September 12, 2024
【前日の為替概況】ドル円142.54円まで戻す、米8月コアCPI前月比が予想を上回る
11日のニューヨーク外国為替市場でドル円は小幅ながら続落。
終値は142.36円と前営業日NY終値(142.44円)と比べて8銭程度のドル安水準だった。
米労働省が発表した8月米消費者物価指数(CPI)は前月比0.2%/前年比2.5%と予想の前月比0.2%/前年比2.6%を前年比で下回った。
一方、エネルギーと食品を除くコア指数は前月比0.3%/前年比3.2%と予想の前月比0.2%/前年比3.2%を前月比で上回り、米連邦準備理事会(FRB)が注目しているスーパーコア(住居費を除くサービス)は2カ月連続で加速した。
この結果を受けて、米大幅利下げ観測が後退すると全般ドル買いが活発化。
22時前に一時142.54円と日通し高値を更新した。
米CPI発表直後に3.68%台まで上昇した米10年債利回りが低下に転じると、ドル円にも売りが出て141.25円付近まで下押しした。
ダウ平均が一時740ドル超下落したほか、日経平均先物が大証終値比360円安の3万5410円まで急落したことも相場の重しとなった。
ただ、米10年債利回りが再び上昇に転じるとドルを買い戻す動きが優勢に。
ダウ平均や日経平均先物が持ち直し、底堅く推移したことも相場の支援材料となり、5時過ぎには142.46円付近まで値を戻した。
ユーロドルは小幅ながら4日続落。
終値は1.1012ドルと前営業日NY終値(1.1020ドル)と比べて0.0008ドル程度のユーロ安水準だった。
米CPIの結果を受けて米大幅利下げ観測が後退すると全般ドル買いが先行。
24時前に一時1.1002ドルと日通し安値を更新した。
ただ、売り一巡後は1.10ドル台前半で徐々に値動きが鈍った。
明日12日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会の結果を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な売買は手控えられた。
ユーロ円も小幅続落。
終値は156.78円と前営業日NY終値(156.97円)と比べて19銭程度のユーロ安水準。
22時過ぎに一時156.98円付近まで上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値157.02円が目先レジスタンスとして意識されると失速。
米国株や日経平均先物が下落したタイミングでリスク回避の円買いが強まると一時155.46円と日通し安値を更新した。
ただ、米国株や日経平均先物が持ち直すとユーロ円にも買い戻しが入り、156.95円付近まで値を戻している。
日経平均先物は引けにかけて買いが強まり、大証終値比860円高の3万6630円まで急伸した。
【本日の東京為替見通し】ドル円、0.25%利下げ観測で堅調推移 田村日銀委員の見解に要警戒
本日の東京外国為替市場のドル円は、米長期債利回りの上昇などを受けて底堅い展開が予想される中、タカ派の田村日銀審議委員の見解には警戒しておきたい。
ドル円は昨日の東京午後、年初来安値140.71円まで下落した。
しかしながら、米8月コア消費者物価指数(CPI)が予想を上回る前月比+0.3%、米連邦準備理事会(FRB)が注目するスーパーコア指数も+0.33%と7月の+0.21%から上昇していたことを受けて、142円台半ばまで反発した。
CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ開始確率が前日の60%台から80%台まで上昇。
0.50%の利下げ確率の低下がドルの買い戻しに繋がっている。
他のドル買いの要因としては、米国次期政権の拡張的な財政政策、すなわち金利上昇への警戒感もあるだろう。
ドル円のテクニカル分析では、昨年12月28日の安値140.25円を起点にして、7月3日の高値161.95円まで上昇した後、ほぼ全値押しを達成したことになる。
また、127.23円(2023年1月16日安値)から161.95円までの上昇トレンドのフィボナッチ・リトレースメント38.2%押しである140.39円もほぼ達成したことになる。
8時50分に発表される8月企業物価指数では、輸入物価指数に注目しておきたい。
昨日、中川日銀審議委員は「輸入物価上昇による消費者物価の上振れに注意する必要がある」と述べていた。
7月の輸入物価指数は前年比+10.8%と発表され、6月の同比+9.5%から上昇していた。
8月のドル円相場は、7月3日に1986年12月以来の高値161.95円を付けて以来、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入や日本銀行の追加利上げなどで、140円台まで下落しており、円高の影響を見極めることになる。
10時からのタカ派の田村日銀審議委員のあいさつでは、植田日銀総裁や昨日の中川日銀審議委員と同様のタカ派的な見解が予想されるものの、最もタカ派の委員の見解、例えば中立金利水準の1.00%に向けた利上げへの言及などには警戒しておきたい。
植田日銀総裁は、「経済・物価見通し実現の確度が高まれば、金融緩和の度合いを調整する」と述べ、中川日銀審議委員は「日銀の経済・物価見通しが実現していくとすれば、金融緩和の度合いを調整していく」と述べており、日銀タカ派の統一見解となっている。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 7-9月期法人企業景気予測調査
○08:50 ◇ 8月企業物価指数(予想:前月比横ばい/前年比2.8%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○10:00 ◇ 田村直樹日銀審議委員、あいさつ
<海外>
