週間展望・回顧(ポンド、加ドル)
- ◆ポンド、9月雇用・物価データで追加利下げを見極め
- ◆ポンド、月末に予算案公表を控え関連のヘッドラインにも注意
- ◆加ドル、9月CPI次第では大幅利下げを織り込む動きにも
予想レンジ
ポンド円 190.50-196.50円
加ドル円 106.50-110.50円
10月14日週の展望
ポンドは来週発表予定の9月雇用・物価データが注目される。
イングランド中銀(BOE、英中銀)の次回会合は11月7日に予定されており、9月雇用・物価データは金融政策委員会(MPC)メンバーにとって政策判断の大きな手がかりとなる。
8月消費者物価指数(CPI)は前年比2.2%と横ばいだったが、同コアは3.3%から3.6%へ、サービスは5.2%から5.6%に伸びが加速し、これが9月会合で追加利下げを見送った大きな一因となった。
もっともベイリーBOE総裁は先週、インフレに関する良好なニュースが続けば中銀は利下げのアプローチで「もう少し積極的に、かつ、もう少し活動的になることが可能だ」と述べた。
9月英購買担当者景気指数(PMI)は製造業・サービス業ともに前月から悪化したが、依然として景気判断の分岐点とされる50を上回っている。
英国経済は勢いこそ鈍りつつあるものの回復が続いており、景気は欧州内で堅調な部類に入っている。
ただ、英政府は30日に発表する予算案での増税を示唆しており、税負担の拡大による景気下振れリスクが高まっている。
増税規模次第では、財政赤字を巡る懸念が高まる恐れや、消費にも陰りが出てくる可能性があり、予算案関連のヘッドラインにも注目したい。
加ドルもカナダの9月CPIに注目。
23日のカナダ中銀(BOC)会合では、4会合連続での利下げが確実視されている。
11日の9月雇用統計や15日の同月CPIがさえない結果となれば、0.50%の大幅利下げへの思惑が強まり、加ドルは売りに押されそうだ。
予想より強い結果になっても、大きく上振れしない限り加ドル買いは限られ、どちらかと言うとネガティブな結果が警戒される。
8月CPIは前年比2.0%と2021年2月以来の低水準となり、BOCが目標とする2%に達した。
9月の予想は1.9%と伸びの鈍化が続くと見込まれている。
物価上昇が落ち着いていることで、BOCは積極的な利下げ姿勢継続を示唆し、経済の刺激と失業率の上昇を抑えることに注力することになりそうだ。
また、加ドルは産油国通貨という側面をもっており、中東情勢には引き続き注目が必要。
イスラエルとイランの対立などを巡る中東情勢の悪化を受け、原油相場は値幅を伴った動きが続いている。
中東の地政学リスクと中国当局の景気刺激策が原油相場の支えとなっているが、中東情勢への過度な警戒感や中国景気回復への期待感が和らぐと、「原油需要の低迷・過剰供給」をテーマに再び売り圧力が強まり、加ドルの上値圧迫の要因となる可能性がある。
10月7日週の回顧
ポンドは前週のベイリーBOE総裁のハト派寄り発言が重しとなるも、対ドルでは1.30ドル前半、対円は192円後半で下げ渋って値動きは限られた。
加ドルはBOCの追加利下げへの思惑が上値を圧迫するなか、8月の貿易収支が予想を上回る赤字額となったことも嫌気された。
ドル/加ドルは1.37加ドル後半、加ドル円は108円割れまで加ドル安となった。(了)
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