November 1, 2024
【前日の為替概況】ドル円151.84円まで下落、植田総裁発言と米10年債利回り4.25%台へ低下
31日のニューヨーク外国為替市場でドル円は5営業日ぶりに反落。
終値は152.03円と前営業日NY終値(153.42円)と比べて1円39銭程度のドル安水準だった。
米10年債利回りが4.33%台まで上昇すると買いが強まり、23時過ぎには153.05円付近まで値を上げた。
ただ、ダウ平均が軟調に推移したため上値は限定的。
米金利が4.25%台まで一転低下したことも嫌気され、3時30分過ぎには本日安値となる151.84円まで値を下げ、その後の戻りも鈍かった。
アジア時間に植田日銀総裁が定例記者会見でこれまで繰り返してきた政策判断に「時間的な余裕はある」との表現を今後は使わないなど、タカ派的な見解を示したことが引き続き重しとなった面もあった。
ユーロドルは4日続伸。
終値は1.0884ドルと前営業日NY終値(1.0856ドル)と比べて0.0028ドル程度のユーロ高水準だった。
欧州時間からの底堅い地合いが継続し、22時30分過ぎには一時1.0888ドルと日通し高値を更新した。
その後はポンドドルの急落につれたほか、欧州株安も重しとなり1.08ドル台半ばまで伸び悩む場面があったが、米長期金利の低下が支えとなるなど下値は堅かった。
なお、ポンドドルは23時前から断続的な売りが持ち込まれた。
市場では「月末のロンドンフィキシングに向けたフローが出たのでは」との指摘もあり、23日安値の1.2908ドルを下抜けて1.2844ドルと8月15日以来の安値を付けた。
ユーロ円は5営業日ぶりに反落。
終値は165.48円と前営業日NY終値(166.55円)と比べて1円7銭程度のユーロ安水準だった。
ドル円やユーロドルの上昇につれて166.36円付近まで値を上げる場面があったが上値は限られた。
欧米株安でリスク回避の売りが優勢になると165.03円付近まで一転下落した。
【本日の東京為替見通し】ドル円 上値が重い展開か 米10月雇用統計や中東情勢への警戒感
本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表の米10月雇用統計や中東情勢への警戒感から上値が重い展開が予想される。
今夜発表される米10月雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比+11.3万人と予想され、9月の+25.4万人からの大幅な減少が見込まれている。
要因としては、ハリケーンやストライキによる一時的な混乱と指摘されている。
ただし、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では特殊要因のために重要視されない、とのことである。
しかしながら予想を大幅に下回るネガティブサプライズの可能性もあるため、発表まではドル円が伸び悩む可能性はある。
米ニュースサイト「アクシオス」が、イスラエル情報機関による情報として、イランが数日以内にイラク国内の親イラン組織を通じてイスラエルに大規模な報復攻撃を準備している、と報じている。
こちらも中東の地政学リスクを高めており、リスク回避の円買いが意識されそうだ。
なお、昨日の日銀金融政策決定会合と植田日銀総裁の会見はややタカ派的だった。
経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、リスクバランスが、前回リポートで指摘した「上振れリスクの方が大きい」が維持された。
金融政策運営は、経済・物価見通しが実現していけば「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」方針も維持された。
植田日銀総裁は、「政策判断に時間的余裕がある」との表現が「不要になるのではないかと考え、今日も使っていない」と述べた。
総裁は「金融政策の見極めに必要な時間や利上げのタイミングには予断を持っていない」とも発言している。
植田総裁は、先週末のG20会議の後の記者会見、9月の日銀金融政策決定会合の後の記者会見、そして、石破首相との初会談の後に、「不確実性が大きい場合には、政策変更を慎重に段階的に進めたい。追加利上げを判断するのに、時間的な余裕はある」と述べていた。
しかし、昨日は米経済のリスク度合いは少しずつ下がってきているとの考えから、不要になったことを示唆したことで、12月の会合での追加利上げの可能性が浮上し、ドル円の上値を抑える要因となっている。
ところで、昨日発表された米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視しているPCEデフレーターの9月分は前年比+2.1%だった。
8月の同比+2.3%から伸び率が鈍化し、2021年2月以来の小幅な上昇となった。
CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、11月6-7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ確率は90%付近、12月FOMCでの0.25%利下げ確率が70%超えでやや拡大した。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○09:30 ◎ 7-9月期豪卸売物価指数(PPI)
○10:45 ◎ 10月Caixin中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:49.7)
○16:00 ◇ 10月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.3%)
○16:00 ◇ 10月トルコ製造業PMI
○16:30 ◎ 10月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比横ばい)
○16:30 ◇ 9月スイス小売売上高
