テクニカル分析解説

日足や1時間足を利用したフィボナッチ・リトレースメントのトレードアイデア


1.日足で押し目を確認し、1時間足でトレード


この記事では、値幅観測に役立つフィボナッチ・リトレースメントを実際のトレードに活用する実例を紹介します。下画像はドル円の日足で、2021年1月~2021年3月にかけて、AからBまでの上昇トレンドが発生している局面です。

この大きな上昇波動A-Bに対して、フィボナッチ・リトレースメントを引いてみます。すると上から23.6%、38.2%、50.0%、61.8%の水準にラインが引かれ、これらが押し目の波動B-Cの目安となります。この段階では、23.6%ラインもしくは38.2%ラインで反発したところで押し目買いする戦略が想定できます。

23.6%ラインもしくは38.2%ラインで反発したところで押し目買いする戦略

実際の値動きはどうなったかというのが、下画像です。23.6%ラインをあっさりと下回ったものの、38.2%ライン付近(C)で下げ止まり、反転上昇となりました。

38.2%ラインで押し目

ちょうど38.2%ラインで下ヒゲが現れ、ここが押しの目安として機能していることが分かるわけですが、それではいつ、どんなトレードすれば良いでしょうか? その答えは、下位時間軸を見ることで見つけられます。


2.押し目が見えたら下位時間軸でトレード


日足で押し目をつけた(つけそうな)局面を確認できた場合は、続いて1時間足に落とし込んでエントリータイミングを探るのが有効です。上位足の流れ(この例では上昇)に沿って下位足でエントリーすることで、トレードの優位性を高めることが可能となります。

その1時間足チャートには、期間40の移動平均線(40MA)と、平均足を表示してみます。これらのテクニカル指標を用いて、次のルールによるトレードが考えてみましょう。

                       
エントリー40MAが右肩上がりで、かつ平均足が40MAより上に位置しているときに陽転(陰線から陽線に転換)
決済平均足の陰転(陽線から陰線に転換)

下画像のCが、先ほど日足で見た押し目の波動B-Cの底値です。このCからほどなくして移動平均線が右肩上がりになり、エントリーチャンスが訪れます。大局で上昇している流れに乗って短期的なトレードを行うので、いくつかの損切りは避けられないものの、トータルでプラス収益が期待できます。

なお、利益の幅をもっと伸ばしたい場合は、陰転で決済とせずに、別のルールやより広い値幅で決済するなどのアレンジをするのも良いでしょう。

1時間足チャート

また、1時間足ではなくさらに下位の15分足などでもトレード可能です。この場合もやはり、移動平均線より上でトレードすることで、優位性の高い買いチャンスを狙えます。

15分足チャート

3.その後の流れを日足で確認


上記では波動A-B-Cからの上昇を狙ったわけですが、その後の実際の展開についても触れておきます。Cの後には高値Bを上回るDをつけました。そこから押し目を作り、今度は23.6%ラインで何度か反発しながら(E)、再度高値を更新するFをつけ、さらに高値を更新する(H)流れとなりました。

A-B-Cで押し目や戻りを表示したチャート

なお、A-B-C以降の流れとしては、以下のようなフィボナッチ・リトレースメントでの反応が見られました。

                                     
D-Eの押し目C-Dの61.8%で反発、A-Dの23.6%で反発
F-Gの押し目E-Fの38.2%で反発
H-Iの押し目G-Hの50.0%で反発

この例のように新しい波動や、以前からの流れを含む波動にフィボナッチ・リトレースメントをあてることで、目先の押し目を探ることができます。上昇トレンド(高値および安値の更新が継続)が続いている限り、その押し目を探る作業は非常に有意義です。


4.トレンド転換に注意


逆に、上昇トレンドが高値を切り下げたり、その押し目が100%ラインを下回ったりした場合には、トレンドの転換が考えられます。下画像のユーロドル日足は、X-Yの上昇波動から高値を切り下げ、そのフィボナッチ・リトレースメントの100.0%ラインも割り込んでしまっています。

相場の転機であるという予測

本記事の監修者:平野朋之氏


ネット証券で、FX業務全般、自己売買部門のディーラー、投資情報室の情報発信、セミナー講師などの業務に携わる。現在は独立して株式会社トレードタイムを設立。マーケット情報の発信や投資教育を行うかたわら、オリジナル手法での自己売買も精力的に行う。

フィボナッチ・リトレースメントが示す各ラインで反発せずに押し目が深くなり、あるいは反発しても高値も更新できないようならば、相場の転機であるという予測を立てることができます。

フィボナッチについてもっと学びたい方へのオススメコンテンツ

フィボナッチ

長く為替トレーディングの第一線で活躍されてきた山中康司(やまなかやすじ)氏監修のもと、フィボナッチの基本的な知識や使い方、トレーディングアイデアなどをご紹介します。またOANDAではフィボナッチに関するオリジナルインジケーターを多数提供しています。インジケーターはOANDAの口座をお持ちのお客様だけがお使いいただけます。


本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。

この記事をシェアする

ホーム » テクニカル分析解説 » 日足や1時間足を利用したフィボナッチ・リトレースメントのトレードアイデア