November 14, 2024
【前日の為替概況】ドル円、3日続伸 米利下げペース鈍る可能性あるとの声も
13日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸。
終値は155.46円と前営業日NY終値(154.61円)と比べて85銭程度のドル高水準だった。
米労働省が発表した10月米消費者物価指数(CPI)が市場予想通りの結果になると、米インフレ再加速への警戒が根強かっただけに当初はドル売りで反応。
23時過ぎに一時154.34円と日通し安値を付けた。
ただ、押し目を拾いたい向きは多く、売り一巡後は買い戻しが優勢に。
市場では「インフレ鈍化に向けた進展は幾分失速しているようだ。
12月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測に変化はないものの、来年の利下げペースは鈍る可能性がある」との声も聞かれ、4時過ぎには155.62円と7月24日以来の高値を更新した。
米CPI発表直後に4.35%台まで低下した米10年債利回りが4.46%台まで上昇したことも買い戻しを誘った。
なお、ローガン米ダラス連銀総裁は「米連邦準備理事会(FRB)には追加利下げの余地があるものの、慎重に進める必要がある」との考えを示したほか、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁は「インフレは正しい方向に向かっていると確信している」などと発言。
また、ムサレム米セントルイス連銀総裁は「最近の情報はインフレ率が上昇するリスクが高まっていることを示唆する一方、雇用市場のリスクは不変または低下」などと語った。
ユーロドルは4日続落。
終値は1.0564ドルと前営業日NY終値(1.0623ドル)と比べて0.0059ドル程度のユーロ安水準だった。
米CPI発表直後はドル売りが優勢となり一時1.0653ドルと日通し高値を付けたものの、前日の高値1.0663ドルが目先レジスタンスとして意識されると失速した。
24時過ぎには一時1.0556ドルと昨年11月以来約1年ぶりの安値を更新した。
その後の戻りも1.0594ドル付近にとどまった。
独連立政権崩壊でユーロ圏景気への懸念が意識される中、ユーロ売りが出やすい面もあった。
ユーロ円はほぼ横ばい。
終値は164.24円と前営業日NY終値(164.25円)と比べて1銭程度のユーロ安水準。
22時30分前に一時164.80円と本日高値を付けたものの、24時過ぎには163.64円の本日安値まで押し戻された。
ただ、売り一巡後はじりじりと下値を切り上げ、4時過ぎには164.42円付近まで持ち直す場面があった。
代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは対ドルで一時9万3462ドル前後と史上最高値を更新した。
対円でも1449万円台と過去最高値を更新した。
仮想通貨に好意的とみられるトランプ氏の米大統領選勝利が引き続き材料視された。
市場では「機関投資家の買いが増えている」との声も聞かれた。
【本日の東京為替見通し】ドル円は円買い介入の可能性、豪ドルは豪10月雇用統計に要注目か
本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ・トレード(米国債売り・ドル買い)が継続して155円台に乗せてきていることで、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒しながら、今夜のパウエルFRB議長の講演を待つことになる。
米10月コアCPIが3カ月連続で前月比+0.3%の伸びを記録してインフレ抑制の足踏みが警戒されたことで、米10年債利回りが4.46%台まで上昇し、ドル円も155.62円まで上昇して、トランプ・トレードが継続している。
ドル円は155円台に乗せてきており、神田前財務官が退任前に円買い介入を断行した水準(157円台、159円台、160円台、161円台)に接近している。
現在は財務省顧問も務める神田内閣官房参与は、先日、株高とドル高・円安の「トランプ・トレード」が起きている背景として、財政赤字増大による米金利上昇や関税の引き上げ、移民制限によるインフレと金利引き上げの可能性といった憶測があると指摘していた。
そして、投機が変動を助長しているとして、「行き過ぎた動きには適切な対応を取る」と円買い介入の可能性を示唆していた。
トランプ米政権は、米国の製造業を保護するため、輸入関税を引き上げ、ドル安を志向すると思われることから、本邦通貨当局のドル売り・円買い介入と整合的であるため警戒しておきたい。
また、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、12月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ確率は80%台に上昇しているものの、来年1月のFOMCでは据え置きが見込まれている。
