石油メジャーとは?世界の石油産業について初心者向けに解説
1.石油メジャー
石油産業が大産業になったのは19世紀末の米国で、ロックフェラー率いるスタンダード石油が、世界の石油産業を支配したのが始まりでした。スタンダード石油は1911年に独禁法で解体されましたが、その分割後の会社と英国、フランスなどの大手石油会社7社がカルテルを形成して大きな力を振るい、当時はセブンシスターズと呼ばれていました。これらの企業はその後、形を変えながら世界中で原油の探鉱、開発、生産から輸送、精製、販売までを行っており、石油メジャーともいわれます。
なお、各国の石油市場は、規制緩和の影響、過剰設備の存在などの要因によって競争が激化しました。世界の石油産業では歴史的な巨大合併・買収が相次ぎ、メジャーの再編が行われ、現在では六つのスーパーメジャーに集約されています。
セブンシスターズ
かつての石油メジャー7社のことで、ガルフ・オイル、モービル・オイル、シェブロン(スタンダードオイル・カリフォルニア)、エクソン(前身は、スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー)、テキサコ(以上が米国系)、ロイヤル・ダッチ・シェル・グループ(オランダ資本60%、英国資本40%)、ブリティッシュ・ペトロリアム(英国系、2001年に正式名をBPに変更)を指します。
スーパーメジャー
現在の石油メジャーのことで、エクソンモービル、ロイヤル・ダッチ・シェル、BP、シェブロン、トタル、コノコ・フィリップスを指します。
2.OPEC
石油メジャーの支配体制を打ち破ったのが、1960年に形成された中東諸国を中心とするOPEC(石油輸出国機構)です。加盟国が協調して行動することにより需給調整の役割を担い、市場に対する影響力を保有しています。
加盟国が参集するOPEC総会は年4回(3、6、9、12月)の定期開催に加え、必要に応じて臨機開催され、主に原油価格の維持や需給改善などを目的にOPEC全体での生産量や、国別の生産上限の設定について議論されています。
近年ではOPEC加盟国の足並みの乱れや、非OPECの生産拡大により、OPECの影響力は低下していました。しかし、原油価格の大きな下落を受けて開催された2016年11月の総会では、8年ぶりに協調減産の合意がなされ、その後12月には非OPECとも協調減産に合意したことにより、原油価格は反発しました。その際に、減産合意に応じたロシアなどの非OPEC諸国と従来の加盟諸国を総称して、OPECプラスと呼びます。
2018年6月に開催された会合では、協調減産の緩和、実質的な増産に踏み切ることを決定しましたが、同年12月には協調減産を実施することを決定しました。減産合意はその後も延長されており、2021年7月に開催されたOPECプラスの会合では、協調減産の枠組みを2022年末まで続けることで合意しています。
しかし、過去の経緯を辿ると、OPEC各国が減産に合意できたとしても順守率は徐々に低下していきました。結果的に生産枠が守られないことが多かったため、その後の合意延長も含めて、どの程度生産枠が守られるかがポイントといえます。
OPEC
Organization of Petroleum Exporting Countriesの略称です。1960年9月に、ベネズエラ、サウジアラビア、イラン、イラク、クウェートの五大原油輸出国が設立しました。2021年時点では、先の5か国に加え、リビア、UAE、アルジェリア、ナイジェリア、ガボン、アンゴラ、赤道ギニア、コンゴの合計13か国となっています。
3.他の産油国
中南米、西欧、ロシアを中心とした旧共産圏諸国も台頭してきています。中南米では新規油田が次々に開発され、西欧諸国も北海で油田を開発し、原油を輸出する国も現れてきました。中でもロシアはサウジアラビアと並ぶ世界最大の産油国となり、カスピ海沿岸などの中央アジア、シベリアには膨大な埋蔵量があるといわれ、開発余地が大きく、今後はサウジアラビアを凌駕する可能性が高いです。
また、ブラジルなどの中南米、さらにはアフリカでも新規油田が次々に開発されており、こちらも開発余地は大きいです。中国は急増する国内需要に対応するため、勝利(しょうり)、大慶(たいけい)油田に加えゴビ砂漠でも採掘を行い、世界でも上位の産油国となりつつあります。
4.OANDAでは原油取引におすすめのオリジナルツールを豊富に提供
OANDA(以下、弊社)では、お客様の原油取引をサポートするオリジナルツールを豊富に提供しています。弊社の口座をお持ちであれば、すべて無料で利用できます。またゴールド会員なら、さらに一歩分込んだ分析をすることも可能です。
石油・天然ガス採掘装置(リグ)の稼働数の推移
Baker Hughes社が公開している、毎月の世界の石油・天然ガス採掘装置(リグ)の稼働数の推移をグラフで表示しています。稼働リグ数は将来の供給量を占う上でも重要なデータであり、エネルギー市場で注目されるデータの一つです。原油取引をするのであれば、参考にしたいツールです。
週間原油在庫と天然ガス貯蔵量(EIA)
米国エネルギー情報局(US Energy Information Administration、EIA)が公表している、週間の原油の在庫統計と天然ガスの貯蔵量の年間の推移をグラフで表示しています。在庫・貯蔵量の過去5年のレンジ、平均値を表示できるため、季節による傾向、平均に対しての現在の在庫、貯蔵量の状況を把握することも可能です。
また会員ランクがレギュラー、シルバー以上の場合は、原油・天然ガスのCFD価格を重ねて表示できます。原油取引をするのであれば、参考にしたいツールです。
本記事の監修者・佐藤りゅうじ
1968年生まれ。1993年米大卒業後、1995年2月株式会社ゼネックス入社。アナリストとしてマクロ経済分析をはじめ、原油、天然ゴム、小麦などの商品市場、また為替市場、株式市場のアナリストリポートの執筆、トレードに携わる。2010年1月エイチスクエア株式会社を設立。
原油・石油を学びたい方へオススメコンテンツ
OANDA証券では、原油・石油に関する基礎コンテンツを豊富に提供しています。
原油・石油のCFD投資に興味をお持ちの方は、ぜひ取引前の勉強にお役立てください。
またOANDA証券の原油・石油のCFD投資では、MT4・MT5での取引が可能です。
OANDA証券では、お客様の声を元に約70種類以上のオリジナルインジケーターを開発しており、実際の取引ですぐに役立ちます。
OANDA証券の口座をお持ちの方は、自由にダウンロードをして利用できるので、ぜひ口座開設を検討してください(※一部、会員ステータスによるダウンロード制限あり)。
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。