TradingViewの内蔵ストラテジー「KC Strategy」のロジック概要や注意点を解説
この記事では、TradingViewにデフォルトで内蔵された「KC Strategy」について紹介します。
1.ロジック概要
ケルトナーチャネルを使用した、トレンドフォロー型のストラテジーです。
ケルトナーチャネルは移動平均線を中心にして、その上下にATR(Average True Range)のバンドを描き、バンドを突き抜けた方向にトレンドが発生すると考えるのが基本です。
そこでこのストラテジーでは、終値が上方のバンドを上抜けたら買い、下方のバンドが下抜けたら売りを行い、これらをドテンで繰り返します。
2.ストラテジーテスター
パラメーターは以下の6種類です。
期間や乗数は、バンドの形状や幅に影響を与え、トレード頻度を変化させます。
一般的には終値で計算したEMAを使うので、ソースやUse Exponential MAはデフォルトで良いでしょう。
Band Styleには、Average True Range、True Range、レンジの3種類があります。
中でもTrue Rangeの描くバンドは他の2つとは明確に異なるのが特徴です。
ATR Lengthは、バンドにATRを指定した場合の期間です。
【パラメーター初期設定】
期間 | 20(ケルトナーチャネルの期間) |
---|---|
乗数 | 22(バンド幅に適用する倍率) |
ソース | 終値(計算に使用する値) |
Use Exponential MA | チェックあり(EMAを使うか、SMAを使うか) |
Bands Style | Average True Range(バンドに使用するレンジ) |
ATR Length | 10(ATRの期間) |
【プロパティ初期設定】
初期資金 | 1,000,000(ストラテジーで取引可能な初期資金) |
---|---|
基準通貨 | デフォルト(ストラテジーの計算や結果に使われる通貨) |
発注サイズ | 1取引(取引ごとの枚数) |
ピラミッディング | 1注文(同じ方向に連続してエントリーできる最大数) |
バンドを抜けた方向へのトレンドフォロー戦略ということで、明確なトレンドが出ている場合は利幅を伸ばせる傾向にありますが、方向感の乏しい相場では売り買いのタイミングが噛み合わず損失が続いてしまう場合も多そうです。
以下のテストは、すべてデフォルト設定で行っています。
【米ドル/日本円 日足】
損益グラフは右肩上がりになっているものの、勝率は32.26%と低いです。
プロフィットファクターは1.455と悪くないですが、低勝率をいかに修正するかが課題です。
その他の通貨ペアでも同様の傾向が見られました。
【ポンド/日本円 1時間足】
明確なトレンドが発生している通貨ペアや時間軸だと、勝率は良くなる傾向がありました。
勝率47.79%、プロフィットファクター1.423という成績は、もう一工夫することでさらに向上できそうです。
このストラテジーの特徴として、エントリーの箇所ではトレンドの初動を捉えている傾向が見て取れますが、ドテンの決済をする頃にはトレンドが失速している場合も多くあります。
したがって、ドテンではなく早めに決済するルールに改良することで、成績向上が図れそうです。
3.注意すべきポイント
- ・勝率が低くなりがち
- ・方向感のない相場が苦手
- ・ドテン決済するときには利益が少なくなっている場合が多い
- ・通貨ペアや時間軸選びが重要
- ・パラメーターの期間や乗数の設定で成績が向上する可能性あり
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