October 7, 2024
【前日の為替概況】ドル円、一時149円まで上昇 予想より強い9月米雇用統計を受けてドル高
4日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸。
終値は148.70円と前営業日NY終値(146.93円)と比べて1円77銭程度のドル高水準だった。
米労働省が発表した9月米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比25.4万人増と予想の14.0万人増を上回り、失業率が4.1%と予想の4.2%よりも強い結果となったことが分かると、市場では米連邦準備理事会(FRB)の利下げペースが想定より遅くなるとの見方が強まった。
米長期金利の急上昇とともに円売り・ドル買いが広がると、1時30分過ぎに一時149.00円と約1カ月半ぶりの高値を付けた。
グールズビー米シカゴ連銀総裁は米雇用統計の結果について「素晴らしい」と評価したうえで、「こうした報告がさらに続けば、米経済が完全雇用と低インフレの状態にあるとの自信が高まる」との見方を示した。
なお、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、11月6-7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%の利下げを予想する確率は前日の32.1%から0%になり、0.25%の利下げが97.0%、据え置きが3.0%となった。
ユーロドルは6日続落。
終値は1.0974ドルと前営業日NY終値(1.1031ドル)と比べて0.0057ドル程度のユーロ安水準だった。
米重要指標の発表を控えて、しばらくは1.10ドル台前半でのもみ合いが続いていたが、米雇用統計の上振れをきっかけに米大幅利下げ観測が後退すると、全般ドル買いが活発化した。
1時30分過ぎには1.0951ドルと8月15日以来約1カ月半ぶりの安値を更新した。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスも一時102.69と8月16日以来の高値を付けた。
なお、米長期金利の指標となる米10年債利回りは一時3.9827%前後と8月9日以来およそ2カ月ぶりの高水準を記録した。
ユーロ円は3日続伸。
終値は163.26円と前営業日NY終値(162.09円)と比べて1円17銭程度のユーロ高水準。
ドル円の上昇につれた買いが入ったほか、株高が相場の支援材料となり、4時30分過ぎに一時163.37円と日通し高値を更新した。
なお、ダウ平均は340ドル超上昇し史上最高値を更新。
ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比1080円高の3万9640円まで上昇する場面があった。
【本日の東京為替見通し】「これ以上ない結果」の米雇用統計、ドル円は買い場探しか
本日のドル円は引き続き買い場探しとなるか。
先週発表された9月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数増減、失業率ともに好結果となった。
また、前月分の非農業部門雇用者数も上方修正されている。
結果発表後にテレビのインタビューに応えたグールズビー米シカゴ連銀総裁は「雇用統計はこれ以上ない結果だ」と述べている。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、11月6-7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%の利下げを予想する確率は前日の32.1%から0%になった。
一方で0.25%の利下げは93.4%、そしてこれまで0%だった据え置き予想も6.6%まで上昇している。
雇用統計の発表後にドル円は2円超も急騰。
市場の反応があまりにも急激だったことで多少の調整も入りやすいだろうが、ドル円は買い場を探す展開になると予想する。
リスク要因としては、変節を繰り返す石破首相の動向か。
先週の円売りのきっかけは、それまで日銀の引き締め姿勢を容認していた石破首相が一転、「現在は追加利上げをするような環境にはない」との見解を示したこと。
市場では、総選挙に向けて株式市場の買い支えを狙った変節と噂されている。
ただし首相は、円安が急に進んだことを指摘された場合、円安への不快感を示す可能性もある。
なお石破氏は、自民党総裁に決まり1週間も経たないうちに様々は約束を反故にしてきている。
そのため、総選挙で自民党の大幅な議席減などの懸念が高まった場合には、円相場は再び大きく荒れる可能性もあるだろう。
本日は、日銀地域経済報告(通称・さくらレポート)が発表される。
本来ならば各地域の景気判断に注目が集まるが、先週の石破首相と植田日銀総裁との会談で、日銀は「早急な利上げを行わないよう」にくぎを刺されていると思われ、どのような景気判断が出ようが日銀は当面、政策金利等の変更を行うことは難しいだろう。
一部では中央銀行の独立性が確保されていることで、景気判断や経済指標の結果により政府の介入を受けないとの認識もある。
しかし、実際には日銀法第4条で「常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」と定められており、少なくとも総選挙が終わる前は石破首相の要望通りに動くことになりそうだ。
また、引き続き中東情勢の動きには警戒を怠らないようにしたい。
先週1週間で原油先物は約9%上昇している。
国連が全く機能せず、G7各国はイスラエルが繰り返す非人道的な攻撃に対しても親イスラエル姿勢を崩すことがなく、今後も中東情勢の悪化が予想される。
戦火がさらに拡大した場合には、リスク回避の動きに急変するリスクがあることも念頭に入れておきたい。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 9月外貨準備高
○14:00 ◇ 8月景気動向指数速報値(予想:先行107.0/一致113.6)
