原油・石油のスプレッド取引とは?クラック・スプレッドも解説
1.スプレッド取引とは
スプレッド取引とは、関連する二つの取引における価格関係によってもたらされる値ザヤを利用して、利益を得る目的で行う取引です。スプレッドとは「価格差」のことであり、「サヤ」とも呼ばれています。
一般的なスプレッド取引では、二つの対象物の価格差が広がると予想すれば、スプレッド取引の買い、縮小すると予想すればスプレッド取引の売りという売買戦略をとります。
具体的には、相対的に割安と思われる方を買い、割高と思われる方を売ることで、その値ザヤが思惑通りに変化した場合に利益を得ることができます。この対象物の種類によって、限月間スプレッド取引(カレンダー・スプレッド)、異商品間スプレッド取引、異市場間スプレッド取引等があります。
2.クラック・スプレッドとは
クラックとは「原油を石油製品に精製する過程」に語源があります。原油を調達してガソリン等の石油製品を精製・販売する石油企業(日本では石油元売会社)にとって、最大の関心事は精製マージンで安定した企業収益を確保することにあります。
このため、原油やガソリン等の個々の石油製品の価格変動リスクよりも、原油と石油製品価格間のスプレッドに対するリスク・ヘッジ、すなわちスプレッドを固定化することが石油企業のリスク・マネジメントの上で大変重要になっています。このような原油と石油製品価格間のスプレッドによるリスク・ヘッジを「クラック・スプレッド」と呼んでいます。
クラック・スプレッドでは、原油先物市場のある限月で買い建てし、同時にガソリンや灯油等の石油製品先物市場において、同じ限月で売り建てし、それらの間のスプレッドを固定化することによって、その後の現物市場における原油・石油製品の価格変動による精製マージンの変動リスクをヘッジします。
反対に、全体の製品市況が供給過多で各社の乱売等により、製品価格が採算レベルを割り、原油価格と製品価格が逆転したような場合、あるいは精製工場のアクシデントにより原油を精製することができず、さらに製品在庫が少ないが供給を果たさなければならない場合には、原油を転売し、製品を現物市場から買い付けするために、原油先物市場で売り建て、製品先物市場で買い建てします。これを「リバース・クラック・スプレッド」と呼んでいます。
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週間原油在庫と天然ガス貯蔵量(EIA)
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本記事の監修者・佐藤りゅうじ
1968年生まれ。1993年米大卒業後、1995年2月株式会社ゼネックス入社。アナリストとしてマクロ経済分析をはじめ、原油、天然ゴム、小麦などの商品市場、また為替市場、株式市場のアナリストリポートの執筆、トレードに携わる。2010年1月エイチスクエア株式会社を設立。
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