日米の金融政策の決定会合に警戒、引き続き米国長期金利動向にも要注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年3月15日)
先週は米国長期金利上昇一服も終盤にかけては再上昇
先週は前半こそ米国長期金利の上昇が一服となりましたが、終盤にかけては米国の追加経済対策法案が議会で可決されたこともあり、再度上昇に転じました。ドルインデックスは低下となりましたが、終盤にかけて下げ渋る動きとなりました。
米国株式市場は調整売りに押される場面もありましたが、下押した水準では底堅く、銘柄によっては史上最高値を更新する銘柄もあり、堅調地合いを維持しています。
【ドルインデックス、S&P500、米国10年債利回りの動き】
日米等の金融政策の決定会合に要警戒
今週は日米のほか、英国、トルコ等で金融政策を決定する会合が予定されています。
中でも、米国の金融政策を決定するFOMCは、現在のマーケットが米国長期金利への関心が高いということもあり、今週最も注目度が高いイベントと考えられます。今回の会合では、金融政策の変更の可能性は低いと考えられますが、声明文の内容やパウエル議長の会見、またメンバーの金利予想(ドットチャート)の結果をうけて米国債市場を中心に各市場が過敏に反応する可能性が考えられそうです。
また、本邦の金融政策を決定する日銀の金融政策決定会合も今回の会合では、政策の点検が行われることもあり、普段よりも注目度が高いと考えられます。
いずれの会合も、金融政策の発表前後、記者会見中は不安定な推移となる可能性があるため、注意が必要です。
【2020年12月時点のFOMCメンバーの金利予想(ドットチャート)】
出所:FRB
主要通貨の強弱
先週のFX市場は前週まで強かった米ドルが失速する動きとなりました。そのほか、景気回復への期待感等を背景に商品市場が底堅い推移となっていることもあり、カナダドルや豪ドルといった資源国通貨が底堅い推移となっています。
一方で、円、スイスフランは引き続き弱い状態が続いています。
【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】
直近30日間の主要通貨の通貨の強弱チャートを見ると、円、スイスフランといった通貨が弱いのに対し、ポンド、カナダドル、豪ドル等が強い動きが続いています。
【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】
直近30日間の株価指数の変化率
米国市場
先週の米国株式市場は底堅い推移が続きました。直近30日間では、主要株価指数の中でも、US30の上昇率が大きく、先週は史上最高値を更新となりました。
欧州市場
欧州の株価指数も底堅い推移が続いています。直近30日間では、オランダの株価指数が少し伸び悩んでいるようです。
アジア・オセアニア市場
先週のアジア・オセアニアの株価指数は概ね底堅い推移となりました。直近30日間のグラフを見ると、中国、台湾、香港などが比較的弱い推移であったのに対し、シンガポールの株価指数が強い推移となっています。
主要銘柄の相関性分析
先週のドルストレートの主要銘柄の値動きの相関性を見ると、USDJPY以外のドルストレートの通貨ペアは、相関性が高く、対ドルで似た動きをしていたようです。
【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】
ドル円とクロス円の通貨ペア同士の相関性を見ると、ドル円とクロス円の間の相関性は低いのに対し、クロス円同士の相関性は高く、クロス円は似たような値動きとなっていたのが確認できます。
【先週のドル円、クロス円の相関性】
先週の主要通貨と米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)の相関性を見ると、株価指数とドル円の相関性は低いのに対し、株価指数とドル円以外のドルストレート、クロス円との相関性が高い状態が続きました。
【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】
OANDA、通貨先物市場(FX)のポジション、主要銘柄の値動き
FX
米ドル/円(USD/JPY)
先週のドル円は底堅い推移が続き、109円台まで上昇となりました。4時間足チャートを見ると、上昇基調が続く中、直近の高値となる109.25付近の水準に迫る動きとなったところで週末を迎えています。
OANDAのオープンポジションを見ると売買の偏りは少ない中、底堅い推移が続いたことにより、含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押しした水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い状態が続く可能性を見出すことができます。
一方で高値圏で構築された買いポジションも少し増えており、短期的には高値圏では利益確定の売り、下値を探る動きとなると、これらのポジションの損切りの売りが増える可能性にも少し注意が必要となりそうです。
まずはしっかりと直近の高値を超えることができるか、下押しの際は安値を結んだラインや直近のサポート水準を守れるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいところです。
【USD/JPYの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の投機筋の円の通貨先物ポジションは円買い、円売りがいずれも増加となりましたが、円売りの増加量の方が多く、ネットすると、円買いポジションの比率が低下しています。
