DMI・ADXとは|基本的な使い方・設定方法などを詳しく解説
DMIは、+DIと-DI、ADXという3本のラインから構成されるテクニカル指標です。
トレンド相場でRSIなどオシレーター系指標が機能しにくい欠点をカバーする目的で開発された指標です。
本記事では、DMIとADXの意味や見方、使い方などについて詳しく解説します。
目次
- 1.DMI・ADXとは
- 2.DMI・ADXの計算式
- 3.DMI・ADXの見方
- 4.DMI・ADXの使い方
- 5.DMI・ADXの設定方法
- 6.DMI・ADXに関するよくある質問
- 7.【まとめ】DMI・ADXとは|基本的な使い方・設定方法などを詳しく解説
DMI・ADXとは
DMI・ADXについて解説します。
- ・DMIとは
- ・ADXとは
DMIとは
DMIとは、「Directional Movement Index」の略であり、日本語では一般的に「方向性指数」と呼ばれます。
RSIを開発したことでも有名なJ.W.ワイルダー氏によって考案されました。DMIは、トレンド相場でRSIなどのオシレーター系指標が機能しにくい欠点をカバーする目的で開発されたといわれています。
DMIは、+DIと-DI、ADXという3本のラインを使い、相場のトレンドの有無や強弱を分析することができます。
+D | 上昇の強さを表す指標 |
-DI | 下降の強さを表す指標 |
ADX | トレンドの強さを測る指標 |
出典:MT4
ADXとは
ADXは、トレンドの強さを測る指標です。
相場の方向性に関わらず、トレンドの勢いが強くなるほどADXは上昇する特徴があります。
また、トレンドが不明確な場合はADXは下降しやすくなります。
出典:MT4
MT4(メタトレーダー4)やMT5(メタトレーダー5)では、「Average Directional Movement Index」という名前で登録されています。ADXはDMIと併用するだけでなく、単体でもテクニカル指標として使用されることがあります。
DMI・ADXの計算式
+DIと-DIを求める際には、まず+DM(上昇幅)と-DM(下落幅)を求める必要があります。
+DMと-DMの計算式は、以下の通りです。
- +DM:当日の高値-前日の高値
- -DM:前日の安値-当日の安値
上記の計算式が基本ですが、以下の条件があります。
- 条件①+DM<0の場合は、+DM=0
- 条件②-DM<0の場合は、-DM=0
- 条件③+DM>-DMの場合は、-DM=0
- 条件④-DM>+DMの場合は、+DM=0
続いて、一日の最大の値動きであるTR(True Range)を求めます。
- A:当日の高値-前日の終値
- B:前日の終値-当日の安値
- C:当日の高値-当日の安値
TRは上記の3つの中から最大値になるものを使用します。
続いて、+DIと-DIを求めます。
- +DI:(N日間の+DM合計÷N日間のTRの合計)×100
- -DI:(N日間のーDM合計÷N日間のTRの合計)×100
一般的にNの期間は、「14」日間が採用されることが多いです。
MT4やMT5、TradingViewなどのデフォルト値も14日間を採用しています。最後にADXを求めます。
- DX=「(+DI)-(-DI)」÷「(+DI)+(-DI)」×100
- ADX=DXのN日間平均
DMI・ADXは、計算式にするとやや煩雑ですが、これを覚える必要性はあまりありません。
使い方自体はそれほど難しくないのが特徴です。
DMI・ADXの見方
ここでは、各ラインの見方を紹介します。
- ・+DIライン
- ・-DIライン
- ・ADXライン
+DIライン
+DIラインは、一般的に上昇トレンドの強さを表すラインです。
下落トレンド中は、20以下での推移が続くことが多く、価格が反発すると上昇しているのが確認できます。
下のチャートでは、価格が下落している状態が続いており、+DIラインは低い水準での推移が続いています。
出典:MT4
-DIライン
-DIラインは、一般的に下降トレンドの強さを表すラインです。
価格が下落すると上昇し、価格が上昇すると低下します。
-DIラインが20~30を超えてくると、下降トレンドに発展する可能性が高まります。
出典:MT4
ADXライン
ADXラインは、トレンドの強弱を表すラインです。
そのため、上昇トレンドや下降トレンドであっても、トレンドが発生すれば上昇します。
20~30を超えるとトレンドが強い状態を表し、強いトレンドが発生する可能性があります。
一方で、相場が反転しトレンドが不明確な状態になると数値は低下します。
ADXで注意したいのは、ADXを算出する際に用いる移動平均線の種類です。
ADXを算出する際に用いられる移動平均線の種類は主に単純移動平均線(SMA)、指数平滑移動平均線(EMA)、修正移動平均線(RMA)の3種類があり、チャートツールごとに採用している移動平均線が異なります。
ちなみにMT4の場合は指数平滑移動平均線(EMA)を使用しています。
大きな違いはありませんが、自分の使用しているチャートツールでのADXの動きに併せて使いこなす必要があります。
出典:MT4
DMI・ADXの使い方
DMI、ADXの使い方において注目すべき点は、以下の通りです。
- ・+DI、-DIの位置
- ・ADXの上昇
- ・ダイバージェンス
