約定(やくじょう)とは|受渡日との違いや仕組み・注意点など詳しく解説
約定(やくじょう)とは、取引が成立することをいいます。
約定は注文方法によってタイミングが異なり、またFX会社によってもルールが異なる部分もあるため、基本的な仕組みをよく理解しておくことが大切です。
本記事では、約定の仕組みや意味、注文方法ごとに異なるタイミングについて解説します。
目次
- 1.約定(やくじょう)とは
- 2.約定の仕組み
- 3.株式の主な注文方法での約定タイミング
- 4.FX取引での注文方法ごとに異なる約定タイミング
- 5.約定に関する注意点
- 6.OANDAの約定スピード
- 7.約定に関するQ&A
- 8.【まとめ】約定(やくじょう)とは|受渡日との違いや仕組み・注意点など詳しく解説
約定(やくじょう)とは
約定とは取引が成立することですが、FXと株式では取引成立の意味(内容)が異なります。
ここでは、FX取引や株式における、約定の意味について解説します。
FX取引での意味
FX取引での約定の意味は、「FX会社との取引が成立すること」です。
国内のFX取引のほとんどは「FX会社と顧客」が、一対一で取引を行っています。
そのため、FXで約定するということは「他の顧客との間」ではなく「FX会社との間」で売買が成立する、ということです。
FXなどで用いられるこの取引の形式は、相対取引(あいたいとりひき)と呼ばれます。
他方、相対取引以外の形式として取引所も存在し、日本ではくりっく365が唯一の取引所です。
くりっく365は投資家に取引の場所を提供し、マーケットメイカーと呼ばれる金融機関が為替レートを提示します。
このため、取引所での約定の意味は、「マーケットメイカーとの取引が成立すること」となります。
株式(取引所取引)での意味
株式投資で主に行われる「取引所取引」の場合、約定の意味は「自分の条件に合致する売り手・買い手との間で取引が成立すること」です。
FX取引では「FX会社」が相手ですが、株式の取引所取引では「他の売り手・買い手」が相手となります。
イメージは下図の通りです。
売り手・買い手ともに「140円」で一致する相手方が見つかったため、約定しています。
約定の仕組み
FX取引と株式における、約定の仕組みを解説します。
FX取引の場合
FX取引には相対取引と取引所取引があり、それぞれ約定の仕組みが異なります。
相対取引ではFX会社が為替レートを提示し、投資家は提示レートで売買したい場合に成行注文等で発注します。注文がFX会社のサーバーに到達して処理されると、約定します。
指値注文など予約注文で発注する場合は、FX会社の提示レートが注文の条件を満たすと約定します。
一方、取引所取引では、為替レートを提示するのはマーケットメイカーです。
投資家は提示レートで売買したい場合に成行注文等で発注すると、約定できます。
指値注文など予約注文で発注する場合は、マーケットメイカーの提示レートが注文の条件を満たすと約定します。
株式の場合
株式には、「板寄せ方式」「ザラバ方式」の2種類の売買成立方式があります。
板寄せ方式とは、取引開始時の価格(始値)や取引終了時の価格(終値)等を決定する場合に使われます。
上記の時点で出されている注文をすべて「板」と呼ばれる注文控えに記載します。
そして、価格優先原則(※1)に基づき、まずは成行注文を優先し、次に高い買い注文と安い売り注文を突き合わせて、売りと買いの数量が合致した場合に、それを約定値段として売買を成立させます。
(※1)価格優先原則とは、買い注文では値段の高い注文が優先され、売り注文では値段の安い注文が優先されること
ザラバ方式とは、ザラ場と呼ばれる「始値が決まった後から終値が決まるまでの期間」で使用される売買成立方式です。
ザラバ方式は、価格優先原則と時間優先原則(※2)に基づいて売買が成立することが特徴です。
(※2)時間優先原則とは、同じ条件で複数の注文が出された場合に、発注時間の早いほうが優先されること
株式の主な注文方法での約定タイミング
ここでは、株式の主な注文方法での約定タイミングについて解説します。
成行注文での約定
株式(取引所取引)での成行注文の約定のタイミングは、「取引所のサーバーに到達して処理された時点」です。
下図のような「注文板」を基に売買を行います。
この図の場合、「買いの成行注文」を500株発注したら「500円:200株、501円:100株、502円:200株」で約定します。
逆に「売りの成行注文」で500株発注したら「499円:100株、498円:400株」で約定します。
約定価格は、上のような理由でバラツキが生じることがあります。
「成行注文」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
