ISM非製造業(サービス業)景況指数とは|内容や重要性・マーケットへの影響について解説
ISM非製造業(サービス業)景況指数は、全米サプライマネジメント協会(ISM : Institute for Supply Management)が毎月発表する、非製造業(サービス業)の景況感を示す経済指標です。
米国GDPの約8割を占めるサービス業の状況が分かり、また毎月第3営業日に発表されるため、金融市場で重要視される経済指標です。
目次
- 1.ISM非製造業(サービス業)景況指数とは
- 2.ISM非製造業(サービス業)景況指数のマーケットへの影響
- 3.ISM非製造業(サービス業)景況指数に関するQ&A
- 4.【まとめ】ISM非製造業(サービス業)景況指数とは|内容や重要性・マーケットへの影響について解説
ISM非製造業(サービス業)景況指数とは
ISM非製造業景況指数とは、全米サプライマネジメント協会(ISM : Institute for Supply Management)が毎月発表する経済指標で、サービス業の景気の状況(拡大・後退)が表されます。
製造業の景況感を示す「ISM製造業景況指数」と共に、米国経済の動向を測るための重要な経済指標と考えられています。
ISM非製造業(サービス業)景況指数の内容
ISM非製造業景況指数は、米国サービス業の購買担当者にアンケート調査を行い、その集計結果を基に算出されます。
アンケートでは、事業活動、新規受注、雇用、入荷遅延、在庫、仕入れ価格、受注残、輸出受注、輸入、在庫センチメントといった10項目について、前月と比べて「良くなっている」「同じ」「悪くなっている」を意味する回答を受けます。
この内の、事業活動、新規受注、雇用、入荷遅延からDI(景気動向指数)を算出し、0~100%までの数字で表されます。
一般的に、この指数が50%を上回ると景気拡大局面、下回ると景気後退局面と判断されます。
ISM非製造業(サービス業)景況指数の重要性
米国のGDPは、非製造業(サービス業)が約8割を占めています。
そのため、サービス業の景況感や先行きを表すISM非製造業景況指数は、注目されています。
なお、経済指標には景気に先行して動く「先行指標」と、遅れて動く「遅行指標」がありますが、ISM非製造業景況指数は「先行指標」として重要視されています。
ISM非製造業(サービス業)景況指数のマーケットへの影響
ISM非製造業景況指数の数値や結果が、マーケットへどのような影響を及ぼすのかを解説します。
指数の数値と意味
ISM非製造業景況指数は、サービス業の購買担当者の景況感を基に算出しているため、サービス業が拡大局面にあるのか、縮小局面にあるかを読み取ることができます。
前述の通り、50%を上回っていれば業績が順調(景気拡大局面)、下回っていれば業績が悪化(景気後退局面)と考えられます。
2024年11月 | 2024年10月 | 2024年9月 | 2024年8月 | 2024年7月 | 2024年6月 | |
指数 | 52.1% | 56.0% | 54.9% | 51.5% | 51.4% | 48.8% |
ただし、この指数は変化の方向と大きさに焦点を当てた統計指標であり、絶対値の水準で表す統計とは異なることに注意が必要です。
指数の推移ではなく、コンスタントに50%を上回っているか、下回っているかを見ると良いでしょう。
50%を上回る場合と下回る場合の影響
指数が50%を上回る場合は、市場は結果を好感して経済成長の期待が高まり、一方で50%を下回ると景気後退の可能性が指摘され、市場は悲観的になります。
経済成長の期待が高まれば株価は上昇する傾向が強く、市場が悲観的になると株価は下落する傾向があります。
過去の市場の反応例
出典:Trading View
ISM非製造業景況指数の結果が、ドル相場に影響を与えることがあり、FX取引をする際に重要な指標となっています。
例えば、2024年1月5日24時に発表された12月ISM非製造業景況指数が、市場予想52.6%に対して結果が50.6%となり、23年5月以来の低水準となったことで米ドルが急落し、ドル円は5分間で約90pips急落しました。
変動幅は同チャート内で表示されている、2024年1月5日22時半に発表されたNFP(非農業部門雇用者数)雇用統計と同等の値動きとなっており、ISM非製造業景況指数の影響の大きさが見える結果となりました。
ISM非製造業(サービス業)景況指数に関するQ&A
ISM非製造業景況指数に関する、よくある以下の疑問について解説します。
- ・サービス業PMIとの違いは?
- ・ISM非製造業(サービス業)景況指数はいつ発表されますか?
- ・なぜ先行指標として注目されているのでしょうか?
サービス業PMIとの違いは?
ISM非製造業景況指数とサービス業PMIは、非製造業(サービス業)の景況感について集計している点は同じですが、集計している機関や公表方法、アンケート項目に違いがあります。
ISM非製造業景況指数は、全米サプライマネジメント協会(ISM : Institute for Supply Management)が集計し公表しています。
一方、サービス業PMIは、英調査会社IHS Markit社(IHSマークイット社)が集計し、速報値と改定値の2段階で公表されます。
IHS Markit社の公表するPMI(Purchasing Managers Index:購買担当者指数)は米国のみならず、世界各国の分も算出・公表していることから、国際比較しやすい指標です。
ISM非製造業(サービス業)景況指数はいつ発表されますか?
ISM非製造業景況指数は、毎月第3営業日に発表されます。
発表時間は日本時間で24時です。(米国がサマータイムの場合は、1時間前倒しで23時に発表)
なぜ先行指標として注目されているのでしょうか?
ISM非製造業景況指数は、景気に敏感な全米の購買担当者からデータを収集し、毎月第3営業日に発表することから「先行指標」として注目されます。特に景気の変わり目を察知する材料として重要視されます。
【まとめ】ISM非製造業景況指数とは|内容や重要性・マーケットへの影響について解説
ISM非製造業景況指数は、米国の非製造業(サービス業)の景況感を示す重要な経済指標です。
全米サプライマネジメント協会(ISM)が、約375社以上の購買担当者へのアンケートを基に算出し、毎月第3営業日に発表します。
米国GDPの8割以上を占めるサービス業の動向を示し、経済の先行指標として重視されます。
指数が50%を超えると景気拡大、下回ると景気後退を示唆し、為替市場にも影響を及ぼすことがあります。
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