テクニカル分析解説

フィボナッチとは|基本的な見方や活用方法・よくある質問を解説


フィボナッチとは、イタリアの数学者「レオナルド・フィボナッチ」氏により発見された数列のことです。

「1、1、2、3、5、8、13…」という具合に、1から始めて前の数字を加算していく数列をフィボナッチ数列と呼びます。

このフィボナッチ数列から求められる各種比率は相場に応用されており、値動きを分析する際に役立てることが可能です。

本記事では、フィボナッチの基本的な見方や活用方法などについて詳しく解説します。

フィボナッチとは

フィボナッチとは、イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチが発見した特徴的な数列のことです。

具体的には、「1・1・2・3・5・8・13…」というように、1から始めて前の数字を加算していく数列をフィボナッチ数列といいます。

この数列から導き出される黄金比は、一般的に人間の目に美しく映るとされており、自然界のあらゆるところに取り入れられています。

大衆心理が影響する相場においても意味があると考えられており、フィボナッチ比率を利用したさまざまなテクニカルツールがチャート分析に用いられています。

フィボナッチの見方

ここではフィボナッチ数列とフィボナッチ比率について解説します。

  • ・フィボナッチ数列
  • ・フィボナッチ比率

フィボナッチ数列

フィボナッチ数列は、1から始めて前の数字を加算していく数列のことです。

隣り合う2つの数字の合計が次の数字になります。

  • 1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233、377、610、987、1597、2584、4181、6765、10946…

例えば、最初の「1」と2番目の「1」を足すと3番目は「2」になります。

同じように2番目の「1」と3番目の「2」を足すと4番目は「3」に、3番目の「2」と4番目の「3」を足すと5番目は「8」に、4番目の「3」と5番目の「5」を足すと6番目は「8」に…という具合に続いていきます。

この規則性がフィボナッチ数列の最大の特徴です。

フィボナッチ比率

フィボナッチ比率は、フィボナッチ数列から求められる各種比率のことです。

フィボナッチ数列の比率に注目すると、一定の法則(限りなく下表の数値に近づく)を見い出すことができます。

割り方のパターンを変えるだけで、さまざまな比率が得られます。

チャート分析で利用される主なフィボナッチ比率は次の通りです。

フィボナッチ比率 算出方法
0.236(23.6%) 任意の数字を、2つ飛ばしの次の数字で割る(例:55÷233=0.236)
0.382(38.2%) 任意の数字を、1つ飛ばしの次の数字で割る(例:34÷89=0.382)
0.618(61.8%) 任意の数字を、次の数字で割る(例:144÷233=0.618)
1.618(161.8%) 任意の数字を、前の数字で割る(例:610÷377=1.618)
2.618(261.8%) 任意の数字を、1つ飛ばしの前の数字で割る(例:987÷377=2.618)
4.236(423.6%) 任意の数字を、2つ飛ばしの前の数字で割る(例:1597÷377=4.236)

このうち1.618(161.8%)はいわゆる黄金比の基となる値で、「1対1.618」は世の中で最も美しいバランスの比率だとされています。

黄金比は建築物や美術品、身近なところでは名刺などに採用されています。

このフィボナッチ比率は、これまでにチャート分析で活用できないかと多くの研究がなされました。

その結果として、フィボナッチ・リトレースメントをはじめとするさまざまなテクニカルツールが考案されました。

フィボナッチの活用方法

チャート分析では、フィボナッチ系のツールを活用できます。

ここでは、フィボナッチ・リトレースメントとフィボナッチ・エクスパンションについて解説します。

  • ・フィボナッチ・リトレースメント
  • ・フィボナッチ・エクスパンション

フィボナッチ・リトレースメント

フィボナッチ・リトレースメントは、フィボナッチを利用したツールの中でも最もポピュラーな存在です。

チャート上の任意の波動に対して、その起点と終点を選ぶことで、フィボナッチ比率に応じたラインが描画されます。

その各ラインを、値動きの押しや戻りの目安として利用することが可能です。

フィボナッチ・リトレースメント

出典:TradingView

例えば、上チャートの上昇波動A-Bに対してフィボナッチ・リトレースメントを引いた場合、23.6%、38.2%、61.8%といったフィボナッチ比率の水準にラインが引かれ、これらが波動B-Cの押し目の目安となります。

23.6%ラインまたは38.2%ラインあたりで反発したところで押し目買いする戦略が想定できます。

この例では、38.2%ライン付近(C)で下げ止まって反転上昇となり、このラインが押し目として機能しました。

下降波動でも同様の考え方で、フィボナッチ・リトレースメントの各ラインを戻りの目安として利用できます。

フィボナッチ・エクスパンション

任意の波動が押し、あるいは戻しという小休止を挟んだ後、どこまで進んでいくかの目安となるのがフィボナッチ・エクスパンションです。

トレンドの行き先を予測するのに役立ちます。

フィボナッチ・エクスパンション

出典:TradingView

例えば、上チャートのようにA-Bという上昇波動と、B-Cという押しの波動が作られた時点でフィボナッチ・エクスパンションを引くと、C-Dの向かう先を予測可能です。

この例では、Cの押し目以降は23.6%、38.2%を超えて50%水準でもみ合ったあと、61.8%水準まで上昇してDをつけているのが分かります。

このようにフィボナッチ・エクスパンションでは、トレンドがどこまで進むかを予測できるため、利食いの目安として利用できます。

フィボナッチに関するQ&A

フィボナッチに関して、よく見られる疑問点は以下のようなものです。

  • ・フィボナッチとピボットの違いは何ですか?
  • ・フィボナッチの「うさぎの問題」とは何ですか?

フィボナッチとピボットの違いは何ですか?

フィボナッチのテクニカル全般(リトレースメントやエクスパンションなど)とピボットが異なるのは、計算のベースとなる要素です。

フィボナッチは、特定の波動に対して、フィボナッチ数列から導き出された「黄金比」を用いて算出・表示します。

トレンドの押し目や戻り、続伸する場合の目標などを表します。

それに対して、ピボットは前日の「ローソク足の値」を基に算出・表示します。

値動きのサポートやレジスタンスとなる水準を表します。

フィボナッチの「うさぎの問題」とは何ですか?

「うさぎの問題」とは、フィボナッチの発見者であるレオナルド・フィボナッチの著書『リベル・アバチ』に記されている、うさぎのつがいに関する以下の問題のことです。

  • ・1つがいのうさぎが、生後2か月後から毎月1つがいのうさぎを産んだ場合、うさぎは1年後に何つがいになるか?

うさぎのつがいの増え方は、フィボナッチ数列の考え方で求めることができます。

0~1か月後は1つがい、2か月後は2つがい、3か月後は3つがい、4か月後は5つがい…という具合に、フィボナッチ数列の「1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233…」と同様の増え方をしていき、12か月後には233つがいになります。

【まとめ】フィボナッチとは|基本的な見方や活用方法・よくある質問を解説

フィボナッチとは、一般的にイタリアの数学者レオナルド・フィボナッチが発見した、1から始めて前の数字を加算していく数列のことを指します。

「1、1、2、3、5、8、13…」という具合に、隣り合う2つの数字の合計が次の数字になるのが特徴です。

この数列から求められる各種比率は相場にも応用可能で、さまざまなテクニカルツールに多用されています。

フィボナッチを利用した代表的なツールとしては、値動きの押しや戻りの目安となるフィボナッチ・リトレースメントや、トレンドがどこまで伸びるかを予測できるフィボナッチ・エクスパンションが挙げられます。

フィボナッチ系のテクニカルツールを適切に活用することで、質の高いチャート分析を行えるようになるでしょう。


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