指値注文での約定
株式(取引所取引)の場合は、「自分の指値と一致する売買相手が見つかった時」です。
自分が500円で100株売りに出していたら、「100株の成行注文」か「100株の500円買い指値」の相手が見つかれば、約定します。
いずれも「同じ条件で先に注文を出していた人」が優先されるため、相手が見つかるのは「自分の順番が回ってきた時」です。
このように「成行または同じ価格の予約注文指値」で売買相手が見つかった時が、取引所取引の指値注文での約定タイミングです。
「指値注文」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
逆指値注文での約定
株式(取引所取引)での逆指値注文の約定のタイミングは、指値注文の場合とは異なり、「気配値が指定した価格に到達した時」です。
①の図では、500円の「逆指値売り」を入れています。
この時点で、すでに同じ価格の相手方(500円の買い指値)は、存在しています。
しかし、現在の価格が逆指値にまだ到達していないため、約定はしません。
そして、②のように現在の価格が逆指値に到達したら、すでに存在している買い指値の相手と約定します。
(ここで価格が下がった理由は、売りの成行注文が入り、500円の買い指値注文と約定したためと考えてください)
「逆指値注文」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
FX取引での注文方法ごとに異なる約定タイミング
約定のタイミングは注文方法ごとに異なります。
ここでは、FX取引での注文方法ごとの約定のタイミングについて解説します。
成行注文での約定
FX取引(相対取引)の成行注文の約定のタイミングは、「注文がFX会社のサーバーに到達して処理された時」です。
一方、FX取引(取引所取引)の成行注文の約定のタイミングも、「注文が取引所のサーバーに到達して処理された時」です。
FX取引(取引所取引)の場合、複数のマーケットメイカーが為替レートを提示し、その中で顧客に最も有利な為替レートが顧客に提示されます。
株式の注文板と同じ方式である一方、顧客に提示されるのは買い気配値と売り気配値のみです。
「成行注文」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
指値注文での約定
FX取引(相対取引)の指値注文で約定するタイミングは、「為替レートが指定した価格に到達し、注文がFX会社のサーバーで処理された時」です。
売りの指値注文なら「○○円まで上がり、注文がサーバーで処理された時」、買いの指値注文なら「○○円まで下がり、注文がサーバーで処理された時」がタイミングとなります。
一方、FX取引(取引所取引)の場合は、「自分の指値の条件を満たす提示レートが示された時」です。
自分が140円で1万通貨を売りに出し、マーケットメイカーがこの条件を満たす為替レートを提示した時が、約定タイミングです。
「指値注文」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
逆指値注文での約定
FX取引(相対取引)の逆指値注文で約定するタイミングは、指値注文と同じく「為替レートが指定した価格に到達し、注文がFX会社のサーバーで処理された時」です。
指値注文とは反対に、売りの逆指値注文は「○○円まで下がり、注文がサーバーで処理された時」、買いの逆指値注文は「○○円まで上がり、注文がサーバーで処理された時」となります。
一方、FX取引(取引所取引)での逆指値注文の約定のタイミングは、「提示レートが逆指値注文で指定した為替レートに到達した時」です。
自分が139円で1万通貨を逆指値で売りに出し、マーケットメイカーがこの条件を満たす為替レートを提示した時が、約定タイミングです。
「逆指値注文」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
IFD注文での約定
FX取引(相対取引・取引所取引)におけるIFD注文の約定タイミングは、「為替レートが指定した価格に到達し、注文が処理された時」です。
IFD注文の約定は、新規注文と決済注文で「2回」発生しますが、どちらのタイミングも上述の通りです。
「IFD注文」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
OCO注文での約定
FX取引(相対取引・取引所取引)におけるOCO注文の約定タイミングも、「為替レートが指定した価格に到達し、注文が処理された時」です。
OCO注文での約定は、決済注文の場合も新規注文の場合も1回のみで、片方の注文が約定したら、もう片方の注文は自動的にキャンセルされます。
