イントロダクション - ファンドの組成、法務、税務について専門家が解説
本記事の執筆者
大橋 宏一郎(弁護士) | 慶応義塾大学法学部卒(1989年)、コロンビア大学ロースクール法学修士号取得(2001年)、日本と米国NY州の弁護士資格を持つ。 主な取扱分野は、国内外の銀行取引、スポンサード米国預託証券プログラムの設定等の資本市場取引、ファンドおよび投資運用関連事案(プライベート・エクイティ、ヘッジ・ファンド、REIT)を含む、様々な金融取引事案およびコーポレート事案(特に合併買収、企業再編取引)。 GT東京法律事務所(Greenberg Traurig LLPの東京事務所)に所属。 |
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読者の皆様、初めまして。
GT東京法律事務所の弁護士の大橋宏一郎と申します。
私は、米国に本拠を置くGreenberg Traurig法律事務所の日本事務所に所属しており、我々は、主要業務として、ファンドに関する法務を広く担当させていただいています。
この度は、OANDA証券さんにお話を頂戴しまして、国内外のファンドに関して寄稿する機会をいただきました。
私は、ちょうどファンド等の証券商品を規制する法律が、旧証券取引法から、金融商品取引法に替わるころから、ファンドビジネスに関与し始めました(1998年頃)。
時代は、バブルがはじけ、山一證券が破綻した時期です。
当時は、まだまだ、ファンドという金融商品があまり日の目を見ておらず、むしろ証券会社が売れ残った銘柄を系列の運用会社の運用するファンドに引き取らせるような話もされていました。
そんな中、私は、当時所属していた別の外資系法律事務所において、欧米の先進的なファンド商品を日本に導入する仕事に従事しておりました。
当時は、ファンドの商品性や外国籍ファンド設立地であるケイマンやルクセンブルグについての知識も日本では浸透しておらず、
規制当局を含めて、販売会社や運用会社に欧米のファンドの仕組み等をご説明すること、及び、欧米のファンド商品を日本の法規制にいかにしてフィットさせるかということが、主たる仕事でした。
その後、日本も、欧米流のファンドビジネスを咀嚼、吸収して、ファンドビジネスは発展しました。
日本においても投資のプロによる資金運用のメリット、分散投資によるリスク分散はおおいに認識され、ファンドビジネスは発展いたしました。
そんな矢先、Bear Stearns及びLehman Brothersの破綻に端を発した、米国発の金融危機が発生しました。
欧米のファンド運営会社は一時的に業容を縮小し、日本から撤退する例が散見されました。
そうすると、我々の業務も、今までの欧米ファンドの日本への導入より、今度は、むしろ日本の投資家(特に年金等)が海外に出ていき外国籍ファンドに投資をするに際し、
投資家サイドに立ち、外国籍ファンドの契約書や投資に関する条件等を検討し、ファンド側との交渉に関し助言する業務が徐々に増えていきました。
このように、時代とともに、ファンドビジネスにかかわる我々の業務も内外の立場を変えることになりましたが、ファンドビジネスという対象は変わらず、20年以上にわたり、法律家としてファンドビジネスに関与してきました。
その間に、ファンドに関する本(Q&A投資事業有限責任組合の法務・税務(改訂版))を共著したり、多くのファンドに関するセミナーを開催させていただいたりしてきました。
このような経験をもとに、今回は、ファンドに係る法務について、何回かにわたって、概観させていただこうと思っています。
なお、当事務所において、ファンドビジネスに日々関与している、気鋭の同僚である肥沼誠弁護士、石本さやか弁護士、荒川真里弁護士と一緒に担当させていただくこととし、それぞれの得意分野に応じてお話しさせていただこうと思います。
それでは、皆様、どうぞお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
●GT東京法律事務所によるファンドの組成、法務、税務解説記事一覧
OANDA証券では、GT東京法律事務所(Greenberg Traurig LLPの東京事務所)監修のもと、ファンドの組成、法務、税務などのコンテンツを豊富に提供しています。
0.イントロダクション – ファンドの組成、法務、税務について専門家が解説
OANDA証券に寄稿いただいているGT東京法律事務所に所属する弁護士の方の紹介ページです。
1.ファンドとは?メリット・デメリットをGT東京法律事務所の弁護士が解説
ファンドとは、複数の投資家たちから集めたお金をまとめ、投資の専門家に運用を任せて利益を分配する仕組みです。
本記事では、ファンドの詳細やメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。
2.ロボアドバイザーとは?ファンドとの違いをGT東京法律事務所の弁護士が解説
ファンドと同じようなサービスに、ロボアドバイザーというものがあります。
本記事では、ロボアドバイザーとはどのようなサービスなのか、ファンドとの違いなどについて詳しく解説します。
