EA(自動売買)の精度を上げる方法とは?パラメータを最適化して検証
第11回で作成したEAでは、エントリーする曜日を制限することで、精度を上げることに成功しました。
>EA(自動売買)の精度を上げる方法|曜日ごとにバックテストを行い検証
この時セットされていた各種パラメータは、簡単な最適化を行ってセットした値であり、最適化の方法については詳しく紹介していませんでした。
そこで今回は、パラメータを最適化する流れについて改めて解説し、どれくらい精度が向上するのかを確認してみましょう。
第11回で作成したEAを使用します。
最適化の種類
最適化のモデルには「全ティック」「コントロールポイント」「始値のみ」の3種類があります。
「全ティック」は、ローソク足の動きをティック単位でシミュレーションするモードです。
例えば、とあるローソク足が形成されるのに200回価格が更新されたとします。
この時、バックテストでも200回値の更新をシミュレーションします。
それに対して「始値のみ」は、バーの始値のみシミュレーションするモードです。
たとえ価格が200回更新されてできたローソク足であっても、始値の1回分の価格でしかシミュレーションしません。
つまり、200回値を更新したローソク足では、「全ティック」よりも「始値のみ」の方が、単純計算で200倍早くテストが終わります。
どのモデルを使うべき?
当然ですが、モデルが「全ティック」の場合が最も正確にバックテストを行い、「始値のみ」ではあまり正確な結果は出ません。
そのため最適化においても、モデルは「全ティック」を使用するべきです。
しかし、数年間のバックテストを数千、数万パターンテストすると、膨大な時間がかかってしまいます。
ではどうすれば良いのかというと、まず「始値のみ」で最適化を行い、最適化結果の中から良さそうなパラメータセットを抽出、再度「全ティック」でテストを行うのが有効です。
「始値のみ」の場合は、個々のテスト結果は正確ではありませんが、パラメータを変更した時の「どっちのパラメータの方が良い精度になるか」は比較できる傾向にあります。
「始値のみ」による最適化
それでは最適化を行っていきましょう。
以下の画像のように設定しました。
イメージとしては、あまり精度に大きく影響しない、もしくは細かく刻むべきではないパラメータについては大きめに値を刻み、精度に大きく影響しそうなパラメータについては細かく刻んでいます。
遺伝的アルゴリズムによる最適化をONにし、数分で最適化は完了しました。
以下プロフィットファクターで降順にした最適化結果です。
「全ティック」によるバックテスト
それでは「始値のみ」で最適化を行った結果の中から、1つパラメータセットを抽出して「全ティック」でバックテストを行いましょう。
どのパラメータセットを使用するかは「どの指標(取引回数、PF、最大ドローダウンなど)を重視するか」によりますが、今回は無難にプロフィットファクターが高くなるようなパラメータセットを選択します。
最適化結果を見ると、上位はPFが10.2ですが、取引回数が5回しかありません。
取引回数が5回ではあてになりません。
同様に、取引回数が数十回しかない結果も除外します。
今回は上から14番目のPFが2.55、取引回数が568回のパラメータ設定を使用します。
以下、最適化前と最適化後のバックテスト結果です。
最適化前
最適化後
最適化前に比べて、かなりバックテストの精度が向上したことが分かります。
また、最適化の「始値のみ」の時に568回だった取引回数が、「全ティック」にすると1148回まで増えました。
モデルが「始値のみ」の場合は、「全ティック」に比べてティックごとのシミュレーションをしない分、エントリーチャンスが少なくなるので、このように「始値のみ」ではエントリー回数が少ない傾向にあります。
そのため「始値のみ」の結果だけで結論を出すことはやめましょう。
注意点
今回のバックテストは、スプレッドを固定で行っています。
日本時間早朝の相場が緩やかになる時間帯は、スプレッドが広がりやすいという特徴があります。
実運用を行うにはスプレッド制限をかけるなど、十分に十分注意しましょう。
また、マーチンゲールは自己資金を一瞬で失ってしまうリスクがあります。
プログラム全文(最適化後)
#property copyright "Copyright(C) 2023, OANDA"
#property link "https://www.mql5.com"
#property version "1.00"
#property strict
input int MAGICMA = 23498721; // マジックナンバー
input double Lots =0.01; // 1ロット十万通貨単位
input int Slippage = 4; // エントリー見送りスリッページ
input double MaxSpread = 5; // エントリー見送りスプレッド
input double TakeProfit = 5.0; // 利益確定幅(pips)
input double LossCut = 20.0; // 損切確定幅(pips)
input int RSIPeriod=4; // 期間
input ENUM_APPLIED_PRICE RSIAppliedPrice = PRICE_CLOSE; // 適用価格
input int UpLine = 90; // 上の線
input int DownLine = 20; // 下の線
input int TradeTime = 0; // トレードを行う時間
input int NanpinWidth = 7; //ナンピンの幅(pips)
//曜日設定
input int TradeDayOfWeek = 5; // トレード曜日(1:月曜、2火曜、3:水曜、4:木曜、5:金曜)
double dSpread;
int OnInit()
{
return(INIT_SUCCEEDED);
}
void OnTick()
{
dSpread = (Ask - Bid) / (Point * 10);
