October 10, 2024
【前日の為替概況】ドル円、149円台を回復 8月15日以来の高値を更新
9日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。
終値は149.31円と前営業日NY終値(148.20円)と比べて1円11銭程度のドル高水準だった。
米利下げペースが緩やかになるとの見方が広がる中、米長期金利の指標となる10年債利回りが一時4.0765%前後と7月31日以来の高水準を記録すると円売り・ドル買いが先行。
中国の財政政策に対する期待感や米国株高を背景に投資家のリスク志向が改善すると円売り・ドル買いが活発化し、7日の高値149.13円を上抜けて149.36円と8月15日以来の高値を更新した。
なお、米連邦準備理事会(FRB)が公表した9月17日-18日分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では「大多数の当局者が0.50%の利下げを支持」「一部の当局者が0.25%の利下げを支持した」ことが分かった。
会合ではボウマンFRB理事が0.25%の利下げを主張し反対票を投じたものの、慎重な意見は1人だけでなく複数の参加者からあがっていたことが明らかになった。
ユーロドルは3営業日ぶりに反落。
終値は1.0939ドルと前営業日NY終値(1.0980ドル)と比べて0.0041ドル程度のユーロ安水準だった。
ユーロ圏景気への懸念から、欧州中央銀行(ECB)が17日の定例理事会で追加利下げを決めるとの観測が引き続きユーロの重し。
米長期金利の上昇を背景にドル買いが優勢になると、3時過ぎに一時1.0936ドルと8月13日以来の安値を更新した。
なお、ローガン米ダラス連銀総裁はこの日、「インフレの上振れリスクが依然現実的で経済見通しを巡りかなりの不確実性がある中、今後はより緩やかな利下げが適切」との見解を示したと伝わった。
ユーロ円は続伸。
終値は163.31円と前営業日NY終値(162.72円)と比べて59銭程度のユーロ高水準。
ドル円の上昇につれた買いが入ったほか、米国株高を背景にリスク・オンの円売り・ユーロ買いが出た。
1時前には163.46円と日通し高値を更新した。
【本日の東京為替見通し】ドル円、買い基調は変わらずも米CPI控え動きにくい
本日のドル円も引き続き買い場探しとなるだろうが、米国時間に9月消費者物価指数(CPI)が発表されることで、大きなリスクを取りにくい地合いになりそうだ。
先週発表された9月米雇用統計以後、米長期債利回りは上昇傾向を辿り、ドルは底堅さを維持している。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、11月6-7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ予想は7割程度まで縮小し、据え置き予想が3割弱まで拡大した。
本日発表される米CPIが市場予想を上回れば、次回FOMCへの据え置き見込みが更に高まり、年末までの利下げ予想幅が現時点の0.50%から0.25%まで低下することも考えられる。
一方、もしCPIが予想よりも低下した場合には、ドルの頭を抑える要因になる。
しかし、雇用統計後のトレンドは米金利上昇とドル買いが優勢となっていることもあり、市場の反応が大きくなるのはCPIが予想よりも上回った場合か。
ドル買い・円売りの流れが続いているが、この流れを止める可能性があるのは、変節を繰り返す石破首相の言動か。
現在のドル円上昇の要因は、米国の経済指標の好結果によるところが一つだが、石破首相が先週「現在は追加利上げをするような環境にはない」と発言したことも発端ではある。
「石破ショック」と呼ばれるほど本邦株式市場が急落したことで、株価下落を食い止めて総選挙を優位に戦おうとの思惑が「利上げ否定」発言に結び付いたのだろうが、同時に円安を促進してしまった。
円安の進行は早く、7月の日銀政策決定会合後の戻り高値150.89円も視野に入ってきた。
「利上げ否定」発言の副作用が大きく、与党にとっては総選挙への悪影響を懸念する声も出てきそうだ。
この円安の流れを止めるために、石破首相が再び選挙対策のために円相場へ口先介入を行うリスクが出てくるかもしれない。
なお本日は、9月企業物価指数が発表される。
8月輸入物価指数(速報値)は円高が進行したこともあり、前年比+2.6%と7月+10.8%から大幅に低下した。
9月も円高水準を維持していたことで、輸入物価指数が急速に再び上昇するとは考えにくい。
ただし今後、円安基調に戻った10月の同指数が高まれば、石破政権にとっては「利上げ否定」発言に対する責任論も出てくるだろう。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 9月企業物価指数(予想:前月比▲0.3%/前年比2.3%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○06:30 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、講演
○07:00 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○08:01 ◇ 9月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格(予想:4)
○15:00 ◎ 9月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比3.2%)
○15:00 ◎ 8月独小売売上高
○16:00 ◇ 8月トルコ失業率
○16:00 ◇ 8月トルコ鉱工業生産
○20:30 ☆ 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(9月12日分)
○21:00 ◎ 8月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比3.6%)
○21:30 ☆ 9月米CPI(予想:前月比0.1%/前年比2.3%)
☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比3.2%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.0万件/183.0万人)