12月17-18日のFOMCの前には、12月6日に米11月雇用統計が発表され、10月の雇用統計のノイズとなっていたハリケーンやストライキの影響を排除した米国の雇用情勢が確認できる。
今夜のパウエルFRB議長の講演では、11月雇用統計という「データ」次第と述べつつも、12月FOMCでの第3次利下げ(▲0.25%)を示唆すると思われるが、注目ポイントは、第2次トランプ米政権が発足する来年1月20日の後の29日のFOMCでの追加利下げへの言及となる。
7月FOMCでは、従来のインフレ重視の金融政策から二大責務であるインフレと雇用の両方を見る金融政策に「リカリブレート(再調整)」することが表明された。
そして、パウエルFRB議長は、9月FOMCでの第1次利下げ(▲0.50%)や11月FOMCでの第2次利下げ(▲0.25%)辺りから、金融政策の再調整「リキャリブレーション(recalibration)」という言葉を多用して、中立金利水準までの利下げ路線を貫徹しようとしており、今夜の講演でもこの単語に注目しておきたい。
9時30分に発表される10月豪雇用統計の予想は、失業率が4.1%で9月と変わらず、新規雇用者数が+2.50万人で、9月の+6.41万人からの減少が見込まれている。
先日の豪準備銀行(RBA)理事会では、政策金利が据え置かれ、声明文では「基調インフレは依然として高すぎる。
インフレ率は2026年まで目標(2-3%)の中央値に到達することはないだろう」とタカ派的な見解が維持された。
オーストラリアは、第2次トランプ米政権でのトランプ関税の直接的な悪影響と第2次米中貿易戦争による間接的な悪影響が懸念されており、雇用情勢が悪化していた場合、早期の利下げ観測が台頭する可能性に警戒しておきたい。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○08:00 ◎ ブロック豪準備銀行(RBA)総裁、討議に参加
○09:01 ◇ 10月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格(予想:11)
○09:30 ◎ 10月豪雇用統計(予想:失業率4.1%/新規雇用者数2.50万人)
○17:30 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○19:00 ☆ 7-9月期ユーロ圏域内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.4%/前年比0.9%)
○19:00 ◎ 9月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲1.4%/前年比▲2.0%)
○21:00 ◎ クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○21:30 ☆ 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(10月17日分)
○22:00 ◎ マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○22:30 ◎ 10月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比2.3%)
◎ 食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比3.0%)
○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.3万件/188.0万人)
○23:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、討議に参加
○15日01:00 ◇ EIA週間在庫統計
○15日03:30 ◎ シュナーベルECB専務理事、あいさつ
○15日04:00 ◎ メキシコ中銀、政策金利発表(予想:10.25%に引き下げ)
○15日05:00 ☆ パウエルFRB議長、講演
○15日06:00 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
13日19:15 ナーゲル独連銀総裁
「コアインフレ率は依然としてかなり高い」
「サービス部門のインフレは、依然として価格圧力が顕著」
「トランプ次期米大統領の関税政策は独経済の縮小を招く可能性」
13日19:27 マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「インフレは決して克服されたわけではない」
「英国のサービス部門インフレは非常に粘着性がある」
「エネルギー価格は、下がるよりも上がる可能性が高い」
13日22:57 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「CPIのヘッドラインは我々が進むべき道を裏付けている」
