田日銀総裁が、「オントラックにもかかわらず利上げをしなかったことで円安が進行したことへの評価」を記者から質問されると、「輸入物価の対前年比でみると、割と落ち着いているという状況であることも考慮に入れた」と回答。
また、ほかの記者から「10月末時点と比べても3円ほど円安に振れているように、円安が物価上振れをもたらすリスクというのは10月時点と比べて高まっている」ことへの見方についても、為替の影響が日本の物価やインフレ率に影響を与えていることは認識しているとしたが、現時点では「対前年比でみた輸入物価の上昇率が落ち着いている」と2度にわたって、12月時点での円安水準については許容範囲内と捉えられる発言を繰り返した。
くわえて、今月9日に日銀大阪支店長は「輸入物価は落ち着いている、物価加速懸念が高まっているわけではない」と発言。
一方で、一昨日氷見野日銀副総裁は、輸入物価指数が11月速報値は+1.5%と10月の改定値+2.9%より低下していたにも関わらず、「かなり高い伸び」「円安による輸入物価の上昇、影響をよく見ていく必要」と述べ、植田総裁や大阪支店長と真逆の意見を述べた。
副総裁の発言が今日発表される結果を既に認識してのものだったのか、それとも10・11月がプラスだったことで高い伸びとしたのかが気になるところだが、今回の発表で明らかになる。
仮に輸入物価が上昇していた場合には、インフレや円安の流れを阻止するためにも、1月の利上げの可能性が更に高まり、ドル円の上値を抑える要因にもなるだろう。
円以外では豪州の12月の雇用統計に注目。
11月の豪雇用統計は失業率、新規雇用者数がともに市場予想よりも強い結果になった。
しかし、昨年の12月9-10日に開催された豪準備銀行(RBA)理事会では「インフレの上振れリスクは緩和。CPIは持続的に目標に戻ると確信」とハト派的な見解が示された。
12月の雇用統計で11月に続き労働市場のひっ迫が確認されれば、賃金上昇によるインフレ圧力の高まりにより、RBAのスタンスが再び変わる可能性があるかもしれない。
一方で、雇用情勢が悪化した場合は、RBAの早期の利下げ予想が高まることになるだろう。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 12月企業物価指数(予想:前月比0.4%/前年比3.8%)
<海外>
○09:01 ◇ 12月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格(予想:27)
○09:30 ◎ 12月豪雇用統計(予想:失業率4.0%/新規雇用者数1.50万人)
○未定 ◎ 韓国中銀、政策金利発表(予想:2.75%に引き下げ)
○16:00 ◎ 12月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.4%/前年比2.6%)
○16:00 ☆ 11月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.2%)
○16:00 ◎ 11月英鉱工業生産指数(予想:前月比0.1%/前年比▲1.0%)
○16:00 ◎ 11月英製造業生産高(予想:前月比横ばい)
○16:00 ◇ 11月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:179.00億ポンドの赤字/36.00億ポンドの赤字)
○19:00 ◇ 11月ユーロ圏貿易収支(予想:季調前85億ユーロの黒字/季調済115億ユーロの黒字)
○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表(予想:5.75%で据え置き)
○21:30 ☆ 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(12月12日分)
○22:15 ◇ 12月カナダ住宅着工件数(予想:24.50万件)
○22:30 ☆ 12月米小売売上高(予想:前月比0.6%/自動車を除く前月比0.4%)
○22:30 ◇ 12月米輸入物価指数(予想:前月比0.1%)
○22:30 ◎ 1月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:▲5.0)
○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.0万件/187.1万人)
○24:00 ◇ 11月米企業在庫(予想:前月比0.1%)
○24:00 ◎ 1月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:45)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
15日12:25 レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト
「金融緩和の効果が表れるまでにはしばらく時間がかかる」
「基本的にまだ景気回復モードにある」
15日13:25 植田日銀総裁
「金融政策、経済・物価の情勢の改善が続けば政策金利を引き上げ緩和度合いを調整」
「来週の会合で利上げなど行うか判断」
15日14:54 加藤財務相
「金融政策そのものは日銀が判断」
「緊密な連携踏まえ、デフレ脱却に向け適切な金融政策運営を期待」
「今後の会合でどう議論されるかは注視」
「足元の為替は急激な動きがみられる」
「(為替について)行き過ぎた動きには適切に対応」
15日17:27 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「ディスインフレーションのプロセスは順調に進行」
「経済成長に対するリスクは依然として下振れ方向」
「今後のデータが我々のベースラインシナリオを裏付ける場合、さらなる利下げが予想される」
「高い不確実性のため、金利設定には慎重さが求められる」
「引き締めの緩和を継続すると予想」
「国内のインフレは低下しているが、依然として高水準」
「最新のデータは経済が勢いを失っていることを示唆」
15日17:56 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「利下げは経済の資金調達を後押し」
