November 27, 2024
【前日の為替概況】ドル円、続落し一時153円割れ クロス円も総じて軟調
26日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。
終値は153.08円と前営業日NY終値(154.23円)と比べて1円15銭程度のドル安水準だった。
トランプ次期米大統領がメキシコとカナダ、中国を対象に関税を強化する方針を示すと、米国と各国の貿易摩擦が激化するとの見方から、アジアや欧州の株式相場が軟調に推移。
投資家がリスク回避姿勢を強め、円買い・ドル売りが優勢となった。
NY市場に入ってもこの流れを引き引き継いで、22時過ぎには一時152.99円と11日以来の安値を更新した。
売り一巡後はじりじりと下値を切り上げて153.72円付近まで下げ渋ったものの、戻りは限定的だった。
引けにかけては153.01円付近まで押し戻された。
ユーロ円などクロス円の下落につれた円買い・ドル売りが入った。
なお、米連邦準備理事会(FRB)が公表した11月6日-7日分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では「緩やかな利下げが適切であると多くの参加者が指摘」「データ次第で利下げ停止や利下げ加速の意見もあった」との見解が示された。
ユーロドルは小反落。
終値は1.0489ドルと前営業日NY終値(1.0495ドル)と比べて0.0006ドル程度のユーロ安水準だった。
米感謝祭を前にポジション調整目的のユーロ買いが入ると、21時30分前に一時1.0545ドルと日通し高値を付けたが、買い戻しはあくまでポジション調整の域を出ず長続きしなかった。
米長期金利が再び上昇したことも相場の重しとなり、3時30分過ぎには1.0457ドル付近まで下押しした。
市場では「トランプ氏が掲げる関税政策により米国内のインフレ圧力が高まることから、実効性に懐疑的な見方も広がっており、米長期金利の上昇を背景としたドル買いも入りやすい」との声が聞かれた。
ユーロ円は反落。
終値は160.58円と前営業日NY終値(161.87円)と比べて1円29銭程度のユーロ安水準。
トランプ次期米大統領による関税強化発言を受けて、欧州株相場や日経平均先物が下落するとリスク・オフの円買い・ユーロ売りが入った。
5時30分過ぎには一時160.30円と日通し安値を更新した。
ユーロ円以外のクロス円も軟調だった。
ポンド円は一時192.04円、豪ドル円は98.87円、NZドル円は89.16円、カナダドル円は108.57円、メキシコペソ円は7.36円まで値を下げた。
【本日の東京為替見通し】ドル円、方向感模索か・本日はスポ末 オセアニアでは重要イベント
本日、本邦では主だった経済指標や要人発言は予定されていないほか、NY市場で10月米PCEデフレーターなど複数の指標発表を控えている。
ドル円はスポット末日(取引した通貨の受け渡しが月末営業日)の仲値公示に向けた動きを確認しつつ、日経平均や時間外の米長期金利をながめながら方向感模索の展開となる可能性がある。
とはいえ足元の相場を振り返ると、日銀の年内利上げ観測が重しとなっているのも事実。
20日に155.89円の高値を付けた後は上値を切り下げる展開が続いており、昨日のNY市場では152.99円まで下落している。
昨日安値を割り込む場面ではフロー主体で下値模索の機運が高まることも考えられるので注意したい。
他方、オセアニア市場では重要指標の発表が相次ぐ。
ニュージーランド(NZ)では、年内最後となるNZ準備銀行(RBNZ)金融政策決定会合に注目。
市場予想は50bpの大幅利下げがコンセンサスとなっているが、OIS市場における金利見通しでは0.75%の利下げを3割弱織り込むなど、利下げ観測もくすぶる。
直近の主な経済指標を振り返ると、10月16日に発表されたNZ7-9月期消費者物価指数(CPI)は前年同期比+2.2%と市場予想通りの伸び鈍化で、RBNZのインフレ目標(年1-3%)の中間に接近。
しかし、今月6日に発表された7-9月失業率は4.8%と4年ぶりの水準に悪化するなど、雇用環境の急速な悪化がNZ経済の懸念材料となっている。
今回のRBNZ会合では利下げ幅が焦点であり、見方が分かれているだけに、発表直後のNZドル相場は荒れた展開となる恐れがある。
その後にオアRBNZ総裁の会見も予定されており、声明と合わせて今後の金利や経済状況などの見通しについても確認しておきたい。
豪州からは、10月消費者物価指数(CPI)が発表される。
月次のCPIはヘッドライン・トリム平均値共に夏頃から伸び鈍化の傾向となっており、前回9月はヘッドラインが前年比+2.1%、トリム平均値は同+3.2%であった。
伸び鈍化傾向が続く場合は豪ドル相場の重しとなりそうだ。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○09:30 ◎ 10月豪消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比2.3%)
○10:00 ☆ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、政策金利発表(予想:4.25%に引き下げ)
○11:00 ◎ オアRBNZ総裁、記者会見
○16:45 ◇ 11月仏消費者信頼感指数(予想:93)
○18:30 ◇ 12月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲18.6)
○21:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:00 ◇ 10月メキシコ貿易収支(予想:6.59億ドルの赤字)
○22:30 ☆ 7-9月期米国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比年率2.8%)
○22:30 ◎ 7-9月期米個人消費(改定値、予想:前期比3.7%)
○22:30 ◎ 7-9月期米コアPCE(改定値、予想:前期比2.2%)
○22:30 ◇ 10月米卸売在庫(予想:前月比0.1%)
○22:30 ◎ 10月米耐久財受注額(予想:前月比0.5%/輸送用機器を除く前月比0.2%)
○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.6万件/190.8万人)
○23:45 ◎ 11月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:45.0)
○24:00 ◎ 10月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲2.0%/前年比0.2%)
○24:00 ◎ 10月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.3%)
