pips(ピップス)とは|FXの最小単位の計算方法や基礎知識をわかりやすく解説
pipsはFX取引における為替レートの最小単位です。
pipsは、「値動きの大きさ(値幅)」や「スプレッドの大きさ」などを表す際に使用され、異なる通貨ペア間でも共通の変動幅を表現できます。
一般的に、日本円が絡む通貨ペアの場合は小数点第2位(0.01円=1銭)を、外貨同士の通貨ペアの場合は小数点第4位を指します。
本記事では、pipsの概要や計算方法、表示方法などを解説していきます。
目次
- 1.pips(ピップス)とは
- 2.pips(ピップス)の計算方法
- 3.pips(ピップス)の活用方法
- 4.pips(ピップス)を活用する際の注意点
- 5.MT4/MT5で損益をpips(ピップス)で表示する方法
- 6.pips(ピップス)に関するQ&A
- 7.【まとめ】pips(ピップス)とは|FXの最小単位の計算方法や基礎知識をわかりやすく解説
pips(ピップス)とは
pip(ピップ)とは、為替レートの共通単位を表す用語です。
「percentage in point」の略字で、そのpipを複数形にしたのがpips(ピップス)です。
かつては、米ドル/円やクロス円は小数点第2位(0.01円=1銭)が最小単位でした。
1銭単位で価格が動いていたため、その慣習で今でも1銭を1pipと呼びます。
一方、円が絡まない外貨同士の通貨ペアのほとんどは、小数点第4位が最小単位であったため、0.0001が1pipです。
ただし、現在では1pipの10分の1(0.1pip)を最小単位とするのが一般的です。
FX会社によっては、1pip=0.001円(0.1銭)と定義しているところもあり、通貨ペアによっても定義が異なる場合があります。
取引する前には、1pipがいくらを指すのか、定義を確認することが推奨されます。
pips(ピップス)の計算方法
ここでは、pipsを利用してトレードの損益を計算する方法について解説します。
- ・計算式
- ・損益の計算例
計算式
トレードの損益は、値幅(獲得pips)と取引数量を掛けることで求められます。
- 【円絡みの通貨ペアの場合】 損益=獲得pips×取引数量×0.01
- 【外貨同士の通貨ペアの場合】 損益=獲得pips×取引数量×0.0001
損益の計算例
米ドル/円のような円絡みの通貨ペアの場合に、1,000通貨または10,000通貨で、どれくらいの値幅を稼ぐと、いくらの損益になるのかについて下表にまとめました。
pips | 1,000通貨 | 10,000通貨 |
---|---|---|
1pips | 10円 | 100円 |
10pips | 100円 | 1,000円 |
100pips | 1,000円 | 10,000円 |
1,000pips | 10,000円 | 100,000円 |
目安として「1万通貨取引で、1円(100pips)の値幅を稼ぐと、1万円の利益」と覚えられます。
pips(ピップス)の活用方法
pipsの活用方法は以下の通りです。
- ・値幅が比較できる
- ・投資効率が算出できる
- ・自分のトレード結果を表せる
値幅が比較できる
通貨ペアの価格の変動は、通常それぞれの通貨の単位で表現されます。
具体例を挙げると、以下の通りです。
- ・英ポンド/NZドルが、0.03NZD上昇
- ・ユーロ/豪ドルが、0.04AUD上昇
- ・米ドル/カナダドルが、0.05CAD上昇
それぞれ通貨ペアの右側の通貨(決済通貨)で表現されますが、単位がバラバラなので値幅の比較が困難です。
しかし、これをpipsに換算すると、以下のようになります。
- ・英ポンド/NZドルが、300pips上昇
- ・ユーロ/豪ドルが、400pips上昇
- ・米ドル/カナダドルが、500pips上昇
300pips・400pips・500pipsということで、値幅の比較をしやすくなります。
例で挙げた3つのペアの1pipsの価値はそれぞれ異なり、以下の通りです。
通貨ペア | 1pipsいくらか (元の通貨で) |
1pipsいくらか(日本円で) |
---|---|---|
英ポンド/NZドル | 0.0001 NZD | 0.0088円(1NZD=88円の場合) |
ユーロ/豪ドル | 0.0001 AUD | 0.0095円(1AUD=95円の場合) |
米ドル/カナダドル | 0.0001 CAD | 0.0104円(1CAD=104円の場合) |
