NYダウ(US30CFD)の値動きをグランビルの法則で分析
トランプショックでのサイン
グランビルの法則は、200日移動平均線と価格の位置関係から、売買のタイミングを読み取るチャート分析方法です。上昇トレンドが始まり、継続し、やがて終焉する流れと、その後に始まる下降トレンドにおける同様のサイクルの中で、4種類の買いサインと、4種類の売りサインが発せられます。この記事では、NYダウ(US30CFD)でグランビルの法則が見られた例を見ていきます。
NYダウは2016年11月のトランプ大統領(当時)当選以降、トランプラリーと呼ばれる株価の急回復(上昇トレンド)が始まりました。右肩上がりの200日移動平均線まで、ほとんど押し目を作らないままに上昇を続けますが、乖離率がピークとなった2018年1月の高値更新後、2月に入ってから大幅な急落が起こりました(VIXショック)。この急落はグランビルの法則により、事前に警戒することも可能だったといえます。
上画像は、上昇トレンド後に急落した局面のチャートです。移動平均線からの乖離を判断するために、OANDA_Multi_MA_Deviation(移動平均乖離率)を表示しています。このチャートを見て分かる通り、2018年1月の高値更新の局面は、移動平均線乖離率がピークアウトを示しています。つまり、売りサイン8(上向きの移動平均線から価格が上に大きく乖離する)の条件を満たしていると考えられます。
売りサイン8発生後の値動きは、移動平均線へと回帰する傾向があるので、それを知っていれば急落の察知とまではいかないものの、下落を警戒することができたというわけです。実際の値動きを確認すると、急落後に移動平均線の手前で一度反発しましたが、その後再び下落の流れが継続して移動平均線まで戻っています。
なお、OANDA_Multi_MA_Deviation(移動平均乖離率)は、OANDAラボから入手できます(ダウンロードするためにはログインが必要です)。
コロナショック後の上昇トレンドで買いサイン3が発生
NYダウのコロナショック後の値動きを振り返ります。下画像は、コロナショックから回復し、上昇トレンドが始まったときの値動きを示したものです。
2020年2月にコロナショックが発生した際、NYダウは暴落し、一時18,500ドルまで落ち込みました。しかしそこからV字回復して移動平均線を上抜けると、本格的な上昇トレンドが始まります。
この上昇トレンドの初動は、グランビルの法則の教科書通りにはいかない崩れた形ですが、買いサイン1と解釈することができます。つまり、横ばいの移動平均線に対して、価格が下から上に突き抜ける動きがあり、その後は移動平均線をまたいで上下するもたつきを見せたものの、やがて弾みを付けて上昇の勢いを強めた様子がトレンド発生と解釈できるのです。
コロナショック後のNYダウは好調そのもので、2020年11月下旬には30,000ドルの大台を史上初めて突破。その後も上昇力が弱まることなく、高値を更新し続けており、2021年7月下旬には35,000ドルを上回りました。それ以降に移動平均線の手前まで下落して押し目を作り、買いサイン3の条件を満たしています。買いサイン3発生後は、必ずしも上昇するわけではありませんが、ここまでのNYダウの強さを考えると、さらなる高値更新が期待できます。
これほどまでに強気なNYダウが崩れるとすれば、移動平均線が横向き(あるいは下向き)になり、それを価格が下回る売りサイン5(下降トレンドの初動を表す)が発生した場合です。
休むも相場
NYダウは右肩上がりに成長し続けているといわれていますが、200日移動平均線を上に下に行ったり来たりする推移が続く期間が長くありました。下画像は2018年8月~2020年8月の範囲のチャートですが、この間はグランビルの法則と呼べるサインは出ておらず、トレードが難しい環境であることがうかがえます。トレンドレスな状況が続いた後には、必ずトレンドが発生します。そのタイミングをしっかりと待つことが重要であることも、グランビルの法則は示唆しています。
OANDA証券(以下、弊社)では、NYダウ(ダウ工業株30種平均)をCFDで取引することが可能です。NYダウのリアルタイムチャートやCFDで取引をするメリット・デメリットなどについては、以下コンテンツをご参考ください。
NYダウ(ダウ工業株30種平均)CFDリアルタイム更新チャート
本記事の監修者・平野朋之
ネット証券で、FX業務全般、自己売買部門のディーラー、投資情報室の情報発信、セミナー講師などの業務に携わる。現在は独立して株式会社トレードタイムを設立。マーケット情報の発信や投資教育を行うかたわら、オリジナル手法での自己売買も精力的に行う。
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