「OCO注文」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
IFO注文での約定
FX取引(相対取引・取引所取引)のIFO注文での約定のタイミングも、他の注文と同様です。
IFO注文の約定はIFD注文と同じく、新規注文と決済注文で「2回」発生しますが、どちらのタイミングも「為替レートが指定した価格に到達し、注文が処理された時」です。
「IFO注文」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
約定に関する注意点
約定に関する注意点は、以下の通りです。
FX会社によって約定のルールが違う
約定のルールは、FX会社によって異なることがあります。
基本的な約定のルールは共通していますが、例えば「一定数量を超えた注文をどのように約定させるか」などのルールは、FX会社によって異なることがあります。
各社の公式サイトで強調されていることが多いルールの1つは「月曜オープン時・メンテナンス明け」の指値注文・逆指値注文の約定に関するルールです。
このルールに関しては、多くのFX会社が「オープン時点の価格で条件を満たしていれば、その価格で約定する」というルールを定めています。
つまり、指定した価格と異なる価格で約定する「スリッページ」が起きる可能性があります。
これらのルール以外にも、利用するFX会社が個別に約定のルールを定めていることがあります。
そのため、取引を始める前にルールを確認することが重要です。
スリッページが起きる可能性がある
成行注文・指値注文・逆指値注文のいずれでも、スリッページが起きる可能性があります。
スリッページとは「想定とはずれた価格で約定する」ことです。
スリッページが起きる原因として、「注文の到達時間」「システム内での約定までの時間」などが挙げられます。
トレーダーのスマホやPCから出した注文は、FX会社のサーバーに届き、システム内で約定するまでわずかなタイムラグがあります。
時間にして「0.01秒〜数秒」ですが、このわずかな時間にも価格が変動することがあります。
価格が有利な方向にずれる現象は「ポジティブスリッページ」と呼び、不利な方向にずれる現象は「ネガティブスリッページ」と呼びます。
OANDAの約定スピード
投資家が注文を出してから、約定の処理が完了するまでの速さを約定スピードと呼びます。
約定スピードが遅いと、注文価格と約定価格に差が生じるスリッページが発生する可能性があります。
そのため、約定スピードは意図したトレードをするために重要な要素の1つです。
多くの場合、FX会社は約定スピードやスリッページのデータを公開することはありません。
しかし、OANDA証券は公平性を担保するため、双方の週間データを以下のページで公開しています。
OANDA 東京サーバー インフラデータ上のページを開くと最新の「約定スピード」が、下図のように表示されています。
10ミリ秒は0.01秒であるため、この表では「0.02秒・0.05秒・0.1秒・0.5秒」のそれぞれの時点での、注文種別の約定率が表示されています。
0.02秒経過時点で100%に近い約定率であり、未約定注文は1.4〜2.8%のみです。
OANDA証券で取引いただいた場合、0.02秒以内に約定しないケースは、100回の売買で1〜3回のみということです。
0.05秒経過時点では、新規成行注文など5種類の注文が、100%になっています。
残り2種類の注文も99.9%と限りなく100%に近い数字です。
0.1秒経過時点では、全ての注文が完全に100%約定しています。
このようにOANDA証券では「0.02秒でほとんどの注文が約定し、0.05秒でほぼ完全に約定し、0.1秒で完全に約定する」という約定スピードを実現しています。
※データは時期によっても若干の変動がありますが、各週のデータを遡ってご覧いただけます。
スリッページのデータは、同じ画面で上図の①「スリッページ発生状況」のタブをクリックすると表示されます。
続けて、データを見たい通貨ペアを②で選択します。
ここでは、①スリッページなし、②ポジティブスリッページ、③ネガティブスリッページの割合が、それぞれ表示されます。
スリッページは9.7%〜53.3%の割合で発生していますが、その約半分がポジティブスリッページであることが、②と③の比較でわかります。
スリッページが発生した場合の平均幅(pips)も、①ポジティブスリッページ・②ネガティブスリッページのそれぞれで表示されています。
どちらも0.17〜0.52pipsと微小な値幅となっており、仮にスリッページが起きても大きく価格がズレることは少ないとわかります。
約定に関するQ&A
約定に関してよく見られる疑問点は、以下のようなものです。
約定と未約定の違いは何ですか?
