米国インフラ投資、米国経済指標等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年3月29日)
米国長期債利回り、株式、米ドルの上昇基調継続中
先週は前週末のトルコ中銀総裁更迭の報道や欧州の新型コロナウイルス感染再拡大等が意識され、前半は株式市場が軟調な推移となりましたが、長続きせず、後半には回復する展開となりました。
ドルインデックス、S&P500、米国10年債利回りの推移を見ると、ドルの上昇基調が続いているほか、株式市場も底堅く、また米国債利回りも伸び悩む動きとなったものの、引き続き上昇基調が続いています。
【ドルインデックス、S&P500、米国10年債利回りの動き】
【残存期限別の米国債利回りの推移】
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
【3Dグラフで見た米国債イールドカーブの推移】
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
【ドル円と米国10年債利回り-日本10年債利回りの比較】
今週はバイデン米大統領のインフラ投資計画に注目
今週は31日にバイデン米大統領から大型インフラ投資計画の発表が予定されており、注目が集まっています。
この投資計画の規模は総額3兆ドルと言われており、先日成立した1.9兆ドルの経済対策に続いて、米国株式市場の下支え材料と考えられますが、財政支出拡大、インフレ警戒等により、長期金利上昇となると、市場全体のリスク回避色が強まり、ネガティブに反応する可能性にも少し注意が必要となりそうです。
また、今週は週末に米国の雇用統計の発表が予定されているほか、ISM景況指数などの重要経済指標の発表が予定されています。現在の市場は、ワクチン接種、新型コロナ対策の経済政策、前述のインフラ投資計画等への期待感が強く、過去のデータへの反応は限定的になると予想されますが、市場予想との乖離が大きいと過敏に反応する可能性もあるため、注意したいです。
このほか、今週は四半期末による実需のフローが増える可能性、週末は欧州を中心にイースター休暇に入るため、徐々に流動性が低下する可能性等に注意が必要となりそうです。
主要通貨の強弱
先週のFX市場は引き続き米ドルが底堅い推移となったほか、ポンド、カナダドルが比較的強い推移となったのに対し、ニュージーランドで住宅バブルを阻止するための一連の措置が発表されたことを受けてNZドル、豪ドルが弱い推移となりました。円は対ドルでは弱い推移となったものの、その他通貨に対しては比較的強い推移となりました。
【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】
直近30日間の主要通貨の通貨の強弱チャートを見ると、大きな流れでは依然として円、スイスフラン、ユーロといった低金利通貨が弱いのに対し、米ドル、カナダドル、ポンド等が強い状態が続いています。
【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】
直近30日間の株価指数の変化率
米国市場
FRBの強力な金融緩和、新型コロナ対策の追加の経済政策、インフラ整備等の政策への期待感等を背景に、高値圏での推移が続く米国株式市場は前半こそ上値の重い推移となりましたが、後半は反発する動きとなりました。
欧州市場
欧州の株価指数も週末にかけて底堅い推移が続き、直近30日間の高値圏で推移しています。
アジア・オセアニア市場
先週のアジア・オセアニアの株価指数も全体的に後半にかけて強い推移となりましたが、他のエリアに比べると伸び悩んでいる銘柄も多いようです。
主要銘柄の相関性分析
先週のドルストレートの主要銘柄の値動きの相関性を見ると、前週に続きUSDJPY以外のドルストレートの通貨ペアは、比較的相関性が強く、対ドルで似た動きをしていたようです。
【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】
ドル円とクロス円の通貨ペア同士の相関性も前週と同様に、ドル円とクロス円の間の相関性は低いのに対し、クロス円同士の相関性は比較的高く、クロス円は似たような値動きとなりました。
【先週のドル円、クロス円の相関性】
先週の主要通貨と米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)の相関性を見ると、多少の相関性は見られるものの、相関性は高いとは言えず、株式市場とFX市場の相関性は薄れていたようです。
特にドル円との相関性は低く、過去によく見られた米国株式市場が下落するとドル円が下落、株式市場が上昇するとドル円が上昇という関係ではないようです。
【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】
OANDA、通貨先物市場(FX)のポジション、主要銘柄の値動き
FX
米ドル/円(USD/JPY)
先週のドル円は前半は伸び悩む動きとなりましたが、後半は底堅い推移が続き、109円台後半まで上昇する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると売買の偏りは少ない中、底堅い推移が続いたことにより、含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押しした水準では安堵の買い戻しが増え、また、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
今週も下押しの際は、過去のサポート水準をしっかりと守れるか、高値を探る動きとなった場合は110円の大台にしっかりと乗せることができるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいところです。
