株式市場は踏ん張れるか? 米国雇用統計等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年2月1日)
先週は米国株式市場が不安定な推移
先週はFOMCを控え、様子見ムードが強まるような動きとなりましたが、米国の株式市場で一部のヘッジファンドの空売りに対し、ウェブ上の情報を元にした個人投資家の買いが競り勝ち、ヘッジファンドが大きな損失を出したとの報道を受け、株価が不安定な推移となったほか、FX市場ではリスク回避のドル買いが強まりました。また、米国10年債利回りは引き続き1%付近の水準で小動きが続いています。
強力な金融緩和、政府の財政支出への期待感等を背景に底堅い状態が続いている株式市場ですが、今週も不安定な状況が続くのか、下押した水準で押し目買いがどの程度入ってくるかに注目しながら、方向感を探っていきたいところです。
【ドルインデックス、S&P500、米国10年債利回りの動き】
今週は米国雇用統計等に注意
今週は米国の金融政策を占う上でも重要な雇用統計の発表が予定されています。昨今の市場は経済指標への反応は限定的となることが多いですが、前回に続き非農業部門雇用者数変化がマイナスに陥ってしまうと、市場全体がネガティブに反応する可能性も考えられそうですが、たとえ悪くても金融緩和の長期化が意識され、株式市場ではポジティブにとらえられ、下押した水準では押し目買いが強まる可能性も考えられ、悩ましい材料の一つです。
このほか、英国ではBOE金融政策委員会、オーストラリアでは、RBA理事会とそれぞれ、金融政策を決定する会合が予定されています。
BOE金融政策委員会は今回の会合では大きな変更の可能性は低いと考えられますが、景気判断やマイナス金利に関する議論、ポンドの水準への評価等に過敏に反応する可能性があるため、発表前後は注意が必要となりそうです。
また、RBA理事会に関しても、今回の会合で金融緩和の縮小という可能性は低いと考えられますが、オーストラリアが主要国の中でも経済データが比較的明るく、他の主要国よりも早く金融緩和の縮小に向かうのではとの観測が一部で出てきており、出口に向けた何らかの手がかりが出てくると豪ドルが過敏に反応する可能性があるため、注意したいです。
直近30日間の主要通貨の強弱
先週のFX市場は株式市場が不安定な相場となったこともあり、リスク回避色の強い相場となり、米ドルが強い相場となったほか、ポンドが比較的強い相場となりました。これに対し、円、豪ドルが弱い推移となりました。
【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】
【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】
直近30日間の株価指数の増減率
米国市場
先週の米国株式市場は失速し、年初からの上昇分を吐き出し、マイナス圏に突入する銘柄が増えています。年初からの上昇率が高かったUS2000は今のところ、プラス圏内で推移しています。
欧州市場
欧州の株価指数も軟調な推移が続き、年初来で見るとオランダ株価指数を除いてマイナス圏に突入しています。
アジア・オセアニア市場
アジア、オセアニアの株価指数も上値の重い推移となりました。台湾、香港、中国などの株価指数が年初からの上昇率が大きかったこともあり、年初来では依然としてプラス圏内で推移しています。日経も今のところ、プラス圏内ですが、上昇分のほとんどを吐き出しており、踏ん張れるかどうかに注目したいところです。
主要銘柄の相関性分析
先週のドルストレートの主要銘柄の値動きの相関性を見ると、ドル中心で概ね動いているものの、ポンドが他の銘柄に比べると相関性が比較的薄く、少しずれた動きをしていたのが確認できます。
【直近1週間の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】
ドル円とクロス円の通貨ペア同士の相関性を見ると、前週まではドル円とクロス円の間に相関性を見出すのは難しかったのですが、先週は引き続き豪ドル円やNZドル円との相関性は見出しにくいものの、ユーロ円、ポンド円の関係では強い相関性が出てきており、相場が少し変化してきている可能性を見出すことができそうです。
【直近週間のドル円、クロス円の相関性】
先週の主要通貨と米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)の相関性では、株価指数と米ドルの相関性が高く、株価指数が上昇するとリスク選好のドル売り、株価指数が下落するとリスク回避のドル買いという構図が続いていますが、先週はポンドドルについては株式市場との相関性を見出すことができませんでした。
また、US500とドル円、クロス円の相関関係を見ると、ドル円、ユーロ円、ポンド円が逆相関の関係となっており、リスク許容度が後退する局面でも円は選好されない相場であったのが確認できます。
【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】
OANDA、通貨先物市場(FX)のポジション、主要銘柄の値動き
FX
米ドル/円(USD/JPY)
方向感の鈍い動きが続いていたドル円ですが、終盤にかけて、底堅い推移が続き、105.00に迫る動きとなりました。
4時間足チャートを見ると、高値を結んだラインを突破、日足チャートのパラボリックが上昇に反転するなどし、苦しくなった売りポジションが絞り出され、上昇を後押ししたことが想定されます。
OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジション比率が60%近くまで増加する中、上昇によりその多くが含み損を抱えており、下押しした水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、これらのポジションの損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
