本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、8円弱上昇し買いの勢いは一服|中国も明日の政策発表待ち(2024年10月11日)

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October 11, 2024

【前日の為替概況】ドル円、3日ぶり反落 一時148.30円まで下押す 

10日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3営業日ぶりに反落。
終値は148.57円と前営業日NY終値(149.31円)と比べて74銭程度のドル安水準だった。
この日発表の米経済指標の結果が伝わると、売買が交錯し上下に大きく振れる場面があった。
9月米消費者物価指数(CPI)が予想を上回ると全般ドル買いが先行し一時149.53円付近まで値を上げたものの、アジア時間に日通し高値149.55円が目先レジスタンスとして働くと失速。
前週分の米新規失業保険申請件数が予想より弱い内容だったことが意識され、一時148.30円と日通し安値を付けた。

そのあとも方向感に乏しい展開が続いた。
グールズビー米シカゴ連銀総裁は米CPIが予想を上回ったことについて「過度に懸念していない」と話したほか、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁は「インフレ圧力の緩和が続く中、米連邦準備理事会(FRB)は一段の利下げを実施していくと予想される」などと発言。
市場関係者からは「CPIの予想比上振れもFRBによる追加利下げを阻むほどではない」「総合、コアともに伸びは依然として減速傾向にあり、最新の数字はこのトレンドを否定するものではない」との声が聞かれる中、引けにかけては米長期金利の低下とともに上値が重くなった。

一方ボスティック米アトランタ連銀総裁は「最新インフレ、労働市場データにより、FRBは忍耐強くなれる」「11月の金利据え置き、私は間違いなくオープン」「今年の利下げをスキップしても全く問題ない」と述べ、11月金利据え置きの可能性を示唆。
2時過ぎに一時149.08円付近まで強含む場面があった。

ユーロドルは小幅ながら続落。
終値は1.0934ドルと前営業日NY終値(1.0939ドル)と比べて0.0005ドル程度のユーロ安水準だった。
本日発表の米経済指標が強弱入り混じる内容だったことから売買が交錯。
相場は方向感が出なかった。

NY午後に入り、ボスティック米アトランタ連銀総裁が11月金利据え置きの可能性を示唆したと伝わると、米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.1158%前後と7月31日以来の高水準を記録。
米金利上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出て一時1.0900ドルと8月8日以来約2カ月ぶりの安値を更新した。
ただ米10年債利回りが低下に転じると買い戻しが優勢となり、1.0938ドル付近まで下げ渋った。

ユーロ円は3日ぶりに反落。
終値は162.46円と前営業日NY終値(163.31円)と比べて85銭程度のユーロ安水準。
アジア時間に一時163.61円と日通し高値を付けたあとは、欧米株安を受けて円買い・ユーロ売りが進んだ。
1時30分過ぎには162.18円と日通し安値を更新した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、8円弱上昇し買いの勢いは一服 中国も明日の政策発表待ち

本日の東京時間のドル円は148円台でのもみ合いか。
昨日は米CPIが予想比で上振れたにもかかわらず、ドル買いの勢いは弱まった。
先週9月30日につけた安値141.65円から昨日は149.55円まで8円弱ほぼ一本調子で上昇したこともあり、行き過ぎた動きに調整が入っている。

為替市場だけではなく債券市場でも、米長期債利回りは連日の上昇から一服感が出ている。
また、昨日の米CPIの結果を受けてシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」は、11月6-7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ予想が約87%に上昇した。
一方、据え置き予想は昨日の3割弱から1割強まで縮小。
週末を前に新たに上値を追いかけていく展開にはなりにくそうだ。

本日は香港市場が重陽節のために休場。
本邦やアジア市場からは特段市場を動意づけるような経済指標の発表が予定されていないことも、レンジを抜けだすことを難しくするだろう。

ただし、その中で警戒しなくてはならないのは石破首相の言動など、政治的な動き。
ラオスで行われている東南アジア諸国連合(ASEAN)に出席している首相は、アジア版北大西洋条約機構(NATO)構想など持論を封印して選挙対策を優先している旨がある。
(日銀の早期利上げを否定した)石破サプライズが巻き起こした円安の流れについて、週末を含め首相が市場の警戒感を高める言葉を発するリスクには要警戒となりそうだ。

なお中国では、明日12日に藍仏安・中国財務相が財政政策に関して会見予定。
その結果待ちとなり、同国市場も本日は様子見ムードが広がるか。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 9月マネーストックM2

<海外>
○未定 ◎ 韓国中銀、政策金利発表(予想:3.25%に引き下げ)
○15:00 ◎ 9月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比横ばい/前年比1.6%)
○15:00 ☆ 8月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.2%)
○15:00 ◎ 8月英鉱工業生産(予想:前月比0.2%/前年比▲0.5%)
○15:00 ◎ 8月英製造業生産高(予想:前月比0.2%)
○15:00 ◇ 8月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:192.50億ポンドの赤字/59.25億ポンドの赤字)
○16:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○16:00 ◇ 9月スイスSECO消費者信頼感指数(予想:▲33)
○16:00 ◇ 8月トルコ経常収支(予想:42億ドルの黒字)
○21:00 ◎ 8月インド鉱工業生産(予想:前年同月比1.2%)
○21:00 ◇ 8月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.2%)
○21:30 ◇ 8月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲5.5%)
○21:30 ☆ 9月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化2.70万人/失業率6.7%)
○21:30 ◎ 9月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.1%/前年比1.6%)
    ◎  食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.7%)
○22:45 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、あいさつ
○23:00 ◎ 10月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:70.8)
○23:45 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○12日01:00 ◎ 9月ロシアCPI(予想:前月比0.4%)
○12日02:10 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○香港(重陽節)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