◎ 10月米個人所得(予想:前月比0.3%)
☆ 10月米PCEデフレーター(予想:前年比2.3%)
☆ 10月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.3%/前年比2.8%)
○28日00:30 ◇ EIA週間在庫統計
○28日01:00 ◎ 10月ロシア失業率(予想:2.4%)
○28日03:00 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○28日03:00 ◎ 米財務省、7年債入札
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
26日08:09 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「12月の利下げは理にかなった検討事項」
「中立金利はより高くなる可能性があり、政策はそれほど制限的ではない」
26日08:42 トランプ次期米大統領
「中国に対して10%の追加関税を課す」
26日17:10 ハーベック独経済相
「米国との貿易戦争の結果として誰もが損失を被らないよう、今後の対話を求める必要」
「2024年の補正予算を通じてネットワーク料金の安定化を図る」
「野党との協力を模索」
「トランプ氏の関税発表については真剣に受け止める必要、EUは団結するべきだと警告」
26日17:41 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「景況感の悪化が現在の懸念材料」
「インフレ率は我々の目標に近づいている」
「基本シナリオ通りならば、利下げを継続する」
「米国と欧州の報復関税の応酬は、双方にマイナスとなる」
26日19:17 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「トランプ氏の政策は、ユーロ圏インフレ率への影響は限定的だが、市場金利にはより顕著な影響が及ぶ可能性がある」
26日19:25 レーン・フィンランド中銀総裁
「12月に金利を引き下げる可能性」
「インフレがECBの目標に2025年までに達すると予想」
「ユーロ圏経済は緩やかに成長し回復すると見込まれている」
「給与とサービスのインフレが依然として根強い」
「インフレの抑制が予想より遅れるリスク」
26日19:27 センテノ・ポルトガル中銀総裁
「米国の関税が欧州経済活動にリスクをもたらす、好ましくないニュース」
「インフレが過去のように目標を大きく下回る事態を避けるべき」
「より大きな金利引き下げを議論する可能性」
27日02:13 ブリンケン米国務長官
「レバノン停戦への取り組みはゴール間近」
27日04:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(11月6日-7日分)
「中立金利をめぐる不確実性により、緩やかな利下げが適切であると多くの参加者が指摘」
「データ次第で利下げ停止や利下げ加速の意見もあった」
「当局者はデータが予想通りなら、インフレが2%まで持続的に低下し続け、経済が最大雇用に近い状態を維持すれば、時間の経過とともに政策をより中立的に徐々に移行することが適切である可能性が高いと指摘」
「最近の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大し続け、労働市場の状況は年初から概ね緩和し、失業率は上昇しているが低いままであることを示唆」
「ほぼすべての参加者は、月次の動きは引き続き不安定であるものの、入手するデータは概ねインフレが2%まで持続的に低下していると判断」
「ほぼすべての参加者は、委員会の雇用とインフレの目標を達成するリスクはほぼ均衡していることに同意」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=上向きの200日線が意識され始める>
陰線引け。
154円半ばで頭を抑えられると下値を試す展開となり、25日に支えられた153円半ばを下抜けた。
153円を割り込んだところで売り一服も2手連続の陰線引け。
日足一目・基準線は本日153.80円台まで上昇し、近いところには水準をやや切り下げた21日線もあるため、その辺りが目先の上値めどか。
下値は152.10円台の8日安値や152円まで上昇してきた200日線が意識され始めている。
レジスタンス1 153.89(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 153.08
サポート1 152.00(200日移動平均線)
サポート2 151.46(10/25安値)
<ユーロドル=一目・転換線を巡る攻防続く、5日線は下向き>
陰線引け。
売り先行も1.04ドル前半の25日安値を割り込んだところから切り返し、1.05ドル台を回復。
ただ21日高値の手前から失速すると1.04ドル台に再び押し戻された。
短期的なすう勢を示す5日線は下向きであるため、上値の重さがうかがえる。
日足一目・転換線は1.0470ドル台で横ばい。
昨日は結局その水準に引き付けられており、本日も転換線を巡る攻防が続きそうだ。
レジスタンス1 1.0555(11/21高値)
前日終値 1.0489
サポート1 1.0425(11/26安値)
<ユーロ円=雲の下限から22日安値が支持帯となるか>
陰線引け。
日足一目・雲の中で弱含み、前日高値の手前から失速すると160円前半まで売り込まれた。
160円割れの22日安値を前に下げ止まったが、2手ぶりの陰線引け。
一目・雲の下限が160円台に乗せてきた。
まずは下限から159.93円の22日安値が支持帯として働くか注目。
クリアに割り込むと、10月2日安値圏158円後半が視野に入る。
逆に161円台を回復するようだと、昨日の全戻しもあり得るか。
レジスタンス1 162.01(11/26高値)
前日終値 160.58
サポート1 159.93(11/22安値)
<豪ドル円=雲の上限は上向きも、90日線割れには警戒>
大陰線引け。
100円を割り込むと売り圧力を強め、日足一目・雲の中に入り込んだ。
10月初旬以来の99円割れまで下げ幅を広げ、22日の極小陰線も含めて4手連続の陰線引け。
雲の上限は本日99円半ばまで上昇し、来週には100円台乗せが示唆されるため、水準切り上げに沿った動きもあり得る。
しかし雲の中に位置する98円後半の90日線を下抜けて行くようだと、97円台の雲の下限の方が意識されるだろう。
レジスタンス1 100.32(11/26高値)
前日終値 99.13
サポート1 98.09(9/30安値)
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DZH Finacial Research
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