November 8, 2024
【前日の為替概況】ドル円、152.70円まで反落 ユーロドルが1.0825ドルまで上昇
7日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。
終値は152.94円と前営業日NY終値(154.63円)と比べて1円69銭程度のドル安水準だった。
米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表が近づく中、米長期金利の低下に伴うドル売りが先行。
アジア時間に154.71円と7月30日以来の高値を付けたあとだけに、米重要イベントを控えたポジション調整目的の売りも出やすく、1時前に152.86円まで値を下げた。
FOMCの結果が伝わると153.47円付近まで下げ渋る場面もあったが戻りは鈍く、5時過ぎには一時152.70円と日通し安値を更新している。
なお、米連邦準備理事会(FRB)はFOMCで市場予想通り政策金利を0.25%引き下げて、4.50-4.75%にすることを決めたと発表。
声明では「FF金利の目標誘導レンジの追加調整を検討するに当たり、委員会は今後もたらされるデータ、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に評価する」などと指摘し、前回までの「インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信を強めている」との文言を削除した。
また、パウエルFRB議長はFOMC後の会見で「短期的には、選挙は政策に影響しない」としたうえで、「我々はあらかじめ決められたコースを進んでいるわけではない。
FRBは会合ごとに決定を下し続ける」と話し、データ次第で利下げペースを決める姿勢を強調した。
ユーロドルは反発。
終値は1.0805ドルと前営業日NY終値(1.0729ドル)と比べて0.0076ドル程度のユーロ高水準だった。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.30%台まで低下したことを受けて全般ドル売りが優勢となった。
0時30分過ぎに一時1.0825ドルと日通し高値を更新した。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時104.19まで低下した。
FOMC結果公表後は1.0767ドル付近まで売られる場面もあったが、下押しは限定的。
米金利低下に伴うユーロ買い・ドル売りが入りやすく1.0810ドル付近まで持ち直した。
ユーロ円は3営業日ぶりに反落。
終値は165.25円と前営業日NY終値(165.91円)と比べて66銭程度のユーロ安水準。
ドル円の下落につれた売りが出て一時本日安値となる165.01円まで値を下げたものの、ユーロドルの上昇につれた買いも入ったため、下落のスピードは緩やかだった。
【本日の東京為替見通し】ドル円、米債利回り低下の売りとトランプ・トレードの買いの鬩ぎ合いか
本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りの低下を受けて上値が重い展開が予想されるものの、トランプ・トレード(米国債売り・ドル買い)が下値を限定的にすると予想される。
米連邦公開市場委員会(FOMC)では、予想通りにフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジが4.50-75%まで引き下げられた。
パウエルFRB議長は記者会見で「われわれは時間をかけてより中立的なスタンスへと移行しており、そうした中で今回の政策スタンスのさらなる調整は、経済と労働市場の強さを維持する一助となり、インフレ面でのさらなる進展を今後も可能にするだろう」と述べた。
そして、米大統領選での「トリプルレッド」(トランプ共和党候補&上下両院での共和党勝利)の可能性に関しては、「当面の金融政策決定に何ら影響しない」と述べた。
トランプ氏は、「トリプルレッド」だけでなく、「クアドラプル・レッド(ホワイトハウス、上院、下院、最高裁」で三権分立の頂点に君臨しつつあるが、金融政策への発言権を求めつつ、パウエルFRB議長を2025年5月の任期まで解任しない、と述べている。
第2次トランプ米政権では、関税引き上げ(中国60%、その他10%)、「減税・雇用法(トランプ減税)」や法人税減税と大規模な財政出動が見込まれており、物価は上昇(トランプ・フレーション)することが見込まれている。
パウエルFRB議長は、財政政策が変わる可能性について、その時期や内容を理解するには時期尚早だと指摘し、「財政政策をモデルに取り込むのは法成立の後」と述べた。
第2次トランプ米政権では、政府支出削減の取り組みを主導する目的で、米政府効率化省(DOGE)が新設される、と報じられている。
米効率大臣候補のイーロン・マスク氏は、連邦予算から少なくとも2兆ドルを削減できると主張している。
米財務省によると、連邦政府は2024年会計年度に6兆7500億ドルを支出し、財政赤字は、1兆8970.79億ドルだった。
マスク氏が目論んでいる2兆ドルの歳出削減規模は、2024会計年度の財政赤字規模に匹敵する。
財政支出拡大となる公約の法制化とマスク米効率大臣候補による政府支出削減策の法制化が、FOMCの金融政策に影響を与えることになるのかもしれない。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 9月家計調査(消費支出、予想:前年比▲2.1%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○08:50 ◇ 10月外貨準備高