「次回会合までまだ6週間あり、さらなるデータが発表される」
「インフレは正しい方向に向かっていると確信している」
「インフレが2%超で高止まりしていると思わない」
「中立金利がどこにあるかについては大きな不確実性がある」
「経済が好調な状態が長く続くほど、中立金利は高くなるだろう」
「労働市場は良い状態にあると思う」
13日23:55 ローガン米ダラス連銀総裁
「FRBはおそらく追加利下げが必要となるが、慎重に進める必要」
「FRBが中立金利を大幅に超える利下げをした場合、インフレが再燃する可能性がある」
「FRBが何回利下げする必要があるか、またどのくらいのペースで行う必要があるかは不明」
「インフレ抑制に大きく前進」
「まだ物価安定には戻っていない」
「米国の経済活動は回復力がある」
「労働市場は徐々に冷え込んでいるが、大幅に弱まっているわけではない」
「インフレには上振れリスク、雇用には下振れリスクがある」
14日03:11 ムサレム米セントルイス連銀総裁
「物価安定に向けて『最後の一歩』を踏み出している可能性がある」
「インフレ率は中期的に2%の目標に収束すると予想」
「最近の情報は、インフレ率が上昇するリスクが高まっていることを示唆している一方で、雇用市場のリスクは不変または低下している」
「金融政策は、適切な位置づけにある」
「FRBは今後の利下げの決定に向けて、慎重かつ忍耐強くデータの判断を行うことができる」
「インフレ率が2%を超えている間は、金融政策は『適切に制限的』なままである」
「インフレ率が引き続き低下した場合、さらなる利下げは適切」
「労働市場は完全雇用の範囲内に依然としてある」
「堅調な経済は、第4四半期に向けて堅実な軌道に乗っている」
14日03:38 シュミッド米カンザスシティー連銀総裁
「FRBが今後どれくらい利下げを続けるか、そして金利がどこで落ち着くかはまだ分からない」
「これまでのFRBの利下げは、インフレ率が2%の目標に向かっているという信頼感の高まりを認めるものだ」
「生産性の伸びが人口増加の鈍化や財政赤字拡大の影響を上回れることを期待」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=反落に注意も底堅い推移は続きそう>
陽線引け。
目先の上値の節目だった7日高値154.71円を上抜けて上昇に勢いがついた感もあり、7月24日以来の高値155.62円まで上昇した。
一目均衡表・転換線付近で底堅さを示し上昇してきた流れだが、転換線153.46円からややかい離したこともあり、調整の反落には注意。
ただ、レンジの切り上がりが転換線の上昇継続見通しにつながっており、同線の動向が示唆する底堅い推移は続くとみる。
レジスタンス2 157.10(7/23高値)
レジスタンス1 156.29(7/22安値)
前日終値 155.46
サポート1 154.66(ピボット・サポート1)
<ユーロドル=上ひげともなう戻りの鈍さを示す足型形成>
上影陰線引け。
1.0653ドルまで戻す場面もあったが押し返され昨年11月以来、約1年ぶりの安値1.0556ドルまで下落した。
上ひげをともなう戻りの鈍さを示す足型を形成。
一目均衡表・転換線1.0747ドルは来週前半にも1.07ドル割れへ切り下がり、同週内にも1.06ドル前半へ低下する見込み。
さえない推移継続の示唆と受け止めることができる。
レジスタンス1 1.0625(5日移動平均線)
前日終値 1.0564
サポート1 1.0496(2023/10/13安値)
<ポンド円=底堅さ維持のためにはレンジ切り上げ必須>
下影陽線引け。
一時196.66円へ下押したが、一目均衡表・基準線196.70円をやや下回る同水準からは戻し、一目・転換線197.67円へ近づく動きを示してNYを引けた。
まだ上昇が続いている転換線から大きく離れないレンジを維持している。
しかし現状からすれば、同線は明日198.11円へ小幅に上昇したところで頭打ちとなる公算。
転換線が低下へ向かう前に、7日高値199.56円を上抜けるなどレンジ切り上げが底堅さ維持のために必須だが難しく見える。
レジスタンス1 198.46(11/11高値)
前日終値 197.58
サポート1 196.70(日足一目均衡表・基準線)
<NZドル円=92円回復できず200日線回復は難しいか>
上影小陰線引け。
多くの日足テクニカル指標が集束する91円台でもみ合った。
昨日上値が抑えられた91.95円付近の動きからすれば92円台への定着は難しそう。
強弱を判断する際の節目200日移動平均線92.25円の回復も困難で、さえない推移が続きそうだ。
レジスタンス1 91.95(11/13高値)
前日終値 91.39
サポート1 90.89(11/11安値)
Provided by
DZH Finacial Research
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