January 15, 2025
【前日の為替概況】ドル円、4日ぶり反発 一時158.20円まで上昇 ユーロ円が6日ぶり反発
14日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4営業日ぶりに反発。
終値は157.96円と前営業日NY終値(157.48円)と比べて48銭程度のドル高水準だった。
米労働省が発表した12月米卸売物価指数(PPI)が予想を下回ったことが分かると米長期金利の低下とともに円買い・ドル売りが先行。
一時157.44円付近まで値を下げた。
ただ、米長期金利が上昇に転じるとじりじりと下値を切り上げた。
市場では「トランプ次期米大統領の就任を20日に控える中、同氏が掲げる関税政策などがインフレ再燃を招くとの警戒感は根強い」との声も聞かれ、3時前には一時158.20円と日通し高値を更新した。
なお、米長期金利の指標となる米10年債利回りは一時4.8069%前後と2023年11月以来の高水準を記録した。
ユーロドルは上昇。
終値は1.0308ドルと前営業日NY終値(1.0245ドル)と比べて0.0063ドル程度のユーロ高水準だった。
21時過ぎに一時1.0240ドル付近まで売られたものの、アジア時間に付けた日通し安値1.0239ドルが目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢に。
米PPIの下振れを受けてユーロ買い・ドル売りが強まると、一時1.0309ドルと日通し高値を更新した。
なお、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するシュミッド米カンザスシティー連銀総裁は「FRBは二つの責務の達成にかなり近い」「成長と雇用の見通しについては楽観的」「インフレ圧力は引き続き緩和すると楽観的」などと述べたが、相場の反応は限られた。
ユーロ円は6日ぶりに反発。
終値は162.83円と前営業日NY終値(161.32円)と比べて1円51銭程度のユーロ高水準。
ドル円の底堅い動きやユーロドルの上昇につれた円売り・ユーロ買いが出ると一時162.86円と本日高値を付けた。
ダウ平均や日経平均先物の上昇を背景にリスク・オンの円売り・ユーロ買いも出た。
【本日の東京為替見通し】米英CPI発表控え動きにくいか、日米金利上昇で綱引き相場に
本日の東京時間では、5・10日(ゴトー日)ということもあり、東京仲値の値決めにかけてはドル買いが予想されるものの、本日の米英インフレ指標発表や20日のトランプ氏の大統領就任を控え、値幅を伴う動きを期待するのは難しいか。
また、依然として今月末の日銀金融政策決定会合での利上げや、タカ派姿勢を示す可能性があることも円買い圧力になりそうだ。
昨日の氷見野日銀副総裁の発言内容が伝わると、ドル円は荒い値動きをしたが、内容は大きくは円買い・円売りのどちらを促すようなものではなかった。
ただ、賃上げに関しては春闘の結果が出るのは、まだ2カ月先になるにも関わらず「去年に比べて前向きなものが多い」と発言するなど、3月まで待たずに利上げに舵を切る可能性があることを匂わせていた。
また、明日発表される12月企業物価指数の中で注目される輸入物価指数について、11月速報値は1.5%の上昇と10月の改定値2.9%より低下していたにも関わらず、「かなり高い伸び」「円安による輸入物価の上昇、影響をよく見ていく必要」と述べていた。
輸入物価に関してのこの発言は、すでに副総裁が12月の結果を知っていることを受けて発言したものか、それとも10・11月がプラスだったことで高い伸びとしたのかが気になるところだが、輸入物価上昇や円安の流れを阻止するためにも、早期の利上げの可能性もあり、ドル円の上値を抑える要因にもなるだろう。
昨日発表された米国の12月卸売物価指数(PPI)はヘッドライン、コア指数ともに市場予想よりも下振れた。
米長期金利は一時的に低下したものの、その後は上昇に転じ4.8069%前後と2023年11月以来の高水準を記録した。
米金利の上昇がドル円の一定の支えにはなるだろうが、本邦長期金利も昨日は13年9カ月ぶりの水準まで上がったことを考えると、金利面では綱引き状態となっていることで、ドル円の上げ幅は限られるだろう。
更に、欧州各国や一部新興国が利下げに動こうとしていることもあり、欧州通貨や新興国通貨に対してのドル買いの流れの方が強い。
また、欧州債も売られてはいる(利回りは上昇している)が、米国のようなインフレ低下に歯止めがかかったのではなく、財政不安による債券売りの様相が強いことで、逆に通貨安に動きやすい。
その中で、本日はPPIよりも注目度が高い消費者物価指数(CPI)が英国と米国から発表されることで、この結果を見るまでは市場参加者が大きくリスクを持つのが難しく、アジア時間での値動きを抑制することになりそうだ。
くわえて、20日に予定されているトランプ氏の大統領就任を控え、徐々に市場が様々なリスクを持ちにくくなっている。
昨日もトランプ氏はSNS(TruthSocial)で就任日に海外歳入庁(External Revenue Service)を創設し、「関税、および海外からもたらされるすべての歳入を徴収する」方針を示した。