○14:00 ◇ 9月景気動向指数速報値(予想:先行109.0/一致115.5)
<海外>
○11:30 ◎ ブリーデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○16:45 ◇ 9月仏貿易収支
○16:45 ◇ 9月仏経常収支
○17:00 ◇ 10月スイスSECO消費者信頼感指数(予想:▲32.5)
○18:00 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○18:00 ◎ パネッタ伊中銀総裁、講演
○21:00 ◎ 10月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比4.72%)
○21:15 ◎ ピル英MPC委員兼チーフエコノミスト、講演
○22:30 ☆ 10月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化2.50万人/失業率6.6%)
○24:00 ◎ 11月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:71.0)
○9日01:00 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○9日04:30 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、あいさつ
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
7日17:15 ショルツ独首相
「来年1月の信任投票実施を探ると改めて表明」
7日08:54 三村財務官
「行き過ぎた動きに対して適切な対応をとっていきたい」
「為替市場の動向は足元では一方的で急激」
「極めて緊張感をもって注視」
7日12:27 習近平・中国国家主席
「米中は対話を強化すべき」
「米中、協力すれば利益を得て、対立は不利益被る」
7日17:34 スウェーデン中銀(リクスバンク)声明
「12月と2025年前半にも利下げする可能性」
「9月の評価よりもやや速いペースで利下げする必要」
「経済回復の明確な兆しはまだほとんど見られない」
「米選挙後の状況を評価するのは困難」
7日18:03 ノルウェー中銀(ノルゲバンク)声明
「政策金利は2024年末まで4.5%に維持される可能性が最も高い」
「ここ数年のクローネ安と企業コストの急激な上昇が、さらなるディスインフレを抑制する可能性」
「引き続き金融引き締め政策が必要」
「経済の見通しは前回の会合以降、大きく変化していない」
「ノルウェー経済の今後の展開には不確実性がある」
7日21:01 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
「MPCは8対1で4.75%への利下げを決定」
「経済が予想通りに推移すれば、金利は徐々に低下し続ける可能性が高い」
「2024年GDP予測は+1.00%(前回は+1.25%)」
「2025年GDP予測は+1.50%(前回は+1.00%)」
「2026年GDP予測は+1.25%(前回は+1.25%)」
「政策金利は2024年第4四半期に4.8%、2025年第4四半期に3.7%、2026年第4四半期に3.7%、2027年第4四半期に3.6%と予想」
「マン委員は5%での据え置きを主張」
「1年後のCPIは+2.7%(前回は2.4%)」
「2年後のCPIは+2.2%(前回は1.7%)」
「3年後のCPIは+1.8%(前回は1.5%)」
「予算案が2026年半ばから2027年初めにかけて、インフレのピークを0.5ポイント未満押し上げると暫定的に予想」
7日21:17 ハーベック独経済相
「経済と財政の計画立案を非常に困難にする地政学的状況に直面」
「現在の政治的混乱が一時的なものではなく、次の政府も同様の課題に直面する可能性が高い」
7日21:39 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「ディスインフレが予想より早い」
「英国の金利は下降傾向」
「中期的にCPIを目標値に維持するのに十分な経済的余力がある」
7日22:05 クノット・オランダ中銀総裁
「金融システムへの次のショックがどこから来るかを予測するのは不可能」
「2008/2009年の金融危機時に見られた国際的な協力が不足している」
「貿易障壁の増加が経済リスクを高める」
8日01:14 ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁
「米国の関税はEU経済にネガティブな影響を及ぼすだろう」
「トランプ政権の政策プランを待ってみる必要がある」
8日04:03 米連邦公開市場委員会(FOMC)声明
「最近の指標は経済活動が引き続き堅調なペースで拡大していることを示している」
「今年初め以来、労働市場の状況は概ね緩和しており、失業率は上昇しているものの依然として低い」
「インフレ率は委員会の2%のインフレ目標に向けて進展しているが、依然としてやや高い水準にある」
「インフレ率の進展とリスクのバランスを考慮し、委員会はFF金利の目標誘導レンジを0.25%引き下げ、4.50-4.75%にすることを決定」
「FF金利の目標誘導レンジの追加調整を検討するに当たり、委員会は今後もたらされるデータ、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に評価する」
「委員会は保有する米国債およびエージェンシーローン担保証券の削減を続ける」
「委員会は雇用最大化を支援し、インフレ率を2%の目標に戻すことに強く取り組む」
