本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、ウクライナ情勢と植田日銀総裁の講演内容に要注目か(2024年11月21日)

ニュース

November 21, 2024

【前日の為替概況】ユーロドル、一時1.0507ドルまで下落 ドル円は155円台で上昇

20日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは続落。
終値は1.0544ドルと前営業日NY終値(1.0596ドル)と比べて0.0052ドル程度のユーロ安水準だった。
米10年債利回りが4.43%台まで上昇するとユーロ売り・ドル買いが先行。
「ウクライナ軍はロシア領内の軍事目標に対し、英国製の長距離ミサイル『ストームシャドウ』を初めて発射した」との一部報道をきっかけにリスク・オフのユーロ売り・ドル買いが活発化すると、前日の安値1.0524ドルを下抜けて一時1.0507ドルまで値を下げた。

ただ、14日に付けた年初来安値1.0497ドルがサポートとして意識されると下げ渋った。
米10年債利回りが4.38%台まで低下したことも相場を下支えした。
もっとも、米10年債利回りが再び上昇に転じるとユーロドルの戻りも鈍くなった。

なお、クック米連邦準備理事会(FRB)理事はこの日、「インフレは引き続き緩和しており、利下げ継続が適切となる可能性が高い」と述べた一方、「利下げの規模とタイミングは経済指標次第。
事前に決まっていない」と発言。
また、「インフレ鎮静化が停滞し、雇用市場が依然として堅調であれば、利下げを一時停止するシナリオも考えられる」と語った。
米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバー内で最もタカ派的とされるボウマンFRB理事は「インフレ抑制の進展は停滞しているようだ」「さらなる利下げには慎重なアプローチを取るべきだ」などと話した。

ドル円は上昇。
終値は155.44円と前営業日NY終値(154.66円)と比べて78銭程度のドル高水準だった。
ロシアとウクライナを巡る一連の報道をきっかけにリスク・オフの円買い・ドル売りが先行すると、0時30分前に一時155.06円付近まで値を下げた。
ただ、対ユーロなどでドル買いが進んだ影響を受けたため、下押しは限定的だった。
アジア時間に付けた日通し安値154.53円や一目均衡表転換線が位置する154.45円がサポートとして意識された面もあった。

ユーロ円はほぼ横ばい。
終値は163.88円と前営業日NY終値(163.86円)と比べて2銭程度のユーロ高水準。
ロシアとウクライナを巡る地政学リスクへの警戒からリスク回避の円買い・ユーロ売りが優勢となった。
ナイト・セッションの日経平均先物の下落も相場の重しとなり、1時30分過ぎに一時163.17円と日通し安値を更新した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、ウクライナ情勢と植田日銀総裁の講演内容に要注目か

本日の東京外国為替市場のドル円は、ウクライナ情勢を巡る関連ヘッドラインに警戒しながら、植田日銀総裁の講演に注目する展開が予想される。

ウクライナ軍は19日に米国製地対地ミサイル「ATACMS」でロシア領を攻撃したが、昨日は英国製長距離ミサイル「ストームシャドー」でロシア領内の軍事施設を攻撃したと報じられている。
プーチン露大統領が「核ドクトリン」を修正して、戦術核使用のハードルを下げているため、本日も関連ヘッドラインに警戒しておきたい。
これまでは、核兵器を保有する国から攻撃された場合にのみ核兵器で対抗するとしていたが、ウクライナが核保有国である欧米諸国から供与されたミサイルをロシアに対して使用した場合、共同攻撃と見なして核攻撃の引き金となる可能性があると警告している。

本日は14時過ぎから植田日銀総裁が、パリ・ユーロプラス「ファイナンシャル・フォーラム」で講演することが予定されており、内容や質疑応答に注目することになる。
18日の金融経済懇談会での講演や記者会見では、12月18-19日の日銀金融政策決定会合での追加利上げに関する明確な言及はなく「各会合で適切な判断をする」という曖昧な表現に留まった。
本日の講演や質疑応答では18日と同様の曖昧な内容をメインシナリオにして、過去の植田ショックの再現をリスクシナリオとして警戒しておきたい。