「金利が夏までに2%に達するのは理にかなっている」
「我々はインフレとの戦いにほぼ勝利した」
16日01:14 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「不確実性が非常に高い環境下では金融政策はデータに左右される」
「政府の政策見通しが不確実性の主な要因」
「金融政策は経済見通しに対して適切な位置にある」
「需給バランスの改善により利下げが可能になった」
「バランスシートの縮小は順調に進んでいる」
「今年の成長率は2%に落ち着くと予想」
「失業率は4%~4.25%で推移すると予想」
「インフレ期待は安定している」
「FRBは入手したデータを分析するのに時間をかけることが可能」
16日01:26 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「インフレ率は目標の2%に向かって低下している」
「物価上昇圧力は引き続き緩和」
「雇用市場は安定しているようだ」
16日01:37 テイラー英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「生産のさらなる弱体化と急速なディスインフレのリスクを認識」
「リスクバランスの変化に対する保険の必要性」
「リスクは下振れ方向に偏っている」
「予防的に金利を引き下げることは理にかなっている」
「金利を正常に戻す時期」
「政策金利は依然として中立水準をはるかに上回っている」
16日02:52 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「インフレは引き続き進展すると見ている」
「多くの不確実性が残っている」
「2025年はソフトランディングできると楽観的」
16日04:05 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
「米経済活動は全ての地区で僅かから緩やかに拡大した」
「エネルギー活動はまちまち」
「2025年の見通しについては楽観的な見方が悲観的な見方を上回った」
「ただ、いくつかの地区は移民政策や関税政策の変更が経済に悪影響を及ぼす可能性があると懸念を示した」
「雇用は全体的に上昇し、6地区がわずかな増加を報告し、6地区が横ばいと報告」
「ほとんどの地区で賃金の伸びは緩やかなペースで加速したものの、賃金圧力が緩和したとの報告もあった」
「物価は全体として緩やかに上昇し、伸び率は横ばいから緩やかな範囲だった」
「物価は2025年も上昇し続けると予想しており、関税の引き上げが価格上昇に寄与する可能性があることを指摘する地区もあった」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=上向きの一目・基準線が支持となるか注目>
大陰線引け。
158円超えで頭を抑えられて下値を試す展開に。
155.90円台の昨年12月20日安値を僅かに下回ったところでやっと下落が一服した。
日足一目・転換線は157.40円台まで水準を切り下げ。
近いところに21日線も位置しており、揺り戻した場合の上値めど水準。
続落した場合は、155.30円台まで上昇してきた基準線が支持となるかが注目される。
レジスタンス2 158.20(1/14高値)
レジスタンス1 157.41(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 156.47
サポート1 155.34(日足一目均衡表・基準線)
サポート2 154.44(2024/12/19安値)
<ユーロドル=転換線を下回り、下値警戒感が再び高まる>
陰線引け。
買いが強まった場面でも1.0350ドル台の8日高値や日足一目・基準線が抵抗となった。
1.0260ドルまで反落して売り一服も、3手ぶりの陰線引け。
基準線は1.0350ドル台で僅かに低下し、1.03ドル半ばは依然として重そう。
1.0308ドルで横ばいの転換線の下で引けたことで、下値への警戒感が再び高まってきた。
14日安値を下抜けると下げ足を速めそうだ。
レジスタンス1 1.0358(1/8高値)
前日終値 1.0289
サポート1 1.0239(1/14安値)
<ユーロ円=雲の中で13日安値を試す展開か>
大陰線引け。
162円後半で前日高値を僅かに上回ったところから一転し売り戻し優勢に。
高値から約2円下落したところで売りは止むも、日足一目・雲の中で引けた。
14日は6手ぶりの大幅反発だったが、その上昇幅を吐き出した。
雲の上限は161.44円に位置し、目先は同水準が上値めどとして意識される。
雲の中で推移するようだと、160円手前の13日安値を試すことになるだろう。
レジスタンス1 162.01(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 160.99
サポート1 160.04(1/13安値)
<豪ドル円=雲の下限から14日高値が抵抗帯に>
陰線引け。
日足一目・雲の下限の手前から失速し、97円半ばの基準線も割り込んだ。
97円前半の14日安値手前で売り戻し一巡も、3手ぶりの陰線引け。
雲の下限は本日97.88円まで低下し、同水準から14日高値が抵抗帯として想定。
また97円台には半ばに基準線、後半に転換線と一目の主要線が位置している。
14日安値97.17円を割り込むようだと、下げ足を速めていくか。
レジスタンス1 97.96(1/14高値)
前日終値 97.43
サポート1 96.83(ピボット・サポート2)
Provided by
DZH Finacial Research
「投資を面白く、投資家を笑顔に」をスローガンに、株式や為替など様々な金融マーケットの情報を提供。
豊富な経験を持つエキスパートが多数在籍し、スピーディー且つオリジナルな視点からの情報をOANDA Labに配信しています。
会社名:株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
所在地:東京都中央区明石町8番1号 聖路加タワー32階
商号等:【金融商品取引業者】投資助言業/【登録番号】関東財務局長(金商)907号
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。