「委員会は雇用最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目指す」
「委員会は、雇用とインフレ率の目標達成に対するリスクはほぼ均衡していると判断」
「経済の見通しは不確実で、委員会は2つの使命の両面に対するリスクを注視している」
「金融政策の適切な姿勢を評価するに当たり、委員会は今後もたらされる経済見通しに関する情報の意味を引き続き監視する」
「もしも委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある」
「委員会の評価は、労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する」
「今回の金融政策決定は全会一致」
8日04:38 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「ハリケーンやストライキがなければ雇用はやや増加」
「労働市場の状況は引き続き堅調」
「個人消費の伸びは引き続き堅調」
「最近の指標は経済が堅調に拡大していることを示唆している」
「経済は全体的に堅調」
「FRBは引き続き2つの責務の目標にしっかりと焦点を合わせている」
「FRBは会合ごとに決定を下し続ける」
「FRBはよりゆっくりと、あるいはより迅速に抑制を緩和できる」
「全体的なインフレ率は2%の目標にかなり近づいているが、コアはやや高いまま」
「利下げは経済の強さを維持するのに役立つ」
「政策は直面するリスクに対処するのに十分準備ができている」
「短期的には、選挙は政策に影響しない」
「我々は最大雇用と物価安定を達成するためにできる限りのことをする」
「我々は財政政策を推測したり、想定したりしない」
「最新のインフレ報告はひどくはなかったが予想より少し高かった」
「経済活動データは予想よりも好調」
「債券利回りがどこで落ち着くかを言うのは時期尚早」
「推測や憶測、仮定はしない」
「長期金利の上昇はインフレではなく成長の強さを反映しているようだ」
「FRBはより中立的な姿勢への道を歩んでいる」
「12月の会合ではデータと見通しを注視する」
「利回りを押し上げている要因については、これ以上言うことはない」
「FRBは財政政策についてコメントしない」
「今はフォワードガイダンスを多く行うのに良い時期ではないと考えている」
「削除した文言は利下げ開始に伴うものだった」
「我々はより中立的なスタンスへの道を歩んでいる、データが我々をどこに導くかを見守る必要がある」
「財政政策をモデルに取り込むのは法成立の後」
「中立接近に伴い、利下げ減速が適切になる可能性も」
「今回の利下げを考慮しても、政策は依然景気に抑制的」
「FRBは中立金利の実現を急いでいない」
「利下げペースの調整について検討を始めたばかり」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線を睨みながら方向感を探る展開に>
大陰線引け。
前日高値を僅かに超えたところで上値を抑えられて反落。
153円付近の日足一目・転換線も割り込み、急騰した6日レンジの61.8%押し水準の手前で下落が一服した。
2日連続で大きく動いた後なだけに、本日は153.01円に位置する転換線を睨みながら方向感を探る展開か。
転換線の下での推移が続くようだと、151.60円台で上向きの200日移動平均線や6日安値が意識されそうだ。
レジスタンス2 154.71(11/7高値)
レジスタンス1 154.20(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 152.94
サポート1 152.19(ピボット・サポート1)
サポート2 151.30(11/6安値)
<ユーロドル=21日線から基準線が抵抗帯として働くか>
陽線引け。
1.07ドル前半を下値に反発し、1.08ドル前半の日足一目・転換線も上抜けたところで上昇が一服した。
転換線は1.0810ドルで横ばいであり、本日は同線を念頭に置いた取引きとなりそうだ。
上値を試した場合は、1.0840ドル台で下向きの21日移動平均線から1.0860ドル台の基準線が抵抗帯として働くか確かめたい。
レジスタンス1 1.0862(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0805
サポート1 1.0713(11/7安値)
<ユーロ円=200日線割り込むと基準線が視野に>
陰線引け。
166円に届かず反落するも165円の手前では支えられた。
前日の高・安値がそれぞれ抵抗と支持になった形。
日足一目・転換線は165.80円台に乗せ、同線から6日につけた今週高値166.10円までが目先の抵抗帯として意識されるか。
下サイドは本日164.82円の200日移動平均線を下抜けると、163円後半の基準線が視野に入ってくる。
レジスタンス1 166.10(11/6高値)
前日終値 165.25
サポート1 163.85(日足一目均衡表・基準線)
<豪ドル円=7月以来の102円台、昨日高値超えで一段高も>
陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
転換線の上で強含み、7月以来となる102円台に乗せてきた。
1カ月以上にわたり抵抗となっていた101円半ばをしっかりと超え、レンジを上サイドにシフトしてきた。
昨日高値102.41円を上抜けると、7月24日の直近高値103.12円に向けた一段高もあるだろう。
レジスタンス1 103.12(7/24高値)
前日終値 102.16
サポート1 101.31(11/7安値)
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