現状では米債市場ではインフレ再燃による金利が上昇し、その影響で為替市場ではドル買いになっている。
しかし、本日の日経新聞で山崎達雄元財務官が、トランプ氏がドル高を懸念していることを改めて述べているように、通商政策に一番力を入れているトランプ氏が就任直後にドル高についてけん制するリスクもあり、債券市場と為替市場の動きが今後は変わる可能性なども念頭に入れておく必要もありそうだ。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 12月マネーストックM2
<海外>
○12:15 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○16:00 ◇ 12月独卸売物価指数(WPI)
○16:00 ◎ 12月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比2.6%)
○16:00 ◎ 12月英CPIコア指数(予想:前年比3.4%)
○16:00 ◇ 12月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.7%/前年比3.8%)
○16:45 ◇ 12月仏CPI改定値(予想:前月比0.2%/前年比1.3%)
○17:00 ◎ デギンドスECB副総裁、講演
○17:30 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○17:35 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○19:00 ◎ 11月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比0.3%/前年比▲1.9%)
○21:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○22:30 ◇ 11月カナダ製造業出荷(予想:前月比0.5%)
○22:30 ◇ 11月カナダ卸売売上高(予想:前月比▲0.7%)
○22:30 ◎ 1月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:3.0)
○22:30 ☆ 12月米CPI(予想:前月比0.3%/前年比2.9%)
☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比3.3%)
○23:20 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○24:00 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、質疑応答
○16日00:30 ◇ EIA週間在庫統計
○16日01:00 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○16日01:00 ◎ 12月ロシアCPI(予想:前月比1.6%)
○16日02:00 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、講演
○16日04:00 ◎ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
14日10:34 氷見野日銀副総裁
「政策運営にあたっては、タイミングの判断が難しくかつ重要」
「経済をマイナスのショックが襲っているような状態や、デフレ的な様々な諸要因が強固に残っている状態では、実質金利がマイナスになるということは必要でもあり、決して不正常でもないが、ショックやデフレ的な諸要因が解消された状態であれば、実質金利がはっきりとマイナスの状態がずっと続く、というのは、普通の姿とはいえないのではないかと思う」
「消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比は、輸入物価急上昇の影響から4%にまで至ったが、その後は徐々に落ち着いてきている」
「来年度・再来年度については2%程度に着地するというのをメインシナリオ」
「今後も政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている」
「国内での注目点の一つは、25 年度の賃上げ見通し」
「海外での注目点の一つは、米国の新政権の政策と、それが米国経済・世界経済・日本経済に与える影響」
「多くの中央銀行のコミュニケーションでは、『それぞれの決定会合の時点までに手に入ったデータの全体像をよく見て、会合ごとに判断していく』という姿勢が基本線」
「金融政策の今後について考え、予測するうえで役に立つように、基本的な考え方や、経済の現状についての見方について発信することは極めて大切」
「毎回の金融政策決定会合の結論について、事前に市場に完全に織り込んでもらえるようにコミュニケーションをとるべきだ、ということにはならない」
「経済の動向よりも日銀の言いぶりの変化ばかりに市場の注目が集まることになりかねず、それも決して望ましいことではない」
14日14:14
「(1月会合の利上げ判断で)特定の項目でチェックリストのようには考えていない」