(※1pipsが元の通貨でいくらになるかは、FX会社によって異なります。上記の数値は、OANDA証券のものです)
完全に同じではないものの、特にNZドルと豪ドルは、1pipsの価値が非常に近いことがわかります。
また、カナダドルの1pipsの価値も、両者にある程度近いといえます。
そのため、上の3つの通貨ペアはpipsに換算することで、おおよその価格変動(値幅)の比較を簡単にすることができます。
投資効率が算出できる
投資効率(資金に対してどれだけ効率的に利益を得られたか)を算出する場合、損益の金額で見るよりもpipsで見る方が適しています。
例えば、以下の2つの例を比べてみましょう。
- ①:米ドル/円が1ドル = 145.00円の時に10,000ドル買い、145.30円の時に売った
- ②:米ドル/円が1ドル = 145.00円の時に30,000ドル買い、145.10円の時に売った
利益はどちらも共通で「3,000円」です。
しかし、pipsで計算すると、それぞれの利幅は以下のようになります。
- ①の場合:145.00円 ⇒ 145.30円=30pips
- ②の場合:145.00円 ⇒ 145.10円=10pips
①は、より少ない資金でより広い値幅を稼ぎ、3,000円の利益を得ています。
比較すると、①は②よりも3倍投資効率が良いことがわかります。
損益をpipsで計算すると、このように投資効率を比較しやすくなります。
自分のトレード結果を表せる
pipsは、自身のトレード結果を表す際にも用いられます。
例えば、米ドル/円が1ドル=145.00円の時に買い、145.30円の時に売った場合「30pips獲得した」と表せます。
トレード結果を損益額ではなくpipsで表現することで、トレードの成績を比較しやすくなります。
損益額で表現する場合、利益はロット数に左右されます。
一方、pipsで表現する場合、どれだけの値幅を稼いだかが分かります。
そのため、pipsの方がトレード成績や投資効率の記録・分析などがしやすくなります。
pips(ピップス)を活用する際の注意点
pipsを活用する際の注意点は、以下の通りです。
- ・pips幅で損切りを決めない
- ・pointと同じ単位ではない
- ・pipsはFX会社によって定義が異なる
- ・pipsは通貨ペアによって異なる
pips幅で損切りを決めない
損切りとは、一定の含み損が発生した段階で、そのポジションを決済して損失を確定させる取引のことです。この損切りをpipsの幅で決めると、取引の数量によって損失の金額が変わります。
例えば、米ドル/円の取引で「100pipsの損失で損切りする」と決めていた場合、10,000通貨の取引なら、1万円の損失となります。
同じ条件で50,000通貨の取引であれば、5万円の損失です。
このように損失のpips幅は同じでも、取引数量が違えば損失の金額は大きく変わってきます。
一般的に重要なのは損失の金額です。
初心者のうちは損切りをpips幅で決めるのではなく、許容できる金額を基準にして決めることが望ましいです。
pointと同じ単位ではない
pipsとは異なる単位を表すpoint(ポイント)があります。
MT4やMT5の内部では、最小単位はpointで表されます。
円絡みの通貨ペアの場合は小数点第3位、外貨同士の通貨ペアの場合は小数点第5位がpointです(FX会社や通貨ペアによって例外もあります)。
pipsはFX会社によって定義が異なる
1pipsがいくらかという定義は、FX会社によって異なります。
1pipsが0.1銭(0.001円)の会社もあれば、1銭(0.01円)の会社もあります。
比較的多くのFX会社で見られるルールは「決済通貨が同じであれば1pipsの金額も同じ」というものです(決済通貨とは、通貨ペア名の右側の通貨のことです)。
例えば、米ドル/円、ユーロ/円、英ポンド/円は、全て決済通貨が同じ「円」であり、1pipsの金額も同じということになります。
pipsは通貨ペアによって異なる
1pipsがいくらかは、同じFX会社の中でも通貨ペアによって異なります。
例えば、決済通貨が円のペアは「1pips=0.01円」、決済通貨が米ドルのペアは「1pips=0.0001ドル」が多く見られます。
決済通貨が円のペア、米ドルのペアの主な例は、以下の通りです。
決済通貨が日本円 | 米ドル/円・ユーロ/円・英ポンド/円・豪ドル/円など |