3.ファンドの分類・主要ファンドの概要をGT東京法律事務所の弁護士が解説
商品としてのファンドには、投資対象や取引手法など様々な種類があります。
本記事では、ファンドの種類について詳しく解説します。
4.ヘッジファンドとは?プライベートエクイティファンドとは?違いをGT東京法律事務所の弁護士が解説
ファンドの種類には、ヘッジファンドとプライベートエクイティファンド(PEファンド)があります。
本記事では、ヘッジファンドとプライベートエクイティファンドとはどのようなものか、それぞれの違いについて詳しく解説します。
5.ベンチャーファンドとは?不動産ファンドとは?特徴をGT東京法律事務所の弁護士が解説
プライベートエクイティファンドの種類の一つに、ベンチャーファンドや不動産ファンドなどがあります。
本記事では、ベンチャーファンドや不動産ファンドはどのようなものかについて詳しく解説します。
6.アクティビスト・ファンドとは?株主権の行使方法や歴史をGT東京法律事務所の弁護士が解説
ファンドには、アクティビスト・ファンドというものがあります。
本記事では、アクティビスト・ファンドとはどのようなものかについて詳しく解説します。
7.投資信託とは?投資法人とは?概要をGT東京法律事務所の弁護士が解説
個人投資家にとって身近なファンドの方形式は、投資信託です。
本記事では、投資信託及び投資法人の概要について詳しく解説します。
8.投資事業有限責任組合とは?背景や3つの特徴をGT東京法律事務所の弁護士が解説
日本で投資ファンドを組成する場合、匿名組合や投資事業有限責任組合が多く使われています。
本記事では、投資事業有限責任組合の詳細について詳しく解説します。
9.なぜ外国籍ファンドはケイマン諸島が多いのか?4つの理由をGT東京法律事務所の弁護士が解説
ケイマン籍のファンドは、投資家やファンドマネジャーからの人気が高い外国籍ファンドの一つです。
本記事では、ケイマン籍のファンドが人気な理由について詳しく解説します。
10.ルクセンブルク籍ファンドの4つの種類をGT東京法律事務所の弁護士が解説
ケイマン籍のファンドの他にも、ルクセンブルク籍ファンドも人気を集めます。
本記事では、ルクセンブルク籍ファンドが人気の理由について詳しく解説します。
11.プロ向けのファンドと個人投資家向けのファンドの違いをGT東京法律事務所の弁護士が解説
ファンドには、個人投資家を対象としたもの以外に、個人投資家を対象としていないものも多くあります。
本記事では、プロ向けの投資ファンドについて詳しく解説します。
12.投資ファンドの5つの運用戦略についてGT東京法律事務所の弁護士が解説
ヘッジファンドでは、相場がどちらに動いてもいいように、様々な運用戦略を駆使して絶対的な収益を狙います。
本記事では、ヘッジファンドの運用戦略について詳しく解説します。
13.ファンドの運用・販売に関する法令(金商法、投信法、その他)をGT東京法律事務所の弁護士が解説
ファンドの販売や運用には、様々な法律に気をつけなければなりません。
本記事では、わが国日本でファンドの販売や運用をするにあたり、どのような法律が適用されるのか詳しく解説します。
14.ファンドの販売で必要なライセンスをGT東京法律事務所の弁護士が解説
日本国内でファンドの運用や販売を行うには、登録や届け出などが必要です。
本記事では、ファンドの運用や販売を行う上で必要なライセンスについて詳しく解説します。
15.ファンドの開示(公募)要件をGT東京法律事務所の弁護士が種類ごとに解説
ファンドの有価証券を日本の投資家に対して発行する場合、原則としてファンドの情報についての開示が必要です。
本記事では、具体的にどのような情報を発行しなければならないのか、発光する有価証券ごとに詳しく解説します。
16.ファンドの開示(私募)の要件をGT東京法律事務所の弁護士が種類ごとに解説
ファンドを発行する場合、原則有価証券届出書による開示が必要ですが、私募として発行開示規制が免除される場合があります。
本記事では、ファンドが発行する有価証券の種類により私募の要件は異なるため、その種類ごとに私募の要件を詳しく解説します。
17.ファンドの運用に必要なライセンスをGT東京法律事務所の弁護士が解説
ファンドの運用者は、いくつかのライセンスが必要です。
本記事では、ファンドの運用に必要なライセンスについて詳しく解説します。
18.ファンド運用ライセンスの例外をGT東京法律事務所の弁護士が解説
ファンドを日本国内で販売する際は、投資運用業の登録が原則必要ですが、例外もあります。
本記事では、ファンドを日本国内で販売する場合でも、例外的に投資運用業の登録を必要としないケースについて詳しく解説します。
19.ファンド販売・運用ライセンスの例外(適格機関投資家等特例業務、海外投資家等特例業務、移行期間特例業務)
本記事では、ファンドを日本国内で販売する際の例外である、適格機関投資家等特例業務、海外投資家等特例業務、移行期間特例業務について詳しく解説します。
20.ファンドの設立手順についてGT東京法律事務所の弁護士が解説
ファンドを設立するにはどうしたらよいでしょうか?