○22:15 ◎ クック米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○23:30 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○24:00 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○11日02:00 ◎ 米財務省、30年債入札
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
9日08:38 ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)副議長
「雇用とインフレの目標は概ね均衡している」
「インフレ率は引き続き2%へ向かうと予想」
「会合ごとに金利調整にアプローチすることになる」
9日14:52 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「仏経済には回復力がある」
「ECBの利下げは非常に不確実だが、最後ではないだろう」
「欧州中央銀行(ECB)、来週の利下げの可能性は非常に高い」
9日16:27 東京証券取引所
「現物市場の取引時間30分延伸、予定通り11月5日から稼働」
9日17:34 カジミール・スロバキア中銀総裁
「10月会合での利下げの可能性を排除することはできない」
「10月の利下げについて、メディア報道ほど確信していない」
「現時点では、ECBが2%のインフレ目標を下回ることを心配していない」
9日18:08 ウンシュ・ベルギー中銀総裁
「ECB、10月の利下げ必要か現時点で不明」
「成長率は低いがインフレ率はまだ高過ぎ、地政学的な緊張がエネルギー価格を押し上げている」
9日18:21 カザークス・ラトビア中銀総裁
「経済が弱いため利下げは必要」
「2025年にインフレ率が2%になれば、ECBの金利は中立水準まで下がる可能性」
9日20:22 石破首相
「今回は日本創生解散」
「自民党、公明党で過半数を目指したい」
「国民の納得と共感なしに前に進めない」
「個人消費上がらないとデフレ脱却はない」
9日22:16 ローガン米ダラス連銀総裁
「インフレと雇用は目標達成の射程圏内」
「金利正常化に向けて、より緩やかな道筋を支持」
「経済見通しには重大な不確実性が残る」
「労働市場は引き続き健全だが、下振れリスクが増大」
「インフレ抑制は広範囲に進展している」
「インフレが2%超で推移する重大なリスクを認識」
9日22:19 マクルーフ・アイルランド中銀総裁
「ECBは2025年第4四半期に2%のインフレ目標を達成する見込み」
「サービスインフレと賃金上昇は不確実性をもたらす」
10日02:07 ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)副議長
「FRBは会合ごとに決定を下す」
「米労働市場の冷え込みは秩序だっている」
「基調的な傾向はインフレが2%に向かって低下」
「責務のリスクはほぼ均衡」
10日03:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月17日-18日分)
「大多数の当局者が0.50%の利下げを支持」
「委員会はインフレが目標の2%に向けて持続的に進んでいるというより大きな確信を得た」
「雇用とインフレ目標に対するリスクは現在、ほぼ均衡しているとみられる」
「経済活動は堅調なペースで拡大、雇用増加は鈍化しているが失業率は低いまま」
「インフレはさらに進展したが、依然としてやや高い」
「大半の当局者はインフレ見通しに対するリスクは均衡しているとみている」
「一部の当局者はインフレが依然として高く、成長が堅調であることを挙げ、0.25%の利下げを主張」
「データが予想通りに進展すれば、時間の経過とともにより中立的な政策スタンスに移行すると予想」
「委員会は追加の調整のため、データを慎重に評価する」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=8/15日以来の高値更新、150円も視野に>
陽線引け。
148円手前で底堅さを確認すると買いの勢いを強めて149円台を回復。
8月15日以来の高値を更新し、そのまま高値圏で引けた。
短期的なすう勢を示す5日線は148円後半まで上昇し、地合いの強さを示している。
心理的な節目150円も完全に視野に入ってきた。
同水準を超えていくようだと、150円後半の90日線や151円前半の200日線も意識されるだろう。
9日安値を割り込むまでは買いスタンスで望みたい。
レジスタンス2 150.71(90日移動平均線)
レジスタンス1 150.00(心理的節目)
前日終値 149.31
サポート1 148.01(10/9安値)
サポート2 147.35(10/8安値)
<ユーロドル=約2カ月ぶりの安値、雲の下限を巡る攻防>
陰線引け。
1.09ドル後半で頭を抑えられ、1.0930ドル台と約2カ月ぶりの安値圏まで下落した。
日足一目均衡表・雲の下限の手前で下げ渋るも、戻りは限定的。
本日まで1.0934ドルで横ばいの雲下限を巡る攻防が注目される。
クリアに割り込むようだと、1.0870ドル台の200日線をまずは目指す展開を想定したい。
レジスタンス1 1.0997(10/8高値)
前日終値 1.0939
サポート1 1.0875(200日移動平均線)
<ポンド円=9/27高値が次の目標値、90日線がポイントに>
陽線引け。
日足一目・雲の中での下押しも193円半ばまでに留まり、そこから195円前半まで切り返した。
下向きの90日線が重しとなったが、大台は維持して2手連続の陽線引け。
本日は195.24円まで水準を切り下げてきた90日線を念頭に置いた取引き。
超えて推移するようだと196円手前の9月27日高値が次の目標値となる。
下押しした場合は194円前半の雲上限が支持となるか注目したい。
レジスタンス1 195.97(9/27高値)
前日終値 195.16
サポート1 194.11(日足一目均衡表・雲の上限)
<NZドル円=雲の中で反発力強まらず、昨日高値が抵抗か>
陰線引け。
91円超えの日足一目・転換線や雲上限辺りで頭を抑えられて売り押された。
90円手前では下げ止まるも、雲の中で反発力は強まらなかった。
転換線は本日から91円を割り込んできており、上値の重さを示唆している。
昨日高値を抵抗に売りスタンスで臨みたい。
下サイドは89円後半で上向きの21日線が支持として働くかに注目。
レジスタンス1 91.06(10/9高値)
前日終値 90.49
サポート1 89.92(21日移動平均線)
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