決済通貨が米ドル | ユーロ/米ドル・英ポンド/米ドル・豪ドル/米ドルなど |
MT4/MT5で損益をpips(ピップス)で表示する方法
MT4/MT5のデフォルト設定では、ポジションを保有すると損益額で表示されるのが一般的ですが、設定変更によりpipsで表示することも可能です。
ここでは、MT4/MT5で損益をpips表示にする方法を紹介します。
- ・MT4で損益をpipsで表示する方法
- ・MT5で損益をpipsで表示する方法
MT4で損益をpipsで表示する方法
MT4の初期設定では、損益は下図のように「金額」で表示されます。
出典:MT4
損益額をpipsで表示するには、損益額の部分で右クリックをし、「損益表示形式」→「ポイントで表示」を選択します。
出典:MT4
損益がpipsで表示されれば完了です。
MT5で損益をpipsで表示する方法
MT5もMT4と同様、初期設定では損益が下図のように「金額」で表示されます。
出典:MT5
損益額をpipsで表示するには、損益額の部分で右クリックをし、「損益」→「ポイント」を選択します。
出典:MT5
損益がpipsで表示されれば完了です。
pips(ピップス)に関するQ&A
pipsに関してよくある質問は、以下の通りです。
- ・1円は何pipsですか?
- ・10pipsはいくらですか?
- ・FXの単位がpipsなのはなぜですか?
- ・FXでpipsの値幅の目安はありますか?
1円は何pipsですか?
1円が何pipsかは、FX会社や通貨ペアによって異なります。
例えば、OANDA証券では以下の円絡み(クロス円)の通貨ペアは、全て「1円=100pips」です。
- ・USD/JPY(米ドル/円)
- ・EUR/JPY(ユーロ/円)
- ・GBP/JPY(英ポンド/円)
- ・AUD/JPY(豪ドル/円)
- ・NZD/JPY(NZドル/円)
- ・CAD/JPY(カナダドル/円)
- ・CHF/JPY(スイスフラン/円)
- ・TRY/JPY(トルコリラ/円)
- ・ZAR/JPY(南アフリカランド/円)
10pipsはいくらですか?
10pipsがいくらかは、「FX会社によって変わる」「通貨ペアによって変わる」ものです。
一般的には、日本のFX会社で円絡み(クロス円)の通貨ペアは「10pips=0.1円」です。
一方、ドルストレートの通貨ペアは「10pips=0.001ドル」です。
FXの単位がpipsなのはなぜですか?
FX取引の単位でpipsが用いられる理由は、各通貨ペアで共通の単位を用いる方が、変動の幅や損益の大小を計算しやすくなるためです。
共通の単位を用いない場合「1ドル上がった」「1ユーロ下がった」という表現になり、計算や比較が難しくなります。
これに対して、共通単位のpipsを用いれば「米ドル/円が10pips上がった」「ユーロ/円が10pips下がった」という表現になり、計算も比較もしやすくなります。
FXでpipsの値幅の目安はありますか?
損切りや利益確定を行う際のpipsの値幅目安は、相場環境によって異なりますが、目安となる指標の一つがATRです。
ATRとは「今の相場がどれくらい動いているか」の値幅を表すテクニカル指標で、日本語では「真の値幅の平均」と訳されます。
主な使い方は、損切りの値幅では「1〜3ATR」を目安とし、利益確定の幅は、損切り幅にリスクリワードを掛けて計算します。
たとえば損切り幅が「1ATR」の際に、リスクリワードが「1.5」となるようにする場合、利益確定幅は「1.5ATR」となります。
ATRを用いて値幅を決める方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
> ATRを活用した利益確定目標や損切りの幅を決めるトレードアイデア
【まとめ】pips(ピップス)とは|FXの最小単位の計算方法や基礎知識をわかりやすく解説
pipsは、為替レートやスプレッドを表す共通単位です。
円絡みの通貨ペアでは小数点第2位、外貨同士の通貨ペアでは小数点第4位を指すのが一般的です。
トレードの損益は、pipsと取引数量の掛け算によって求められます。
また、トレードの損切りを設定する際には、損失額を決めてからpips幅と取引数量を決める方法が推奨されます。
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