上記3点に注目すると、上昇・下落のどちらが強いのかやトレンドの強弱、トレンドの転換などを分析することができます。
+DI、-DIの位置
+DIは上昇トレンド、-DIは下落トレンドの強さを示しています。
このため、+DIが-DIより上にある場合は上昇基調が強い状況、逆に-DIが+DIより上にある場合は下落基調が強い状況と考えることができます。
よって+DIと-DIがクロスするような動きとなった場合は、強弱の力の強さが入れ替わっており、トレンド転換に注意が必要な状況といえます。
次の米ドル/円の1時間足チャートで、+DIと-DIの位置に注目して見ると、上昇基調と下落基調が比較的きれいに出ているのが確認できます。
出典:MT4
ただし、同じ1時間足チャートでも方向感の鈍い相場の場合は、次のチャートのように+DIと-DIの交差が続く場合もあるため注意が必要です。
出典:MT4
ADXの上昇
前述の通り、ADXが上昇し、20〜30を上抜けるような動きとなる場合は、大きなトレンドに発展する可能性があります。
価格の動きと併せて、トレンドの経過を見守る必要があります。
ダイバージェンス
ADXはトレンドの強さ、+DIは上昇トレンド、-DIは下降トレンドの強弱を示していると考えると、RSIのようにトレンドの勢いと価格の関係でのダイバージェンスの発生に注目するという使い方もできます。
つまり、トレンドの勢いに注目し、トレンドのピークを探るという方法です。
例えば、次の米ドル/円の4時間足チャートのように、価格が高値を更新する動きとなっているにもかかわらず、+DIやADXが低下する動きになっている場合は、価格は上昇しているものの、上昇トレンドの強さが弱まっている状態ということができ、上昇トレンドがピークとなっている可能性があります。
よって、その後に流れが変わる可能性に注意が必要な状況といえます。
出典:MT4
次の米ドル/円の4時間足チャートは下降トレンド中にダイバージェンスが発生したような状況です。
価格が安値を切り下げる動きとなっているにもかかわらず、-DIの数値は低下、ADXの数値の上昇が止まっており、その後、流れが変わっているのが確認できます。
このダイバージェンスに関しては、反転の可能性が出てきているというだけであるため、これのみで売買判断というのは厳しいと考えられますが、利益確定のタイミングを探る場面などで使うことも考えられそうです。
出典:MT4
DMI・ADXの設定方法
DMI、ADXを、MT4、MT5、TradingViewといったそれぞれのプラットフォームで設定する方法を紹介します。
- ・MT4(メタトレーダー4)への設定方法
- ・MT5(メタトレーダー5)への設定方法
- ・TradingView(トレーディングビュー)への設定方法
MT4(メタトレーダー4)への設定方法
DMI、ADXをMT4へ設定する方法を紹介します。
MT4を表示しチャート上の「挿入」→「インディケータ」→「トレンド」→「Average Directional Movement Index」を選択
出典:MT4
MT5(メタトレーダー5)への設定方法
DMI、ADXをMT5へ設定する方法を紹介します。
MT5を表示しチャート上の「挿入」→「インディケータ」→「トレンド系」→「Average Directional Movement Index」を選択
出典:MT5
TradingView(トレーディングビュー)への設定方法
DMI、ADXをTradingViewへ設定する方法を紹介します。
TradingViewを表示しチャート上の「インジケーター」→検索窓に「DMI」と入力→「Directional Movement Index」を選択
出典:TradingView
DMI・ADXに関するよくある質問
DMI・ADXに関するよくある質問を紹介します。
- ・DMI・ADXで何がわかりますか?
- ・DMI・ADXの期間はどれくらいで設定したらいいですか?
DMI・ADXで何がわかりますか?
DMI・ADXはトレンドの有無や強弱、方向性を分析するのに役立ちます。
+DIラインは価格が上昇すると上昇する傾向があるため、上昇トレンドの強さが分かります。
また、-DIラインは価格が下落すると上昇する傾向があるため、下降トレンドの強さを知ることが可能です。
ADXはトレンドが発生していると上昇するため、トレンドの発生状況を分析するのに有効です。
DMI・ADXの期間はどれくらいで設定したらいいですか?
DMI、ADXの期間は、考案者のJ.W.ワイルダー氏が最適とする14日間に設定されることが多いです。
MT4では「14」日間がデフォルト値となっているため、チャート上に表示した後はパラメーターを変更せず使用できます。
【まとめ】DMI・ADXとは|基本的な使い方・設定方法などを詳しく解説
DMIは、+DIと-DI、ADXという3本のラインから構成されるテクニカル指標で、相場のトレンドの有無や強弱を分析できます。
トレンド相場でRSIなどオシレーター系指標が機能しにくい欠点をカバーする目的で開発された指標です。
+DIは上昇の強さ、-DIは下降の強さ、ADXはトレンドの強さを表します。
+DI、-DIの位置やADXの上昇、ダイバージェンスなどに注目することで、相場の状況を分析することが可能です。
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