植田総裁によるこれまでの相場変動要因となった発言は以下の通りとなる。
・2023年12月7日「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」※円高
・2024年4月26日「足元の円安が物価に与える影響は従来ほどには大きくない」※円安
・2024年7月31日「0.5%が壁になるとは認識していない」※円高
・2024年10月2日「時間は十分ある」※円安
・2024年10月31日「『時間的な余裕がある』は今後使わない」※円高

12月会合での利上げには言及していないが、可能性を示唆する見解は以下の通りとなる。
植田総裁は「経済・物価が足元で見通し通りに進捗して見通しが実現する確度がある程度高まるという自信が得られれば次のステップに移る」と述べていた。
そして、段階的な利上げが長期的な経済成長を支え、物価安定目標を持続的かつ安定的に実現していくうえで有効と述べ、実質金利水準のマイナス幅に言及し、ビハインド・ザ・カーブに陥らないように判断するとも述べていた。

植田総裁が判断材料に挙げている「経済・物価・金融情勢」も確認しておきたい。
現在のドル円の水準(※155円台)は、7月31日の利上げの時の高値153.88円を上回っている。
植田総裁が「第1の力」と注視する10月輸入物価指数は前月比+3.0%で、22年9月(+5.3%)以来の高い伸びを記録していた。
国内総生産(GDP)は2四半期連続でプラス成長を記録している。

スワップ市場のOIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)市場における追加利上げの確率は50%程度になっている。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○14:10頃 ◎ 植田和男日銀総裁、講演(パリ・ユーロプラス ファイナンシャル・フォーラム2024)

<海外>
○14:25 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○16:00 ◎ 7-9月期ノルウェー国内総生産(GDP)
○16:45 ◇ 11月仏企業景況感指数(予想:97)
○17:00 ◎ ブロック豪準備銀行(RBA)総裁、講演
○17:00 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○17:30 ◎ 10月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.7%)
○17:30 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○17:30 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18:00 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、議会証言
○20:00 ◎ トルコ中銀、政策金利発表(予想:50.00%で据え置き)
○20:25 ◎ パツァリデス・キプロス中銀総裁、エルダーソンECB専務理事、講演
○未定 ☆ 南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:7.75%に引き下げ)
○22:30 ◇ 10月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比0.9%)
○22:30 ◇ 10月カナダ原料価格指数(予想:前月比2.5%)
○22:30 ◎ 11月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:8.0)
○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/187.3万人)
○22:45 ◎ ハマック米クリーブランド連銀総裁、あいさつ
○23:00 ◎ マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○24:00 ◎ 11月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲12.4)
○24:00 ◎ 10月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.3%)
○24:00 ◎ 10月米中古住宅販売件数(予想:前月比2.9%/年率換算395万件)
○21日00:30 ◎ レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、パネルディスカッションに参加
○21日01:00 ◎ カジミール・スロバキア中銀総裁、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○21日02:25 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、質疑応答

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

21日00:30 バー米連邦準備理事会(FRB)副議長
「銀行システムは健全かつ堅固な状態を維持」
「銀行は引き続き資本および流動性比率が最低規制水準を上回っていると報告」
「システム全体としては回復力があるものの、FRBは特定の商業用不動産ローンの延滞率が引き続き上昇していることを注視」

21日01:08 クック米連邦準備理事会(FRB)理事
「労働市場とインフレが予想通りに推移すれば、政策金利を中立に向けて引き続き引き下げることが適切」
「インフレの進行が鈍化し、雇用市場が依然として堅調な場合は、利下げ一時停止のシナリオが考えられる」
「利下げの規模とタイミングは、今後のデータ、見通し、リスクバランスによって決まる。政策は事前に決まっていない」
「現在のリスクはほぼ均衡」
「経済は良好な状態にあるが、コアインフレは依然としてやや高い」

21日01:19 ラムスデン英中銀(BOE)副総裁
「経済は引き続き正常化し、低水準で比較的安定した最近のインフレ傾向は継続へ」
「不確実性が減少し、さらなるデフレ圧力を示唆する証拠が明確になれば、利下げにそれほど緩やかなアプローチを取らないことを検討する」

