イールドカーブとは、債券の償還までの期間と利回りの関係をグラフ化した曲線のことです。
金利動向を把握したり、将来の景気を考える参考にしたりできます。
本記事では、イールドカーブの意味や「順イールド・逆イールド」などの種類、「スティープ化・フラット化」などの現象について解説します。
目次
- 1.現在の米国債利回りのイールドカーブ推移グラフ
- 2.イールドカーブとは
- 3.イールドカーブのスティープ化とフラット化
- 4.イールドカーブに関するQ&A
- 5.【まとめ】イールドカーブとは|意味・よくある質問など詳しく解説
現在の米国債利回りのイールドカーブ推移グラフ
選択した日付における米国債利回りのイールドカーブを表示します。
ログインすると、会員ステータスがシルバーの方は他の日付のものを5本まで重ねて比較することが可能です。
また会員ステータスがゴールドの方は、3Dグラフで過去のイールドカーブの変化をチェックすることもできます。使い方はこちら
イールドカーブとは
ここではイールドカーブの概要を、以下の内容に分けて解説します。
- ・意味
- ・順イールドと逆イールド
意味
イールドカーブとは、債券の償還までの期間と利回りの関係をグラフ化した曲線のことです。
グラフの縦軸は「利回り」、横軸は「償還期間」を表します。
イールド(yield)は利回りのことです。
イールドカーブは「利回り曲線」とも呼ばれます。
一般的に、長期金利は短期金利よりも高くなる傾向があります。
そのため、イールドカーブは右に行くにつれて(長期になるにつれて)上昇していきます。
順イールドと逆イールド
イールドカーブは、順イールドと逆イールドに分類できます。
順イールドは右肩上がり、逆イールドは右肩下がりのグラフです。
一般的なイールドカーブは、右肩上がりになることがほとんどです。
債券は償還期間までの時間が長いほど、各種リスクが顕在化する可能性が高まります。
リスクに見合う対価として金利が設定されるため、基本的に償還期間が長いほど利回りが高くなるので、イールドカーブは右肩上がりの「順イールド」になりやすいです。
しかし、稀に短期金利と長期金利の利回りの差が等しくなることがあります。
この場合、イールドカーブは水平となり、この状態を「フラット」と呼びます。
さらに、フラットから短期金利が上昇するか、長期金利が下落すると、「逆イールド」となります。
下図の通り、イールドカーブが変化する場合「順イールド⇒フラット⇒逆イールド」という順番に変化します。
なお、順イールドと逆イールドには、それぞれ「スティープ化・フラット化」という現象があります。
イールドカーブのスティープ化とフラット化
ここでは、イールドカーブのスティープ化とフラット化について、以下のように分けて説明します。
- ・スティープ化とは
- ・フラット化とは
スティープ化とは
スティープ化(スティープニング)とは、イールドカーブの傾きが急になることです。
順イールドで角度が急になる(より右肩上がりになる)要因は、長期金利の上昇、または短期金利の下落です。
長期金利の上昇が要因となってイールドカーブの角度が急になる場合は「ベア・スティープニング」、短期金利の下落が要因の場合となってイールドカーブの角度が急になる場合は「ブル・スティープニング」と呼びます。
どちらも傾きが急になっている点は同じですが、全体的に金利が上がるか下がるか、という点が異なります。
全体の金利が上がるのがベア・スティープニング、下がるのがブル・スティープニングです。
投資の世界でブル(Bull)は上昇、ベア(Bear)は下落に用いるのが一般的ですが、この場合は債券価格を軸に考えます。
「金利が上がると債券価格が下がる」ためベア・スティープニング、「金利が下がると価格が上がる」ためブル・スティープニングと呼びます。
なお逆イールドの場合、角度が急になる(より右肩下がりになる)要因は、順イールドの逆です。
短期金利の上昇か、長期金利の下落によって起こります。
フラット化とは
フラット化(フラットニング)とは、イールドカーブの傾きが緩やかになることです。
順イールドで角度が緩やかになる要因は、短期金利の上昇、または長期金利の下落です。
短期金利が上昇してイールドカーブの角度が緩やかになる場合は「ベア・フラットニング」と呼びます。
反対に、長期金利の下落によってイールドカーブの角度が緩やかになる場合は「ブル・フラットニング」と呼びます。
どちらも傾きが緩やかになっている点では、フラットニングです。
しかし、スティープニングと同様、全体的に金利が上がるか下がるか、という点が異なります。
全体の金利が下がるのが「ブル・フラットニング」、上がるのが「ベア・フラットニング」です。
逆イールドの場合、角度が緩やかになる(より水平に近くなる)要因は、順イールドの逆です。
短期金利の下落、または長期金利の上昇によって起こります。
イールドカーブに関するQ&A
イールドカーブに関してよく見られる疑問点は、以下の通りです。
- ・イールドカーブコントロールとは何ですか?
- ・イールドカーブの確認方法はありますか?
イールドカーブコントロールとは何ですか?
イールドカーブコントロールとは、長期金利と短期金利を操作し、目標水準に近づける金融政策です。
別名で「長短金利操作」とも呼ばれます。
英語では「yield curve control」と表記され、この頭文字を取って「YCC」と呼ばれることもあります。
日銀による具体的な操作方法は、以下の通りです。
- 短期金利:マイナス金利政策(日銀が預かる当座預金の一部にマイナス金利をつける)
- 長期金利:10年物国債の金利を0%程度で推移させる
このうち、マイナス金利政策については、2024年3月に解除されました。
また、長期金利についても、2022年12月以降、変動幅の上限が徐々に緩和されています。
イールドカーブの確認方法はありますか?
イールドカーブは、証券会社が提供するツールなどで確認できます。
OANDA証券の場合、以下のイールドカーブの推移グラフの描画ツールを提供しています。
ログインすることで、同時に6つの日付まで、6本の線によってイールドカーブを表示できます。
通常の6本線のグラフの使い方を説明します。
まず、下図をご覧ください。
1~4の番号の部分で、以下の操作を行います。
- 1:メインで見る日付を設定する
- 2:比較する5つの日付を設定する
- 3:6つの日付(線)の表示・非表示を切り替える
- 4:ゴールド会員の方は、3Dグラフへの切り替えも可能
3Dグラフの使い方については、下図をご覧ください。
ここまでの6本線のグラフの操作に加えて、以下の操作を行えます。
- 1:表示期間の設定
- 2:グラフの回転など
【まとめ】イールドカーブとは|意味・よくある質問など詳しく解説
イールドカーブは「利回り曲線」とも呼ばれ、債券の残存期間と利回りの関係をグラフ化した曲線のことです。
債券は償還期間が長いほど利回りが高くなるので、イールドカーブは基本的に右肩上がりの「順イールド」になりやすい傾向があります。
一方で、右下がりの「逆イールド」になることもあり、この状態は景気後退を示す予兆といわれています。
イールドカーブを見ることで市場参加者の金利観がわかるため、FXに取り組む上で重要なデータの1つといえます。
そして、イールドカーブが示す市場参加者の金利観は、各国政府による金融政策や経済指標などに影響を受けています。
「ファンダメンタルズ分析」も同時に行うことで、イールドカーブの裏にある投資家心理などの様々な情報を読み解きやすくなります。
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