「(米大統領就任式と利上げ判断で)一対一で結論結びつける考えはない」
「春闘の動向をどこまで見て判断するかは来週の決定会合で議論」
「見通しに進んでいく確度は徐々に高まっている」
「適切なタイミングが来たら遅れずにやることが大切」
「円安による輸入物価の上昇、影響をよく見ていく必要がある」
「賃上げは去年に比べて前向きなものが多い」
14日12:14 赤沢再生相
「政府と日銀は良く連携が取れている」
「金融政策の具体的手法は日銀に任せている」
14日16:17 宣昌能・中国人民銀行(PBOC)副総裁
「景気循環対応型の政策調整を強化する」
「金利と預金準備率(RRR)を活用し、流動性を十分に保つ」
「人民元を合理的な均衡水準で基本的に安定させる」
「経済と市場に基づいて政策調整を最適化する」
14日16:37 中国人民銀行(PBOC)貨幣政策局の鄒瀾局長
「9月以降、経済に対する市場の期待は改善した」
「長期国債の変動性は大きくなる可能性がある」
「国債投資は完全にリスクフリーではない」
「需給不均衡の悪化を避けるため債券購入を停止した」
14日17:29 レーン・フィンランド銀行(中央銀行)総裁
「2025年半ばまでには金融政策が景気抑制的な領域を脱するだろう」
「ユーロ圏ではディスインフレが順調に進行している」
「今後の金融政策の方向性は明確」
14日18:30 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「コアインフレ率の高止まりなどの問題を踏まえると、ECBが過度に急激な利下げを実施することは不可能」
「次回の金利決定はその時点で入手可能なデータに左右される」
15日02:16 シュミッド米カンザスシティー連銀総裁
「金利政策は長期的に必要な水準に近い可能性」
「FRBは二つの責務の達成にかなり近い」
「雇用市場は弱まっているが、依然として健全」
「成長と雇用の見通しについては楽観的」
「インフレ圧力は引き続き緩和すると楽観的」
「新政権の政策の影響には、かなりのタイムラグがあるだろう」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=上向きバイアス継続、10日高値を目指す展開か>
陽線引け。
157円前半で支えられて、157円半ばの日足一目・転換線を挟み暫く上下した。
下値固めをすると158.20円まで上値を伸ばした。
4手ぶりの陽線引け。
転換線は本日も157.56円で横ばい。
伸び悩むようだと近いところでは同線が意識されるだろう。
ただ週前半に下値の固さを確認しており、上向きバイアスは継続。
10日につけた昨年7月以来の高値158.87円が目先の目標値となる。
レジスタンス2 159.45(2024/7/12高値)
レジスタンス1 158.87(1/10高値)
前日終値 157.96
サポート1 157.12(1/14安値)
サポート2 156.24(1/6安値)
<ユーロドル=横ばいの一目・転換線を念頭に置いた取引>
陽線引け。
1.02ドル半ばで下げ渋ると買い戻しが優勢となり、1.03ドル台を回復した。
日足一目・転換線付近で上昇が一服するも2手連続の陽線引け。
転換線は1.0308ドルで横ばいであり、本日は同線を念頭に置いた取引きか。
上放れした場合は、8日高値や下向きの基準線が位置する1.0350ドル台が次に意識される水準。
超えるようだと7日以来の1.04ドル台が視野に入る。
レジスタンス1 1.0359(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0308
サポート1 1.0239(1/14安値)
<ポンド円=一目・雲の下限が支えとなるかがポイントに>
陽線引け。
191円半ばを下押し水準に切り返すと、日足一目・雲の中に再び入り込んだ。
193円台乗せでは上昇が一服したものの、6手ぶりの陽線引け。
雲の下限は192.60円台に位置し、支えとなるかが続伸できるかのポイントとなりそうだ。
上値を試した場合は、194円手前の雲上限がまずは意識される。
ただ超えた場合でも、194円台には転換線・基準線、90日線と気にすべき線は多い。
レジスタンス1 193.95(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 192.95
サポート1 191.50(1/14安値)
<NZドル円=一目・雲の下限が上値の注目ポイント>
陽線引け。
前日に87円近辺で下値を確認し、その後に切り返した動きが続いた。
昨日は88円前半の日足一目・基準線や転換線を突破し、2手連続の陽線引け。
まずは88.30円台の転換線や88.20円台の基準線を巡る攻防に注目。
上値を試した場合、昨年12月以降は抵抗として働く雲の下限88.97円がポイントとなる。
89円台に乗せた場合でも、89円後半の雲上限が上値を抑えると見る。
レジスタンス1 88.97(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 88.52
サポート1 87.86(1/14安値)
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