if(CalculateCurrentOrders()==0 && dSpread < MaxSpread && TimeDayOfWeek(Time[0]) != TradeDayOfWeek) CheckForOpen();
if(CalculateCurrentOrders()==1 && dSpread < MaxSpread) CheckForNanpin();
CheckForClose();
}
void CheckForOpen()
{
int res;
double RSI = iRSI(Symbol(), 0, RSIPeriod, RSIAppliedPrice, 1);
if(TradeTime == TimeHour(Time[1]))
{
if(RSI < DownLine)
{
res=OrderSend(Symbol(), OP_BUY, Lots, Ask, Slippage, 0, 0,"", MAGICMA, 0, Red);
}
if(RSI > UpLine)
{
res=OrderSend(Symbol(), OP_SELL, Lots, Bid, Slippage, 0, 0, "", MAGICMA, 0, Blue);
}
}
}
void CheckForNanpin()
{
int res;
double buyProfitPips = 0;
double SellProfitPips = 0;
for( int i=0; i<OrdersTotal(); i++ ){
if( OrderSelect(i, SELECT_BY_POS) == true && OrderMagicNumber() == MAGICMA && OrderSymbol() == Symbol() ){
if( OrderType() == OP_BUY ){
buyProfitPips = (MarketInfo(Symbol(),MODE_BID) - OrderOpenPrice()) / (Point * 10);
break;
}else if( OrderType() == OP_SELL ){
SellProfitPips = (OrderOpenPrice() - MarketInfo(Symbol(),MODE_ASK)) / (Point * 10);
break;
}
}
}
if(SellProfitPips == 0 && buyProfitPips < NanpinWidth * -1)
{
res=OrderSend(Symbol(), OP_BUY, Lots, Ask, Slippage, 0, 0,"", MAGICMA, 0, Red);
}
if(buyProfitPips == 0 && SellProfitPips < NanpinWidth * -1)
{
res=OrderSend(Symbol(), OP_SELL, Lots, Bid, Slippage, 0, 0, "", MAGICMA, 0, Blue);
}
}
void CheckForClose(){
int res;
double buyProfitPips = 0;
double SellProfitPips = 0;
for( int i=0; i<OrdersTotal(); i++ ){
if( OrderSelect(i, SELECT_BY_POS) == true && OrderMagicNumber() == MAGICMA && OrderSymbol() == Symbol() ){
if( OrderType() == OP_BUY ){
buyProfitPips = (MarketInfo(Symbol(),MODE_BID) - OrderOpenPrice()) / (Point * 10);
}else if( OrderType() == OP_SELL ){
SellProfitPips = (OrderOpenPrice() - MarketInfo(Symbol(),MODE_ASK)) / (Point * 10);
}
}
}
if(TakeProfit <= buyProfitPips || LossCut <= buyProfitPips * -1){
for( int i=OrdersTotal()-1; i>=0; i-- ){
if( OrderSelect(i, SELECT_BY_POS) == true ){
if( OrderType() == OP_BUY && OrderMagicNumber() == MAGICMA && OrderSymbol() == Symbol() ){
res = OrderClose(OrderTicket(), OrderLots(), Bid, Slippage * 10,Green);
}
}
}
}
if(TakeProfit <= SellProfitPips || LossCut <= SellProfitPips * -1){
for( int i=OrdersTotal()-1; i>=0; i-- ){
if( OrderSelect(i, SELECT_BY_POS) == true ){
if( OrderType() == OP_SELL && OrderMagicNumber() == MAGICMA && OrderSymbol() == Symbol() ){
res = OrderClose(OrderTicket(),OrderLots(),Ask,Slippage * 10,Green);
}
}
}
}
}
int CalculateCurrentOrders()
{
int positions = 0;
for(int i=0;i<OrdersTotal();i++)
{
if(OrderSelect(i,SELECT_BY_POS,MODE_TRADES)==false) break;
if(OrderSymbol()==Symbol() && OrderMagicNumber()==MAGICMA)
{
positions++;
}
}
return positions;
}
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