小麦の生産動向は?世界の生産量を主要な国・地域別に解説
世界の生産量
小麦は、穀物の中でも非常に重要な種類といわれています。小麦が原料のパンを主食とする国は世界の中でも多く、日本でもパスタやうどん、ケーキなどで消費量は年々増加しています。こうした消費量の増加に比例して、生産量も高まっているのが現状です。USDA(米国農務省)の統計によると、2021年度の世界全体の小麦生産量は過去最高の7億7587万トンと1970年代から倍増する見通しです。
資料:USDA
※小麦図表_世界小麦生産量
各国の生産量
国・地域別で見ると、EUが1億3,940万トン、次いで中国が1億3,690万トン、インドが1億952万トン、ロシアが7,250万トン、米国4,479万トンとなっています。
資料:USDA
※小麦図表_世界小麦国別生産量
EUの小麦生産量は冬小麦が大部分を占めます。フランスやドイツを中心に各地で栽培され、播種は10~11月頃、収穫は翌年7~8月頃に行われます。生産量は、2015年に史上最高の1億6,048万トンを記録したあとは、1億2,000万~1億3,000万トン台での推移となっています。
中国の小麦生産量は冬小麦が95%を占めます。主に華北平原で栽培され、播種は10~11月、収穫は翌年5~6月頃に行われます。春小麦は主に北部で栽培され、播種は5~6月頃、収穫は8~9月頃に行われます。2000年前後にかけてWYO(世界貿易機関)加盟や保護価格制度を段階的に廃止する自由化政策がとられたため、生産量が落ち込むことがありました。しかし、胡錦濤政権下のもと食糧増産対策が講じられると、生産量は増加傾向となり、2021年度には史上最高の1億3,690万トンに達する見込みとなっています。
主要国の生産量
インドの小麦は冬小麦で主に北部で栽培され、播種は10~12月頃、収穫は翌年3~5月頃に行われます。生産量は増加傾向を辿り、2021年度も史上最高となる1億952万トンに達する見込みとなっています。
ロシアの小麦生産量は冬小麦が約7割を占め、主に欧州に近い南部や西部で栽培され、播種は8~10月頃、収穫は翌年7~8月頃に行われます。春小麦は主にシベリア連邦管区及び沿ヴォルガ連邦管区等で栽培され、播種は4~5月頃、収穫は8~9月頃に行われます。生産量は増加傾向となっており、1991年のロシア連邦成立時の約2倍の水準に達しています。
米国の小麦生産量は冬小麦が約7割を占め、大平原を中心に各地で栽培され、播種は9~10月頃、収穫は翌年6~7月頃に行われます。春小麦は主に北部で栽培され、播種は4~5月頃、収穫は8~9月頃に行われます。米国は安定的な輸出大国の一つで、生産量は1980円台以降、4,000~8,000万トン台での推移となっています。
資料:USDA
※小麦図表_世界小麦国別生産量
本記事の監修者・佐藤りゅうじ
1968年生まれ。1993年米大卒業後、1995年2月株式会社ゼネックス入社。アナリストとしてマクロ経済分析をはじめ、原油、天然ゴム、小麦などの商品市場、また為替市場、株式市場のアナリストリポートの執筆、トレードに携わる。2010年1月エイチスクエア株式会社を設立。
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