August 15, 2024
【前日の為替概況】ユーロドル3日続伸、米7月CPIはほぼ予想通り
14日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは3日続伸。
終値は1.1012ドルと前営業日NY終値(1.0993ドル)と比べて0.0019ドル程度のユーロ高水準だった。
米労働省が発表した7月米消費者物価指数(CPI)は前月比0.2%/前年比2.9%、エネルギーと食品を除くコア指数は前月比0.2%/前年比3.2%となり、ほぼ市場予想に沿った内容となった。
指標発表直後は一時1.1004ドル付近まで売られたものの、そのあとは買い戻しが優勢となり、23時30分過ぎに1.1047ドルと年初来高値を更新した。
市場では「コア指数の前年同月比の伸びが4カ月連続で鈍化し、米連邦準備理事会(FRB)による9月利下げの論拠を支える結果となった」との声が聞かれた。
ただ、買い一巡後は伸び悩んだ。
米金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りが上昇したことなどが相場の重しとなり、1.1011ドル付近まで押し戻された。
ドル円は反発。
終値は147.33円と前営業日NY終値(146.84円)と比べて49銭程度のドル高水準だった。
米CPI発表直後は売買が交錯。
146.58円まで売られたものの、すぐに147.58円の本日高値を付けた。
そのあとは再び146.58円付近まで値を下げたが、5時30分前には147.44円付近まで値を戻すなど、一進一退の動きが続いた。
市場では「前日発表の7月米卸売物価指数(PPI)に続き、インフレの鈍化傾向が示された。
FRBによる9月の利下げ観測が改めて意識されたものの、大きなサプライズはなく、おおむね落ち着いた値動きとなっている」との声が聞かれた。
ユーロ円は3日続伸。
終値は162.25円と前営業日NY終値(161.42円)と比べて83銭程度のユーロ高水準。
22時過ぎに一時162.59円と1日以来の高値を付けたものの、そのあとはドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は大きな方向感が出なかった。
NZドルは軟調だった。
NZドル米ドルは一時0.5995米ドルまで値を下げたほか、ユーロNZドルは1.8371NZドルまで値を上げた。
ニュージーランド準備銀行(RBNZ)はこの日、政策金利を0.25%引き下げることを決めたと発表。
声明では「金融政策の引き締めを緩和し始める余地がある」と指摘した。
市場では金利据え置きを予想する向きが多かっただけに、公表後はNZドル売りで反応。
NY市場に入ってもNZドル売りの流れが続いた。
【本日の東京為替見通し】ドル円は方向感のない値動き継続か、豪雇用統計に要注目
本日のドル円は方向感のない動きとなりそうだ。
7月末の日銀政策決定会合後の植田日銀総裁の会見から市場流動性が崩れ、更に内田日銀副総裁の発言で悪化したドル円相場だが、この連日の動きを見ていても流動性が戻る兆しがない。
本日も僅かなフローで146-147円台を中心に方向感のない動きとなりそうだ。
もっとも、更にレンジを大きく広げるには材料不足なこともあり、神経質ながらも実需勢を中心に上がったら売り・下がったら買いの意欲が継続されるか。
昨日発表された米国の7月消費者物価指数(CPI)は前年比で2.9%上昇と予想の3.0%をわずかに下回ったものの、概ね市場予想に沿ったことで値動きが限定されている。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、50ベーシスポイント(bp)の利下げ予想が小幅に減り37.5%、25bpの利下げ予想が62.5%に上昇している。
一時は米連邦準備理事会(FRB)による緊急利下げの噂もあったが、過熱気味だった市場の動きが落ち着いてきていることは、ドルの支えになりそうだ。
一方で、昨日はニュージーランド準備銀行(RBNZ)が約4年ぶりの利下げを行い、英国のCPIが予想を下回るなど、多くの国でインフレ鈍化による利下げ圧力がある。
その中で、日銀はインフレ警戒感を示していることで、中銀間の方向性の違いがあることはドル円の重しとなるだろう。
また、昨日のドル円は反発したものの、他のアジア通貨は依然としてドル売り・アジア通貨買いが目立っていることも警戒したい。
さらに、ウクライナを巡る戦争や中東情勢が依然として混迷していることで、リスク回避的な動きに傾きやすいことも円買い要因として残っている。
本日は日本時間8時50分に本邦からは4-6月期の実質国内総生産(GDP)速報値が発表される。
通常は市場も反応する指標だが、今回は大きな動きは期待できないか。
反応が限られる要因は1-3月期GDP速報値は前年比で-2.0%と発表されたが、6月の日銀政策決定会合前に発表された改定値は-1.8%に上方修正された。
しかし、日銀がタカ派スタンスに動いた後に発表された確報値は-2.9%まで大幅に下方修正されるなど、目を疑うようなものだった。
大幅な修正要因は建設統計のミスとの理由だったが、内閣府のデータの信頼性が失っていることで、市場も速報値の結果では反応するのは難しいかもしれない。
なお、日本時間午後には6月の鉱工業生産・確報値や設備稼働率も発表される。
円以外の通貨では引き続きオセアニア通貨の動向に注目。
本日は豪州の7月雇用統計が発表されるが、豪準備銀行(RBA)は日銀とともにいまだに数少ないインフレを警戒している状況だ。
5-6日に行われた豪準備銀行(RBA)理事会では、失業率に関しては上昇を予想しているが、労働市場は依然としてひっ迫しているとの見解を示した。
雇用情勢が予想よりも強い結果となった場合は9月の理事会に向けて利上げ期待が高まる可能性もあり、前日利下げしたRBNZとの方向性の違いが顕著になることで豪ドル/NZドルが大きく動意づくか。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ☆ 4-6月期実質国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.5%/前期比年率2.1%)
○13:30 ◇ 6月鉱工業生産確報
○13:30 ◇ 6月設備稼働率
<海外>
○10:30 ◎ 7月豪雇用統計(予想:失業率4.1%/新規雇用者数2.00万人)