【USD/JPYの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の投機筋の円の通貨先物ポジションは円売りポジションが少し増加し、ネットすると買いポジションの比率が少し低下しています。依然として円買いポジション比率が高い状態が続いており、これらのポジションの決済売りが増えると、もう一段の円安余地は残されているように見えます。
【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/01/26)】
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
先週のユーロドルは方向感を見出しにくい横ばい推移が続きました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジション比率が55%台とやや多い中、方向感の鈍い推移が続いていることもあり、先週のレンジとなる1.205-1.2185内で構築されたポジションが多く、このレンジをしっかりと抜けるような動きとなると、苦しくなった方のポジションの損切りを絡め、短期的にでも方向感が出てくる可能性が考えられそうです。
【EUR/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋の先週火曜日時点におけるユーロのポジションは買いポジションが微増となりました。過去の水準を見ると、まだ買いポジションの増加余地は残っているようにも見えますが、買いポジションに大きく傾く状況が続いており、これらのポジションの決済にも注意が必要となりそうです。
【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/01/26)】
ポンド/米ドル(GBP/USD)
先週のポンド/米ドルは高値圏で方向感の鈍い推移が続きました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジション比率が57%台とやや多い中、底堅い推移が続いたことにより、含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すこともできますが、直近の下押しで苦しくなった買いポジションも少し増えており、下押しが続くと、これらのポジションの損切りや上昇過程で構築された買いポジションの決済売りにも注意が必要となりそうです。
徐々に値動きが収縮するような動きとなっているところを見ると、まずは均衡が上下いずれに崩れるかに注目したいところです。
【GBP/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋の先週火曜日時点における通貨先物市場のポジションはネットすると、売りポジションが少し増え、ネットすると、売買の偏りがあまりない状況となりました。今後のポジションの偏りの変化を見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/01/26)】
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
先週の豪ドルは上値の重い推移となり、一時は0.76を割り込む水準まで下押す動きとなりました。
今のところ、日足チャートの安値を結んだトレンドライン上で推移していますが、しっかりと踏ん張ることができるかに注目したいところです。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ないものの、週末の下押しにより、含み損を抱えた買いポジションが増えており、安値を結んだラインや直近のサポート水準を割り込むような動きとなると、苦しくなったこれらのポジションの損切りの売りが増え、下落が勢いづく可能性も考えられ、下押し余地は残されているようにも見えます。
【AUD/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋の先週火曜日時点における通貨先物市場におけるポジションは豪ドル買いのポジションが少し減少となりました。依然として偏りの少ない状況が続いており、売買いずれに傾くかを見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/01/26)】
CFD
米国S&P株価指数500(US500)
先週のUS500は失速し、3700付近まで下押しする動きとなりました。依然として日足チャートの安値を結んだライン上で推移しており、大きな流れでは上昇基調が続いていますが、しっかりと踏ん張ることができるかに注目したいところです。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジション比率が56%台とやや多い中、直近の下押しにより苦しくなった買いポジションが目立ち、安値を切り下げる動きとなると、これらのポジションの損切りの売りが増え、下落を後押しする可能性に注意が必要となりそうです。
下押した水準でしっかりと押し目買いが入り、反発に転じることができるか、安値を結んだラインを守れるか、反発に転じた際は高値を切り上げることができるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいところです。
【US500の4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
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