○14:00 ◇ 日銀地域経済報告(さくらレポート)
<海外>
○15:00 ◎ 8月独製造業新規受注(予想:前月比▲2.0%/前年同月比▲1.6%)
○16:05 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○16:45 ◎ レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○18:00 ◎ 8月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.2%/前年比1.0%)
○20:45 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○23:30 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○8日02:00 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○8日02:50 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、質疑応答
○8日04:00 ◇ 8月米消費者信用残高(予想:120.0億ドル)
○中国(国慶節)、休場
○豪州は6日から夏時間に移行済み
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
4日10:44 赤沢経済再生相
「株式・為替相場についてコメントは控える」
「政策意図について市場と意思疎通とることは大事」
4日14:21 石破首相
「経済対策を早急に策定、その実現に取り組む」
「最低賃金2020年台に1500円を目指し努力」
「経済あっての財政、賃上げと投資けん引の成長型経済を実現」
「デフレ脱却を最優先に実現」
4日17:17 ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト
「利下げが行き過ぎたり、早過ぎたりするリスクを警戒することが重要」
「経済とインフレの見通しが概ね予想通りに進展すれば、追加利下げの可能性は残る」
4日23:04 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「雇用統計はこれ以上ない結果だ」
「港湾ストライキの終結はもう一つの非常に良いニュース」
「このような雇用報告がさらに増えれば、完全雇用に落ち着いているという自信が増すだろう」
「雇用統計が好調であればGDPも好調となる可能性が高い」
「米連邦準備理事会(FRB)は一つのデータポイントにあまり反応したくない」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=一目・雲の中で上伸、8月半ばの高値がポイント>
大陽線引け。
日足一目均衡表・雲の中で急伸。
8月以来となる149円まで上げ幅を広げた。
日足一目・転換線や基準線は先週末に水準を切り上げ、上向きトレンドを支持。
8月半ばに頭を抑えられた149.30円台を上抜けるようだと、節目150円や151円超えの200日線も視野に入ってくる。
買いスタンスで良いのだろうが、雲を下抜けるようだと一旦様子見としたい。
レジスタンス2 151.09(200日移動平均線)
レジスタンス1 150.00(心理的節目)
前日終値 148.70
サポート1 146.89(日足一目均衡表・雲の下限)
サポート2 145.33(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=一目雲を割り込むと200日線が視野に>
陰線引け。
一目均衡表・雲の上限手前で頭を抑えられ、1.10ドルを割り込むと、8月15日安値に迫る1.0951ドルまで下げ足を速めた。
6手連続の陰線を記録している。
目先は本日1.0940ドル付近に位置する90日線やその下1.0930ドル台の一目・雲下限が支持として機能するかを見極める展開か。
それらの水準を割り込むようだと、1.0870ドル台の200日線が意識される。
レジスタンス1 1.1056(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 1.0974
サポート1 1.0874(200日移動平均線)
<ユーロ円=揺り戻しあったとしても4日レンジの半値までか>
陽線引け。
161円台で緩む場面はあったが、一目均衡表・雲を割り込んだところで支えられた。
163円台まで上げ幅を拡大し、3手連続の陽線引け。
9月27日高値の手前で上昇一服もこの日の高値圏で引けた。
前週半ばから上げた反動で揺り戻しはあるだろうが、それでも4日レンジの半値となる162円前半までか。
上値を試すようだと、まずは164円前半の200日線が意識される。
レジスタンス1 164.25(200日移動平均線)
前日終値 163.26
サポート1 162.19(4日レンジの半値)
<豪ドル円=三役好転が点灯中、90日線を巡る攻防に>
陽線引け。
200日線を下回って100円を割り込むも、日足一目・雲の上限が支持水準として働いた。
一目・雲の上で引け、同・転換線が基準線の上、遅行スパンも実線を上回っているため、強い買いシグナルとされる三役好転が点灯中。
本日は101円近辺に位置する90日線を巡る攻防にまず注目。
上放れするようだと、まずは7月末の高値水準となる101円後半を目指す展開となりそうだ。
レジスタンス1 102.10(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 101.01
サポート1 99.90(10/4安値)
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DZH Finacial Research
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