オミクロン株への警戒続きリスクオフ OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年12月6日)
根強いオミクロン株への警戒感
先週の市場は、新型コロナウィルスの新たな変異種である「オミクロン株」への警戒感が強く、前週末に続きリスク回避型の動きとなりました。
株式市場が下落したほか、FX市場では、円、スイスフラン、米ドルが底堅い推移となりました。このほか、債券市場では米国長期債利回りが低下、商品市場では原油価格が下落する動きとなりました。
また、市場では、インフレへの警戒感等からテーパリング加速・利上げ前倒しの可能性が意識される中、週末に発表された米国雇用統計は、非農業部門雇用者数変化が市場予想を下回ったものの、失業率が市場予想を下回る結果となり、強弱が混ざる結果となりました。
市場の反応は、発表直後は株式市場、米国債利回りは上昇とポジティブな反応となりましたが、その後はオミクロン株への警戒感により、上昇分を吐き出す動きとなりました。
【参考データ】
【ドルインデックス、S&P500(CFD)、米国債利回り(10年、2年)、原油(CFD)、金(CFD)の推移】
【残存期限別の米国債利回りの推移】
米国債利回りは、前週に続き、中長期債利回りの低下傾向が続いています。
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
【直近5週間の金曜日の米国債イールドカーブの比較】
直近5週の金曜日のイールドカーブの変化を見ると、短期のものは依然として高い水準であるのに対し、中長期のものは、低下傾向が続いています。
【米国債イールドカーブの変化(3Dグラフ)】
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
米国消費者物価指数、オミクロン株に関する報道等に注意
今週は週末に米国消費者物価指数の発表が予定されています。インフレ懸念が強まる中、強い結果となると、米国のデーパリングペースの加速、利上げ前倒しの可能性が意識され、米国債利回り上昇、米ドルの下支え材料となりそうです。
また、先週に続き、新型コロナウイルスの新たな変異種であるオミクロン株の感染状況に関する報道に警戒が必要になりそうです。
このほか、オーストラリアやカナダでは、中央銀行の金融政策を決定する会合が予定されています。いずれも今回の会合で政策金利の変更の可能性は低いと予想されていますが、今後の金融政策の手がかりが示されると、豪ドルやカナダドルが過敏に反応する可能性に注意が必要となりそうです。
主要通貨の強弱
先週のFX市場は前週に続き、円、ユーロ、スイスフラン、米ドルなどが強く、豪ドル、NZドル、カナダドル等の資源国通貨が弱いリスク回避型の動きとなりました。
【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】
直近30日間の主要通貨の通貨の強弱チャートを見ても円、米ドル、スイスフランが強いのに対し、資源国通貨の弱い動きが続いています。
【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】
直近30日間の株価指数の変化率
米国市場
先週の米国の株価指数CFDは、前週に続き、上値の重い動きとなりました。
欧州市場
欧州の株価指数CFDは、下落の勢いは和らいだもの、上値の重い状態が続きました。
アジア・オセアニア市場
先週のアジア・オセアニアの株価指数CFDも上値の重い銘柄が多いですが、台湾やインドの株価指数は比較的底堅い動きとなりました。
主要銘柄の相関性分析
先週の主要なドルストレートの通貨ペアの相関性は、前週に続き、円、ユーロ、スイスフランが対ドルで比較的相関性が高いほか、ポンドと豪ドルが対ドルで近い動きとなりました。
【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】
ドル円、クロス円の相関性を見ると、円が対主要通貨で強い状況が続いていることもあり、全体的に相関性の高い動きとなりましたが、スイスフラン円や南アフリカランド円は他の銘柄との相関性は低い動きとなりました。
【先週のドル円、クロス円の相関性】
先週の主要通貨ペアと米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)の相関性を見ると、US500とポンド円、豪ドル円が相関性の高い動きとなりました。
【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】
OANDA、先物市場のポジション、主要銘柄の値動き
FX
米ドル/円(USD/JPY)
先週のドル円は下落は一段落したものの、上根も重く、横ばい推移となりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ないですが、安値圏での推移が続いているため、買いポジション保有者のほとんどが含み損を抱えており、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売り、反発した水準では安堵の利益確定売りが上値を圧迫し、上値の重い推移となる可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、112.50付近で下げ渋る動きが続いています。まずは、この水準を守れるか、反発の際は、高値を結んだラインや直近の高値水準を突破できるか等に注目しながら、下落基調が続くかを探っていきたいです。
【USD/JPYの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の円のIMMポジションは、ドル円の下落に併せて、円売りポジションの減少傾向が続いています。
【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/11/30)】
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
先週のユーロドルは、前半は反発地合いが続き、1.138付近まで上昇したものの、後半は伸び悩む動きが続いています。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションに傾いており、下押した水準では、損切りの売り、反発した水準では安堵の利益確定売りが上値を圧迫し、上値の重い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
一方で直近の反発により、含み損を抱えた売りポジションも少し増えており、下押した水準ではこれらのポジションの買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増える可能性にも注意が必要となり、悩ましい状況です。
4時間足チャートを見ると、直近では高値、安値をジリジリと切り上げる動きが続いていますが、引き続き高値を切り上げることができるか、安値を結んだラインや直近のサポート水準を守ることができるか等に注目しながら、方向感を探っていきたいです。
【EUR/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点でのユーロのIMMポジションは、引き続き売買の偏りは少ないものの、ジリジリとユーロ売りのポジションが増えています。今後もこの傾向が続くかを見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/11/30)】
ポンド/米ドル(GBP/USD)
先週のポンドドルはは上値が重い推移が続きましたが、1.32に迫る水準では下げ渋る動きが続いています。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジション比率が60%程度まで上昇する中、下落基調が続いているため、その多くが含み損を抱えており、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、下落基調が続いています。引き続き反発の際は高値を結んだラインや直近の高値水準を突破できるか、下値を探る場面では直近の安値水準を守れるか等に注目しながら、下落基調継続の可能性を探っていきたいです。
【GBP/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点でのポンドのIMMポジションは、ポンド売りの増加傾向が続いています。今後もこの傾向が続くかに注目したいです。
【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/11/30)】
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
先週も豪ドルは下落基調が続き、0.7を割り込む水準まで下押しとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジション比率が66%程度まで上昇する中、そのほとんどが含み損を抱えており、反発した水準では、安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが増え、上値の思い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、下落基調が続いており、反発の際は高値を結んだラインや直近の高値水準を突破できるか、下押しの際は、安値を切り下げることができるか等に注目しながら、下落基調継続の可能性を探っていきたいです。
【AUD/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の豪ドルのIMMポジションは、売りポジションの減少傾向が一段落し、再び増加となりました。
【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/11/30)】
CFD
米国S&P株価指数500(US500)
先週のUS500は上値の重い状態が続き、一時は4500を割り込む水準まで下押しする動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションの比率が6割程度まで上昇する中、下押しが続いており、含み損を抱えた買いポジションが増えています。このため、反発した水準では、安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性に注意が必要となりそうです。
4時間足チャートを見ると、高値、安値を切り下げる動きが続いています。反発の際は高値を結んだラインや直近の高値水準を突破できるか、下押しの際は直近の安値を守れるか等に注目しながら、下落基調が続くかを見守りたいです。
【US500の4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のS&P500先物市場のオープンポジションは、買いポジション比率がジリジリと増加しています。
【投機筋の先物市場のS&P500 consolidatedのポジションの推移(最終更新日2021/11/30)】
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