21日03:12 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事
「現在、FRB当局者が考えているよりも中立政策に近い可能性がある」
「FRBは金融政策に関して慎重なアプローチを取るべきだ」
「インフレは依然として懸念事項である」
「11月の利下げは金利を徐々に引き下げるという自身の考えと一致。これを支持した」
「インフレ抑制の進展は停滞しているようだ」
「経済は好調で、労働市場は完全雇用に近く、インフレは高い」
「インフレ目標を達成せずに政策を再調整していることは懸念される」
「FRBは柔軟になる必要がある」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=一目・転換線から昨日安値までが支持帯に>

ドル円1121

パラメーター1121

陽線引け。
上向きの日足一目・転換線が支持となり155円台を回復。
18日高値を超えて155円後半まで上昇した。

転換線は154.70円付近まで切り上がり、実線が現状水準で推移するようだと明日には155円台に乗せる見込み。
転換線の向きに沿った底堅さは続きそうであり、本日は同線から昨日安値を支持帯として買い目線で臨みたい。
上値の目標値としては、まず15日高値156.75円か。

レジスタンス1 156.75(11/15高値)
前日終値 155.44
サポート1 154.53(11/20安値)
サポート2 153.29(11/19安値)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=一目・転換線は1.06ドル前半まで低下>

ユーロドル1121

パラメーター1121

陰線引け。
1.06ドル台で18日高値を僅かに上回ったところで頭を抑えられ、1.05ドル手前まで下落した。
14日安値の手前で下げ渋るも、戻りは限られた。

日足一目・転換線は1.06ドル半ばから1.0613ドル近辺まで水準を切り下げ、明日にも1.05ドル後半まで低下が示唆されている。
同線の方向性が意識されて、上値の重しとなりそうだ。
下サイドのポイントは、1.05ドルを割り込んだところにある14日安値をこなせるかだろう。

レジスタンス1 1.0613(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0544
サポート1 1.0448(2023/10/3安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=低下一服の転換線や昨日安値が支持となるか>

ユーロ円1121

パラメーター1121

小陽線引け。
164円後半まで上昇も、21日線から200日線が抵抗帯となり反転。
163円台では下向きの転換線を割り込んだが、前日の下ヒゲが支えとなり水準を切り上げて終えた。

先週末に一目・基準線を下回った転換線は、163.20円台まで落ちてきたところで低下が一服。
本日は転換線から昨日安値が支持帯として働くか見極めたい。
下抜けるようだと、90日線が位置する162.30円台を目指す展開か。

レジスタンス1 164.96(200日移動平均線)
前日終値 163.88
サポート1 163.17(11/20安値)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=100円台の主要線を睨み、下値余地は限定か>

豪ドル円1121

パラメーター1121

小陽線引け。
101円半ばで8日以来の高値を更新したところから売り戻されるも、100円台では200日線を割り込んだところで下落が一服した。

昨日100円後半にいた一目・転換線は本日から100.49円近辺まで下りてきた。
もっとも暫くは同水準で横ばいとなり、来週後半から水準を切り上げ始める見込み。
100円後半には基準線や200日線も控え、下値余地は限られそうだ。

レジスタンス1 101.56(11/20高値)
前日終値 101.13
サポート1 100.49(日足一目均衡表・転換線)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

OANDA CFD

Provided by
DZH Finacial Research

「投資を面白く、投資家を笑顔に」をスローガンに、株式や為替など様々な金融マーケットの情報を提供。 豊富な経験を持つエキスパートが多数在籍し、スピーディー且つオリジナルな視点からの情報をOANDA Labに配信しています。
会社名:株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
所在地:東京都中央区明石町8番1号 聖路加タワー32階
商号等:【金融商品取引業者】投資助言業/【登録番号】関東財務局長(金商)907号


本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。

この記事をシェアする
一覧へ戻る

ホーム » マーケットニュース » 本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、ウクライナ情勢と植田日銀総裁の講演内容に要注目か(2024年11月21日)