○17:30 ◇ 10月スイス製造業PMI(予想:49.8)
○18:30 ◎ 10月英製造業PMI改定値(予想:50.3)
○21:00 ◇ 9月メキシコ失業率(季節調整前、予想:3.00%)
○21:30 ☆ 10月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化11.3万人/失業率4.1%/平均時給、前月比0.3%/前年比4.0%)
○22:45 ◎ 10月米製造業PMI改定値(予想:47.8)
○22:45 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、あいさつ
○23:00 ☆ 10月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:47.6)
○23:00 ◇ 9月米建設支出(予想:前月比横ばい)
○24:00 ◇ 10月メキシコ製造業PMI
○ポーランド(万霊節)、休場
○3日 米国が冬時間に移行
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
10月31日14:49 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「利下げの規模は経済データ次第」
「インフレのゴールが視野に入っている」
「2024-26年のユーロ圏のリセッション(景気後退)は予想していない」
10月31日15:32 植田日銀総裁
「過去と比べると為替の変動が物価に影響を与える面がある」
「経済・物価見通しが実現していくとすれば、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」
「米国はじめ海外経済の今後の展開や市場動向を十分注視」
「7月の利上げの影響はおおむね予想通り」
「企業のマインド面でも大きな影響は見られていない」
「情勢の見極めに必要な時間やタイミングで予断を持っていない」
「12月会合で多角的レビューを取りまとめる」
「(時間的余裕あるかとの質問に対し)金融政策は毎回の会合で判断」
「時間的余裕という表現は、6-7月から9月上旬に心配されていた米国のダウンサイドリスクを見極めるために使用していた」
「物価の中心的な見通しは先にいくほど確度は下になる」
「現在の所定内給与の伸びが続けば、見通し実現の確度高まる」
「利上げが続くことで想定外のマイナス効果が出てくることも考慮」
「今年と同じ程度の賃上げ率になれば物価目標に良い動き」
「賃上げ率だけで利上げの判断はできない」
「2%物価目標に照らすと、昨年中に本格的な出口に向かうオプションはなかった」
「おおむね全体として出口戦略による波乱はなく来れた」
「9月会合対比でリスク評価は弱めになっているが、まだリスクは残っている」
10月31日16:19 林官房長官
「日銀には引き続き政府と連携し物価目標の実現に向け適切な政策運営を行うと期待」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=10/31高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、抱き線で反落して、10/31時点の151.49円から本日時点の152.19円に上昇してきた転換線を下回って推移しており、続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線を念頭に置き、31日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 153.88(10/28高値)
レジスタンス1 153.59(10/31高値)
前日終値 152.03
サポート1 151.54(200日移動平均線)
サポート2 150.50(10/22安値)
<ユーロドル=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
しかし、4手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は200日移動平均線1.0870ドルを念頭に置き、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0985(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0884
サポート1 1.0825(日足一目均衡表・転換線)
<ポンド円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
大陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
しかし、2手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 197.46(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 196.12
サポート1 194.69(日足一目均衡表・基準線)
<NZドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けており、三役好転は解消したものの、依然として買いシグナルが優勢な展開となっている。
しかし、30日の寄引同事線の後、昨日は抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 91.24(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 90.86
サポート1 89.43(日足一目均衡表・雲の上限)
Provided by
DZH Finacial Research
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