10日07:21 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「労働市場は持続可能なペースに下方シフトしている」
「労働市場のさらなる減速は望まない」
「インフレ率は2%目標の到達に向けた道筋にあると強く確信」
「年内に1回か2回の利下げが実施される可能性が高い」

10日16:42 氷見野日銀副総裁
「日本経済はまた動き始めた。日本の金融政策も動き始めている」
「日本の金融政策は正常化しつつある」
「将来の金融政策は、物価の展開や金融条件次第」
「複数の実質金利が存在するが、すべてがマイナスにある」
「明らかに実質金利はかなり低い水準にある」
「データの全体像を決定会合ごとに見ていく必要」
「来年の賃金動向に関する情報などが重要」

10日17:42 神田内閣官房参与
「為替市場、引き続き高い緊張感持って警戒続けていく」

10日20:36 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(9月12日分)
「ユーロ圏の経済見通しはより懸念される状況」
「インフレが適時に持続可能な形で目標に落ち着くかどうかを注意深く監視する必要」
「インフレは来年後半にかけて目標に向けて低下すると予想」
「インフレは今年後半に再び上昇すると予想」
「勝利宣言をするのは時期尚早」

10日20:43 国連レバノン暫定隊(UNIFIL)
「イスラエル軍が意図的に国連の監視カメラを狙撃し無効化した」

10日23:33 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「インフレは予想通り、住宅市場は改善」
「FRBはより長期的な視点を持つ必要がある」

10日23:39 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「インフレは正しい方向に向かっている」
「インフレは低下しているが勝利を宣言することはできない」
「金利低下が住宅需要を押し上げるリスクを認識」

11日00:23 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「経済がFRBのさらなる利下げを許容すると予想」
「インフレ率は今年2.25%に低下し、来年は2%近くまで下がると予想」
「今年のGDPは2.25%から2.50%の間と予想」
「最近のFRBの利下げにより、経済は好調な状態になるはず」
「今後の利下げのペースと規模は経済データ次第」
「失業率は2025年に4.25%前後になると予想」

11日01:54 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「これまでの金利スタンスはもはや適切ではなかった」
「9月の0.50%の利下げは十分に正当化された」
「最新のインフレ、労働市場データにより、FRBは忍耐強くなれる」
「残りの会合のいずれか、またはいずれも利下げする根拠が示される可能性」
「11月の金利据え置きについて、私は間違いなくオープン」
「月次の経済データは不安定になると予想」
「今年の利下げをスキップしても全く問題ない」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=転換線の水準切り上げが支援材料に>

ドル円1011

パラメーター1011

陰線引け。
149円半ばまで上昇し、8/2以来の高値を更新したところから一転下落し、148円前半まで下押しした。
3手ぶりの陰線引けとなる。

再び日足一目均衡表・雲の中で気迷い相場に。
方向感を探る展開が続きそうだが、一目・転換線が146円台に乗せ、来週後半にかけて148円半ばまで水準を切り上げてくることは支援材料となるだろう。

レジスタンス2 150.62(90日移動平均線)
レジスタンス1 149.77(8/2高値)
前日終値 148.57
サポート1 147.35(10/8安値)
サポート2 146.27(日足一目均衡表・転換線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=雲の下限に沿った動きも伸びは鈍いか>

ユーロドル1011

パラメーター1011

小陰線引け。
日足一目・雲を割り込むも1.09ドルで下げ止まった。
終値と同値だった一目・雲の下限は本日、1.0940ドルにやや水準を上げ、来週末に1.09ドル後半まで上昇見込み。

今後は雲下限に沿った動きも想定できるが、雲の厚さが上値の伸びを鈍らせそうだ。
下サイドは、大台を割り込むと1.0870ドル台の200日線が意識される。

レジスタンス1 1.0997(10/8高値)
前日終値 1.0934
サポート1 1.0874(200日移動平均線)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=雲の中で伸び悩み、上向き転換線が支持か>

ユーロ円1011

パラメーター1011

陰線引け。
163円台で8月半ば以来の高値更新後は売戻しが優勢となった。
162円前半まで下落し、その後の戻りも限られ、3手ぶりの陰線引け。

日足一目・雲の中で伸び悩み、その雲は来週にかけて下限を拡大する見込み。
一方、転換線は本日から161円まで上昇し、来週半ばには162円台乗せが示唆されている。
転換線が支持となることを期待したい。

レジスタンス1 163.89(8/15高値)
前日終値 162.46
サポート1 161.00(日足一目均衡表・転換線)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=雲の中では下げ渋り、200日線を巡る攻防に>

豪ドル円1011

パラメーター1011

陰線引け。
100円後半から反落し、売戻しが強まるも雲の上限を割り込んだところで下げは一服した。

本日は100.10円台でジワリと上昇中の200日線を巡る攻防か。
上放れた場合は昨日届かなかった90日線を目指す展開、下サイドは99円後半の転換線や雲の上限が意識される。
下抜けるようだと、8日安値99.09円が次の目標値。

レジスタンス1 100.87(90日移動平均線)
前日終値 100.15
サポート1 99.09(10/8安値)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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商号等:【金融商品取引業者】投資助言業/【登録番号】関東財務局長(金商)907号


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