【USD/JPYの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の投機筋の円の通貨先物ポジションは引き続き円売りポジションが増加し、ネットの円売りポジション比率が増加しています。前週から円売りポジションが優勢な状況に転じており、このまま円売り比率の高い状況が続き、円安トレンドが継続となるかを見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/3/23)】
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
先週のユーロドルは上値の重い推移が続き、1.17台まで下落する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ないですが、下押しが続いたことにより、買いポジションのほとんどが含み損を抱えており、反発した水準ではこれらのポジションの利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが下落を後押し、上値の重い推移が続く可能性に注意が必要となりそうです。
【EUR/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションは大きな変化はなく、横ばいとなりました。
依然として、ユーロ買いのポジションが多く残っているところを見ると、これらのポジションの決済によるユーロの下落余地はまだ残されているかもしれません。
【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/3/23)】
ポンド/米ドル(GBP/USD)
先週のポンドドルは上値の重い推移となり、1.367付近まで下押しする動きとなりましたが、後半は少し反発する動きとなりました。
4時間足チャートを見ると、安値を切り下げ、下落基調が続いていますが、OANDAのオープンポジションを見ると売買の偏りは少ない中、直近の反発により、含み損を抱えた売りポジションが少し増えており、下押した水準ではこれらのポジションの安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、これらのポジションの損切りの買いが増える可能性が考えられ、底堅い推移が続く可能性を見出すこともできそうです。
まずは反発地合いがどの程度続くか、再度下値を探る動きとなった場合は、どの程度まで下押しするか等に注目しながら、方向感を探っていきたいところです。
【GBP/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点における投機筋のポンドの通貨先物市場のポジションは買いポジションが減少したのに対し、売りポジションが増加となり、買いポジション比率が低下となりました。
依然として買いポジションが多い状況が続いているため、もう一段の下押し余地も残されているかもしれません。
【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/3/23)】
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
先週の豪ドルは上値の重い推移が続き、0.75台まで下押しする動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションに少し傾く中、直近の反発により、含み損を抱えた売りポジションが少し増えており、下押した水準では、これらのポジションの買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増える可能性に注意が必要となりそうです。
一方で安値水準で構築された買いポジションも多く、上昇した水準では利益確定売りが上値を圧迫する可能性、安値を切り下げる動きとなると、これらのポジションの損切りの売りが増える可能性も考えられそうです。
まずは直近の反発がどの程度になるか、下押しの際は直近のサポート水準を守れるか等に注目しながら、下落基調継続の可能性を探っていきたいところです。
【AUD/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の投機筋の通貨先物市場における豪ドルの売買のポジションの偏りは少なく、横ばい状態が続いています。今後は、価格が上下のいずれに動き、売買いずれのポジションが苦しくなるかを見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/3/23)】
CFD
米国S&P株価指数500(US500)
先週のUS500は前半は上値の重い推移となりましたが、後半は反発に転じ、高値圏まで戻す動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジションに少し傾く中、上昇により、売りポジションの多くが含み損を抱える状況となっており、下押しした水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
一方で直近のレンジで構築された買いポジションも多く、高値を切り上げる動きとなると、利益確定の売り、安値を切り下げる動きとなると、これらのポジションの損切りの売りが増える可能性にも少し注意が必要となりそうです。
【US500の4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
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