週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、中銀の政策決定会合に注目

市場見通し
◆ポンド、英中銀会合前の5月CPIに警戒
◆ポンド、英中銀のハト派色が強まるかどうかに注目
◆加ドル、7月会合での追加利下げを見極める動き

予想レンジ
ポンド円 198.00-203.00円
加ドル円 112.50-116.00円

6月17日週の展望
 ポンドは底堅い動きが続いているが、一段高になるか、それとも失速するか。来週のイングランド銀行(英中銀、BOE)の金融政策会合が注目される。インフレ圧力への警戒感が続いていることや、7月4日に総選挙を控えていることもあり、政策金利は7会合連続で5.25%に据え置くことが織り込まれている。ただ、総選挙後の次回8月会合での政策スタンスを見極める上でインフレ抑制の見通しや利下げ主張のメンバーに変化があるかどうかなどに市場は注目している。前回の会合ではラムズデンBOE副総裁とディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員が利下げを支持した。また、ベイリーBOE総裁の「数カ月内に利下げが必要になる公算」との見解に変わりがないかも確認したい。

 BOE会合前の19日発表予定の5月消費者物価指数(CPI)の結果にも焦点が集まっている。4月CPIは前年比2.3%と予想を上回るも、3カ月連続で鈍化し、2021年7月以来の低水準となった。今週発表の2−4月失業率(ILO方式)は4.4%と2021年7-9月以来の高い水準となり、民間部門の平均週間賃金は5.8%と過去2年で最小の伸びとなった。労働市場が冷え込む兆しが見られ、民間部門では賃上げ圧力が弱まり、インフレ圧力が和らいでいることが示された。市場は11月利下げを織り込んでいるが、夏の終わりまでに利下げを開始する可能性が残されている。

 また、4月GDPは前月比横ばいとゼロ成長となった。サービス業が好調だったが、建設業や製造業が低迷した。更に、総選挙が近づいているが、勝利が見込まれる労働党は保守党より内部分裂が少なく、政権運営の安定が期待できるとの見方が強い。英金融市場は今のところプラスと捉えている。

 加ドルは、カナダ中銀(BOC)が7月会合で追加利下げに踏み切るかどうかを見極める展開が続く。7日に発表された5月失業率は予想通り6.2%と2年超ぶりの水準に上昇し、正規雇用の平均時給伸び率は5.2%に加速した。失業率の上昇は経済が高水準の金利圧力を受けていることを示唆するが、賃金の伸びがインフレ率を上回っており、物価対策を複雑化させている。BOCが賃金の上昇ペースが速すぎるとし、過去に利下げに消極だったことを鑑みると雇用データは追加利下げ期待の後退につながる結果と言える。市場では7月会合での利下げと据え置きの予想が拮抗している。来週は加国内で5月住宅着工件数や4月小売売上高などの発表が予定されている。

6月10日週の回顧
米ドルが米5月CPIやFOMCで乱高下するも方向感は出ず、ポンドドルの値動きは限られるも下値は堅い。英失業率の上昇でポンド売りに傾く場面もあったが、1.27ドル台を中心に底堅い動きとなり、一時1.28ドル半ばまで上昇。ポンド円は2008年8月以来の201円台をつけた。加ドルに新規の手がかりは乏しく、ドル/加ドルは1.38加ドルを前に伸び悩むも1.37加ドル台を中心とした動きとなっている。加ドル円は114円を挟んでの小動きに始終した。(了)


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