○11:00 ◎ 7月中国鉱工業生産(予想:前年比5.2%)
○11:00 ◎ 7月中国小売売上高(予想:前年比2.6%)
○15:00 ☆ 6月英国内総生産(GDP、予想:前月比横ばい)
○15:00 ☆ 4-6月期英GDP速報値(予想:前期比0.6%/前年比0.9%)
○15:00 ◎ 6月英鉱工業生産(予想:前月比0.1%/前年比▲2.1%)
○15:00 ◎ 6月英製造業生産高(予想:前月比0.1%)
○15:00 ◇ 6月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:160.00億ポンドの赤字/35.00億ポンドの赤字)
○15:30 ◇ 7月スイス生産者輸入価格
○17:00 ◎ ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:4.50%で据え置き)
○21:30 ◇ 6月カナダ卸売売上高(予想:前月比▲0.6%)
○21:30 ☆ 7月米小売売上高(予想:前月比0.3%/自動車を除く前月比0.1%)
○21:30 ◎ 8月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:▲6.0)
○21:30 ◎ 8月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:6.0)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.5万件/187.5万人)
○21:30 ◇ 7月米輸入物価指数(予想:前月比▲0.1%)
○22:10 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、講演
○22:15 ◎ 7月米鉱工業生産(予想:前月比▲0.3%)
◇ 設備稼働率(予想:78.5%)
○23:00 ◎ 8月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:43)
○23:00 ◇ 6月米企業在庫(予想:前月比0.3%)
○16日02:10 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○16日05:00 ◎ 6月対米証券投資動向
○韓国(解放記念日)、インド(独立記念日)、ポーランド(聖母被昇天祭)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
14日11:02 ニュージーランド準備銀行(RBNZ)声明
「2024年末時点の政策金利見通しは4.92%(前回は5.65%)」
「2025年末時点の政策金利見通しは3.85%(前回は5.14%)」
「国内経済活動の弱さがより顕著になっており、インフレ率も低下」
「労働市場では雇用成長が鈍化し、民間部門の雇用や労働時間、賃金成長も低調」
「金融政策の引き締めを緩和し始める余地がある」
「金融政策は当面引き締め的な状態を維持する必要」
「今後の金融緩和のペースは、価格設定行動の適応とインフレ期待の安定具合に依存」
14日12:12 オアNZ準備銀行(中央銀行、RBNZ)総裁
「インフレが目標範囲内に戻ると確信」
「金利の正常化を開始できる」
「我々はさまざまな動きを検討し、コンセンサスは25ベーシスポイント(bps)だった」
「今後の利下げはデータ次第」
「冷静に行動できる強い立場にある」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=気迷い相場、5日線を挟んでの動きか>
下影陽線引け。
一時146.08円まで売りに押されたが、日足一目・転換線を前に下げ渋り、147円半ばまで持ち直した。
下に長めのヒゲをつけて底堅さを示すが、8月12日の高値148.22円を目先のレジスタンスに上値も重い。
5日移動平均線を挟んで上下し、気迷い相場となっている。
本日144.96円まで低下した転換線は明日以降再び上昇に転じる見込み。
短期売買として145円台では買いを試したい。
レジスタンス2 149.77(8/2高値)
レジスタンス1 148.22(8/12高値)
前日終値 147.33
サポート1 146.08(8/14安値)
サポート2 144.96(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=上昇の転換線を支えに底堅い動きか>
陽線引け。
昨日に転換線が基準線を上回り、三役好転の強い買いシグナルが点灯したことも支えに1.1047ドルまで上昇し、年初来高値を更新した。
1.10ドル大台で底固めできるかどうかに注目。
本日、1.0965ドルまで上昇してきた転換線付近での底堅い動きを見込む。
1.09ドル前半に切り上がった基準線をストップに転換線近辺での買いで臨みたい。
レジスタンス1 1.1139(2023/12/28高値)
前日終値 1.1012
サポート1 1.0913(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロ円=上昇予想の転換線が下支え>
陽線引け。
上昇傾向の5日線を支えに3日続伸し、162円半ばまで1日以来の高値を更新した。
明日以降低下見込みの基準線が目先のレジスタンスと意識されやすい。
目先のすう勢を示す5日線は本日161.36円近辺に上昇した。
明日から上昇見込みの転換線の下支えに期待し、5日線付近で買いで臨み、200日線近辺までの上昇を目指す。
レジスタンス1 164.11(200日移動平均線)
前日終値 162.25
サポート1 159.79(8/12安値)
<豪ドル円=基準線と転換線に挟まれたボックス相場>
陰線引け。
昨日は5日線を下回った水準で下げ渋り、97.87円まで1日以来の高値を更新した。
ただ、方向感は鈍く3日連続で98円大台を前に上値が抑えられた。
足もとでは一目・転換線と基準線に挟まれたボックス相場が続いており、短期売買では逆張りを試すのも一理あるか。
レジスタンス1 99.76(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 97.19
サポート1 96.22(8/9安値)
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