用語解説

金融政策とは|意味・目的・具体例についてわかりやすく解説


金融政策とは、中央銀行が金利の誘導や通貨の調整(金融調節)をする政策のことです。

本記事では、金融政策の意味や目的、金融政策による影響、よくある質問について解説します。

金融政策とは

ここでは金融政策の意味や目的、金融政策決定会合について解説します。

  • ・意味
  • ・目的(目標)
  • ・金融政策決定会合とは

意味

金融政策は物価や経済の安定を目的とし、中央銀行が金利の誘導や通貨の調整(金融調節)をする政策のことを指します。

具体的には政策金利の引き下げ・引き上げや、量的緩和(QE)・量的引き締め(QT)などが挙げられます。

目的(目標)

中央銀行の主な目標は、通貨の流通量を調整して物価の安定を図ることです。

しかし、国によって目標が少しずつ異なります。

それぞれの違いは、以下の通りです。

国(中央銀行) 目標
日本(日本銀行) 物価の安定(消費者物価の前年比上昇率2%)
米国(FRB) 物価の安定と、雇用の最大化
欧州(ECB) 物価の安定(中長期的にインフレ率を2%に抑える)
英国(BOE) 安定したインフレ率(中期的にインフレ率を2%に維持)

多くの中央銀行が物価を目標にしていますが、米国は物価に加えて雇用の最大化も目標にしています。

金融政策決定会合とは

金融政策決定会合とは、日本銀行が行う金融政策の内容・運営に関することを審議・決定する会合のことです。

同様の会議は各国の中央銀行で開催されており、名称が異なります。

2024年の日程は、以下の通りです。

名称 回数・日程
日本 金融政策決定会合 年8回(1・3・4・6・7・9・10・12月)
米国 FOMC(連邦公開市場委員会) 年8回(1・3・5・6・7・9・11・12月)
欧州 ECB理事会 年8回(1・3・4・6・7・9・10・12月)
英国 金融政策委員会 年8回(2・3・5・6・8・9・11・12月)

金融政策の影響

金融政策の種類と、経済やマーケットへ与える影響を解説します。

  • ・緩和政策
  • ・引き締め政策

緩和政策

緩和政策は、「利下げ」や「量的緩和(QE)」などが挙げられます。

一般的に、利下げをすると金利は低下し、量的緩和をすると市場の資金量が増えるとされています。

緩和政策を行うことで経済を下支えし、不景気やデフレ(物価が低下し続ける状況)の改善を期待します。

引き締め政策

引き締め政策は、「利上げ」や「量的引き締め(QT)」などが挙げられます。

一般的に、利上げをすることで金利が上昇し、量的引き締めをすることで市場の資金量が減少するとされています。

引き締め政策を行うことで経済の重しとなり、景気の過熱やインフレ(物価が上がり続ける状況)の抑制を期待します。

金融政策に関するQ&A

金融政策に関する、よくある質問に回答します。

  • ・財政政策との違いは何ですか?
  • ・金融政策における日銀の3つの役割とは何ですか?
  • ・マイナス金利とは何ですか?

財政政策との違いは何ですか?

財政政策は、国や政府が行います。

具体的には増税や減税、国債の発行、公共工事の拡大、給付金の給付等が挙げられます。

金融政策と財政政策のどちらも経済に影響を与えますが、大きな違いは主体が中央銀行なのか、国・政府なのかです。

金融政策における日銀の3つの役割とは何ですか?

日銀の金融政策には、主に3つの手段があり、「公定歩合操作政策金利操作)」「公開市場操作」「預金準備率操作」を用いて金利や市場の通貨量の調整を行います。

公定歩合操作
(政策金利操作)
現在の公定歩合は「基準貸付利率」と呼ばれ、無担保コールレート(O/N物)の上限を決める役割
公開市場操作 国債や手形などを売買し市場金利を誘導
預金準備率操作 金融機関は預金残高の一定比率を日銀に預け入れることが義務付けられており、この比率を操作することで銀行の資金量を調整

マイナス金利とは何ですか?

マイナス金利とは、金融機関が日本銀行に預ける(当座預金)際の金利の一部をマイナスにする制度です。

そのため、一般の預金者が自身の銀行預金にマイナス金利を適用されるわけではなく、日常的な預金に対する直接的な影響はありません。

【まとめ】金融政策とは|意味・目的・具体例についてわかりやすく解説

金融政策とは、中央銀行が「物価の安定を図り、経済が健全に発展すること」を目的として、金利や通貨の供給量を調整する政策です。

金融政策には大きく分けて「緩和政策」と「引き締め政策」の2つがあります。

不景気やデフレ状況を改善する際には「緩和政策」、景気の過熱やインフレを抑制する際には「引き締め政策」が用いられます。

一般的に「緩和政策」は株価が上昇し対象通貨が売られやすく、「引き締め政策」は株価の上値が重くなり対象の通貨は買われやすいとされています。

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