約定と未約定の違いは「取引が成立したか、していないか」です。
取引が成立した注文は「約定」、成立していない注文は「未約定」となります。
成行注文の場合は例外的なケースを除いて約定しますが、指値注文と逆指値注文の場合、現在価格からある程度離れた価格を指定することが多いため、一般的に一定時間未約定になります。約定力とは何ですか?
約定力とは「FX会社が取引を成立させる力」のことです。
具体的には、主に以下の2つの力に分かれます。
- ・約定拒否の少なさ
- ・スリッページの少なさ
約定拒否とは、FX会社が約定を受け付けられず、取引が成立しないことです。
売買が集中するなど、平常時とは異なる相場環境において起こる場合があります。
FX取引は、FX会社とトレーダーが1対1で売買を行うため、FX会社が売買注文を受け付けられなければ、取引は成立しません。
FX会社のシステムやサーバーなどによって、約定力は異なり、約定拒否がない「約定率100%」を実績として掲げる会社も存在します。
スリッページとは、注文の際に設定した価格と約定した価格のずれのことで、スリッページが少ないほど約定力が強いとされます。OANDA証券のシステムでは、ユーザーの注文を受注してから5ミリセカンド程度の時間での約定が可能となっています。
このような約定スピードの追求により、スリッページを抑制していることも、OANDA証券の約定力が定評をいただいている理由です。
注文しても約定しないことはありますか?
FX取引の場合、平常時とは異なる相場環境において、「注文したのに約定しない」ということは起こり得ます。
例えば、相場が急変したり、売買注文が集中している環境などでは、FX会社のシステム側で約定を受け付けられない場合があります。
また、取引ツール等でスリッページ許容範囲を設定できる場合、その許容範囲を超えていると約定しません。
注文との違いは何ですか?
注文とは、売買を依頼(発注)することです。
約定とは、発注された売買が成立することです。
注文と約定の違いは「自分一人か、相手がいるか」という点だといえます。
注文は自分一人で、買い注文や売り注文を出した状態です。
しかし「注文を出しただけ」であり、その注文に応えてくれる売り手や買い手(FX取引ならFX会社)が見つかったわけではありません。
一方、約定は注文に応えてくれる相手が見つかり、取引が成立した状態です。
受渡日との違いは何ですか?
約定日は売買注文が成立した日であるのに対して、受渡日は約定した取引の決済をする日のことです。
受渡日では売買代金の受け渡しが行われます。
受渡日は、約定日から2営業日後や3営業日後など投資商品によって異なります。
【まとめ】約定(やくじょう)とは|受渡日との違いや仕組み・注意点など詳しく解説
約定とは、注文が成立することをいいます。
FXの場合、相対取引と取引所取引があり、約定の意味(内容)や仕組みが異なります。
また、注文方法によって約定のタイミングは異なり、いずれも指定した価格と異なる価格で約定する「スリッページ」に注意する必要があります。
OANDA証券では約定エンジンの強化に注力しており、約定スピードの速さ・約定力の高さには好評を得ています。
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