August 2, 2024
【前日の為替概況】ドル円、低調な米経済指標を受けて150.89円から149.29円付近まで下落
1日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続落。
終値は149.36円と前営業日NY終値(149.98円)と比べて62銭程度のドル安水準だった。
アジア時間に一時148.51円と3月15日以来の安値を付けた反動で買い戻しが先行。
22時過ぎに一時150.89円と日通し高値を付けた。
ただ、買い戻しが一巡すると再び弱含んだ。
7月米ISM製造業景況指数が46.8と予想の48.8を下回り、6月米建設支出が前月比0.3%減と予想の0.2%増に反して減少したことを受けて円買い・ドル売りが優勢になった。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時3.9627%前後と2月2日以来およそ半年ぶりの低水準を記録したことも相場の重しとなり、取引終了間際には149.29円付近まで下押しした。
ユーロドルは反落。
終値は1.0791ドルと前営業日NY終値(1.0826ドル)と比べて0.0035ドル程度のユーロ安水準だった。
ポンドドルの下落にユーロ売り・ドル買いが出たほか、欧州株相場の下落を背景にリスク・オフのユーロ売り・ドル買いが出ると、欧州時間に1.0778ドルと7月3日以来の安値を付けた。
NY時間に入り、低調な米経済指標が相次ぐと一時1.0818ドル付近まで買い戻される場面もあったが、戻りは鈍かった。
欧州株相場に加えて、米国株相場も軟調に推移したためリスク・オフのユーロ売り・ドル買いが出やすい地合いとなった。
なお、欧州を代表する株価指数のひとつユーロ・ストックス50指数は2%超下落したほか、ダウ平均は一時740ドル超下落した。
ユーロ円は5日続落。
終値は161.18円と前営業日NY終値(162.36円)と比べて1円18銭程度のユーロ安水準。
アジア時間に一時160.89円と3月12日以来の安値まで下落した反動で買い戻しが先行。
22時過ぎに一時162.89円と日通し高値を付けた。
ただ、買い戻しが一巡すると次第に上値が重くなった。
米国株相場や日経平均先物の大幅下落に伴うリスク回避の円買い・ユーロ売りが入り、取引終了間際には161.10円付近まで押し戻された。
なお、ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比1530円安の3万6420円まで急落した。
【本日の東京為替見通し】ドル円、米7月雇用統計への警戒感や株価下落で上値が重い展開か
本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米7月雇用統計への警戒感や3.9%台に低下している米10年債利回り、そして主要な株価指数の下落などから上値が重い展開が予想される。
欧米の株式市場の下落を受けて、ナイト・セッションの日経平均先物は一時大証終値比1530円安の3万6420円まで下落しており、本日の東京株式市場も大幅下落が想定されるため、円買い圧力が高まることになる。
植田日銀総裁は利上げサイクル入りを打ち出したが、パウエルFRB議長は9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始の可能性を示唆し、欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(BOE)は利下げに踏み切っている。
日本と欧米英の金融政策の方向性の違い、デカップリング(decoupling)が鮮明となりつつあり、円を買い戻す動きが強まりつつある。
先日のFOMCでは、8会合連続での政策金利据え置きが決定されたものの、声明文でのリスクが、これまでの「インフレリスクのみ(highly attentive to inflation risks)」から「2大責務の両面のリスクに留意する(attentive to the risks to both sides of its dual mandate)」に変更された。
そして、パウエルFRB議長が9月FOMCでの利下げ開始の可能性を示唆したことで、ドル売り・円買いに拍車がかかっている。
FOMC声明は、2022年3月の利上げ開始以来、2大責務(雇用の最大化maximum employmentと物価の安定stable prices)のうち、「物価の安定」に重点を置き、「高い水準のインフレ(elevated inflation)」の抑制を打ち出してきた。
しかし、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視しているPCEデフレーターの6月分が前年比+2.5%まで鈍化し、インフレ目標2%に接近してきたため、今回の声明文では、「2大責務の両面のリスクに留意する」との文言に変更された。
すなわち、米国7月の失業率が6月や5月のように4%台に乗せていた場合、9月のFOMCでの利下げ開始の可能性、そして年内3回の利下げの可能性が高まることになるのかもしれない。
米7月の雇用統計の予想は、失業率は4.1%で6月と変わらず、非農業部門雇用者数は前月比+17.5万人で、6月の同比+20.6万人からの増加幅の減少が見込まれている。
さらに、NFPの年次基準改定の暫定値が発表されることで、昨年のように下方修正(▲30.6万人)される可能性には警戒しておきたい。
米7月の雇用統計の先行指標となる7月ADP全米雇用報告は、前月比+12.2万人で6月の同比+15.5万人から減少、7月ISM製造業雇用指数は43.4で6月の49.3から低下しており、7月雇用統計への警戒感を強めている。