○08:01 ◇ 8月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格(予想:▲14)
○15:00 ◇ 8月独卸売物価指数(WPI)
○15:00 ◎ 8月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.5%/前年比2.1%)
◎ コア指数(予想:前月比▲0.4%/前年比1.3%)
○16:00 ◇ 7月トルコ経常収支(予想:5.5億ドルの黒字)
○21:00 ◎ 7月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比4.2%)
○21:00 ◎ 7月インド鉱工業生産(予想:前年同月比4.7%)
○21:00 ◎ 8月インドCPI(予想:前年比3.50%)
○21:15 ☆ 欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:3.65%へ引き下げ)
○21:30 ◇ 7月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比7.1%)
○21:30 ◎ 8月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.1%/前年比1.8%)
◎ 食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.5%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.0万件/185.0万人)
○21:45 ☆ ラガルドECB総裁、定例記者会見
○13日02:00 ◎ 米財務省、30年債入札
○13日03:00 ◎ 8月米月次財政収支(予想:3173億ドルの赤字)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
11日09:26 ハンター豪準備銀行(RBA)総裁補
「見通しの不確実性はさらに高まっている」
「我々の予測は何らかの点で間違っている可能性が高い」
11日10:32 中川日銀審議委員
「見通しが実現していけば緩和度合いを調整していく」
「国内経済は穏やかに回復していると評価」
「金融政策は経済・物価・金融情勢次第、実質金利は極めて低い」
「利上げ後も実質金利は大幅マイナスであり、緩和環境は維持される」
「国債購入の減額計画は中間評価で必要なら修正ありうる」
「輸入物価上昇による消費者物価の上振れに注意する必要がある」
「中立金利をピンポイントで示すのはすごく難しい」
「政策金利変化への反応などを点検して中立金利を探っていく」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=下落中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
下影陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
2手連続陰線で依然として転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は下落中の転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 145.05(日足一目均衡表・基準線)
レジスタンス1 143.96(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 142.36
サポート1 140.71(9/11安値)
サポート2 140.25(2023/12/28安値)
<ユーロドル=下落中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、4手連続陰線で転換線を下回って引けているため続落の可能性が示唆されている。
本日は下落中の転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.1079(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.1012
サポート1 1.0950(8/15安値)
<ポンド円=9/11高値を抵抗に戻り売りスタンス>
下影陰線引け。
転換線は基準線と同値だが、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開。
2手連続陰線で依然として転換線・基準線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は11日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 186.38(9/11高値)
前日終値 185.68
サポート1 183.72(9/11安値)
<NZドル円=転換線・基準線を抵抗に戻り売りスタンス>
下影陰線引け。
転換線は基準線と同値だが、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開。
2手連続陰線で転換線・基準線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線・基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 88.99(日足一目均衡表・転換線=基準線)
前日終値 87.33
サポート1 86.32(9/11安値)
Provided by
DZH Finacial Research
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