本記事では、投資信託の設立手順や投資事業有限責任組合によるファンド設立手順、ケイマン籍Exempted Limited Partnershipによるファンド設立手順について詳しく解説します。
21.ファンドの発行で必要となる届出や登録などについてGT東京法律事務所の弁護士が解説
ファンドの販売や運用では様々なラインセンスが必要ですが、ファンドの発行に当たっては、種類に応じて届け出や登録が必要です。
本記事では、種類に応じてファンドの発行において必要な届け出や登録について詳しく解説します。
22.ファンドの投資対象、投資信託の投資対象の制限についてGT東京法律事務所の弁護士が解説
ファンドは、不動産や株式などが一般的ですが、FXやCFDなどを対象としたものもあります。
本記事では、FXやCFDを対象としたファンドはどのようなものか詳しく解説します。
23.契約締結前交付書面及び契約締結時交付書面についてGT東京法律事務所の弁護士が解説
ファンドの発行にあたり必要なものに、契約締結前交付書面及び契約締結時交付書面があります。
本記事では、契約締結前交付書面及び契約締結時交付書面について詳しく解説します。
24.目論見書とは?仕組みや交付義務などをGT東京法律事務所の弁護士が解説
目論見書は、有価証券に関する情報を投資家へ確実に届ける手段として作成されるものです。
本記事では、目論見書の詳細や作成義務、交付義務などについて詳しく解説します。
25.リミテッド・パートナーシップ契約(LPA)とは?特徴的な10の条項をGT東京法律事務所の弁護士が解説
リミテッド・パートナーシップ契約(LPA)とは、外国籍PEファンド等で多く採用されるリミテッド・パートナーシップ形式のファンドにおける基幹契約のことです。
本記事では、LPAにおける契約条項のうち、特徴的な条項をいくつか詳しく解説します。
26.引受契約とは?規定される3つの事項についてGT東京法律事務所の弁護士が解説
リミテッド・パートナーシップ契約(LPA)では、引受契約というものが締結されます。
本記事では、引受契約で規定されるいくつかの事項について詳しく解説します。
27.覚書(サイドレター)とは?盛り込める内容についてGT東京法律事務所の弁護士が解説
覚書(サイドレター)とは、投資家との間で、LPAや引受契約に明記されていない事項を取り決めたり、既存の契約内容を変更するための覚書です。
本記事では、覚書(サイドレター)の詳細について詳しく解説します。
28.投資家への運用財産に関する報告義務についてGT東京法律事務所の弁護士が解説
ファンドの運用者は、投資家に対してファンドの運用状況等を記載した運用報告書の作成、交付義務が規定されています。
本記事では、ファンドへの投資後に、投資家に対して行われる運用財産に関する報告について詳しく解説します。
29.ファンド持分の償還についてGT東京法律事務所の弁護士が解説
投資資金の回収方法には、いくつかありますが、償還という方法が一般的です。
本記事では、償還の仕組みについて詳しく解説します。
30.ファンドの終了|清算と解散手続きについてGT東京法律事務所の弁護士が解説
ファンドが活動を終了する場合には、いくつかの手続きが必要です。
本記事では、LPAで規定されるファンドの解散及び清算について詳しく解説します。
31.有限責任と無限責任の違いとは?有限責任の重要性や例外等について詳しく解説
ファンドには、リスクがつきものです。
本記事では、ファンドのリスクである限責任・無限責任の違い、投資家の有限責任の重要性及びその例外について詳しく解説します。
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