10時30分に発表される4-6月期豪卸売物価指数(PPI)では、先日発表されたコアCPIのようなネガティブサプライズに警戒しておきたい。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 7月マネタリーベース
<海外>
○10:30 ◎ 4-6月期豪卸売物価指数(PPI)
○15:30 ◎ 7月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.2%)
○15:45 ◇ 6月仏鉱工業生産(予想:前月比1.0%)
○16:30 ◇ 7月スイス製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:43.8)
○20:15 ◎ ピル英中銀MPC委員兼チーフエコノミスト、講演
○21:00 ◇ 6月メキシコ失業率(季節調整前、予想:2.60%)
○21:30 ☆ 7月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化17.5万人/失業率4.1%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.7%)
○23:00 ◎ 6月米製造業新規受注(予想:前月比▲2.9%)
○3日01:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、イベントに参加
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
1日20:04 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
「5.00%への利下げ、賛成5名、据え置き支持4名で決定」
「利下げ支持の委員、絶妙なバランスで判断」
「1年内のCPI見通し2.4%(従来2.6%)」
「2年内のCPI見通し1.7%(従来1.9%)」
「3年内のCPI見通し1.5%(従来1.6%)」
「2024年第2四半期GDP見通し0.7%(従来+0.5%)」
「2024年第3四半期GDP見通し0.4%」
「2024年第4四半期GDP見通し0.2%」
「2024年GDP見通し1.25%(従来+0.5%)」
「2025年GDP見通し1%(従来+1%)」
「2026年GDP見通し1.25%(従来+1.25%)」
「インフレリスクは上向きへ傾斜」
「インフレは今年10-12月には2.7%に上昇へ」
「インフレ、その後低下へ」
「9月会合では、向こう12カ月の量的引き締め目標を採決へ」
「2024年末金利見通し4.9%(従来4.8%)」
「2025年末金利見通し4.1%(従来4.3%)」
「2026年末金利見通し3.7%(従来3.8%)」
1日20:07 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「急過ぎや過剰な利下げには慎重」
「現時点の利下げに十分なほどインフレ圧力は緩和」
2日01:23
「BOEが今後の会合で継続的に利下げを行うとの見方には注意を促したい」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=8/1高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
3手連続陰線で転換線や200日移動平均線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は1日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 151.59(200日移動平均線)
レジスタンス1 150.89(8/1高値)
前日終値 149.36
サポート1 148.51(8/1安値)
サポート2 147.24(3/13安値)
<ユーロドル=7/31高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、抱き線で反落して、依然として転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線1.0838ドルを念頭に置き、7月31日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0849(7/31高値)
前日終値 1.0791
サポート1 1.0752(日足一目均衡表・雲の下限)
<ポンド円=200日線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
3手連続陰線で依然として転換線を下回って引けているため続落の可能性が示唆されている。
本日は200日移動平均線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 191.77(200日移動平均線)
前日終値 190.28
サポート1 188.42(3/13安値)
<NZドル円=8/ 1高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
10手連続陰線で依然として転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は8月1日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は一旦手仕舞い。
レジスタンス1 89.97(8/1高値)
前日終値 88.85
サポート1 87.77(2023/12/14安値)
Provided by
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