現在、売買の偏りが少ない状態となりましたが、今後は、このまま円売りポジションの増加傾向が続くのかに注目したいところです。
【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/3/9)】
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
先週のユーロドルは序盤こそ上値の重い推移となりましたが、その後は反発地合いが続きました。
下落基調が続いているユーロドルですが、OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ない中、反発地合いが続いたことで、含み損を抱えた売りポジションが増えており、反発地合いが続くとこれらのポジションの損切りの買いが上昇を後押し、下押しした水準では安堵の買い戻しが下落を和らげる可能性にも少し注意が必要となりそうです。
【EUR/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションは買いが少し減少、売りが少し増加となり、ネットしたポジションでは、買いポジションの比率が減少しています。
依然として、ユーロ買いのポジションが多く残っているところを見ると、これらのポジションの決済によるユーロの下落余地はまだ残されているかもしれません。
【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/3/9)】
ポンド/米ドル(GBP/USD)
先週のポンドドルは反発地合いが続きましたが、週末には少し下押しが強まる動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると売買の偏りは少ないですが、直近の下押しにより、含み損を抱えた買いポジションが少し多い状況となっており、反発した水準ではこれらのポジションの利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、これらのポジションの損切りの売りが増える可能性があり、上値の重い推移となる可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、方向感を見出しにくい状況が続いており、まずはレジスタンスとなっている1.4をしっかりと突破できるか、下押しの際はレジスタンスからサポートに転じた1.376-1.3775付近の水準を守れるか等に注目しながら、根気強く方向感を探っていきたいところです。
【GBP/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点における投機筋のポンドの通貨先物市場のポジションは前週から売買双方のポジションが少し減少となり、売買の比率が比率はほぼ横ばいとなりました。
買いポジションの増加に一服感が出てきており、今後、買いポジションが再度増えるのか、買いポジションの決済が増えるのかを見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/3/9)】
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
先週の豪ドルは反発に転じ、一時0.78付近まで上昇となりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ないものの、直近の下押しにより、含み損を抱えた買いポジションが少し増えており、反発した水準では、これらのポジションの利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、これらのポジションの損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、反発地合いが続いており、この流れが続くかをまずは見守りたいところです。高値、安値を切り上げる動きが続くか、
【AUD/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の投機筋の通貨先物市場における豪ドルの売買のポジションの偏りは少なく、横ばい状態が続いています。今後は、価格が上下のいずれに動き、売買いずれのポジションが苦しくなるかを見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/3/9)】
CFD
米国S&P株価指数500(US500)
先週のUS500は反発地合いが続き、直近の高値水準に迫る動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、底堅い推移が続いたことにより、含み損を抱えた売りポジションが増えており、高値を切り上げると、これらのポジションの損切りの買い、下押しの場面ではこれらのポジションの安堵の買い戻しにより、底堅い推移が続く可能性が考えられそうです。
一方で高値水準で構築された買いポジションも多く、下押しとなると、これらのポジションの損切りの売り、高値を切り上げる動きとなると、利益確定の売りが増え、上値の重い推移となる可能性も考えられそうです。
まずは高値をしっかりと切り上げることができるか、下押しの際は、安値を結んだラインや直近の安値水準を守れるか等に注目しながら、現在の上昇基調継続の可能性を探っていきたいところです。
【US500の4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
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